kintone「検索AI」と「レコード一覧分析AI」の違いと使い分け方

kintone「検索AI」と「レコード一覧分析AI」の違いと使い分け方

はじめに

こんにちは、サイボウズ kintoneプロモーションチームの吉原です。
今日はkintoneに搭載されているAI機能のうちの2つ、「検索AI」と「レコード一覧分析AI」が、それぞれどういうところで使えるのか、この2つの機能をどう使い分けるといいのかをお話ししたいと思います。

結論からお伝えすると、複数アプリをまたいでピンポイントで情報を探したいなら検索AI、1つのアプリのデータをまとめて要約・分析したいならレコード一覧分析AIが向いています。

この記事でわかること

  • 検索AIとレコード一覧分析AI、それぞれの機能と特徴
  • 各機能が向いているシーンと具体例
  • 迷ったときに使える判断の目安
kintone上でどちらのAI機能を利用するか迷ったときに、判断の参考にしていただければ幸いです。

kintoneのAI機能とは?「検索AI」と「レコード一覧分析AI」の概要

kintoneにはいくつかのAI機能が搭載されていますが、その中でも溜まっているデータを活用する用途に特化した機能として、「検索AI」と「レコード一覧分析AI」の2つがあります。

検索AIとは何か

検索AIは、kintoneに蓄積されたデータをもとにAIが回答してくれる機能です。一言で表すなら、社内向けのAIチャットボットを作れる機能と理解するとイメージしやすいと思います。

検索AI機能イメージ

検索AI | kintone AI | kintone(キントーン)
https://kintone.cybozu.co.jp/feature/kintone-ai-labo/searchai/
最大の特徴は、複数のアプリをまたいで横断検索できる点です。たとえば、総務・労務・経理・情シスのそれぞれのFAQアプリをすべてデータソースとして登録しておけば、社員がどの部門の質問をしても1つのチャットボットで対応できます。「出張申請はどうすればいいですか」「パソコンが動かなくなったときはどこに連絡しますか」といった問い合わせを、部門をまたいで一括で受け付けることが可能になります。

仕様面では、設定した複数のアプリから関連性の高いレコードを上位5件に絞り込み、その内容をもとに回答を生成します。

レコード一覧分析AIとは何か

レコード一覧分析AIは、kintoneのレコード一覧画面に表示されているデータをその場で分析してくれる機能です。機能名のとおり、「今見ている画面のデータを分析する」という動作をします。

レコード一覧分析AI機能イメージ

レコード一覧分析AI | kintone AI | kintone(キントーン)
https://kintone.cybozu.co.jp/feature/kintone-ai/analysisai/
特徴として、参照するデータは現在開いている1つのアプリのみです。複数アプリを横断することはありません。一方で、一覧画面に表示されている最大100件のレコードを分析対象にできる点が検索AIとの大きな違いです。ただし、分析対象は「一覧画面に表示されているフィールド」に限定されます。

検索AIとレコード一覧分析AI、機能比較まとめ

まとめると、こんな感じになります。

検索AIとレコード一覧分析AI 機能比較表

検索AIが向いているのはどんなシーン?

検索AIは「何かを調べて答えを教えてほしい」というニーズに応える機能です。例えば以下のようなシーンで活用しやすいです。

FAQアプリ・就業規則・マニュアル系ナレッジの検索

FAQアプリ・就業規則アプリ・マニュアルアプリ・問い合わせアプリといったナレッジが蓄積されているアプリと検索AIは相性が良いです。

例えば、社内のバックオフィス系問い合わせ対応ボットとして活用する場合、総務・労務・経理・情シスなど複数部門のFAQアプリをまとめてデータソースに登録しておくと、1つのチャットボットで横断的に回答できるようになります。利用者は問い合わせ内容ごとにチャットボットを使い分ける必要がなくなります。

また、FAQアプリだけでなく、問い合わせ履歴アプリもデータソースに設定できます。FAQアプリと問い合わせ履歴アプリの両方をデータソースに設定することで、「よくある質問と回答」だけでなく「よくあるわけではないけど、過去にあった似た質問とその回答」も参照して、検索AIに回答させることも可能になります。

問い合わせ・クレーム・インシデントの類似事例探し

問い合わせやクレーム、インシデントの記録が蓄積されているアプリに対して、「これと似たような事例は過去にあったか」をピンポイントで探したいときも検索AIが向いています。

