東計電算 様の導入事例

顧客との円滑な情報共有とオペレータ自身で業務プロセス改善を可能に
コンタクトセンター業務に必要なCRMシステムをkintoneで構築

株式会社東計電算様(https://www.toukei.co.jp/

業務内容:業種・業務毎に専門特化したソリューションの提供、免震装置と自社開発のセキュリティシステム等を備えたデータセンターを活用したアウトソーシングサービス、海外を含めたネットワークサービス等のコンピュータ・情報処理に関する全般業務

利用用途:コンタクトセンターにおける顧客との情報共有及びエスカレーション基盤、業務フローのナレッジ基盤、データエントリー業務のチェックツール、マイナンバー収集・保管・利用BPOサービスプラットフォームとして

1970年に創業した株式会社東計電算。会計人事(マイナンバーサービス)、EC通販、外食・流通、物流(WMS)、住宅・建設・不動産など業種に特化した基幹業務システムの開発を事業の柱に据え、システム基盤となるデータセンターを活用した様々なアウトソーシングサービスを同時に手掛けている。なかでもデータエントリー、コンタクトセンター、各種BPO業務など各種ファシリティサービスをシステムユーザーなどに提供している。このファシリティサービスのコンタクトセンター業務プロセス基盤としてkintoneを導入。業務フローのナレッジ基盤や業務プロセス改善、顧客との情報共有によるCRMとしての活用、エスカレーションツール、エントリーデータのチェックなど、様々な場面でkintoneが活かされている。今回は、kintone導入に至った経緯やその効果について、ファシリティサービス部 営業課CC マネージャーの吉村 典也氏と同部 川崎コールセンター スーパーバイザーの湊 賢太氏にお話を伺った。

課題

以前は顧客管理専用のCRMのみ利用していたが、CRMシステムに実装できない部分はExcel頼りに。煩雑な管理が大きな課題となっていった。

導入

オペレータ自身が業務フローに落とし込めるような、使いやすいシステムを検討。たまたま知ったクラウドサービス「kintone」が自社の業務に最適と判断。

効果

業務プロセスの改善が品質向上に大きく寄与し、kintoneは業務に欠かせない基盤となった。

課題

新たなファリシティサービスを展開するも
Excelによる煩雑な管理が大きな課題に

自社データセンターにおいてSaaS形式で、業種特化型の基幹システムを提供するとともに、各種BPO、ファシリティサービスを提供してきた。クラアント企業のシステム運用とBPO業務運用を提供する過程で、クライアントニーズに対応する形で、新たにコンタクトセンター事業として立ち上げることになったと吉村氏はその経緯を振り返る。「当社は業種に特化した基幹業務システムの開発が事業の中心ですが、構築したシステムの運用業務と、BPO業務を提供していましたが、コンタクトセンターや顧客サポートなどのCRMやバックエンド業務運用のアウトソーシングに対する要望を以前からいただいていました。そこで、新たにファシリティサービスとしてコンタクトセンター事業を立ち上げることになったのです」と吉村氏。

2013年7月からコンタクトセンターの本格稼動を開始している同社。電話・FAXやWEBなどマルチチャネルで注文を受け付けるテレビ通販などの受注処理・データエントリー業務や、獲得したリストを元にフォローを行うセールス系アウトバウンド業務、多店舗展開をしている顧客が開発したアプリに対する店舗・ユーザーから寄せられる質問などに対応するヘルプデスク業務など、様々な業種の顧客に向けて業務支援を行っている。「やみくもにヘルプデスクやBPOサービスを展開しているわけではありません。最終的には、我々が得意とする業種に特化した基幹業務アプリケーションの開発に繋げることを意識しています」と吉村氏は事業展開の方向性を説明する。

そんなファシリティサービスの業務を支える基盤として、以前は顧客管理を行う専用のCRMシステムを導入していた。「問い合わせなどインバウンド履歴の管理やフォローアップのためのアウトバウンドコールの進捗管理など様々なことに利用してきましたが、専門のツールだけにシステム管理者や業務に精通したスーパーバイザーなどが業務フローの設計やシステム設定を行わざるを得なかったのです」と吉村氏。管理者の負担が大きくなってしまっており、何らかの対策が求められていた。

