綜合キャリアオプション 様の導入事例

綜合キャリアオプション

【業務内容】
人材紹介事業、BPO事業
【利用用途】
営業支援、案件管理、CRM、問合せ管理、データ集計、契約管理、プロジェクト管理
  • 営業管理から始まったkintoneによるDX、BPOサービスに
  • 不可欠な業務基盤パッケージとして、主力商品で提供するまでに拡充

人事課題を解決するHR Techサービスを提供している株式会社綜合キャリアオプションでは、コールセンターや事務センターの運営といった業務の委託を請け負うBPOサービス事業において、人材や運営とともに提供する業務基盤として組み込み主力商品として提供、さらに新サービスを開発するためのエンジンとして、サイボウズのkintoneを活用している。その経緯について、ビジネスプロセスソリューション事業本部 コンサルティング事業部 部長 中里氏、同事業本部 プランニング事業部 ゼネラルマネージャー 角田氏および同事業本部 BENSYS事業部&メタンバース・プロセス・アウトソーシング事業部 マネージャ― 石井氏にお話を伺った。

【課題】属人的なExcelで課題が顕在化、事業成長への対応も困難に

顧客の課題解決に寄りそうBPOサービスを提供

1990年に長野にて創業し、HRビジネスの領域でさまざまなサービスやプロダクトを開発・提供している株式会社綜合キャリアオプション。全国に160を超える店舗を展開し、人材派遣事業や人材紹介事業、BPO事業、特定技能を持つ外国人材グローバル事業などを手掛けている。AIやRPAなど最新の情報技術と雇用開発につながる事業領域に注力するキャムコムグループの中核企業として、人材業界のゲームチェンジャーとなるべくDXプラットフォームを既存システムと連結させ、業界全体のパラダイムシフトを支援し続けている。

同社において、テクノロジーをフル活用したBPOにて企業の課題に応える外務業務委託事業を手掛けているのが、ビジネスプロセスソリューション事業本部だ。事業領域を超越したコンサルティング提供をはじめ、BPO業務専門ITシステムの開発・運用、人材派遣を活用したクライアント常駐型業務委託など、さまざまなサービスを展開。人件費・固定費の削減や業務の効率化、社員のコア業務への集中、新規事業サポートなど、顧客の課題解決に寄与する豊富なサービスを展開している。

社内DX化の第一歩であるExcelでの自動化での課題が顕在化

そんな同社では、企業に対してコールセンターや事務センターのBPOを提供するにあたり、当初はExcelのマクロを駆使して案件ごとの業務管理を行っており、営業管理のためのSFAや現場スタッフの進捗管理ツールは導入していない状況だったと石井氏は当時を振り返る。「何か困りごとがあればExcelでマクロを組み、現場での業務管理を可能な限り効率化、自動化できる環境を整備してきました。」

BPOにて提供する業務は多岐にわたっており、人が何かしらのアクションを起こす業務は全て範疇に含まれている。いわゆる労働集約型のサービスであり、専門ツールを導入することが難しいことも背景にあったため、Excelを駆使するという属人的なアプローチで、技術的なスキルを持つ角田氏が現場からの要望を叶えていたという。

ただし、Excelは同時入力・編集ができないといった課題や膨大なレコード数による処理の限界など、ツールとしての制約も少なくなかった。現場の進捗管理においては、Excel内の情報を集計する手間も必要で、効率的な業務とは言えなかったという。「Excelが案件ごとに散在するなか、うまく情報を統合管理できる基盤があることで、お客さまにより良いサービスが提供できるのではと考えました。そこで、現場管理や営業管理まで一気通貫で活用できるシステムの導入を検討することになったのです」と角田氏は語る。また、BPOサービス自体が急成長を遂げており、その成長を支えるためにも新たな基盤づくりが求められていたのだ。

ビジネスプロセスソリューション事業本部プランニング事業部 ゼネラルマネージャー 角田氏

【選定】内製化可能な仕組みでコミュニティ活動が盛んなkintoneに注目

新たなシステムを検討するにあたり、まずは営業部門が活用する前提でSFAを中心にソリューションを検討。現場管理のシステムとしてもExcelマクロの代替えになるような、手軽に活用できるものを探すことに。具体的には、自前で環境を用意せずとも迅速に始められるクラウドサービスであること、開発ベンダーに依頼せずとも現場単位での要望を叶えるためのシステムが容易に開発できるノーコードツールであること、そして常駐先のメンバーや営業担当者が利用するためにもモバイル利用が可能である点が大きな要件となったという。