複数アプリをまたいだ顧客・案件情報の確認

例えば、顧客管理アプリと案件管理アプリが別々に存在している場合に、特定の顧客や案件に関する過去の実績を横断的に調べたいときは検索AIが有効です。

顧客管理アプリと案件管理アプリを両方データソースに設定しておけば、「A社との過去の取引でどんなやり取りがあったか教えて」という問いに対して、2つのアプリを横断した上で回答を返してくれます。

議事録・日報など過去記録の検索

議事録アプリや日報アプリに蓄積された記録に対して、「あの件、どうなったんだっけ」といった過去情報のピンポイントの検索も検索AIが適しています。

議事録や日報が数百件に積み上がった状態でも、「〇〇プロジェクトの先月の決定事項は?」と自然な言葉で問いかけるだけでピンポイントで参照できます。目視スクロールや手動フィルタの手間が不要になるため、情報量が多いアプリほど効果を実感しやすいです。

レコード一覧分析AIが向いているのはどんなシーン?

レコード一覧分析AIは「今見えているデータを要約・分析してほしい」というニーズに応えます。回答にあたってAIが読み込むアプリは1つに限られますが、より多くのレコード(最大100件)をまとめて要約・分析した結果を回答してくれるのが強みです。

プロジェクト進捗・ステータス管理アプリの要約

プロジェクトや業務の進捗状況が蓄積されているアプリで「今月のチームの活動はどんな感じだった?」「この工程の最近の進み具合はどうか」といった問いに答えたいときは、レコード一覧分析AIが向いています。

報告・日報・連絡相談などが溜まっているアプリも同様です。在庫など現在の状態が記録されているアプリに対して、現在の状況の大まかな把握をするのにも使えそうです。

アンケート・チェックリストの傾向分析

アンケート結果や、各種チェック記録が蓄積されているアプリに対して「先日のセミナーではどんな感想が多かったか」「先月は概ね問題なくすべてのチェック項目を満たせた日ばかりだったか」などの傾向を分析したい際も、レコード一覧分析AIが得意です。

逆に、例えば仮にアンケートが100件蓄積されているアプリに検索AIを設定した場合、AIが参照するのは「質問と関連性の高い上位5件」だけです。残り95件は参照されないため、傾向分析には適しません。100件全体から傾向を読み取りたい場合は、レコード一覧分析AIを使うのが正しい選択です。

どちらを使うか迷ったときの判断目安

検索AIか、レコード一覧分析AIか。選択に迷ったときは、次の2点を確認すると判断しやすいと思います。

どちらを使うか判断フロー

① 複数のアプリをまたいで情報を探したいか
→ 「はい」なら、検索AI!

② 1つのアプリのデータをまとめて要約・分析したいか
→ 「はい」なら、レコード一覧分析AI!

もう少し詳細に言い換えると、「複数のアプリからピンポイントで関連情報を5件見つけてきて回答してほしい」なら検索AI、「絞り込んだ画面に表示されている最大100件のデータを元にざっくり教えてほしい」ならレコード一覧分析AIが向いています。

なお、対象が1つのアプリに絞られる場合でも、判断基準は変わりません。「特定のレコードをピンポイントで探したい(例:過去の特定クレームを1件見つけたい)」なら検索AI、「そのアプリのデータ全体の傾向を把握したい(例:先月の問い合わせ全体でどんな種類が多かったか)」ならレコード一覧分析AIが適しています。

おわりに

kintoneの「検索AI」と「レコード一覧分析AI」の主な違いと使い分けのポイントをまとめます。

  • 検索AIは1つ以上のアプリを横断して関連するレコード上位5件を参照し、ピンポイントで情報を探して回答する用途に向いている
    • 例えば、FAQアプリ・就業規則・マニュアル・議事録・日報などのナレッジ検索に最適
  • レコード一覧分析AIは現在開いている1つのアプリのデータ(最大100件・表示中のフィールドが対象)をまとめて要約・分析する用途に向いている
    • 例えば、アンケート・進捗管理・チェックリスト・申請データなどの傾向把握・要約に最適
  • 選ぶ基準の1つは「アプリを横断したいか、ピンポイントでレコードを見つけたいか(検索AI)」vs.「多くのデータをまとめて分析・要約したいか(レコード一覧分析AI)」
kintone上でのAI機能選びの参考になれば幸いです。