日清食品グループ 様の導入事例

日清食品グループ

【業務内容】
即席袋めん、スナックめんを主とするインスタント食品の製造および販売 その他食品事業など
【利用用途】
決裁書等の申請承認業務 書類の回覧業務 商品開発のプロセス管理
  • 内製化に適した"手触り感"がkintone導入の決め手に
  • スピーディにペーパーレス化を実現して、生産性向上を加速する

インスタントラーメンを発明した創業者・安藤百福の志を受け継ぎ、さまざまな「食」の可能性を追求し、夢のあるおいしさの創造を目指す日清食品グループでは、業務の生産性向上を図るためのさまざまな施策の一環として、これまで紙に捺印する必要のあった決裁や申請承認業務をkintoneによってシステム化。あわせて工場内の業務報告書などの回覧や開発部門のExcelによる進捗管理もkintoneに集約するなど、デジタルを活用したトランスフォーメーションの取り組みを加速させている。そんな同グループの新たな業務基盤としてkintoneを採用するにいたった経緯について、日清食品ホールディングス株式会社 執行役員 CIO 喜多羅 滋夫氏、情報企画部 次長 成田 敏博氏、および同部 ガバナンスチームリーダー 植松 麻子氏にお話を伺った。

【課題】デジタルによるビジネストランスフォーメーションを推進したい

労働集約型の業務から脱却し、生産性向上に向けた環境づくりが急務に

日清食品グループでは、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」を体現するべく、国内事業の収益力の更なる強化や海外事業の成長加速などを推進している。

そんな同グループでは、業務の生産性向上に資する、デジタルを使ったビジネストランスフォーメーションへの取り組みを積極的に推進している。「次の世代に受け継ぐためには、グループ全体で会社の在り方を継続的に変えていかなければならない。今は、まさに転換期に差し掛かっていると言えます。そのなかで、従来行われてきた労働集約型の業務から脱却し、エキスパートが活躍できる環境を整備しながら、デジタルを活用して生産性を高める施策に取り組んでいます」と現状について語るのは、CIOの喜多羅氏だ。

執行役員 CIO 喜多羅 滋夫 氏

生産性向上に向けて改善すべき、労働集約型業務の典型例として挙げられたのが、数多く残っている紙の業務だった。「紙の決裁書に捺印するハンコ文化が根強く残っており、これを改善することが生産性向上につながると考えたのです」と喜多羅氏は語る。

【選定】内製化を再定義して、直感的に開発できるkintoneを選択

ローコード開発ツール「kintone」、求めた“手触り感”と合致

こうした環境改善のためのツール選定にあたった成田氏は、申請決裁業務のデジタル化を実現している企業にヒアリングしながら、自ら各ツールの研修に参加、自身で作成したサンプルを社内関係者に見てもらうなど、同グループに一番フィットするものを模索したという。

長年にわたってIT業界でキャリアを積んできた成田氏だけに、運用管理の負担が軽減できるクラウドサービスを前提に、他システムとのAPI連携のしやすさ、スマートフォンでの操作性なども選定条件に挙げていた。その中で最もこだわった条件は、現場が負担なく利用できる手触り感だ。利用者としてはもちろん、管理者としてツールに触ったときのレスポンスや直感的な操作性なども考慮しました。ツールを管理する立場として、本当に開発しやすいかどうか、利用する立場として向き合ったときに使いやすいかどうかを重視したのです」と説明する。

情報企画部 次長 成田 敏博 氏

そこで注目したのが、業務システムの基盤となる、ローコード開発ツールのkintoneだった。私が考える情報システム部門最大のバリューは、現場に寄り添って事業成果を出していくこと。お金さえ積めばいつでも社外のリソースが確保できる時代は終わるはずで、きちんと現場部門と対等に語ることができる人材を育てていきながら、自分たちが欲しいものを自分たちでつくれるようにすることが必要だと感じていました。その意味でも、内製化そのものを再定義する必要があったのです」と喜多羅氏は説明する。

