トライオン 様の導入事例

トライオン

【業務内容】
オンライン英語教育・学習支援
【利用用途】
顧客管理、案件管理、学習時間などのデータ集計、学習進捗管理
  • 3000人以上の受講生が利用する英語学習サイトのデータベースとして
  • 顧客情報管理フローの一元化をkintoneで低コストに実現

「いまさらだと思うのですが」とトライオン 取締役 一色恭輔氏は笑う。いま語学学習といえば、スマホアプリやオンラインレッスンなどデジタルを駆使した学習アプローチが目立つ。一方、トライオンが運営しているトライズはどちらかというとリアル重視。

 トライズでは受講生が1年間で1000時間、英語学習を続けることで成果を出せるようにサポートする。学習にはオンラインレッスンもあるものの、リスニングやスピーキングの自己学習や対面での進捗管理と学習方法の確認、更にグループディスカッションなどリアルな演習が中心だ。

 もともとトライオンでは早くからeラーニングなどを中心にオンライン教育向けコンテンツに力を入れていたが、トライズは2015年から取り組み始めた新規事業だ。トライオン社長の三木雄信氏が自著「英語は1年でマスターできる」で短期集中的に成果を出す英語学習方法を紹介したところ、高い評価と共感を呼んだため、この学習方法を実践する場として「トライズ」をスタートした。

【課題】受講生の学習時間管理をExcelで始めたところ100人で限界
Webからのデータ入力と学習時間の集計ができるシステムが必要

トライズがテストサービスを開始したのは2015年5月、4人の受講生からスタートした。間もなく本サービスを開始し、受講生は増え続けている。受講生は1年で修了するにも関わらず、受講中の受講生数は増え続けている。2018年末には修了した受講生が1000人に届きそうな勢いだ。

 トライズでは受講生に1人のコンサルタントとネイティブ講師がつき、3人がひとつのチームとなり1年間1000時間の学習を目指して進む。受講生はレッスンがない日でも、スピーキングとリスニング(シャドウイング)などの自己学習を何時間おこなったかをスマホやWebから報告する。この学習時間の累積がトライズで重要になる。

管理本部 取締役 一色 恭輔氏

システムで管理すべき情報は受講生の基本的な顧客情報と学習時間。最初はこうしたデータを表計算のExcelファイルで管理した。書き込む内容は受講生の誰が、いつ、何を何時間学習したのかなど。次第に受講生もコンサルタントも増え、Excelファイルの共有では運用が厳しくなってきた。一色氏は「受講生が100人に到達する頃には編集競合が発生するなど、データ管理に限界を感じました」と話す。

コンサルタントの業務から考えても、データ管理は改良する必要があった。コンサルタントは複数の受講生を担当し、学習時間の動向を見ながらアドバイスする。自分が担当する受講生の学習状況を把握する時、Excelのインターフェースではどうしても限界があった。コンサルタントごとに担当する受講生のデータを抽出し、受講生の学習状況を分かりやすく表示する画面が必要だった。

 システム化する場合、まず必要になるのが顧客情報管理と学習時間管理。データの入力はコンサルタントや社員が内部から入力できるだけではなく、受講者が学習時間を自己申告しつつ自己管理できるように、スマホやWebなど外部からも受け付けられるようにする必要があった。

【導入】急激に変化する可能性がある状況にも。柔軟かつ迅速に対応できるkintone

まだトライズ事業は始まったばかり。「今後は受講生の増加、システムで管理すべき項目や提供する機能は急激に変わる可能性があります。しかし一から開発するとなると、技術的にハードルが高く、コストが膨らむといった不安がありました」と一色氏が話すように、将来を見すえたデータ増加、データ項目や機能の変化に柔軟に対応できるプラットフォームが必要だった。

 トライオンがビジネスパートナーのM-SOLUTIONSと相談したところ、最終的に選んだのはサイボウズのkintone。カスタマイズの柔軟性に加え、当初必要としていた外部(Webサイト)からのデータを取り込めること、データ連携も含めたアプリケーション開発を低コストで簡単に実現できるところが魅力的だった。一色氏は「ほかに似たようなことができるものがなかったので、ほぼkintoneで決まりでした」と話す。

 最初に必要とする機能はM-SOLUTIONSが約1ヶ月で整えた。外部Webサイトから受講生が入力したデータをkintoneのデータベースに取り込むこと、週次で累積学習時間の集計処理を行うこと、受講生のマイページに累積時間を表示することなどだ。これらはkintoneとサイト連携の仕組みで実現できる。

 導入以降はトライオンがWeb画面デザインやデータ項目追加など細かな調整をしている。また受講生へのメール送信、データのPDF化、情報検索などの機能拡充もトライオンが主導だ。特に業務で役に立っているのが情報検索。コンサルタントが担当の受講生に関するデータを検索するための機能だ。プラグインを活用して開発したという。

 このように特徴的なのがプラグインを積極的に活用していること。kintoneには文字列を合成するなど、細かな機能単位でプラグインが提供されている。簡単な機能追加なら、プログラミングできるエンジニアを抱えないトライオンの社内リソースでも可能となっている。

 細かな機能追加でもプラグインを活用すれば、自分たちだけで、すぐに試せます。迅速にビジネスを発展させるにはとてもいいです(一色氏)

【効果】脱エクセルでコンサルタント1人が担当できる受講生数も増加。顧客管理からはじまり、今や全社業務へとkintone活用を拡大

トライオンでは事業開始初期から業務量増加を見越してkintoneを導入している。一色氏は「kintoneがなかったら……業務は大変だったと思います。あるいは別のシステムなら、膨大なコストがかかっていたかもしれませんと感想を述べる。

トライオンではkintoneを導入することで、受講生がWebから入力したデータをkintoneのデータベースに取り込み、週次で集計処理を行い、受講生のマイページに累積時間を表示することなどを実現できた。これは顧客情報管理とフローをkintoneで一元化できたことになる。

それにより現在ではコンサルタント1人が担当する受講生がサービス初期よりも増加しつつも、コンサルタントが品質を落とさずに業務を遂行できるようになっている。Excelのまま続けていたら、現状の生産性や効率性は実現できなかっただろう。

 今ではトライオンはトライズ事業だけではなく、総務、人事などの管理部門でも現場が必要に応じてkintoneでアプリを開発している。現在アプリ開発ができるのは全社で約7人、全員エンジニアではなく、当然システム開発の経験もない。それでもアプリ開発ができている。一色氏はExcelで共有する情報があれば、kintoneでアプリを作ろうという発想になっていますと話すように、トライオンでkintoneが定着している。

 kintoneの良さとして一色氏は「社員の必要人数分のライセンスがあれば、あとはアプリを自由に作成できるのがいいですね。機能追加するならプラグイン。かかるコストが分かりやすい。さわやかでいいです」と笑う。

 続けて、日本製のなじみやすさも評価する。外資系ソフトウェアベンダー製品と比較して、「kintoneは日本企業向けに作られていると感じます。使い勝手や必要な機能など、勘どころがいい」と話す。

 一色氏はさらに機能を拡充していく意欲を見せる。「受講生に提供できるものはまだあると考えています。累積学習時間やスピーキング試験(Versant)スコアをグラフ表示するとか、受講生向けアプリ開発も検討しています。何よりも受講生の皆さんには1年で1000時間学習を達成してほしいので、モチベーションを絶やさないようにできる限りシステム面でのサポートもしていきたいです」(一色氏)