バイブコーディングとは? セキュリティは大丈夫? "雰囲気"でアプリをつくれるメリットとデメリット【ビジネス職向け AI用語解説シリーズ③】
こんにちは、サイボウズの吉原です。今回は「バイブコーディング」というAI用語について解説します。
バイブコーディングとは、AIに自然言語(話し言葉)でリクエストするだけでプログラムを作ってもらう開発スタイルのことです。プログラミング言語などの専門知識や時間がない中でも、ほしいアプリがあっという間に手に入る手法として注目を集めています。
一方、ビジネスの現場で使うにあたっては、セキュリティや運用保守の面などで危険性や課題があることも議論されつつあります。果たして、どんな点に注意して活用できるといいのでしょうか?
今回は、ビジネス職向けAI用語解説シリーズ第3回として、このバイブコーディングについて解説します。
※本記事は、技術的な正確性よりも「大まかな理解の補助」を優先してまとめています
この記事でわかること
- バイブコーディングの意味と、注目された背景
- ビジネス現場で問題になりやすいセキュリティ・運用保守の課題
- 非エンジニアの筆者が実感した「個人利用とチーム利用の境界線」
- 課題を補いながら、AIアプリ開発を活用するための仕組みの考え方
バイブコーディングとは?
バイブコーディングとは、「バイブ(vibe=雰囲気)」と「コーディング(コードを書くこと)」を組み合わせた言葉で、雰囲気を伝えるだけでAIにプログラムを書かせる開発スタイルを指します。
従来、プログラムを作るにはプログラミング言語の専門知識か、kintoneのようなノーコードツールが必要と考えられてきました。ところが、生成AIの登場により、「こんなものを作って」とざっくり話し言葉でリクエストするだけで、AIがプログラムを数分で作ってくれる世界が見えてきました。
これを、ChatGPTで知られるOpenAIの共同創業者 アンドレイ・カルパシー氏が「バイブコーディング」と名づけたことから、言葉・概念として広がりました。
実際に試すと、イメージがより湧きやすいかもしれません。ChatGPTやClaudeのようなAIチャットに、例えば「電卓アプリを作って」と頼んでみましょう。あっという間にアプリができあがるかと思います。
Claudeに電卓アプリをつくってもらいました
バイブコーディングはなぜ注目されたのか?
バイブコーディングは2025年に提唱された後、爆発的に話題に。2026年に入ってからもAI用語として定着しつつあります。
Googleトレンドで見る「バイブコーディング」の盛り上がり
なぜ、これほどまでに注目されているのでしょうか。
専門知識や時間がなくても、アプリを作れるようになった
最大の魅力は、システム開発の学習コストが劇的に下がったことです。プログラミング未経験の人がゼロからアプリを作ろうとすれば、これまでは言語の勉強から始めて何十時間、下手をすれば何百時間もかかっていました。ノーコードツールを使う場合も、自分で手を動かす必要からは逃れられませんでした。
それがAIへの依頼一つで、手を動かさず言葉で伝えるだけで、アプリが一瞬で形になります。この変化の大きさが、バイブコーディングが熱狂的に語られてきた理由のひとつだと考えています。
開発コストや開発期間を大きく減らせる可能性がある
もう少しビジネスの現場寄りの視点で見ると、社内システムの調達コストを下げられる期待があります。
従来、チームや社内でシステムが必要になると、システム開発会社への外注が一般的でした。打ち合わせ等を重ねて要件定義に時間をかけ、開発会社がコードを書き、できたものを見て「ここは思っていたのと違う」と修正を戻す。このやり取りに何ヶ月もかかることが珍しくありませんでした。
ノーコードツールは、この時間を大幅に短縮しましたが、それでもドラッグ&ドロップなどで組み立てていく作業は残っていたのも事実です。
一方、AIなら一瞬でたたき台ができあがるため、発注にかかるお金のコストや手間も、要件定義や修正にかかる時間のコストも大きく減らせるのではないか。そんな期待が、注目された背景の1つにあります。
バイブコーディングをビジネスの現場に取り入れるときの課題
しかし、バイブコーディングは「ビジネスの現場での運用を考えると無視できない問題も多い」という指摘が徐々にまとまりつつあります。
代表的な課題点は、セキュリティと運用保守の2つです。
