ポスタス 様の導入事例

ポスタス

【業務内容】
クラウド型モバイルPOSレジの「POS+(ポスタス)」の提供
【利用用途】
POSレジの納品業務・バックオフィス業務
  • 5部門が携わる複雑な業務の基盤をkintoneで構築
  • 統一したデータを利用することで部署間連携のミスが減り、請求業務の効率も4倍に

クラウド型モバイルPOSレジを販売する「POS+(ポスタス)」は、「ポスレジ受注後に発生する一連の業務」を正確に行うための基幹システムをkintoneで構築。受注から納品までに発生する全業務で「統一のデータ」を利用できるようになった。データの一元管理により、部署間連携のミスが減ったり、請求業務の効率が4倍になったりと数え切れない効果を得た。

また同社では「業務システムの内製化」に取り組み、自社内でkintoneの運用改善ができる体制を整えた。誰もがメイン業務との兼務でありながら、どのように高度な基幹業務アプリを開発し、kintoneの運用改善を内製化できたのか。その経緯を、統括責任者の泉氏をはじめ、kintone開発を担った鈴木氏、現kintone管理者の星野氏、部門で業務改善を行う小梶氏・村山氏にうかがった。

5部門連動する複雑な納品業務。複数のツールに情報が点在

「POS+」はPOSレジアプリだけでなく、iPad・レシートプリンター・バーコードリーダーなどの付随設備もセットで販売している。商品数の多さに加え、販売代理店も複数関わるため納品業務は複雑だ。「受注登録」「現地調査」「機材発注」「請求」「問い合わせ対応」など多数の工程があり、5つの業務チームが連携して納品対応を行っている。

以前は、こういった受注〜納品業務をBacklog(プロジェクト管理ツール)、Excel、Access、メール、OBIC(請求業務ツール)、といった複数のシステムで管理していた。情報が散在することで連携ミスが発生しやすく、データの二重管理による業務負荷が高かったり、業務の全体を俯瞰できなかったりと課題を抱えていた。これを解決すべく、納品工程を一元管理できるツールの導入を検討した。

統括責任者の泉氏は、スピーディーなビジネススピードに合わせてシステムの調整を自社で行えるツールが良いと考えてkintoneを選択。複雑な業務フローの整理整頓やアプリの要件定義、基幹アプリの土台開発を、サイボウズ オフィシャル パートナーであるアールスリーインスティテュート(以下、R3)に依頼した。また、kintoneアプリを自社で運用するためにノーコードでkintoneカスタマイズができる連携サービス「gusuku Customine」の利用を決めた。

社内全体で共通したシステムがなく、同じような情報があちこちに点在し、最新の情報がどれか分かりませんでした。我々のビジネススピードは速いので、業務の一元管理ツールは状況に合わせて変更していけるものを探していました。これを叶えるツールがkintoneとgusuku Customineでした」(泉氏) 

統括責任者 泉氏

kintoneで情報を一元化 請求作業の作業効率4倍を達成

受注登録業務の工数を劇的に削減

「POS+」の受注経路には直販と販売代理店があり、販売代理店ごとに受注処理が異なる。また、納品業務では納品先店舗の現地調査や、設置業者との調整も必要だ。そのため、進捗状況などを社内外で正確に共有することが必須となる。Backlogによる管理では「直販+販売代理店の数だけBacklogのプロジェクトとログイン画面が存在」していた。代理店ごとに別のプロジェクトにログインし直す必要があるため、受注情報の登録作業はとても手間がかかり煩雑だった。これがkintoneでは「受注案件アプリ」から直販・代理店全ての入力が可能になり、受注情報を一元管理できている。その結果、受注登録業務はシンプルになり入力工数が劇的に減った。

また、以前はチェーン店から複数の受注があった場合、それぞれ1件ずつ登録作業が必要だった。kintoneではCSVファイルでの一括登録が可能になったことで、大型案件の登録にかかる時間は1企業あたり2時間削減。外部業者との連携でもアプリ経由で正確なデータを共有するのでミスを大幅に減らし、月10時間以上の作業時間削減を実現した。加えて、受注情報と紐づく申込書を探す作業は、1日5〜10件から「ゼロ」になった。

「受注案件アプリ」は事務局、日程調整チーム、コールセンター、統括部が部門を超えて利用するアプリだ。ひとつのアプリに情報がまとまっているため、転記作業の手間や連携ミスが激減した。

さらに、業務手順が変わった場合の入力項目の変更も「受注案件アプリ」ひとつを更新するだけで完了する。代理店の数だけシステムの変更作業が必要だった以前のやり方に比べて、受注システム変更の手間も大幅に削減された。

請求業務の効率4倍を達成

一番の導入効果が請求業務の効率化だ。以前は請求書を出すために、複数のツールに点在している請求データを切り出してOBIC(請求管理ソフト)に集約する必要があった。そのため、同じような転記作業が一件につき3〜4回発生していたが、kintoneでは受注案件アプリのデータをもとに自動で請求書を作るので入力作業は一瞬で完了。3人で1週間かけていた請求作業が2人で4日程度に短縮され、作業効率4倍を達成した。

