
プレミアアシスト
- 【業務内容】
- 自動車・駐車場・住まい領域のBPO事業
- 【利用用途】
- 問い合わせ受付から受注・請求までの販売管理、進捗管理
自動車・駐車場・住まいなどの領域でBPO事業を展開している株式会社プレミアアシストでは、電話やExcel中心のやり取りから脱却を目指してkintoneを導入。その経緯や現在のkintone活用状況について、ホームアシストカンパニー 業務推進統括部 部長 弓下 健三氏及び同カンパニー 管理統括部/予算統制 管理課 業務課長 高森 奈月氏にお話を伺った。
自動車・駐車場・住まいの3つのカンパニーで、独自のノウハウを駆使したBPO事業を展開する株式会社プレミアアシスト。50を超える全国の拠点で業務のアウトソーシングを請け負っている。
なかでも住まいの領域を担うホームアシストカンパニーでは、マンションや不動産の管理会社を顧客として、何かあれば親会社のコールセンター経由で現場に社員が出動、住民の要望に対応している。「水まわりや電気、建具などの様々な修理メンテナンスに対応できる多能工と呼ばれる精鋭社員を有しているのが大きな特長の1つ。専用の研修設備を持つなど、社員教育に力を注いでいます」と弓下氏は説明する。また、修理メンテナンスだけでなく、故障前に点検や検査を実施するインスペクションサービスも手掛けるなど、住宅設備に関連した様々なBPOサービスを展開している。
そんなホームアシストカンパニーで課題となっていたのが、現場社員の業務を案件受注から請求業務まで支援するバックオフィス業務の効率化だった。「事業拡大に向けては、現場に出動する多能工の社員は増やしていきつつも、内勤社員の数は大きく増やすことなく、生産性を高めていくことが経営層から求められたのです」と弓下氏は当時を振り返る。
ホームアシストカンパニー 業務推進統括部 部長 弓下氏
案件の対応履歴、見積作成などにはExcelを用いていた。「とにかくExcel管理を辞めたいというのが出発点でした」と高森氏は当時の想いを語る。なかでも大きな課題になっていったのが、案件ごとに発生するExcelでの見積書だけでも月当たり1000件ほどあり、それ以外に管理しているExcelファイルも2000〜3000件にまで膨らんでいたこと。共有ファイルから必要な情報を探すだけでも多くの時間がかかっていたのだ。
顧客管理は基幹システムで行なっていたが、すでに導入から数十年経過しており、動作が非常に重く使い勝手が悪い問題を抱えていた。しかし、改修も困難という状況となっていたという。「改修が難しくなった古い基幹システムと、煩雑なExcelでの周辺業務の運用から脱却することは急務でした」と高森氏。業務プロセスや情報基盤を統合し、生産性を向上させるためのシステム開発が始まった。
ホームアシストカンパニー 管理統括部/予算統制 管理課 業務課長 高森氏
システムの選定にあたっては、「情報を探す手間を省くため、1つのシステムでうまく情報共有できる仕組みが必要でした。また、お客様とのやり取りや部材発注にはそれまで電話やFAXを駆使していましたが、今後はメールで見積書が提出でき、ウェブ上で受注管理や日程調整ができる環境も整備したいと考えました」と弓下氏。
ただし、自身はITに明るいわけではなかったため、グループ会社内に情報を求めたところ、サイボウズのkintoneが話題に挙がったという。「Salesforceや施工管理のパッケージなど選択肢はいくつか出てきましたが、我々がやりたいことをぴったりうまく実現できる印象はなかったのです。サイボウズの導入相談窓口で話を聞いたところ、kintoneであれば作り込んでいくことで、我々の要望にあう仕組みが整備できるとわかりました」と語る高森氏。他ソリューションに比べてコストパフォーマンスが良い点も選定の理由として大きかった。
高度で使いやすいシステムをkintoneで追求するため、SIパートナーとの連携も前提として検討。数多くのサイボウズオフィシャルパートナーの中から、サイボウズに提案された株式会社日立ケーイーシステムズに注目した。各種プラグインの導入・設定からkintoneのアプリ開発、自社専用プラグインの個別作成まで、kintone構築の実績が豊富である点を高く評価したという。「我々がやりたいことをお伝えすると、いろいろなプラグインで実現できる道筋を当初からご提案いただき、ないものは新たに開発していただけるというお話でした。我々のような素人でもkintoneを活用していけそうな可能性を期待できたのです」と高森氏は評価したという。