だからこそ、現状のメンバーでも内製化していくことが十分可能なkintoneが注目されたのだ。「直感的に操作・開発できるという意味での手触り感は十分でした。もともとクラウドネイティブなkintoneだけに、レスポンス性もしっかりと考慮されており、他システムとのAPI連携の柔軟性など使い勝手の高さも魅力的でした」と成田氏。

サブスクリプション型のSIサービスの活用など、内製化の加速に手を尽くす

ツール選定を行う一方で、その展開の方法についても工夫を重ねている同グループ。デジタル化の取り組みは進んでいたものの、さらに加速させていかないと、その先にあるDXに踏み込みづらい状況だったと当時を振り返る。だからこそ、一定のスピード感をもって内製化できる環境づくりを醸成していくことが必要があると考えたのだ。

そこで、外部のSIerの支援も含めてシステム開発の内製化に弾みをつける方法を検討することに。「kintoneの標準機能を超えた部分を、必要に応じて現状の社内リソースでうまく実装できる方法がないか検討していたところ、ノーコードでkintoneのカスタマイズが可能なgusuku Customineに出会い、これはシステム開発の内製化に役立つと考えたのです」と成田氏。

さらに、内製化を円滑に進めるために、サブスクリプション型のSIサービスであるgusuku Boostoneも活用することに。内製化に向けて自走できる環境へと迅速に移行するための最適なサービスだと考えたという。

紙業務をデジタル化するための基盤としてサイボウズが提供するkintoneを選定し、システム開発の内製化の環境づくりのためにサイボウズのパートナー企業であるアールスリーインスティテュートが提供するgusuku Customineやgusuku Boostoneを採用、デジタル化を加速させるための環境整備が進められることになった。

パートナーのサービスを活用し、内製化を実現

【効果】海外も含めたグループ全体に展開できる生産性向上ツールとしてkintoneを評価

申請承認業務や回覧業務、Excelでのプロセス管理をkintoneにて実装

今年度中には決裁書や稟議書、総務や人事で受け付けている申請書類などの申請承認業務のデジタル化を完了させる計画だ。

紙で行っていた申請承認業務をkintoneでデジタル化

また、システム監査の証跡管理や工場内の業務報告書類の回覧におけるデジタル化も進められている。現在はマスターも含めて70ほどのアプリを作成、運用しており、毎月十数個の単位でアプリの数が増えるなど、現場へ広く浸透しつつあるという。

回覧業務のデジタル化も進んでいる

なお、現在は同グループの中核企業である日清食品を中心に導入を進めており、他の主要グループ企業5社への展開も含め、最終的には2800人ほどが利用する基盤となる予定だ。

申請承認業務のほかにも、開発部門が行ってきたExcelによる商品開発のプロセス管理をkintoneにて統合し、関係者間で情報共有できる環境づくりにも取り組んでいる。当初は現場主導により別のツールを使ったExcelによる商品開発のプロセス管理のシステム化を進めていたが、kintoneを現場に紹介した成田氏。そこで効果的だったのが、kintone上でExcelのような操作感を実現し、高速データ編集と視認性向上を可能にする、グレープシティ株式会社が提供するプラグインのkrewSheetだ。

「kintone導入に向けて徐々に前向きになっていった開発部門ですが、最終的に課題となったのがExcelのような操作性が実現できるかどうか。そこでkrewSheetの存在を知り、すぐさま現場に見せたところ“まさにこれだ”という反応が返ってきたのです。現場が一番気にしていた操作性について、krewSheetであれば抵抗なく新たな環境に移行できそうだという感触を得たのです」と成田氏は評価する。他の部門でも、krewSheetを紹介すると、ここまでできるのかと驚かれることが多く、今後のさらなるkintoneの利活用に向けて強力なツールになると期待を寄せている。

krewSheetを用いてExcelのような操作性をkintone上で実現

業務改善に資する仕組みとしてグループ全体での認知が進む

申請承認業務のデジタル化を各部門とともに進めたことで、今では各部門から現状の業務をkintoneに置き換えられないかといった相談が数多く寄せられるようになっているという。生産性向上を経営層から強く求められていることもあり、現場からはこんなことができないかという逆提案を受けるほど、業務改善に資する仕組みとして認知されつつある。