また、CRMシステムに実装できない部分はExcelをベースに管理が必要になり、どうしても煩雑な業務が増えてしまっていたと湊氏は課題を吐露する。「専用ツールだからこそ、現場に合わせた柔軟な仕組みにはなっていませんでした。例えば問い合わせ履歴を管理する場合、Excelだとオペレータごとに問い合わせ履歴を入力し、後で1つのフォーマットにまとめる作業が必要です。また、顧客への日報なども各Excelの中からその問い合わせを探し出し、突合せを行う必要があります。業務日報を作成するだけでも数十分の時間が必要でした」と湊氏。Excelではそもそもファイル共有が難しいため、何か別の解決策を探していたと語る。

導入

オペレータ自身が業務フローに落とし込める「使いやすさ」
情報共有のためのクラウド利用が最適解

もちろん、専用のCRMシステムを使わずに顧客が持っている受注システムなどのバックエンドシステムに直接データ入力することも可能だ。しかし、データ入力できるのはあくまで結果のみ。「通販などを例に挙げると、受注の結果はお客さまの受注システムに直接入力することができますが、受注情報の確認や不足情報のチェック、産直先在庫状況の確認など、受注確定に至るプロセス管理はできません。結局別の仕組みでプロセス管理する必要があるのです」と吉村氏。

そんな課題を解決するための新たな仕組みを模索する過程で同社の目に留まったのが、サイボウズが提供するkintoneだった。
「とあるクライアントが受注業務にkintoneを活用しているのを目の当たりにし、自社にも応用できるのではないかと考えました」と吉村氏はきっかけを語る。実際にはSalesforceなども検討したというが、開発環境の整備が必要となり、開発したシステムが属人化してしまうという懸念もあったという。
「オペレータは主婦の方がほとんどで、システムに関しては素人です。そんな方であっても自分で業務フローに落とし込める仕組みを求めていました。開発した人がやめてしまうと誰もわからなくなるようなものではなく、誰にでも触れることが可能な仕組みが必要だったのです」。
だからこそ、簡便な仕組みであるkintoneが最適だったと吉村氏。

またkintoneを選んだ理由の1つに挙げるのが、クラウドでの提供形態だ。
「他にもWebデータベース製品を検討しましたが、クラウドではなくオンプレミス※での提供でした。社内だけで運用する前提であればオンプレミスも選択肢の1つになりますが、我々が目指したのはクライアントと問い合わせ履歴などの情報を共有することで、業務フローを必要に応じて変更するなど品質改善に繋げていける仕組み作りです。情報共有のしやすさを考えるとクラウドが最適だと判断したのです」(吉村氏)。

結果として、顧客との円滑な情報共有を可能にしながら業務品質を高めていくためのコンタクトセンター業務基盤としてkintoneが選ばれることになる。
※サーバーやソフトウェアなどの情報システムを使用者(ビジネス利用の場合は企業)が管理する設備内に設置し、運用する方法

ファシリティサービス部 営業課CC マネージャー
吉村氏

ファシリティサービス部 川崎コールセンター
スーパーバイザー
湊氏

効果

業務プロセスの改善が品質向上に大きく寄与
業務に欠かせない基盤となったkintone

現在は同社のファシリティサービスにおける業務基盤として、オペレータや管理者、そしてクライアント先の担当者などあわせて50名ほどがkintoneを活用しており、コールやデータエントリーなど、多いときで1日800件あまりのデータ処理を行っている。ファリシリティサービスの業務でkintone上に展開していない業務はほぼない状況だと湊氏はその利用状況を説明する。管理者視点で言えば、扱っている商材ごとに異なるツールを使わずとも管理ができ、使い方が統一できることで煩雑な業務処理や報告のためのデータ抽出業務の簡素化に繋がっていると湊氏の評価は高い。
「Excelで運用していたときは、日報を作成するためにデータを集めて加工する必要がありました。今ではkintoneからデータを抽出してExcelに展開するだけ。報告のための資料作りが容易になりました」(湊氏)。

業務におけるkintoneの具体的な活用例を挙げると、例えば通販の受注処理でいえば、インターネットやFAX、葉書など様々なルートから入ってくる注文に対して、kintone内にその注文情報を流し込み、基本情報に不備がないかどうかのチェックを行っていくという使い方だ。同時に、不備がある場合は注文した人へオペレータが直接確認する作業が発生するが、この進捗状況もkintone上で管理している。情報がきちんとそろった時点で顧客の受注システムにデータを流し込み、受注確定処理が行われるようになる。また、通販利用者からの問い合わせ対応を請け負う場合は、実際の問い合わせ情報をkintoneに入力し、CRMデータとして顧客と情報共有し、定例会などで分析することで実際のCRM、業務フィールドに活かしていくと行ったことも行われている。