SFAやグループウェアなども含め、現場業務に適用できるソリューションを数多く調査するなか、サイボウズが提供しているkintoneに注目したという。「社内で開発するにあたっては、ヘルプデスクの対応はもちろん、コミュニティ活動が充実しているかどうかは重視しました。kintoneであれば、アプリ(業務システム)をつくるための情報もネット上で数多く見つかりますし、多くのディベロッパーが参加するコミュニティ活動も活発なため、自分たちでも開発できると考えました。ちょうどモバイル版のUIが変更になり、より使いやすくなったことも大きな決め手の1つ。向こう3年はkintoneで後悔することはないと判断したのです」と石井氏。

kintoneについては、以前からよく名前が挙がっていたと振り返るのは執行役員の中里氏だ。「最初からシステム構築するよりも安価に仕組みが構築できるツールだと、同業他社でも導入が進んでいると耳にしており、幅広い業務への対応が求められるBPO業界との親和性が高いという印象を持っていました。」と中里氏。

角田氏が評価したのは、開発におけるコストパフォーマンスの良さ、そして展開のスピード感だ。「レイアウト含めてアプリを作成するまでサクッとできますし、その場で直感的に入力できることはとても魅力的です。現場に負担をかけることなく、開発経験の少ないメンバーでも手軽に必要なアプリが作成できるなど、kintoneであればExcelの代わりとして展開できると判断しました」。

部署として3年計画で売上100億円を目指すという流れもあり、DX推進を強力に推し進めないと解決できない課題が多く顕在化していたという。「事業成長を達成するためにも、多くの課題を一気通貫で解決できるソリューションがないか考えたとき、結論としてkintoneが目指している方向と重複して見えたのが一番大きな理由です」と石井氏。結果として、従来のExcelで行ってきた営業活動管理及びBPO現場の業務管理の基盤として、kintoneが採用されることになった。

【効果】BPO案件で使う業務アプリをkintoneで実装、顧客へのサービス展開を迅速化

営業管理から始まったkintoneによるDX、案件ごとに業務アプリを展開する基盤にまで拡充

まずは課題であった営業管理用のExcelをkintone化。メンバーが情報に同時アクセスしやすくなり、事業拡大に応じて営業部門のリソースが増えても、安定して業務運用が可能になった。「Excelファイルだと破損リスクもありますが、kintoneではそのリスクが回避できるなど、システムの安定性が向上しました。各種数字の把握も、Excelのように複数のファイルを集計する作業を挟まずともすぐに数字が把握でき、現場の業務改善に大きく貢献しています」と角田氏。

さらに、kintoneを営業管理や業務管理の基盤の置き換えとしてだけでなく、BPOを提供する各現場の業務管理基盤としても活用していくことに。同社では案件ごとにカスタマイズ可能な環境を提供するBPO向け業務システム「BENSYS」を提供しているが、企業から依頼された様々な業務を行う際に役立つ業務アプリを基本機能としてkintoneにて作成することで、顧客に対して迅速に最適な業務環境を提供することが可能になっている。BENSYSの活用は急速に広がっており、社内活用も含めて案件ごとに契約する15ほどのドメイン、全体で2900アカウントほどのメンバーで活用している状況だ。 

BPO向け業務システム「BENSYS」機能紹介

BENSYSによりBPOの現場の立ち上げも迅速になったと好評だ。「Excelで運用していた時代では、現場に入ってから安定した業務の土台を整備していくだけでも1週間程度は必要でした。今はBENSYSによってパッケージングされた状態で現場に入れるので、スタートの安定感と立ち上げまでの工数削減にkintoneが大いに役立っています」と角田氏。

コールセンター・審査業務を委託された場合のBENSYS活用イメージ

▲コールセンター・審査業務を委託された場合のBENSYS活用イメージ

BENSYSでは、問い合わせ対応やヘルプデスク業務などへすぐに適用できるコール系業務をはじめ、データエントリーや書類審査、会員管理といったオフィスワーク系業務、取材や調査などのフィールド系業務などで活用できるアプリが豊富に用意されている。具体的なアプリの例としては、問合せ履歴管理やFAQ、資料共有フォルダ、掲示板、アンケートフォーム、数値集計、グラフ化、検温報告、勤怠管理、座席表、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)、ユーザーマイページ機能など多岐にわたっている。基本アプリで対応できないものも、案件ごとにカスタマイズオプションとして提供できるような仕組みとなっている。

