ディップ
- 【業務内容】
- インターネット専業の求人情報サービス、看護師専門の人材紹介サービス、新素材LIMEX製品の販売代理ほか
- 【利用用途】
- 契約管理
ディップ株式会社(以下:ディップ)は、日本最大級のアルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」や総合求人情報サイト「はたらこねっと」などを展開している。
ディップが運営する求人情報サイトは、求人広告のお申込みから掲載までの速さを強みとしている。最短で、契約締結当日に掲載を開始することが出来る。
また、昨年6月より新規事業として、石灰石を主原料とする新素材LIMEX(ライメックス)の販売事業を開始。紙やプラスチックの代替となり、地球環境に配慮していることから世界中から大きな注目を集めており、社会貢献性の高い領域にも取り組んでいる。
事業は順調に拡大しており、2014年2月期(東証マザーズから東証一部に市場変更)と比較し、2018年2月期の売上は2.9倍の380億円まで成長した。
しかし、事業成長とともに、契約書の処理における業務負荷も増大していった。その影響により本来の業務に集中できず、業務効率の低下に繋がった。
契約処理の工数削減が必要と判断し、電子契約導入の検討を開始。いくつかのサービスを検討したうえでkintoneの導入を決めた。
結果、クライアント(広告主)や営業の契約手続きに関する工数や書類保管のコストを激減させることに成功した。
今回のシステム導入で解決したい課題は主に3つあった。
kintone導入前、クライアントが「バイトル」などサイトに求人情報を掲載するには、FAXまたはメールで送られた契約書を紙で出力し、押印またはサインして、FAX等でディップに提出する必要があった。本来人手不足により求人情報を掲載する。その為、クライアントの多くが昼間は本業に追われている。特に飲食店のオーナーだと、事務所のパソコンを開き、メールに添付された契約書を紙に出力、サイン、FAX返送する時間がなかなか持てないのが実情だ。今すぐ人手がほしいオーナーとしては、この手間を減らし本来の業務にできるだけ専念する必要があった。
一方、営業担当は契約書未回収のクライアントにメールまたは電話で催促する書類回収作業に時間が割かれており、本来の営業活動に支障をきたしていた。例えばディップ営業の櫻沢美樹氏は、月の契約処理は30社ほどあり、「特にピークとなる月末は、外周りを終えた夕方以降、毎日2時間ほど契約書の回収に割いていました」と話す。
契約書が届いた後は、スタッフ部門が目視で契約内容に間違いがないかの確認も必要だった。1件の契約書あたりの作業は平均4分。2018年時点でディップ全体の契約件数は月間約1万4000件。契約件数増加の勢いからすると、手間がますます増加するのは明らかだった。
ディップ業務管理部長の佐藤馨氏は「クライアントや営業の手間を減らすために、電子契約化を通して簡易かつ確実な処理フローにする必要がある」と考えた。
契約処理の全工程を電子化するとなると、基幹システムの改修や、基幹と連携できるシステムが必要になる。ディップはいくつかのベンダーやSIerに相談を持ちかけたが、提示されたシステムは何処もセキュリティは高くとも、システムの柔軟性とディップにとって一番重要としているスピード感の要件が欠けており、更に見積もりはどこも莫大な金額だった。
佐藤氏は「効果が見えない中で、基幹システムに変更を加えるような大掛かりな仕組みにはしたくなかった」と振り返る。
そのような状況のなかで、kintoneを選定する理由となったのは必要な機能がスピーディーに揃えられ、短期間かつ低コストでシステムを構築できることだったという。
プロジェクトを率いたのはディップで営業を経験し、育児休業を経て業務管理部に所属する加藤亜美氏。開発部分の仕様調整も含めて、業務管理部が中心にアジャイル開発でプロジェクトが進められた。
「パッケージ製品だと既存の機能ありきでソリューションが提案されますが、kintoneだと私達のやりたいことに合わせて柔軟かつ素早くシステムを構築できるというのは魅力的でした。サイボウズの営業担当の方も、私達の課題をしっかりとヒアリングして課題解決を前提に導いてくださり、非常に好感が持てました」(加藤氏)
▼システム構成図
※Easy電子契約とはコントラクトマネジメント株式会社が提供するkintone連携ソリューションです。
