AIの料金に直結する「トークン」とは? トークン破産・トークンマネジメントが今話題になりつつあるワケ【ビジネス職向け AI用語解説シリーズ⑥】

AIの料金に直結する「トークン」とは? トークン破産・トークンマネジメントが今話題になりつつあるワケ【ビジネス職向け AI用語解説シリーズ⑥】

こんにちは、サイボウズの吉原です。

AIに関する情報やニュースを追っていると、「トークン」という言葉を目にすることがあるかと思います。最近は「トークン破産」「トークンマネジメント」といった言葉も見かけるようになりました。

「AIのお金に関係する言葉なんだろうけど、どういうものなんだろう」
「AIに日本語で1文送ったら、結局いくらかかっているのか」
「チームでAIを使い始めたけれど、利用料金はどう管理すればいいんだろう」
今回はこんな疑問がきっと解決する、ビジネス職向けAI用語解説シリーズ第6回、「トークン」の解説です。

※本記事は、技術的な正確性よりも「大まかな理解の補助」を優先してまとめています

この記事でわかること

  • トークンの意味と、それがAIの利用料に直結する理由
  • 日本語のトークン数の目安と、モデルによっても変わる話
  • AIサービスで見かける「クレジット」とトークンの関係
  • 「トークン破産」「トークンマネジメント」の意味と、語られるようになった3つの背景
  • 個人がすぐできる打ち手(使用量の確認、モデルの自覚と切り替え)と、著者自身の使い分け
  • チームでAIを使う場合に管理者が把握しておきたいこと

トークンとは

トークンとは、AIが扱う言葉の最小単位のようなものです。

日本語の話者である私たちが「言葉の最小単位」と聞くと、「文字」や「単語」といった想像をするかと思います。AIにとってのそういう概念が「トークン」になります。

我々が使う「文字」や「単語」といった単位とは必ずしも一致しない「トークン」という区切り方が存在し、その独自の区切り方で人とやり取りするために使う文章を分割して、AIはその文章の内容を処理しています。

人の言葉がトークンに分割されてAIに届くイメージ
人の言葉は、独自に分割されながらAIに届く

基本的には、扱うトークンが長くなるほど、AIの処理の負担は増えていきます。人間でも、短い一文を扱うのと、長い文章を読み解くのとでは、頭の使い方も疲れ具合も全然違いますよね(SNS上の140字の文章と、分厚い本1冊を比較して想像いただくといいかもしれません)。AIにとってもそれは同じことと思っていただくとよいでしょう。

AIの場合は、人間で言う「体力」の代わりに、根っこをたどれば「電気」などを消費しながら物事を処理していきます。ですので、消費するトークン量が増えるほど、我々ユーザーにとっての料金につながることになります。

日本語1文字は何トークン? 消費量の目安と、一概に言えない理由

ここで出てきそうなのが「これくらいの文章を入力すると、どれくらいのトークン量になるの?」といった疑問。残念ながら、ここは一概にお答えするのが難しいところです。なぜなら、1トークンをどういう区切りとするかは、AIモデルによって違うからです。

傾向としては、日本語であれば1文字あたり1〜3トークン程度になることが多いようです。ただ、この数え方はモデルによってかなり変わってくるので、あくまで参考程度とするのがよいかと思います。

「クレジット」は、トークンを数えやすくした単位

AIのサービスによっては、料金・トークンに関連する言葉として「クレジット」という言葉も出てくることがあります。

クレジットは、AIの利用量に対する料金をやりとりするため設定される通貨のようなものです。サービスごとに設定されます。kintone AIもクレジット制で提供しています。

AIクレジットについて | kintone ヘルプ
https://jp.kintone.help/k/ja/ai/ai_credit
クレジットも、多くの場合はトークンを軸の1つにして計算されます。トークン量をそのまま金額に換算すると、AIとやりとりする細かな文字数などの違いによって、請求・支払いが非常に煩雑になったりする可能性が考えられます。クレジット制が採用されるのは、そういった背景であるケースがおそらく多いのではないかと思います。

「トークン破産」「トークンマネジメント」とは

最近、「トークン」という言葉は「トークン破産」「トークンマネジメント」という形でも聞くことが増えました。

例:3カ月で1年分の予算が消滅? AI導入で情シスが陥る「トークン破産」を防ぐには:AI運用費が人件費を超える逆転現象も? - TechTargetジャパン
https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/article/2606/16/226061608/
例:人件費と競い始めたAIトークン 「トークンマネジメント」という新課題 - Impress Watch
https://www.watch.impress.co.jp/docs/watchplus/2116364.html
「トークン破産」は、簡単に言えば、AIを使いすぎて会社や個人が費用面で行き詰まってしまうことです。文字面のとおりですね。