また、kintoneなら特定の端末からしか接続させないセキュアアクセスをはじめ、自社グループにおけるセキュリティ要件を満たした使い方も可能だと判断。kintoneをベースにした新たな基幹システム構築をスタートする決断に至った。
kintoneアプリやプラグイン・連携サービスを中心としたプレミアアシスト社の業務フローをまとめた図
現在、同社のkintoneは全社員や外部社員を合わせて180を超えるアカウントが利用する重要な業務基盤となっている。顧客の問い合わせ受付から受注、作業完了報告までを管理する顧客情報管理アプリ、社員を割り当てるためのカレンダーアプリ、そのほか入金管理アプリ、報告書管理アプリ、在庫発注アプリ、部品発注アプリ、シフト管理アプリなど、業務の大半がkintone上で進められている状況だ。アプリの数は160ほどに登るという。
お客様からの問い合わせがあった段階で、内勤社員はカレンダーアプリで案件とスキルが合致する社員の稼働可否を確認し、スケジュール登録を行う。そのスケジュールを元に社員が出動し、現場での作業を終えた段階でiPadから完了報告アプリに結果を入力。
実際に運用中のカレンダーアプリ
修理実施にあたって部品の追加発注が必要であれば、見積作成アプリで見積書を作成し、メールやSMSを通じて顧客に送付する。見積内容を確認後、発注に至る場合は顧客がWebフォームから発注を申し込むという流れだ。その後、部品発注アプリから部品が発注される。
各アプリはプラグイン・連携サービスも活用して、便利に使えるよう開発されている。たとえば見積書などの帳票はレポトンを利用してkintone上の情報をもとに簡単に出力できるほか、アプリ間のデータ連携にはkrewDataを活用して手動の転記作業等を削減。Excelライクなインターフェースでデータの一括処理やメンテナンスに重宝するkrewSheetも多用されている。部品発注アプリは、kintoneの基本機能であるアプリアクションも利用して、見積作成アプリから自動で転記して発注内容を簡単・正確にまとめやすく作られており、さらにFAX+kintoneを用いて資材屋に発注書をFAXで送付できるようにもなっている。
実際のアプリ開発においては、パートナーである日立ケーイーシステムズの工夫も光る。たとえば、新しいシステムを使うことの現場の負担を考慮し、できる限り以前のシステムや運用に近い使い勝手を実現するカスタマイズなどが行われているという。「従来のシステムの無駄な部分は削りながらも、以前と近い形の運用もしやすいよう工夫してもらっています。プラグインも駆使しながら、たとえば画面の情報が多すぎる場合はタブで切り替えできるようにしてもらうなど、こちらの要望に柔軟に対応いただけています」と弓下氏は評価する。
前述した見積作成アプリや部品発注アプリにも、日立ケーイーシステムズが提供する「タブ表示プラグイン」が設定されている
このタブ表示プラグインは日立ケーイーシステムズが一般にも提供しているプラグインだが、こうした既存のプラグインの適用はもちろんのこと、「他社での用途は少ないかもしれないが、プレミアアシスト社では何度も重宝する機能」をプラグインとして個別開発・提供もされているという。kintoneを熟知するパートナーと伴走するメリットが大いに生かされた事例と言えるだろう。
他にも、プレミアアシスト社では顧客への連絡にSMSが多く用いられているが、見積書などを閲覧できるURLをSMSで送るにあたっては文字数の制限が厳しい。そこでkintoneに登録されたURLを自動で短縮URLに変換して格納するRPAも日立ケーイーシステムズが実装している。これは内勤社員だけでなく、現場の社員の生産性向上にも大きく寄与しているようだ。「以前は現場の社員が事務所に戻ってからExcel等を駆使して各種書類を作成する必要がありました。今はこうしたカスタマイズのおかげでタブレット上で必要な情報を入力するだけで外出先でも見積を作成できるようになっており、隙間時間の有効活用も実現できています。」と弓下氏は評価する。
同社を担当する日立ケーイーシステムズのシステムプロダクツ事業部 システムソフト開発部 主任技師 畠野 幹治氏は、こだわりをこう語る。「難しい要望をいただくこともありますが、具体的な実装作業の前に要望をどう実現するかにまず知恵を絞っています。kintoneの基本機能や既存のプラグインの活用から、我々側での独自のプラグイン開発、JavaScriptでの作り込みまで、お客様の期待に最も応えられる方法を考えて選ぶようにしています」。
