通販の注文書、手入力はもう限界──kintone×AIで「紙の注文」をデータ化する最初の一手

通販の注文書、手入力はもう限界──kintone×AIで「紙の注文」をデータ化する最初の一手

カタログを見たお客様から届く注文はがき。FAXで送られてくる取引先からの注文書。封書で返送される定期購入の申込用紙。通販の受注は、今も紙で届くものが少なくありません。
届いた注文書を1枚ずつ手に取り、氏名・住所・電話番号・商品コード・数量・支払方法を目で追いながら入力していく。1枚に10分前後かかる作業を、来た分繰り返す。キャンペーンやセールの締め日が重なれば、その日のうちには終わりません。しかも読み間違いが1文字あれば誤発送や配送遅延に直結し、その問い合わせ対応にまた時間を取られる──こんな状況に心当たりはありませんか。
この記事では、kintone × AI で「紙の注文書」をどうデータ化するのか、どこから始めると良いかをご紹介します。

結論:紙の注文書をデータ化できれば、その先の受注処理はまとめてラクになる

通販の注文処理でつまずくのは、「注文が紙のまま入ってくる」からです。入口が紙である限り、その先の受注入力・内容確認・出荷指示は、すべて人が読んで打ち込むところから始まります。逆にいえば、紙の注文書をkintoneに取り込み、データ化する。この一点さえ押さえれば、後工程はラクになります。
AI-OCRを使えば、手書きの注文はがきでもAIが読み取り、担当者は結果を目でチェックして、気になる点を補正するだけで済みます。実際に、1枚数十項目の注文書をすべて転記していた作業が、補正作業のみに短縮された例もあります。
そしてkintoneにデータとして入ってしまえば、商品別・キャンペーン別の傾向を探したり、まとめたりすることもできるようになります。ポイントは、「データ化」と「データ活用」の2つです。

よくある課題:注文書が紙で届くたび、読み取り・入力・確認に人手がかかる

まずは、紙で注文を受け付けている通販の現場で共通する「あるある」な課題を見てみましょう。

全件・全項目の転記が繰り返される

注文書が届くたびに、氏名・住所・電話番号・商品コード・数量・支払方法等、多くの項目の転記を、届いた枚数分だけ繰り返します。単純作業でありながら1文字も間違えられないため、手も気も抜けません。

紙の紛失や転記ミスが、未発送・誤発送につながる

紙を介した作業には、ミスと紛失のリスクがついて回ります。注文書そのものが他の書類に紛れて未発送になったり、1文字の転記ミスが誤発送につながったり。いずれもお詫びと再送の手配、問い合わせ対応にまで発展し、本来の注文処理に割ける時間をさらに削っていきます。

集中を切らせない、場所も選べない、進捗も見えない

作業そのものの負担も見過ごせません。誤入力しないよう集中を持続させ続ける必要があり、精神的な負荷が高い作業です。加えて、現物の紙を見ながらの作業になるため、担当者は出社しなければ入力できません。
誰がどこまで入力したかも共有しづらいため、応援を出す判断が遅れ、結果として特定の人に業務が偏っていきます。

繁忙期には、入力作業の遅れが全体を圧迫する

キャンペーンや頒布会の締めで注文が集中すると、この問題が一気に表面化します。入力が追いつかず出荷指示が後ろ倒しになり、配送遅延が発生する。すると問い合わせが増え、その対応に人手を取られ、注文処理に割ける時間がさらに減っていく──遅れが遅れを呼ぶ状態です。

しかし、長く紙で受け付けてきたお客様への配慮や現場のやり方を変えることへの不安、初期コストの判断などから、なかなかデジタル化に踏み切れないのが実情です。

具体例で見る kintone × AI の実現方法

ここからは、通販の注文書がどう入ってきて、どうデータになるのかを順を追って見ていきます。まず前半で「データ化」を、続いて後半で「データ活用」を紹介します。

データ化:注文書をkintoneに集め、AI-OCRで読み取る

株式会社バーズ情報科学研究所が提供する「mojula for kintone」を活用することで、読み取りの指示から補正・追記、kintoneアプリへの登録までを、kintoneの画面上だけで完結させられます。