それに対して「トークンマネジメント」は、破産もしくは損しないように、費用対効果を適切に管理(マネジメント)しながらAIを使っていこうという考え方を指します。

なぜ今「トークン破産」「トークンマネジメント」が語られるのか

「トークン破産」「トークンマネジメント」という言葉はなぜ生まれてきたのか。私は、大きく3つの背景があると考えています。

1. AIの推論能力と共に、消費するトークンも増えている

生成AIが出たての頃は、「文章を投げると、それっぽい文章が返ってきてすごい! 面白い!」といった素朴な面白さが中心で、業務での実用性はそれほどではありませんでした。

しかし、最近はAIにざっくりとやりたいことを伝えるだけで、「きっとこういうことを期待されているんだろうな」とAIが頑張って思考して、返してくれるようになりました。「推論能力が大幅に上がっている」ということです。

ただ、「AIが頭の中で検討を重ねてから回答してくれるようになった」ということは、その推論のためにもトークンをたくさん使いながら処理しているということでもあります。我々が「考える」ときに、声に出さずとも頭の中で言葉をたくさん用いるように、AIもユーザーに回答時だけでなく、「考える」ときにも言葉(すなわちトークン)を膨大に消費しているのです。

高性能なAIの価値を享受できるようになった裏側で、実はトークンの消費量がどんどん増えている。そういう時代に突入してきたわけですね。

2. 完全定額から従量課金へ、AIサービスの提供形態が変わってきた

各社のAIのサービスは、どれも元々は非常にお安い価格設定で、かつ定額で「ほとんど無限と言ってもいいくらい使えますよ」という形で提供されてきました。それが徐々に変わり、従量課金のAIモデル・サービスが増えつつあります。

たとえば、ニュースなどでよく取り上げられているAnthropic社のClaude。Claudeは2026年9月時点で、性能の高い順にFable 5.1、Opus 5、Sonnet 5、Haiku 4.5という4モデルが提供されています。

このうちHaiku・Sonnet・Opusは決められた利用枠の範囲で使える一方、最上位のFableは、契約しているプランによってはここだけ従量課金という提供形態に変わってきています。

Claudeのモデル選択画面
筆者が使うClaudeの画面。現在のプランでは最上位のFable 5.1は別途で「クレジット」が必要と表示されている

前述した推論能力の向上と共に、定額だけでは持続的に提供しづらい段階に移ってきているということです。

こうした従量課金のモデルが出てくると、「完全定額だった頃の感覚のまま、何も考えずにどんどん高性能なAIを使ってしまい、いつの間にかすごい利用料になっていた」といったことも起こりうるわけです。

3. AI活用が「探索のフェーズ」から「成果を問われるフェーズ」に移った

生成AIが一般に普及して、数年が経ちました。最初のほうは「今までだったらAIってどんな風に使えるのかな」とガンガン使いながら、まずは探求していこうというフェーズが結構あったかと思います。

そこに前述したような状況の移り変わりがあり、業務での実用を考える中では「同じトークンを使うなら、より大きな成果を得られる使い方を探求していかないといけないね」という流れになってきました。成果を問われるフェーズに移りつつあるというわけです。

個人でできるトークン節約は? 「使用量」と「モデル」を自覚する

業務でのAI利用においては、必ずしも皆さん自身がAIの契約者ではないと思います。この場合、こうした「トークン」が重視されるようになりつつある状況で、何かやるべきことはあるのでしょうか?

私がおすすめしたい第一歩は、AIの使用量と、自分が選んでいるモデルに少し意識を向けてみることです。

ChatGPT、Gemini、Claude、Copilotなど、いろいろなAIサービスがありますが、だいたいどのツールにも「定額ではこれくらいの使用量まで使えて、あなたは今これくらい何パーセント使っていますよ」という画面があります。ここで言う使用量が、ほぼイコールでトークンの利用状況を表します。

Claudeの使用量確認画面
筆者のClaudeの「使用量」確認画面

「与えられた枠のうち、自分は今どれくらい使ったんだな」と、まず見てみる。「AIを使うのは完全に無料というわけじゃないんだな」と意識してみる。こうしたことが、まずは始めやすいかと思います。