セキュリティをプログラミングの素人が自身で検証できるか
ここまで見てきた通り、AIにプログラムをつくるよう指示すれば、素人でもそれらしいものはあっという間に作れます。しかし、それが「安全なものかどうか」は別の問題です。
- 悪意のある外部の攻撃者がそのアプリを攻撃し、社内システムへの侵入を試みたとき、耐えられる作りになっているのか
- AIに指示した本人が、セキュリティに関して理解・検討しながらつくれているのか、検証できているのか
- たとえAIに「セキュリティにも気をつけて」と伝えて、AIが「セキュリティも担保していますよ」と回答したとしても、その実態を使い手側は把握・理解できているのか
- 結果的にトラブルが発生した場合、使い手はその責任を取れるのか
こういったところが曖昧になりやすいのが現実です。
悪意ある攻撃者は素人を常に狙っているのが、残念ながら現実です
運用保守の負担は誰が引き受けるのか
また、つくるのは一瞬でも、使い続けるためには保守が必要です。
例えば、AIにつくらせたプログラムは「中身がどうなっているのかよくわからない状態」にもなりやすく、最初につくった人がチームを抜けたとき手を入れづらくなる可能性もありそうです。
仮に、AIでアプリを100個つくったとしましょう。つくるのは一瞬でも、100個のアプリの保守を続けようとすると、作った本人(しかも素人)が保守専任にならざるを得ないほどの時間がかかりかねません。また、組織で運用すれば「使い方がわからない」「ここを変えてほしい」といった問い合わせ対応も多発します。
こうした保守コストまで考えたとき、バイブコーディングは果たしてどこまで無敵の手法なのか、という話になってきます。
バイブコーディングの壁は「自分のためにつくること」ではなく「チームに共有して運用し続けること」
ここまでバイブコーディングについて一般論を話してきましたが、そのメリットや課題をよりイメージいただきやすいように、ここで私の実体験もお話してみたいと思います。
私が実体験を通して思うところを先にお伝えすると、バイブコーディングの本当の壁は「作ること」ではなく「共有して運用し続けること」にあるということです。
私自身も、AIに個人用の簡単なプログラムをつくらせることがあります。私の仕事ではGoogle ChromeやMicrosoft Edgeといったウェブブラウザが欠かせず、ブラウザ上の定型操作が多く発生します。こうしたブラウザでの定型操作は、JavaScriptというプログラミング言語を書くことで、ある程度自動化できます。
そこで私は、例えば「ここと、ここを、こんな書式でコピーする」といったブックマークレット(ブラウザ上で動く小さなJavaScript)をAIにいくつか書かせて日々活用しています。私はJavaScriptの最低限の知識は持っているという前提はありますが、この活用範囲なら「バイブコーディング」ができることは非常に強力で、日常のちょっとした作業をAIでどんどん効率化できることをひしひしと実感しています。
では、そうして作成したプログラムをチームメンバーに共有しているかというと、実はほとんど共有していません。もちろん「独占したいから」ではなく、例えば共有した先で「ここはどうするんですか」「これが動かなくなったんですが」「トラブルが起きてしまいました」といった問い合わせが起きたときに、私ではサポートしきれないと感じるからです。
こうした体験を踏まえると、小粒なものならまだしも、チームが日常的に使う本格的なシステムを私がバイブコーディングでつくって運用保守するのは、到底無理だなと感じます。そもそもチームで使うシステムにおいては、単に何かを処理する「プログラム」だけでなく、入力・処理したデータを保管する「データベース」も適切に構築・共有する必要がありますが、その方法も私にはわかりません。
つまり、「自分のためにはつくれる」が、「チームのためにはつくれない・運用できない」。この感覚こそが、ビジネス職にとってのバイブコーディングの現実だと私は考えています。
バイブコーディングを安全に活かすには何が必要か
では、こうした課題のために、我々のようなビジネス職・非エンジニアはバイブコーディングのメリットをすべて捨て去るべきなのでしょうか。できることなら、いいとこ取りを考えたいですよね。
