ジーベックテクノロジー 様の導入事例

ジーベックテクノロジー

【業務内容】
工具用研磨・切断・微細バリ取り用工具の開発、製造、販売
【利用用途】
案件管理、進捗管理、デモ機管理、特許進捗管理、社員情報管理
  • kintoneを中核にさまざまなソリューションを自前で調達。情シス不在でも構築できる、自社に最適な顧客・案件管理システム

※本事例は2018年12月 取材しております。
※記事内の「CamiApp S」は2020年12月をもって新規契約の受付を終了しています。


金属やプラスチックを加工したときにできる“バリ”の除去は、モノづくりのプロセスにおいて欠かすことのできない重要な作業。この「バリ取り・研磨」を自動化するための各種ブラシや砥石の開発から製造、販売までを手掛けているのが株式会社ジーベックテクノロジーだ。日本の製造業が誇る切断や研削、研磨をはじめとした加工技術に大きく貢献する製品を数多く提供しており、独自素材のセラミックファイバーを研磨材に応用することでバリ取り問題の自動化を可能にしている。

そんな同社では、kintoneをベースに日々の商談進捗や商品開発のヒントにも役立つ顧客・案件管理の仕組みを構築している。なぜ同社がkintoneを案件管理の基盤として採用したのか、その理由について管理部 マネージャー 本堂 円氏にお話を伺った。

現場の負担にならない仕組みを希求
蓄積された情報が活用できる基盤を目指して

新商品開発のヒントやノウハウ活用など情報を生かす基盤へ

工業用の金型研磨用砥石の分野に化学メーカーとの共同開発による独自素材で革新を起こすべく1996年に設立された株式会社ジーベックテクノロジー。2002年にバリ取り自動化ツールを開発して以来、長年手作業で行われてきた金属加工時にできる“バリ”を取り除く作業の「自動化」を提唱している。

そんな同社は、起業当初から案件・顧客管理のシステムを独自に開発してきたが、事業が拡大する過程で案件数が増え、顧客対応にあたる営業担当者の数も増加。それに伴って多くの情報が蓄積されたことで、これらの情報を有効活用したいというニーズが顕著になってきたと本堂氏は語る。

「以前は単に情報を書きためておくだけの仕組みでしたが、新商品開発のヒントや新人の営業マンに対するノウハウ提供など、蓄積された情報を有効活用できるようにしたいと考えたのです」。

管理部 マネージャー 本堂 円氏

使い勝手の面から現場に受け入れられない状況に

そこで、Webからの問い合わせを増やすべく行われた自社のホームページリニューアルに合わせて、Web制作会社から推薦された海外のCRM/SFAツール(Salesforce)を導入。Webフォームからの問い合わせが直接案件管理に連動できる仕組みを構築したという。しかし、外資系ツール特有の入力画面へと大きく変わったことで、現場での入力が思うように進まなくなってしまったと本堂氏は当時を振り返る。

「もともと入力することが手間だと考えている営業担当者にとって、画面をスクロールして多くの項目を入力しなければならないということが、さらなる心理的な壁を生んだようです」。せっかく入力した情報もうまく取り出すことができないこともあり、結果として入力漏れや不備が増えていくことに。

「導入1年目で現場から悲鳴があがり、2年目は何とか頑張ろうとしたのですがうまくいかず、いよいよ新たな環境に刷新しようという3年目は、移行までの猶予期間としてやむなく使ってもらった、というのが実態です」と本堂氏。

情シス不在の事情も考慮したうえで
頻繁な変更にも対応できる自由度が魅力

項目変更などが容易に行える、使い勝手のいい製品が必要に

新たな仕組みでは、できる限りシンプルなものにしたいと考えた本堂氏。「これまで使ってきたものは、我々にとってみれば機能過多なものでした。必要な項目だけが入力できるよう自分たち仕様にできるものが必要だったのです」。

実際の営業場面では、顧客が製造する商品や設備が日々変化するため、その都度求められるバリ取り用工具の形状が異なってくる。それゆえ、現場のヒアリング項目も追加・変更する必要があるなど柔軟な対応が求められてきた。同時に、経験豊富な営業担当者のノウハウを可視化するためにも、アプローチ方法がきちんとデータ化できるよう、入力項目も頻繁に変えていく必要があったのだ。