実際の業務に必要な機能は、顧客ごとにkintone上でアプリが開発されており、それをクリックするだけですぐに業務が開始できるようになっている。「受注処理や問い合わせのアプリはもちろんありますが、中にはブラックリストを管理するアプリもあります。BtoCの通販は個人が対象ですが、BtoBの場合は企業が対象です。つまり、与信管理のようなこともkintoneで行うことができるようになっています」と吉村氏は説明する。テンプレートとして活用できるアプリも最初から数多く用意されている点もkintoneの魅力の1つだという。

他にも、要望やクレームなどの情報を一次処理し、顧客へエスカレーションする際の情報共有ツールとしてもkintoneが用いられている。「そのままクライアントにエスカレーションすることもできますが、情報共有することで我々のほうでも判断基準が身に付き、エスカレーション頻度が減少していきます。オペレータがクライアント視点で業務に関わることができるようになる点も情報共有の大きな効果です」と吉村氏。

対応履歴がしっかり残せることで、対応マニュアルとして活用できるFAQアプリへ反映することが可能となり、業務変更などの周知徹底も容易になったと吉村氏は評価する。
「日々忙しい主婦の方にオペレータをお願いしていることもあり、業務の変更内容を周知したり研修などで習熟させたりすることを可能な限りシンプルに行いたいと考えていました。kintoneでクライアントごとに対応マニュアルとなるFAQを用意しておき、変更があればオペレータ自身が改変していくことができるほど仕組みが簡単です。全員で共有しやすく、以前に比べて教育にかかる負担が数段楽になりました。また、紙のマニュアルに頼ることなく業務が遂行できます」(吉村氏)。
顧客の受注処理システムを触るよりも自分たちが手を加えて改善していけるkintoneのほうが使いやすいと、オペレータからも評判だ。

kintoneを導入した効果について吉村氏は、業務改善に伴う品質向上を大きなポイントに挙げている。
「kintoneであればデータチェックの際にもチェックロジックを入れることが可能ですので、チェック品質は確実に高まっていきます」と評価する。また、チェック項目への注釈をテキストで追記したり新たにチェックフィールドを追加して業務プロセスを改善したりなど、オペレータ自身が品質向上に向けた業務改善を行うことが可能になっている。「"この項目に入力するときにはこれに注意して"といった具体的な指示を書き込んでおくことで、誰がチェックしてもミスに気づきやすい業務フローをオペレータ自らで作り出すことができます。チェックプロセスの工程を新たに追加するなど、現場自らの力で変えていくという改善意識をkintoneは生み出してくれています」と吉村氏はその柔軟な仕組みを高く評価する。

情報共有に関しては、セキュリティという観点でも大きな効果があると吉村氏は指摘する。
「以前はExcel上で管理している情報を暗号化してメールで送ったり、セキュアストレージを利用して共有したりすることで、安全に情報を扱うための手順が複雑でした。今ではkintone上のスペースを利用して情報共有を行うことで安全に情報共有が可能です。メールによる誤送信などの不安は払拭できます」。
もちろん、オペレータ同士の情報共有も可能となり、案件ごとに伝えるべき内容を漏れなく的確に伝えることができるようになっているという。
「オペレータ同士のコミュニケーションも円滑になり業務に対して指示する負担も減ります。オペレータの研修コストも軽減することに繋がっています」と湊氏は評価する。

今後について吉村氏は「コンタクトセンター内での業務処理について、kintoneで様々なものを作っていく予定です。SaaS型PBXをはじめとしたCTI連携や受注システムとのさらなる連携などkintoneをもっと活用していくことで、我々の持っているクラウド型フルフィルメント通販システム「E-ASPRO」も含めた形で業務領域をワンストップで提供できる環境を構築したい」と意気込みを語る。また、今後はフロントにkintoneを活用し同社のデータセンターと連携させることで実現する「マイナンバー取得及び保管サービス」を計画しており、同社の新たな商品の一部としてもkintoneを活用していく方針だ。他にも、勤怠管理やシフト管理など様々な業務へのkintone展開も検討したいと吉村氏。

最後に、kintoneを一言で表すと「技術が世の中を楽にする、便利にするということを体現しているツールでしょうか。主婦の方でも使いこなせる、直感的に作れる便利ツールです」と吉村氏。また湊氏は「すぐに使えるという意味で"瞬発力のあるお絵描きツール"というイメージです」と表現してくれた。

コンタクトセンター内の業務基盤のみならず、同社のビジネスを強力に下支えしていくツールとして、kintoneはこれからも様々な用途に利用されていくことだろう。