STEP1:注文書をkintoneに取り込む

郵送や手渡しで届いた注文はがき・注文用紙は、スキャナや複合機でPDF化してレコードに添付します。FAXで届く注文書は、「FAX+kintone」と組み合わせることで、受信した時点でイメージファイルとしてkintoneのレコードに自動登録されます。届いた紙をスキャンし直す手間がかかりません。

STEP2:AI-OCRで読み取る

取り込んだら、一覧の「AI OCR」欄にある実行ボタンを押すだけです。複数枚をまとめて処理したい場合は「AI OCR 一括実行」も使えます。担当者の操作はこれだけで、読み取り自体はAIが自動で進めます。
kintoneアプリのレコード一覧。「AI OCR」欄の実行ボタンで読み取りが始まる。

kintoneアプリのレコード一覧。添付した注文書に対して「AI OCR」欄の実行ボタンを押すと、読み取りが始まる。

事前に帳票のテンプレートを登録し、「どの位置のどの項目を読み取るか」を定義しておくことで、帳票の傾きや歪みが自動補正され、読み取るエリアが固定されるため、安定して読み取れます。

STEP3:読み取り結果を確認・補正する

読み取りが完了したら、kintone上で補正作業を行うことができます。補正画面では、左に元の注文書の画像、右に読み取った項目が並びます。見比べながら次々と目視でチェックし、ミスがあればその場で直せます。
mojula for kintone の補正画面。左に元の注文書、右に読み取り結果が並ぶ。

mojula for kintone の補正画面。左に元の注文書、右に読み取り結果が同じ並びで配置される。カーソルを合わせた項目(数量99)が、左の注文書イメージ上でもハイライトされる。

商品コードと数量が並ぶ明細表のエリアも、元の注文書と同じ並びの明細表として表示されます。編集中の項目は左の注文書イメージ上でもハイライトされるため、「いま注文書のどこを直しているのか」を見失わず、明細行が多い注文書でも直感的に編集できます。
なお、編集中のデータには排他制御がかかるため、繁忙期に複数のオペレーターで手分けして登録する場合も安心です。

STEP4:kintoneアプリに登録する

補正が済んだら、あらかじめ設定しておいた登録先のkintoneアプリに、注文データとしてレコードが追加されます。
補正が完了したレコードの「アプリ連携」欄にある連携ボタン。

補正が完了したレコードの「アプリ連携」欄にある連携ボタンを押すと、登録先アプリへ書き出される。

連携先の注文書アプリ。注文データがテキストとして1レコードに登録されている。

連携先の注文書アプリ。注文日・住所・電話番号・担当者・明細(品名・数量・単価・金額)などが、テキストデータとして1レコードに登録されている。

これまで、届いた注文書を1枚ずつ見ながら全項目を転記していた作業が、補正画面で読み取り結果を確認し、気になる箇所だけを直すだけの作業に変わります。

データ活用:レコード一覧分析AIでキャンペーンの成果を振り返る

注文書を画像のまま添付しただけでは検索も集計もできませんが、中身がテキストデータになっていれば、kintone AI で活用できます。
レコード一覧分析AI」を使うと、一覧に表示されているレコードをもとに、要約や傾向分析ができます。たとえば「セール期間の注文と、それ以外の期間を比べて傾向を教えて」と指示すれば、期間ごとの注文件数・売上金額・平均注文金額が整理され、あわせて「どのカテゴリの注文が伸びたか」「定期便と都度購入のどちらが増えたか」といった傾向までまとめられます。
注文書アプリの一覧画面。右側のAIパネルにセール期間との比較がまとめられている。

注文書アプリの一覧画面。右側のAIパネルに、セール期間と期間外の注文件数・金額の比較、カテゴリ別の内訳、そこから読み取れるポイントがまとめられている。

入力に追われるだけだったキャンペーンが、終わったあとに振り返りまででき、一件ずつ集計しなくても、たまった注文データから次の企画のヒントが得られます。
※ kintone AIを利用するための条件はこちらをご確認ください。なお、利用にはシステム管理者による有効化が必要です。