BENSYSのダッシュボード

▲kintoneが使われているBENSYSのダッシュボード(一例)。ここから各業務アプリへアクセスできる。

FAQアプリ画面

▲BENSYS内のFAQアプリもkintoneが基盤になっている

kintoneがBPOサービスを提供している現場にも幅広く展開されたことで、大量のアプリのアクセス権限やユーザー管理なども必要になったが、そこでもkintoneを活用。作成されたアプリを管理するためのアプリを運用している。「大量のアカウントやアプリを安全に運用するために、kintoneを利用・開発する各メンバーの管理を行うkintone管理アプリを用意しています。実際には、現場ごとのグループ管理や作成されたアプリのマニュアル管理、どのアプリが実装されているのかのアプリケーション管理などが行われており、視認性よく管理できるようExcelライクに使えるkrewSheetやアプリ総数をグラフで把握するkrewDashboard、アプリのバックアップを行うためのgusuku Customineなど、さまざまなプラグインを効率的に活用しています」と石井氏。さらに、アプリ開発の優先度管理やパートナー企業の稼働時間などの工数管理、支払管理、案件ごとの業務設計図やER図などのドキュメント管理なども全てkintone上で管理している。

個人の生産性や固有案件数が30%アップ、仕事の範囲を増やすための起爆剤に

BPOサービスとして単なる業務のアウトソーシングだけでなく、案件ごとに必要な環境をアプリにて迅速に提供できるようになったことで、当初目指していた売上目標を突破し、社内で掲げていた個人の生産性や固有案件数を30%アップするという目標も同時に達成することができたことが大きな効果だと石井氏は実感する。受注後の展開でも、例えば官公庁で申請受付から申請者を管理するようなフローを委託された場合、わずか数日の納期で環境整備が可能になるほどのスピード感を持って対応できるようになったほどだ。

また、kintone自体が仕事の範囲を増やすための起爆剤としても大いに活躍しているという。「内部の仕組みにkintoneを使っているという話をすると、kintoneであればシステム面で安心なので、新しい仕事にもお願いできないかと声をかけてもらえる機会が増えています。kintoneによって仕事の範囲が広がり、今では売上拡大の大きな要因の1つになってきている点も見逃せません」と中里氏は評価する。

しかも、単にBPOの業務としてシステムを提供するだけでなく、kintoneをベースに派遣社員を提供する協力会社とのユーザープラットフォームとしての役割を担っている点も大きいという。「kintone開発に長けた企業は多く存在しますが、必要な人材をすぐにアサインできるよう、100社の派遣会社と連携できる環境まで提供できるのは我々ならでは。その協力会社とのプラットフォームとしても、kintoneは大きな役割を果たしてくれています」と石井氏。

サイボウズについては、特にヘルプデスクについての評価が高い。「ヘルプデスクのフォローアップが非常に充実している印象を持っています。他社であれば、問い合わせに対しオペレータがマニュアルを読み返すケースも多いですが、マニアックな質問に対してもしっかり共感いただいたうえで、実現したいことを把握し、実現が難しい場合も技術だけに終始せず代案を提案してくれる。電話をかけてイライラしないヘルプデスクは、正直サイボウズだけ」と石井氏は評価する。

人材会社とテクノロジーの融合、大きな差別化として今後も注力

今後のBPOサービスの展望として、BENSYS単体でサービスを展開するだけではなく、顧客の課題に対してメタバースやロボットなどさまざまなソリューションを組み合わせ、解決策を提案していきたいという。「全てのサービスにBENSYSで提供する業務アプリを絡ませながら、他社にはない唯一無二のサービスを展開していきたいと考えています。人材会社のイメージが強い我々ですが、そこにテクノロジーを付加していくことが、我々の差別化になってくるはずです」と中里氏は語る。

角田氏は、特に人材教育の面で幅を広げていくことで、より差別化要素を強化していきたいと期待を寄せている。「現時点でアプリの全体像や営業サイドで幅広いソリューションが提供できるようになっていますが、アプリを作成できる人材やそれが設計できるメンバーがもっと必要です。kintoneを扱える母数を増やしていくことで、ビジネスをさらに拡大させていきたいと考えています」。

石井氏は、新サービス開発エンジンとして第三フェーズの段階にあるkintoneを、さらに次のステージに高めていきたいという。「新たなビジネスモデルを生み出す際には、人や場所、そしてITがあってこそ組み上げていけるもの。次のフェーズでは、BENSYSというプラットフォームでどんなサービスを作って提供していけるのか、しっかり検討していきたい」と力説する。新たなステージへの階段を、kintoneとともに歩んでいきたいと最後に語っていただいた。(2022年12月取材)

【この事例の販売パートナー】
株式会社内田洋行

担当部署:ネットワークビジネス推進事業部

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