NDIソリューションズ
- 【業務内容】
- IT関連製品販売および当製品をプラット・フォームとするシステム開発と、アプリケーション・パッケージを活用したトータル・ソリューションの提供
- 【利用用途】
- 案件管理や契約書管理
先端技術を活用しながら、顧客への最適なITソリューションを提供しているNDIソリューションズ株式会社では、案件管理や契約書管理など業務における情報管理基盤としてサイボウズのkintoneを採用、電子契約サービスであるクラウドサインと連携しながら、案件と紐づいた契約書の電子化を実現している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で緊急事態宣言が発令した2020年4月以降、わずか2日で社員全員がテレワークへと急遽移行できたその背景について、BPA推進部 部長 西村 美保氏および同部 BPA推進課 課長 玉垣絵里子氏にお話を伺った。
NDIソリューションズ株式会社では、社内のDX化に積極的に取り組みながら、その経験を生かしたソリューションを顧客に展開、コグニティブ・AIやIoT、ロボティクスといった先端技術を活用し、営業部門や生産部門など事業部門に最適な働き方改革を実現するIT活用を中心に各種ソリューションを提供している。またIBMi向けのモダナイゼーションやメインフレームからのマイグレーションなど、創業当時の強みを生かしたシステム部門向けのソリューションも幅広く展開している。
そんな同社におけるDX化推進部門として2019年に発足したのが、BPA推進部(Business Process Automation)だ。自社が提供するAIをはじめとした注力商材を業務で活用して社内ショールーム化を進めながら、ビジネス環境の変化にも迅速に対応できる事業形態に変革するための実行組織として、社内のビジネスプロセス改革を進めている。発足当初に取り組んだのが、社内における情報管理の基盤整備だったと西村氏は当時を振り返る。「これまで社内には共通化された業務基盤が用意されておらず、Excelを中心に各担当者による部分最適化された仕組みで業務が運用されていました。以前から、社長自ら脱Excelを目指すべくツール導入を推進するなど、新たな業務基盤の整備を進めてきた経緯があります」。
その機運がさらに高まったのが、出向していた子会社から玉垣氏が同社へ帰任したことだ。「以前から子育てのためにテレワークを行っており、帰任後もテレワークにて業務を推進することに。しかし、情報管理の基盤が整備されておらず、業務遂行に必要な情報を得るために、社内のメンバーに確認しながら業務を進めざるを得ないなど、不便な状況が続いていたのです」と玉垣氏。そのため、チーム内でのルール作りや共有ボックスの活用などさまざまなアイデアを出してはいたものの、紙でしか保管されていない情報も数多くあり、非効率な状態にあったという。
また、社内においても情報管理に関する課題が顕在化していた。「顕著な例では、基本契約書や注文書、売上のエビデンスとなる検収書といった書類が統合的に管理できておらず、監査のたびに担当者にその所在を確認せざるを得ないなど、情報へアクセスするだけでも多くの時間がかかっていたのです。情報を円滑に共有する基盤が必要だと痛感していました」と西村氏は振り返る。紙でやり取りされている契約書も多く、ペーパーレス化の推進も大きな課題となっていたのだ。
これまで十分に整備できていなかった情報管理基盤を整備するにあたって検討したのが、グループ会社間の情報共有のために導入されていたkintoneだった。「導入当時は情報システム部門が主体となってアプリを作成、数年前から一部の業務で活用していていたのです」と西村氏。新たに情報共有の仕組みを模索するなかで、ちょうどkintoneの管理を行っていた社員の退職をきっかけに、メンテナンスのために触ってみた西村氏。「実際に触れてみたところ、ITに詳しくない私でも十分運用できそうだと直感したのです」。
そこで、新たな業務基盤としての可能性を感じ、BPA推進部のメンバー全員をkintoneのハンズオンセミナーに参加させることに。そこで、テレワークで情報共有に課題を持っていた玉垣氏がkintoneの存在を知ることになったという。「Excelのマクロすら組めない私であっても、簡単にアプリが作成できることに驚きました。セミナーに参加している段階から“あの業務に使えるのでは”というアイデアが次々とわいてきたのです」と玉垣氏は説明する。セミナー終了後すぐに西村氏に相談の上、まずは容易に着手できる物販関連のアプリを玉垣氏自ら1週間ほどで作成、西村氏からのアドバイスを経て、まずはチームにて活用することになったのだ。
▼玉垣氏がはじめてつくったkintoneアプリ「物販管理アプリ」
実は、同時期にMicrosoft 365の導入を進めていたが、案件を軸に情報共有するような環境には向いてないことが分かったという。「kintoneであればレコード単位で案件管理が可能であり、我々が目指した情報共有の仕組みに最適だと考えたのです」と西村氏。
