MONOVATE 様の導入事例

MONOVATE

【業務内容】
産業用ステンレスタンク・攪拌装置の設計/製造/販売
【利用用途】
製造現場の業務効率化、全社のナレッジ共有、kintone AI活用による効率化やノウハウ継承、事業機会創造 等
  • 製造現場の記録が、AIで武器になる。kintoneに貯めたデータが情報資産になるまで

液体や粉体を扱う工場向けに、産業用ステンレスタンクや攪拌装置を手がけるMONOVATE株式会社。食品・医薬品・化学品など、幅広い製造業を顧客に持ち、オーダーメイド品を手がける八潮工場と規格品・量産品を生産するつくば工場の2拠点で、多様な製造ニーズに応え続けてきた。2024年には日東金属工業株式会社からMONOVATE株式会社へと社名に変更し、「モノづくり開発企業」として新たな変革への歩みを続けている。
同社は2019年にkintoneを導入し、現在は全社員170名が活用。アプリ数は500を超える。さらに、kintone AIを用いた社内データの活用促進にも力を入れ始めた。業務推進部でkintoneの運用管理を担当する堀越正裕氏、浪岡喬臣氏に、kintoneを起点にしたDXの歩みを聞いた。

【課題】進捗確認が終業後までわからない。紙と順番待ちが生んだ非効率

kintone導入前、工場では多くの業務が紙とExcelで管理されていた。中でも堀越氏が一番大変だったと振り返るのが、製造部門の作業記録と進捗管理だ。

「当時は紙での業務が基本でした。現場スタッフたちは1日の作業内容を紙にメモして、終業間際に3台の共有パソコンに入力するんです。当然、記入の順待ちが発生します。そして全員の入力が終わってようやく、私の仕事である進捗確認と翌日の作業差配が始まります。残業は当たり前で、忙しい時期には深夜まで残ることもありました(堀越氏)」

作業が想定より早く進んでいても、問題が起きていても、リアルタイムでは把握しづらい。現場担当者の仕事が終わってから管理者の確認が始まるという構造が、組織全体の動きを遅らせていた。

その他にも多くの社内フローが紙で運用されていた。中でも課題が大きかったのがカイゼン提案だ。当時は紙の提案書が掲示板に貼り出されていたが、貼れるスペースには限りがあり、過去の提案も蓄積されず、形式的なものになってしまっていた。

「カイゼンの文化は根付いていたんです。ただ、紙だと情報が埋もれてしまって、せっかくの現場の提案を活かしきれていませんでした。過去の類似の改善など、参考になりそうな情報を調べる手段もありませんでした(堀越氏)」

業務推進部 堀越正裕氏

【選定】一つの課題しか解決できないツールでは足りなかった

現場で様々な課題が山積みの中、社長からデジタル化推進の号令がかかったことをきっかけに、ツールの検討が始まった。

「紙をデジタルに置き換えるサービスはたくさんあります。でも、課題がいくつもあって、それに合ったサービスをバラバラと導入するとかなりの金額になる。その上、社内のデータも散らばってしまいます。それは避けたかったです(堀越氏)」

そんな中で出会ったのがkintoneだった。選定の決め手になったのは手頃な価格と、自分たちでアプリが簡単に作れるところだった。

一つのサービスで自分たちがやりたいことが複数実現できそう、という確信が持てたのが大きかったです。サイボウズさんに導入相談をした時に、『こういう使い方ができますよ』と具体的なイメージを示してくれたことで、これならできそうという気持ちになれました(堀越氏)」

2019年、まずはつくば工場から試験的にkintoneを導入。定着を促すために、まずは毎日の作業記録をkintoneに入力するというルールを設けた。

1日の最後ではなく、担当の作業が終わり次第スマホから適宜入力するスタイルに変更した。また、お弁当注文や掃除当番など、身近なアプリも意図的に作った。強制的に使わせるのではなく、日常業務の中に自然にkintoneが溶け込む設計をしたことで、抵抗感なく浸透していき、2020年には全社へと利用を広げた。