「自分たちで簡単に入力する項目が変更できるような、使い勝手のいい製品が必要だったのです」。

現場に受け入れてもらいやすいインターフェース

そこで注目したのが、サイボウズが提供するkintoneだった。

「当社には専門の情報システム部門が存在しておらず、ある意味素人でも使えるものを探していました。実は以前からkintoneがよさそうだとは感じていたものの、具体的に知ったのは株式会社大塚商会が開催していたセミナーに参加してから。ITに詳しくない私にも使えそうだと実感したのです」と本堂氏はその魅力を語る。

実は以前からサイボウズが提供するグループウェアを活用していたこともあり、インターフェース的にも抵抗感なく現場に受け入れてもらいやすいという考えもあったという。

簡単操作で自分の手を放すことができると確信

特にkintoneの魅力は、その自由度の高さだと本堂氏は力説する。「画面の自由度が高く、必要な場所にフィールドが配置でき、入力項目の縦横幅などのサイズも自由に調整できます。“こんな画面にしたい”ということがその場で具現化できるツールです」。

また、周囲のメンバーに対しても面白さを伝えて触ってもらったところ、メンバーからも好評だったのだ。

「みんなが簡単に使えるのであれば、システムが完成した暁には自分たちで直していくことができるはず。運用後は自分の手から放すことができると考えたのです」と本堂氏。そんな使い勝手の高さを評価した結果、株式会社大塚商会を経由してkintoneを導入し、既存の案件・顧客管理の基盤を刷新する決断をしたという。

必要なソリューションを個別に調達することで
自社に最適なシステム作りを実現

登録された情報が活用しやすい顧客・案件管理基盤を構築

現在は、顧客・案件管理を中心にkintoneを活用しており、客先でヒアリングした情報をkintoneに入力したり、国内外からWebサイトを経由して寄せられる月100件あまりの問い合わせ情報が自動的にkintoneに取り込まれることで、案件情報の入力や進捗管理が容易に行えるようになっている。

また、特許関連の進捗管理や社員情報管理などにも活用しており、アンケート機能を活用して健康診断の日程調整をするなど日常的な業務にも活用している状況だ。

基本的には本堂氏が現場の要望に応じてアプリの開発を手掛けており、kintoneに関するtipsが得られるcybozu.com developer networkを見て公開されている情報やソースを活用することもあるという。ただし、単独で動くアプリは各部門の担当者でも自由に作れるようにしており、現在はアプリの数だけでも80あまりが運用されている。

ほぼすべての社員がkintoneを業務に生かしており、知財弁理士など社外の人との情報共有も行われているなど、情報が集まるハブとしての役割も担っている状況だ。

kintoneの案件管理アプリ画面

案件の進捗がグラフで一目で把握できる

周辺ソリューションを自前で調達し、自社に最適な形で活用

今回kintoneを導入するにあたって、いくつか周辺のソリューションも本堂氏が独自に選定したうえで導入している。

従来から行ってきたWebサイトの問い合わせフォームに入力された情報を案件・顧客管理に直接データ連携するためのフォームづくりにはサイボウズ スタートアップス株式会社が提供する「フォームクリエイター」を、kintone内のデータを活用して見積書や客先に発送するDM宛先などさまざまな帳票が出力できるようにするために日本オプロ株式会社が提供する「OPROARTS」を採用している。

またkintoneの使い勝手を向上させるべく、導入後1年経過したのちにkintoneを使ったカスタマイズ開発を手掛けるディベロッパーのM-SOLUTIONS株式会社と契約し、インテグレーションやアドバイザリ契約を経て、現在はスポットで同社のシステム運用を支援している状況だ。

さらに、営業先は機密情報が多い製造現場だけにカメラやPCが持ち込めないケースが多く、営業担当者がヒアリングした内容をノートに手書きすることが多い。テキストだけでなくイラストで表現する機会も多いが、これら手書きの情報をデータ化してkintoneにうまく取り込めるよう、コクヨ株式会社が提供する「CamiApp S」も導入。紙帳票に手書きするだけでスマートフォン・タブレットの専用アプリ経由でkintoneへデータ入力できるようになっており、従来記録したノートを見ながらの転記入力が必要だった案件情報の入力項目を大幅に軽減することに成功している。