契約書の管理における課題についても、ペーパーレス化を目指すなかで契約書の電子化を推進すべく、安価な利用料で電子契約の仕組みが実現できる電子契約サービス「クラウドサイン」を選択。「先行して契約書の電子化に向けてサービスを導入しましたが、契約した後にkintoneとの連携が可能なことを知りました。kintoneを活用すれば案件管理だけでなく、案件と紐づけて契約書の管理も実現できるため、双方を連携させることで我々の課題が解決できる仕組みが用意できることに気づいたのです」と西村氏は語る。もともと単体のソリューションで全ての課題が解決できないことを経験から理解していた西村氏だけに、外部サービスと柔軟に連携できるkintoneを高く評価したのだ。
結果として、同社が思い描いた情報共有や契約書管理の業務基盤として、サイボウズのkintoneが採用されることになった。
契約書管理では、顧客情報を含めた契約書作成に必要なマスター情報をkintoneに登録し、契約書作成ボタンを押すことで帳票出力プラグインのRepotoneU ProにてPDFによる契約書を生成。その後、顧客への送付や社内での承認ワークフロー、契約締結後の受領などをクラウドサインが担当している。各種書類はクラウドサイン上で保管されているだけでなく、案件ごとにkintone上でも閲覧、管理できるようになっている。またkintoneのリマインダー機能を活用して1か月前に契約更新タイミングが通知される流れだ。
「契約書自体は、通常時には毎月20ほど、四半期のタイミングで50ほどが更新も含めてやり取りされています。一元管理という観点から、kintoneとクラウドサインの連携は欠かせません」と西村氏。情報共有に強みを持つkintoneと電子契約に長けたクラウドサイン、双方の仕組みを連携させることで、同社にとって“最強”の仕組みを作り上げることができたと西村氏は満足げだ。案件ごとに行う保守契約の継続手続きについては、「以前は1件あたり30分ほどの時間を要していましたが、今では30秒ほどしかかかりません。業務の効率化に大きく貢献しています」と玉垣氏は語る。
▼kintoneとクラウドサイン連携のアプリ画面。ペーパーレス&シームレスに契約書PDFを発行。メールで通知。
▼kintoneとクラウドサイン連携の設定画面。クリック操作で設定が可能。
当初は同社に常駐しているエンジニアの契約書からスタートし、今では顧客との間に交わされる基本契約から案件ごと個別契約、覚書、秘密保持契約など、顧客との同意が必要な書類は全てクラウドサインを利用してやり取りされている。
クラウドサインとの連携については、負担なくシンプルに行うことができ、新たな書類のやり取りも数クリックで完結できるほど容易な連携が可能だ。「クラウドサインとの連携実績も増えてきており、ツール同士の連携も強化されています。ITに詳しくない私でも負担なく連携できるようになっています」と西村氏。慣れもあり、新たな書類のやり取りも簡単に増やすことができるようになったと玉垣氏は力説する。
今回kintoneによって業務基盤を整備したことで、情報の所在が明確に把握できるようになり、業務の効率化に大きく貢献しているという。「案件に必要な書類をすぐに見つけることができるため、社内のメンバーへの問い合わせも不要です。自宅から業務が円滑に遂行できるようになりました」と玉垣氏は高く評価する。今ではkintoneのコメント機能を利用して案件ごとのコミュニケーションも統合され、過去の履歴も一元管理できるなど、他部門にまたがったコミュニケーション基盤としてもkintoneを重宝している状況だ。
▼kintoneアプリのコメント欄も情報の一元管理と効率化に欠かせない機能として活躍
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で緊急事態宣言が発令した2020年4月以降、社員全員がテレワークへと急遽移行した同社だが、もともとコミュニケーションの手段や発注業務がkintoneにて実現できていたことで、業務を止めることなく事業継続が可能になっている点も見逃せない。「準備期間はわずか2日程度でしたが、混乱なくテレワークに移行できたのも大きな効果の1つ」と西村氏。
kintoneについては、「他社製品との連携やディベロッパーが提供している各種アプリを柔軟に活用できるなど、懐の広さが大きな魅力です。蓄積されたデータのインポートエクスポートも容易なため、RPAなどを駆使せずとも業務の効率化が推進できています」と評価する。
今後については、現在人事総務部の方で保管されている、過去取り交わした紙での契約書を全てPDF化し、さらなるペーパーレス化に取り組んでいき、同時に新規の契約に関してはクラウドサインを利用して電子契約を推し進めていきたい考えだ。
さらに、ストックビジネスに関連した情報の管理もkintone上で行っていきたいという。「基幹システム内にある保守契約などの情報は全てkintone上で管理できていますが、最近はサブスクリプションのサービスが増えています。これらストックビジネスに関連した情報もkintone上で管理し、受注から請求書の送付まで自動化できる仕組みを整備していきたい」と西村氏は期待を寄せている。(2020年5月取材)
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