焼津市役所 様の導入事例

焼津市役所

【業務内容】
自治体業務(ふるさと納税)
【利用用途】
お礼品データ管理、進捗管理、傾向分析、掲載コンテンツ管理
  • 1800を超える品数と複数サイト管理の基盤をkintoneで構築
  • ふるさと納税でお礼品数日本一を誇る焼津市役所

ふるさと納税での寄附制度を活用する自治体の中でも、国内最大の品ぞろえを誇る静岡県焼津市では、お礼品を提供する参加企業からの申請業務やお礼品の管理、外部にてサービスを提供しているふるさと納税サイトへ登録する際のデータ生成、寄附に関する状況分析などの基盤としてkintoneを採用している。
その経緯について、水産部 ふるさと納税課 ふるさと納税担当 主査 太田大介氏および以前同課にてふるさと納税業務を担当していた、こども未来部 保育・幼稚園課 保育・幼稚園担当 服部 真司氏、そして、kintone導入の支援を行った株式会社サンロフト モバイル・セキュリティ事業部 課長代理 藁科 佳晃氏にお話を伺った。

【課題】ふるさと納税業務を効率的に行うための仕組みを模索

専門部署を設置するなど積極的にふるさと納税の仕組みを活用

遠洋漁業の基地として主にカツオ・マグロが水揚げされる焼津港と近海・沿岸のアジ・サバなどが水揚げされる小川港の2つを総称した焼津漁港は、全国に13港ある「特定第三種漁港」のひとつに指定されるなど全国有数の水揚げを誇っており、多くの観光客が焼津の地を訪れている。

そんな焼津市では、交流推進部の新設や少子化対策に向けた待機児童対策、移住・定住支援などに取り組んでいる。その貴重な財源の1つとして期待されているのが、ふるさと納税による寄附だ。焼津市では、自治体へ寄附を行うこの制度を積極的に取り入れており、現在はお礼品の数は1800を超えるまでに規模が膨らむなど、全国の自治体のなかでも取り扱うお礼品の数が圧倒的に多い。水産部内にふるさと納税専門となる「ふるさと納税課」を設置するなど、ふるさと納税への環境づくりを積極的に行っている自治体の1つと言える。

申請業務や外部サイト登録など、業務の中心だったExcelが限界に

 焼津市では、寄附いただいた方に対するお礼品を数多く用意しているが、参加企業が市役所に申請を行い、承認されたものが正式な焼津市のお礼品として登録されるフローを採用している。この申請については、以前は紙による申請用紙をベースに行われており、市役所ではその情報をMicrosoft Excel(以下、Excel)に転記して管理してきた。

「当初はExcelでもなんとか管理できていたのですが、500品目を超えたあたりからExcelでの処理に限界を感じてきたのです」と服部氏は当時を振り返る。1つのExcelシートで管理するため複数人で同時に作業ができず、件数増加でファイル自体が重くなり、入力作業自体に多くの時間がかかるようになっていったという。

「地元の水産加工品をアピールするためにも、さらにお礼品登録数を増やしていくことが方針として決まっていました。このままExcelの運用を続けていくことは難しいと考えていたのです」とExcelからの脱却を目指すことになった経緯を服部氏は語る。

寄附者の情報や寄附金額、発送状況といった情報は、ふるさと納税に特化したシステムにて管理してきた。一方で、お礼品の情報は手書きの情報をExcelに転記した後、CSVやTSVなどふるさと納税サイトが指定するフォーマットに個別に変換した上で、全国の方から寄附を受け付ける外部のふるさと納税サイトに登録する必要があった。

「寄附を受け付ける専用サイトが増えれば増えるほど、フォーマットに変換するだけで多くの時間がかかります。Excelの情報をコピペしてサイト登録していた時は、80品目を登録するだけで2週間程度かかってしまったこともありました」と服部氏。お礼品情報の管理と複数のふるさと納税サイトへ効率的に登録できる仕組みとして、Excelに代わる新たな管理基盤が求められていたのだ。

こども未来部 保育・幼稚園課 保育・幼稚園担当 服部 真司氏

【導入】複数人で作業できるクラウドサービスへの移行という大きな決断

複数人で作業を平準化できることや、PCへの負荷を鑑みてクラウドを選択

 そこで新たな仕組みを検討し始めたが、当初はMicrosoft Accessも候補に入れていた。しかし、十分なスペックが備わっていない庁内PCへの負荷を考えた結果、ソフトウェアの導入よりもクラウドサービスを利用する方針を打ち出したのだ。

「作業を平準化する意味でも複数人で使うことを考え、クラウドサービスが適しているのではないかと考えました。実は、外部に委託する自治体が多くありますが、それでは寄附の一部が委託費用に充てられてしまう可能性も。全ての寄附を重点施策に役立つ目的に活用できるよう、できる限り自前でやるべきだという市の方針が示されていたのです」と太田氏は説明する。ただし、外部のWebサイトへの登録作業は非常に複雑なため、自分たちでも負担なく登録作業できるような仕組みが求められていた。