「新型コロナウイルスの影響から出社が制限され、業務における課題が明確になったことがポジティブに働いているようです。こちらから業務の困りごとがないかどうか各部門に確認すると、すぐに多くの返答が寄せられるほど。まだまだ紙文化が根強い会社ではありますが、これまでは現場からツールの導入要望や相談が持ち掛けられたとしても、情報システム部門としてなかなか対応できなかったのが正直なところです。しかし、今回導入したkintoneによって、やりたかったことがようやく実現できると、現場も主体的に取り組んでくれています」と植松氏は説明する。

情報企画部 ガバナンスチームリーダー 植松 麻子 氏

ただし現場に対しては、情報システム部門がkintoneの開発を全て手がける部門として立ち振る舞わないことが重要だと喜多羅氏は語る。「情報システム部門はあくまでもツールを選定して入り口の橋渡しに徹していくべきだと考えています。日清食品グループが持つカルチャーにどう落としていくのかは課題の1つではありますが、チェンジマネジメントはある程度支援していきつつ、現場と緩く連携しながら、最終的には現場主導で進めていけるような体制を目指しています」と喜多羅氏。

決裁書の処理の時間を短縮、在宅勤務であっても業務の円滑化を促進

kintoneによる紙業務のデジタル化を推し進めたことで、紙そのものの削減や捺印の手間なども含め、業務の生産性向上に大きく貢献しているという。また、在宅勤務が続く現在でも決裁そのものが滞ることがないなど、以前では出社しないと難しかった業務も円滑に遂行できているという。

アプリのコメント機能を用いてコミュニケーションもkintoneで完結

現場にアプリの作り方を指南することが多い植松氏は「今は隣に寄り添って教えることができませんが、kintoneの画面は分かりやすく、リモートでのネットワーク環境でもサクサク快適に動いてくれます。たとえ遠くに離れていても、画面を見せながら不自由なく教えることができるため助かっています」と評価の声を寄せている。

なお、今回はサブスクリプション型のSIサービスや各種プラグインサービスなど、kintoneにまつわる周辺サービスをうまく活用することで、短期間のうちにDX化に向けた下地を整えることに成功した同グループ。ユーザーを中心としたコミュニティ形成や各種イベントの開催など、ユーザー企業も含めてエコシステムにうまく取り込んでいる点についてもkintoneを高く評価している。「さまざまなリソースが非常にオープンな形で提供されており、欲しい情報が手に入りやすい環境が整っています。利用しやすい環境づくりに尽力いただき感謝しています」と成田氏は語る。

データ活用の幅を広げながら、自発的なグローバル展開への期待も

今後については、これまで紙やExcelを使って行ってきた業務をさらにkintoneに乗せていきながら、データ活用の幅を広げていきたいという。「周辺システムとkintoneを柔軟に連携させることで、業務の生産性向上につながる取り組みを今後も加速させていきたい」と成田氏は力説する。

また、紙による運用だったためにデジタル化されていなかった情報をデータ化することで、業務を可視化していくことにも期待を寄せている。「例えば業務のリードタイムや業務の負荷といった、これまで見えていなかったものが把握できるようになれば、そのデータをうまく活用して次に生かしていけるはず」と成田氏。なお、グローバルにビジネスを展開している同グループでは、今回のkintoneによる業務改善の話を聞き、海外法人でもニーズが急速に高まっているという。「海外法人でも紙の業務が数多く残っており、厳格なロックダウンが継続しているなど日本よりもコロナ禍の影響を受けている国も少なくありません。中国や米国などを中心にkintoneを活用してデジタル化を進めたいという話が自発的に出てきている状況です」と今後のグローバル展開についても成田氏は期待を寄せている。(2020年9月取材)

【この事例の開発パートナー】
アールスリーインスティテュート

https://www.gusuku.io/support

【この事例の開発パートナー】
グレープシティ株式会社

https://krew.grapecity.com/contact/