畠野氏のこうしたこだわりの理由は何なのか。その回答には、kintoneをパートナーと使いこなしていくための重要なヒントが含まれていた。「変な話かもしれないですが、私たち以外がプレミアアシスト社のkintoneを今後メンテナンスすることになる可能性も含めて保守性を意識しているんです。だからこそ、必ずしも独自で作り込みすぎず、アイデアの組み合わせで解決できることはないかをよく検討するようにしています」。
こうして業務のほとんどをkintoneで効率的に完結できるようになった、その効果はどうだったのか。「内勤の人数を増やすことなく、対応できる案件数が以前の170%になりました。今年に入って案件数はさらに増えているものの、それらにも十分対応できています」と弓下氏は評価する。
プレミアアシスト社内で実際に作成されたkintoneを利用した業務改善の成果報告スライド(プレミアアシスト社ではkintoneを活用したシステムをPAsupportと呼んでいる)
また、以前は電話やメールを用いた顧客とのやり取りが多く、転記作業のミスによるトラブルも発生しがちだった。kintoneの導入によって、それも大きく改善されたと言う。「今では7割の案件がWeb上で完結するようになり、転記作業がそもそも減ったおかげで、ミスも大幅に減りました。また、お客様へ見積りのご案内がタイムリーにできるようになったことで、より前向きにご発注を検討いただけるなど、サービスの質においてもプラスの効果が表れています」と高森氏は説明する。
kintoneについては、業務に必要なアプリを感覚的に開発できる点を高く評価する。「何も知らない素人でも、思った以上のものができることに驚いています。アプリに対しては社員からいろいろ要望が寄せられますが、ちょっとした改善要望は社内のメンバーで対応できるためストレスなく運用できます。費用対効果を考えてもすばらしいです」と高森氏は絶賛する。必要な情報はサイボウズのウェブサイトや動画、様々な記事から容易に入手できるなど、情報収集のしやすさについても好評だ。
また、求めていた機能がkintoneのアップデートで新たに実装されたり、プラグイン・連携サービスで新たな機能が続々と提供される点も評価する。「連携できるサービスもどんどん増えている印象です。その意味でも使い勝手のよさを感じています」と弓下氏。
すでに主な業務はkintoneに統合できているプレミアアシスト社だが、今後は社員の研修や育成プロセスなど、周辺業務の管理もより強化していきたいという。社員の技術レベルの可視化をさらに進めて、各案件への社員の割り当てをより効率的にしていきたいとのことだ。
また、kintoneに蓄積されたデータから案件の傾向を見るといったデータ活用についても、社員のさらなるデータリテラシー向上を図りながら進めていきたいという。「案件の状況分析や部材の発注傾向などを把握できるアプリも作成したことはありますが、正直使いこなすまでには至りませんでした。うまくデータ活用したいところはありますが、このあたりは今後の課題です」と弓下氏。
kintoneによるホームアシストカンパニーでの業務改善はグループにおける成功例の1つとして評価されており、別のカンパニーでもkintoneの活用が現在進んでいるという。kintoneは今後も様々な用途でプレミアアシスト社の生産性向上を支えていきそうだ。
(2024年8月 取材)
・レポトン(株式会社ソウルウェア)
・krewData(メシウス株式会社)
・krewSheet(メシウス株式会社)
・kMailer(トヨクモ株式会社)
・FAX+kintone(株式会社バーズ情報科学研究所)
・タブ表示プラグイン(株式会社日立ケーイーシステムズ)
※プラグイン・連携サービスはkintoneスタンダードコース以上でご利用いただけます
TEL 03-5627-7191 FAX 03-3683-9565 E-mail cybozu-sol@hke.jp
弊社ではサイボウズのクラウド全般に関するご相談から導入までをメインで対応しております。弊社はプログラム開発が得意分野であり、kintoneではお客様のご要望に合わせて汎用プラグインの提供からお客様専用のプラグイン開発まで、広く対応させていただいております。
本動画に関する著作権をはじめとする一切の知的財産権は、サイボウズ株式会社に帰属します。
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