水産部 ふるさと納税課 ふるさと納税担当 主査 太田大介氏

サンプルでイメージが具体化し、実際の業務改善につながると確信

そこで以前から取引のあった藁科氏に相談したところ、サイボウズが提供するkintoneが紹介されたという。「当初から共同編集するような作業であれば、データベース的な使い方ができるものがいいと考えていました。そこでkitnoneを提案し、翌週にはサンプルのアプリを作ってお見せしたのです」と藁科氏は提案理由を語る。

kintoneのサンプルデモを見て「実際の動きをみると、これなら使いやすいものが作れるイメージがわいたのです」と服部氏。お礼品の情報が項目ごとにデータ化できれば、登録するサイトごとに必要な情報だけを抽出できますし、不要なものであればフィルタをかけるだけ。「kintoneのようなデータベースであれば、登録するサイトが増えても柔軟に対応できると考えたのです」と服部氏。

【効果】作業時間を2週間→1日に大幅削減、人気のお礼品の傾向分析も可能に

kintoneによってお礼品の申請から登録までのフローを整備

 現在は、お礼品の情報を管理している「お礼品データベース」と呼ばれるアプリを作成し、参加企業からの申請に基づいてお礼品の情報が管理され、その情報をもとにふるさと納税サイト登録に必要なフォーマットにてデータ出力が行える環境を整備している。

「お礼品データベースアプリ」詳細画面

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 情報登録については、完全に自動取り組みまでは実現していないものの、Excelであれば記載された申請情報が素早くkintoneに取り込めるなど、登録方法の工夫が施されている。また、kintone上で管理されたお礼品をふるさと納税サイトに登録する場合は、ボタン1つで必要な情報が各サイトのフォーマットに沿ってデータ出力できるようになっている。

「現状は5つのWebサイトを利用して寄附を募っていますが、サイトごとに求められる様式が異なっており、それをボタン1つで出し分け可能になっています。Excelとは比べ物にならないほど使い勝手がいい」と服部氏は評価する。

ボタン一つで様式ごとにファイルを出力

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kintoneにて傾向分析を実施、情報活用の基盤としても期待

 他にも、ふるさと納税システムから抽出した注文状況などのデータをkintoneに取り込み、お礼品の傾向などが分析できるアプリも作成している。

「専用システム側にも分析機能はありますが、我々の視点で自由に分析するのはkintoneでないとできません。寄附の金額やどんなお礼品が人気なのかといった詳細な分析が、年度や地域別に細かく見ることで、お礼品の品ぞろえやキャンペーン立案のための基礎情報としても活用できるようになりました。ボタン1つでグラフが簡単に作成でき、上長も含めた周囲に情報共有しやすい」と太田氏は評価する。

「お礼品発注データアプリ」一覧画面

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グラフ化した発注データ

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従来であれば分析などは外部にお願いするケースが多いが、自前で分析可能なのは使いやすいkitnoneのおかげだと語る。今では50万件ほどの申し込みデータを持っており、ふるさと納税だけでなく焼津市の観光戦略の立案における参考資料になるなど、焼津市の発展に寄与する用途に範囲を広げていけるはずと太田氏は期待を寄せている。

2週間かかっていた登録もわずか1日で完了、大幅な効率化を達成

 kintoneを導入したことで、複数の担当者が同時に作業できるようになり、効率的に業務を行えるようになったと服部氏は評価する。「アプリの作りやすさはもちろん、作業工数の軽減につながっています。以前80品目の登録に2週間ほどかけていましたが、参加企業への内容確認がスムーズにいけば、1日あれば終えることができます」

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また、ふるさと納税自体の制度変更にも柔軟に対応できる点を高く評価している。「データベースとして情報管理が徹底できたことで、発展性のある基盤として活用していけるのは大きい。今後業務自体を外部に委託する際にも、柔軟に対応できるのがkintoneの魅力」と太田氏は力説する。実際には全国の自治体から視察の依頼が多数寄せられており、ふるさと納税に関する効果的な運用が注目されている状況にあるという。

 なお、今回導入支援を行ったサンロフトについては「検討当初から相談に乗っていただき、我々の目指す環境を整備していただくことができました。本当に感謝しています」と服部氏は評価する。同社はふるさと納税課を含めた焼津市役所のシステム面等を支援する機会が多く、太田氏からの評価も高い。

kintoneのさらなる活用で業務効率化を推進

 今後については、継続的にお礼品の登録数を増やしていく予定となっており、登録先となるふるさと納税サイトもさらに増やしていくことになるという。「プラグインなども利用しながら、さらに効率化につながる仕組みにしていきたい」と太田氏は期待を寄せる。

現在は紙やWord、Excelを用いて参加企業からの申請を受け付けているが、フォーム画面から直接kintoneにデータ投入できる仕組みなども検討したいと意欲的だ。「参加企業には価格帯別に品目数の制限を設けていますが、申請時にそのチェックもkintone上で行うことができれば、申請承認フローの簡素化にもつながるはず」

また、ふるさと納税専用のパッケージとも連携させていきながら、さらなる業務効率化につなげていきたいという。他にも、電話受付などの履歴をExcelにて管理しているなど、周辺業務に改善の余地はまだ残されていると太田氏。「縦割りが基本の自治体も、今は横のつながりが求められる時代です。まだ課題は残されていますが、kintoneというクラウドサービスを軸に、組織横断的な活用に拍車をかけるきっかけになればと思っています」と最後に語っていただいた。