まずはここから

「どの注文書を、何のためにデータ化するか」を先に決める

システムの検討に入る前に、まず業務フローそのものを見直すことが重要です。今のやり方をそのまま自動化するのではなく、そもそもこの作業は何のためにあるのかを問い直すところからです。
そのうえで、着手前に整理しておきたいのは次の点です。
  • どの注文書から始めるか:まずは枚数が多く、様式が固定されている1種類に絞る
  • 注文書がどう流れているか:誰が受け取り、どう集めて、誰がPDF化してkintoneに取り込むのか
  • 何を読み取るか:氏名・フリガナ・住所・電話番号・商品コード・数量・支払方法・お届け希望日など、必要な項目を洗い出す
  • 注文書の様式を見直せるか:記入ガイドの点線やマークシート欄など、読み取りにくい要素がないか確認する
逆に避けたいのは、「とりあえず全項目をデータ化して、それから考える」という進め方です。目的が定まらないまま手を広げると運用が複雑になり、かえって続きません。規模の目安としては、20項目程度の注文書で月間250枚以上あれば費用対効果が見込めます。これを下回る場合は、まず注文書の様式や業務フローの整理から着手することをおすすめします。

よくある質問

Q1. 複合機のOCR機能や一般的なOCRツールと、AI-OCRは何が違うのですか?

読み取りの得意分野が異なります。AI-OCRは、手書き文字、傾いたスキャン、印影が重なった文字、FAXで受信した画像といった条件でも高い精度で読み取れる点が大きな違いです。加えてmojula for kintone を使えば、kintoneからボタンを押すだけで、AI-OCRの前処理・後処理を意識することなく読み取りから補正、kintoneアプリへの出力までをコントロールできます。「スキャンはできたが、そこからkintoneに入れる作業でつまずく」ということもありません。

Q2. 手書きの注文はがきでも読み取れますか? 精度はどの程度ですか?

読み取れます。通販の注文はがきは定型フォーマットのケースが多いため、手書きでも問題なく認識できます。mojula for kintoneで使用しているAI-OCR「DX Suite」は、読取精度99.6%で手書きと活字で大きな差はありません
万一の誤認識も、補正画面で元の画像を見ながらその場で直せます。

Q3. 氏名・住所・電話番号などの個人情報を扱いますが、セキュリティは大丈夫ですか?

mojula for kintone では、注文書の画像や読み取りデータの保存基盤として Microsoft Azure を採用しています。データは保存時・通信時の双方で暗号化され、不正アクセスを防ぐ各種対策が講じられています。アクセス権限の制御や監査ログの仕組みもあり、誰がどのデータにアクセスしたかを適切に管理できます。
なお、AI-OCRエンジンとしてAI inside 社の DX Suite を利用しており、DX Suiteはお客様による個別契約となるため、そのセキュリティ対策はDX Suiteにおけるセキュリティ対策の概要をご確認ください。

Q4. 導入にはどのくらいの費用・期間がかかりますか?

費用は、mojula for kintone と AI-OCR「DX Suite」の合算です(DX Suiteの契約が別途必要です)。読み取る注文書の枚数と項目数によって変動します。
  • 初期費用:60,000円〜(DX Suiteのプランと帳票の複雑さによる)
  • 月額費用:100,000円〜
    • mojula for kintone 基本料:40,000円(固定)
    • DX Suite 基本料:40,000円〜200,000円(プランによる)
    • DX Suite 仕分オプション:20,000円(mojula for kintone 利用時は必須)
    • DX Suite 従量料金:0.1円〜3.0円/項目(プランにより無料枠あり)
FAX受信と連携する場合は、別途 FAX+kintone の契約が必要です(料金体系はこちら)。導入期間は、注文から運用開始まで20〜35営業日程度が目安です(対象帳票の種類数や準備状況により変動)。

監修パートナー

佐藤 潤

株式会社バーズ情報科学研究所

営業部 kintoneサービス担当 佐藤 潤

FAX・OCRのBPOやSI事業で培った実績を背景に、kintoneビジネス12年、AI-OCR連携5年。企画から営業・サポートまで一貫して担い、現場課題の発見と解決を支援しています。

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※本記事の内容は、2026年8月時点の情報です。最新情報は各製品サイトをご確認ください。