各社のソリューションとkintoneの関係図

機会損失の軽減と業務効率化に貢献

kintoneを導入した効果について本堂氏は、営業担当者の機会損失を減らすことに貢献していると評価する。

「案件の特性上、アプローチしたお客様から1年後に声がかかるということも少なくありません。次にいつアプローチしたらいいのか通知設定できるアラーム機能を使うことで、適切なタイミングで再度アプローチできるのはとても便利です」。

また、案件レコードごとに設置されたコメント機能を有効活用し、ポイントになる情報を書き込んでおくことで情報共有しやすくなったと本堂氏。

他にも、デモ機を管理するアプリでは、以前はホワイトボードやExcelにてやり取りしていたものが今はすべてkintone上で管理でき、発送業務への展開も容易になっている状況だ。「1日に5件はデモ機を発送する機会があり、トータルで見ると多くの工数が削減できています」と評価する。

さらに、以前のサービスはライセンス費用の関係から営業しかアクセスできない状態だったが、今は社員全員が活用できる環境となっており、コスト自体も1/10程度に圧縮できているというから驚きだ。

当初の目的だったデータ活用については、各案件の進捗フェーズをグラフ化するなどフォロー漏れを防止すべく情報が可視化しやすくなっており、営業担当者からの評価も良好だ。「入力のしやすさも評価として届いています。現場で得た情報の一部は転記する必要がありますが、以前のツールに比べてきちんとした情報が多くの項目できちんと入力されています」。データ活用したいと考えていた当初の目的に合致してきており、開発部門やマーケティング部門がkintone内の情報を活用するなど、やりたいことが実現しつつあると本堂氏は高く評価する。

なお、サイボウズについては、特にコールセンターでのサポートに関して評価が高い。「Webフォームでの問い合わせが多いなか、コールセンターの電話対応はとてもありがたい。折り返しではなく、きちんとその場で解決してくれるのです。こちらの状況をきちんと把握し適切なアドバイスがいただけます」(本堂氏)。

丸投げしないほうがスマートに動ける

今回のプロジェクトでは、本堂氏自らが各ベンダーのサービスを選択し、自社に合わせて最適な組み合わせで利用している。どこか1社に丸投げすることがなく、各社の立場はフラットな状態となっている。

「例えば最近のスマートフォンでも、必要な機能はアプリストアからダウンロードして機能を付加していくのが一般的です。そんな感覚で進めていっただけで、個別に調達していくことはまったく苦になっていません」と本堂氏。

特化したサービスをそれぞれ持ち寄ることで、自社の運用に適した形を作り上げることに成功しているわけだ。「すべてを1つのものでまとめてしまうと、うまく動かなくなった時に重くなってしまう可能性も。今はAPIを活用することで柔軟に連携できる時代であり、個別に手配するほうがスマートに動けるというメリットがある」と本堂氏。ただし、それぞれのサービスを緊密に連携させていく際には、ディベロッパーの力が必要になるとも語っている。

社内に分散する紙やExcel管理の情報を集約していきたい

今後については、「Excelで管理されている情報はもちろん、いまだに紙で管理しているものも少なくありません。kintoneにて情報集約していき、社内だけでなく関係取引先など外部の人とのコミュニケーション基盤としても活用していきたい」。と本堂氏は語る。同時に、蓄積された情報を開発・製造部門にフィードバックすることで新たなアイデアに繋げるなど、顧客のニーズにいち早く対応できるようkintoneのさらなる活用にも意欲を見せる。

すでに何か情報を処理したりまとめたりする際には、ExcelとAccessだけでなくkintoneが具体的な選択肢の1つとして出てくるほどになっており、今後も利便性を考慮しながら最適な環境を選択していきたいと語っていただいた。

最後にkintoneとは何なのか尋ねてみたところ、

「とにかく必要な機能だけが欲しいと考えた結果、各社のサービスを自分で組み合わせて使うということになりました。その視点で見ると、各社のサービスがスマホのアプリだとすれば、kintoneはスマートフォン本体でありOSのような感覚です。電話をしたりメールをしたりする基本機能はkintoneに備わっており、それ以外に必要なものは個別に調達して組み合わせることができる、そんな便利なツールです」と表現していただいた。

※本事例は2018年12月 取材。
※記事内の「CamiApp S」は2020年12月をもって新規契約の受付を終了しています。

デモ機貸し出し管理アプリの画面