今回のシステム構築では既存の販売管理の基幹システムとの連携も必要だったが、出力したデータをkintoneへ連携するだけの改修に抑えたため、セキュリティポリシーの見直しもなく、「大掛かりな仕組みにしたくない」というニーズに対応できた。
「営業時代の人脈を活用し、現場と相談しながら本当に営業にとって役立つシステム開発を目指しました。業務を円滑に進めるために、フォームのデザインにも気を配りました」(加藤氏)
今回開発したシステムでは、これまで紙で処理していた部分をkintoneとEasy電子契約(※)に置き換え、紙の処理を大幅に減少させた。
クライアントが契約する際には、まずディップからクライアントに契約書へのリンクを含むメールが送信される。クライアントは内容を確認したらサインの代わりにメールアドレスを入力し、「承認」ボタンをタップすれば契約手続きが完了し、サイン入りの契約書がクライアントへ送付される。
▼クライアントはメールに記載されたリンク先から、申込み内容を確認できる
▼確認後、問題がなければ「承認」
▼変更や不備があればその旨をフォームに記載
送付後は担当営業や関係者に通知が送られる。ディップ側はクライアントからの契約書を受理したら、クライアントに確認書類をPDFでメール送信する。
なおkintoneでは契約書の回収状況の管理ほか、フロー別のメールテンプレートの管理も行っており、営業の要望に合わせて適時メール文面を業務管理部の担当者が自由に変えられるよう工夫されている。
▼メールテンプレートを使って作成される文面
kintone導入後は商談の場で契約の手続きを完了させることが可能となったため、クライアントの手間が大きく減った。契約手続きのシンプルさとスピード感はクライアントから大変好評で、ディップを選ぶ理由につながっている。
また、契約の電子化は、お客様に与えるブランドイメージの向上にもつながった。あるクライアントは「これまでは“オンライン情報申込書”とあるのに紙だったけど、これで申込書もオンラインになりましたね」と歓迎したという。
契約書の催促や待機で残業する営業担当がぐんと減り、契約書の回収がスピーディかつ円滑に行えるようになった。
「お客様の作業が簡略化できたことで、受注率が高まり、契約の回転数も上がりました。契約書にかかる処理時間を削減できた分、バイトルの特徴であるPR動画の作成に力を入れるなど課題解決型の提案や新規顧客開拓などに時間を投資することができています」(櫻沢氏)
契約書の送付工数ほか、入力ミスや修正依頼等があればkintoneから担当営業へアラートが上がる仕組みを採用することで、約15,000時間をかけていた契約書の送付作業の削減と同時に、紙の契約書の大幅減少によりトラブルの防止も実現できた。
「一貫した電子契約化を達成できたことでビジネスの成長に仕組みが追いつきました。何よりもこれでようやく営業を楽にできます。私はシステム構築プロジェクトの旗振り役は初めてでしたが、およそ2ヶ月という短期間でサービス利用を開始でき、現在安定稼働しているので安心しています」(加藤氏)
今回開発したシステムはLIMEX販売事業でも展開されている。kintoneを基幹システムとし、その後の流れとしては電子的に契約を完結させるという業務の流れは同じなので、後はフォームの項目を調整すればいいからだ。
なおLIMEX販売事業では、kintoneがCRMでも活用されている。構築したシステムをパッケージ化して新規事業に素早く展開できるだけではなく、要件に合わせて多様な役割を持てるのもkintoneの強みだ。
「kintoneのような柔軟性の高いシステムは、必要なITインフラが不確定かつ流動的になる新規事業にとてもぴったりです。事業展開で常に変化を起こしているディップのシステム開発基盤ともマッチしています。今後もkintoneには期待しています」(佐藤氏)
業務効率化と印紙税等のコスト削減を目的とした、電子契約支援サービスを提供しております。
紙文書の作成、配送、保管、管理、活用といったあらゆる業務シーンにおいて、電子化による業務改善を推進支援いたします。
▼主なご提供アプリ
Easy電子契約/契約書作成アプリ/スキャナ保存アプリ/電子投票アプリ/SMS送受信アプリ
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商用での利用は許可しておりません。