【効果】データ蓄積から活用へ。現場が育てた情報資産

機械に貼ったQRコードから、現場の記録にアクセス

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工場内の機械にQRコードを貼り付けて管理している。スマホからQRコードを読み込むと、kintoneの設備点検アプリに遷移。設備の利用開始前後に、アプリ内の設備点検項目にチェックを入れ、上長に提出するといった運用だ。提出もkintoneのプロセス管理でフローを回す仕組みにしている。機械を使う前にQRを読み込むだけで、スマホからすぐに点検が実施できる仕組みだ。

「設備が止まると生産に支障が出るので、設備ごとの状況チェックは以前から欠かさず行っていました。ただ、紙での記入と提出の運用が負担で、kintoneに切り替えたんです。提出までの手間がぐっと減って、現場の負担も軽くなりました。(浪岡氏)」

その場でスマホからkintoneに入力するため、情報がリアルタイムに共有される。そのため、対応判断が迅速にできるようになり、管理コストの削減にもつながっている。

「今どこまで進んでいるのかが明確にわかるようになり、kintone導入前と比べて進捗管理の負担が大幅に軽減しました。昔のような深夜残業も今はもうありません(堀越氏)」

業務推進部 浪岡喬臣氏

5年分のカイゼンデータがAIで活きる


「kintoneにデータが溜まると、それをもっと活かしたいという気持ちが出てきました(浪岡氏)」

5年以上にわたってkintoneにデータを蓄積してきた同社が、次に踏み出したのがkintone AIの活用だ。昔は紙で管理していたカイゼン提案をkintoneアプリで管理するようになり、毎年1000件近いデータが蓄積され続けている。同社はこのアプリに「検索AI」を活用した。

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カイゼン提案アプリの検索AI画面

「検索AIに『生産工程の効率化に関する過去のカイゼン事例を教えて』といった抽象的な問いかけをすると、工数削減率や改善内容を整理して提示してくれます。過去の誰かのアイデアが、次の誰かのカイゼンの種になっています(堀越氏)」

「良いカイゼンを見た社員が『自分の部署にも応用できそうだ』と思って、似た提案を出してくれることもあります。ゼロから案を考えつく天才だけじゃなくて、誰もが取り組めるものになっていっている、そういう波及が起きているのが嬉しいです(浪岡氏)」

チャット感覚で生産進捗を確認

受注情報や全体進捗を管理するアプリにも「検索AI」を活用している。営業担当者や内部スタッフが「指図番号」を入力するだけで、その製品の現在工程・各工程の進捗率・出荷予定日が即座に回答される。各工程の担当者が作業ごとにリアルタイムで入力しているからこそ、この精度が保たれている。

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受注情報のアプリから生産進捗状況を確認

「営業や管理部門の担当者が、わざわざアプリのレコードを開いて確認したり、生産担当に聞いたりしなくても、チャット感覚で状況確認できるようになりました。お客様への進捗報告もスムーズになっています(堀越氏)」

データをためることが、会社の力になる

「AIもまだまだ利用に個人差があります。全社的に『AIを使うのって普通だよね』という雰囲気を作っていくことが活用につながると思っているので、その土台固めをしている段階です(浪岡氏)」

各部署からAI活用を推進するメンバーを選出し、更なる全社活用に向けて取り組み始めている。体制は整いつつあるが、データ活用はまだまだ初期段階だと堀越氏は語る。

「例えば、新製品を作るときに、類似製品の過去の不具合情報を作業前に自動表示するとか、そういったデータの使い方ができないか検討中です。そうすれば、過去のトラブルを知らない新人でも、事前に注意点を把握してから作業に入れます。それだけで工場内の動きがかなり変わるはずです(堀越氏)」

現場の一人ひとりが日々入力し続けてきたデータが、AIを通じて組織全体の知恵として活きようとしている。業務改善の土台を5年かけて築いてきた同社は今、蓄積してきたデータを武器に変えるフェーズへと歩みを進めている。

(2026年3月取材)