ここまでの話を踏まえると、バイブコーディングを安心安全に活かすためには、下記の点を踏まえた上でAIによるアプリ作成ができるとよさそうです。
- 最低限のセキュリティ等を仕組み側が担保してくれること
- つくったシステムをチームで共同利用しやすいこと
- システムを引き継ぐとき、素人でも設定内容を理解できる形になっていること
kintoneのアプリ作成AI・アプリ設定レビューAIなら、バイブコーディングを安心・便利にやりやすい
手前味噌にはなりますが、この条件を満たす仕組みとして私が実感を持って良いと感じているのが、kintoneの「アプリ作成AI」と「アプリ設定レビューAI」です。kintoneのテレビCMでは、豊川部長もアプリ作成AIで嬉しそうにアプリをつくっています
アプリ作成AIは、AIチャットに「こういうアプリを作りたい」と伝えると、要件をくみ取ってkintone上で動くアプリを作ってくれる機能です。「欲しいアプリを雰囲気で伝えれば、AIがいい感じに作ってくれる」というバイブコーディングの良さを持ちながら、つくられたアプリはkintoneの安心・便利な基盤上で運用できるのが特長です。
kintone上でのアプリ作成なら、例えば下記のような点が安心・便利です。
- AIへの指示をどれだけ間違っても、お使いのkintone全体に適用されているセキュリティ設定が反映される
- データベース機能をはじめとして、チーム・組織で共有して使うことを前提としたアプリ作成機能になっている
- ちょっとした手直しは、ノーコード(ドラッグ&ドロップ)でシュシュッとできる
- できあがるアプリはノーコードだから、非エンジニア同士の引き継ぎでもわかりやすい
これなら、チームで使うアプリも気軽に「バイブコーディング」しやすそうですよね。
また、アプリ設定レビューAIは、kintoneの管理者があらかじめアプリ設定に関するガイドラインを登録しておくと、AIがアプリの設定内容をレビューし、改善点を提示してくれる機能です。
現場がアプリをつくった後にこの機能を立ち上げると、「この設定はガイドラインに合っていないので直してね」といった指摘をAIがしてくれます。ビジネス職・非エンジニアによる現場での自由なアプリ作成と、情報システム部門などシステム開発・運用のプロが気になる不安の両方に応える機能だと感じています。
こうした仕組みがあると、AIによるバイブコーディングの良さだけをいいとこ取りできそうなイメージ、つきますでしょうか。
もちろん、kintoneを使えばバイブコーディングの課題がすべて消えるわけではありません。利用が拡大してくると、アプリが乱立しないための運用や工夫は必要になりやすいですし、kintone上でも、JavaScriptを用いた高度なカスタマイズや、外部サービスとの連携などを進めていくと、記事前半で見てきた課題と無縁ではいられない部分もあります。それでも、ベースとなるしくみをkintoneが担保してくれる分、「無秩序なバイブコーディング」よりリスクを抑えて活用しやすいと思います。
正直なところ、同じようなことができるのであれば必ずしもkintoneでなくてもよいとは思います。大事なのは、バイブコーディングの良さや手軽さを活かしつつ、最低限の安心・安全も仕組みで担保するという考え方。これが、スピードと安全の両方が求められるAI時代の解の1つではないでしょうか。
まとめ:バイブコーディングと付き合う3つのポイント
- バイブコーディングとは、自然言語でAIにプログラムをつくる開発スタイル。学習・外注コストや開発期間を大きく下げられる可能性がある
- バイブコーディングをビジネスの現場に取り入れるには、セキュリティや運用保守などの面も検討の必要あり
- バイブコーディングの「いいとこ取り」を仕組みで実現することが、スピードと安全の両方が求められるAI時代の解の1つ
次回以降のシリーズでも、業務でのAI活用に関わるキーワードを解説していきます。
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著者:吉原 寿樹(サイボウズ株式会社 kintoneプロモーション担当)
2017年の新卒入社からマーケターとして広告・セミナー・コンテンツ制作などを担当し、現在は部内のAI活用推進にも携わる。AIツールを日常業務に組み込む実践者として、非IT人材向けのAI活用ノウハウを発信中。