業務システムの内製化による効果

「POS+」では運用開始後にkintoneのメンテナンスを自社スタッフが行うことを目指していたので、R3によるアプリの土台開発は極限までJavaScriptによるプログラミングを行わず、ノーコードでkintoneカスタマイズができる連携サービスgusuku Customineを用いた開発を行った。その結果、現kintone管理者の星野氏を中心に、アプリ改善や新アプリの作成ができる体制を実現。内製で「情報システム部門への社内問合せアプリ」「捺印申請アプリ」「支払い依頼処理のWチェックアプリ」「在庫管理アプリ」「日程調整アプリ」など、多数のアプリが誕生している。業務システムの内製化に取り組んだことで、高速で進むビジネスに業務を柔軟にフィットさせていける体制になり、全社の業務改善スピードは劇的に向上した。

中でもオンボーディングチーム村山氏の活躍は著しい。同チームは、お客様と連携しながらPOSレジの裏側の設定や、訪問日時の調整を担当している。「本日は設置日が近い案件Aを最優先で行う」という具合に、その日のタスクを洗い出して優先順位をつける必要がある。以前は1日の業務を俯瞰するために、代理店ごとの9個のBacklogプロジェクトにログイン後、タスクをExcelにまとめる作業に毎朝30分もかかっていた。kintoneを導入してからは、自作した「1日のタスク洗出しアプリ」を1クリックするだけで、1日のタスク集計を実現。毎朝のストレスも減った。

また問合せアプリの改善業務でも、村山氏は仙台コールセンターの細かな要望を受けてそれに応えたいという気持ちでkintoneアプリを研究・調整。受電時のスムーズな案件検索や応対記録の書き込みを実現した。

kintoneの管理者であり、社内浸透を担当した星野氏は「私が社内にkintone仲間を増やす時に心がけたのは、最初から全員に手取り足取り説明するのではなく、kintoneを利用して興味を持ってくれた方に踏み込んだ説明をすることです。kintoneは誰でも自分が思い描くものを簡単に作れます。マウスが使えればOK。子供向けのプログラミングツールの感覚に似ていて、左側の条件を右側にドラッグするだけでアプリができていきます。気軽な気持ちでまずは触ってもらうことが導入促進のコツです」と振り返る。

「以前のBacklog管理では、大型チェーン店100店舗の受注が一度に入った場合、1店舗を1案件として、店舗名・住所・納品機材などの情報を100店分を入力していました。kintoneではCSVファイルのアップロードだけでOKです。業務手順が変わった場合の入力項目の変更も「受注案件アプリ」のみの変更で済みます。日々の作業だけでなく、業務システムの管理面も大幅に効率化されました」(小梶氏)

私は思い通りに業務改善ができることが楽しいです。自分で操作をすれば課題を解決でき、それが目に見えて反映されることが大きなモチベーションになっています。kintoneの使い方は実際のアプリの調整や作成を通じて学んでいます」(村山氏)

カスタマーサクセス 導入運用グループ 小梶氏

オンボーディングチーム 村山氏

パートナー伴走で業務を取捨選択 柔軟な内製体制も確立

gusuku Customineを使ったkintoneカスタマイズの際には、不明点などをR3さんにご相談しながら進めることができました。最初は直販の受注だけを管理していましたが、1年後には複数の販売代理店の受注管理も可能になりました。大変高度なアプリがきちんと動いており、それを自分が調整できていることに凄さを感じています。また、日常業務をkintoneで行っている小梶や村山が興味を持ってくれて、kintone開発仲間が増えました。最初は壮大な基幹システムを1人で管理していたのでプレッシャーもありましたが、今では仲間が増えて心強いです」(星野氏)

「現状の業務内容を整理しているうちに、業務パターン数と関係者数が多く、想像以上に高度な開発になることが分かりました。そこで業務のあるべき流れを新しく設計し、それをkintoneアプリにしていくことをR3さんと一緒に行いました。業務の本質的な部分はシステム化し、必要そうに思えても実は不要なものを取捨選択できたのはプロの伴走のおかげです」(鈴木氏)

コーポレート統括 星野氏

カスタマーサクセス 鈴木氏

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統括責任者 泉氏は、インタビューの最後に「kintoneは自分たちのビジネスのスピードに業務をフィットさせていけるものでした。今では業務を効率化しようと思った時にkintoneで行うスタッフが増えているので、今後はもっとやりたいことを提案してくれるようになってほしいですね」と語ってくれた。

(2021年3月 取材)

【この事例の販売パートナー】
アールスリーインスティテュート

TEL:06-6271-3663 / 03-6869-3763
E-mail:info@r3it.com

kintoneを使った多くの業務システムを開発してきました。kintoneの特徴を活かし、長く利用できるシンプルで使いやすいシステムをご提供しております。
本事例のように、ノーコードツール「gusuku Customine」を活用してkintoneアプリの土台開発を行う事で、システムの内製化に繋げる流れは今後も増えてくると考えています。