もうひとつが「利用しているモデルの意識」です。各社のAIサービスでは、性能や世代が異なるモデルが複数用意されています。ClaudeであればFable 5.1、Opus 5、Sonnet 5、Haiku 4.5。ChatGPTであればGPT-6 AstraやGPT-5.6 Sol。Geminiであれば3.6 Flash、3.1 Proといった具合です。

基本的には、高性能なモデルほどトークンを消費します。自分が選んでいるモデルを自覚し、かつ「どんなタスクなら下位モデルでも十分か(+逆に、どんなタスクなら上位モデルが必要か)」を把握できるといいでしょう。

例えば、私はClaudeを中心に使っていますが、

  • 議事録作成などの「作業」に近いタスクは、Sonnet 5
  • 企画を考えるなどの「上流の思考」に近い仕事になるほど、Opus 5
といった形で、よく切り替えています。文章の整形や情報の整理などはSonnet 5で十分足りる一方、抽象度が高い仕事になるほど、上位のモデルのほうがフィードバックの練度が高まる手応えを感じるためです(個人の所感ですが、Sonnetはイエスマンの性質をよく感じます)。

タスクの種類とモデルの使い分けイメージ
「作業」に近いタスクほど、性能が低いモデルでも十分なケースが多いです

「自分が使っているモデルを認識できておらず、何でもかんでも高めのモデルを使ってしまっていた」という話は思いのほかよく聞きます。まずはここを認識するだけでも、同じトークンでより大きなリターンを得る方向へ一歩進めると思います。

チームで使うとき、管理者は何を見ればいいのか

チームでAIツールを導入・活用する場合は、管理者にあたる方が、実際にメンバーがどのようにAIを使っているのかを把握して、AI活用やそのコストパフォーマンスを管理していくことが必要になるかと思います。いったい何から見ていくのがいいのでしょうか。

一案ですが、例えばこのような3点から見てみるのはどうでしょう。

  • 誰にAIサービスのライセンスを与えているのか
  • 実際に誰が使っているのか
  • どういったことにどれくらい使っているのか
管理者が把握したい3つの観点

そうすると、例えば下記のケースを発見できます。

・せっかくアカウント代を毎月支払っているが、実は全然使っていない人がいる
→ 契約をやめる? なぜ使えていないかをヒアリングしてみる?

・すごく使っている人がいる、効果的な使い方をしていそうな人がいる
→ 使い方のコツを聞いて、チーム内で横展開できないか検討してみる?
「使っていないから解約する」といった判断だけでなく、これをきっかけに「より上手に活用していくにはどうすればいいか」まで検討できるとさらに生産的になりそうです。

「誰にAIの利用を許可しているか」「どの機能にどれくらい使われているか」などを把握できる機能は、各サービスの管理機能として用意されていることが多いです。

もちろん、kintoneも提供しています。AI機能ごとに利用者を設定できる画面や、トークン量をより単純化した「クレジット」の形で使用状況をご覧いただける画面をご用意しています。

kintoneのレコード一覧分析AIの設定画面
kintoneのレコード一覧分析AIの設定画面。アプリごとに利用を許可するユーザーを指定できる

kintoneのAIクレジット使用状況画面
kintoneのAIクレジットの使用状況画面。AI機能ごとの使用量も確認できる

まとめ:「トークン」を知ってAIと上手に付き合おう

  • トークンはAIにとっての言葉の最小単位。扱う量が増えるほど処理負荷が上がり、利用料に跳ね返る
  • 日本語は1文字あたり1〜3トークン程度が目安だが、区切り方はモデルによって違うので一概には言えない
  • トークン破産はAIの使いすぎによる費用面の破綻、トークンマネジメントはその回避や費用対効果の管理を指す
  • 語られるようになった背景は、推論によるトークン消費の増加、一部モデルの従量課金化、成果を問われるフェーズへの移行の3つ
  • 個人としては「使用量を確認する」「使っているモデルを自覚して下位モデルも試す」から始められる
  • チームではライセンスと利用実態の把握が起点になる。kintoneは管理者ならAIクレジットの使用状況を確認・管理できる
「トークン」が何者かがわかると、AI関連のニュースもより理解しやすくなりますし、AIを業務で使うときのコストパフォーマンスにも直結してきます。ぜひ押さえておきましょう。

次回以降のシリーズでも、業務でのAI活用に関わるキーワードを解説していきます。

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