住友不動産
- 【業務内容】
- ビルの開発・賃貸、マンション・戸建受託の開発・分譲、宅地の造成・分譲、海外不動産の開発・分譲・賃貸、建築土木工事の請負・設計・監理、不動産の売買・仲介・鑑定ほか
- 【利用用途】
- 工数管理、顧客管理、企業間のやりとり
大規模な都市開発をはじめ、超高層ビルやマンション、注文住宅、戸建再生事業など、不動産に関連した様々な事業を展開している住友不動産株式会社。賃貸ビルや分譲マンション、仲介、戸建再生のブランドである“新築そっくりさん”の4つが大きな事業の柱となっているが、2017年3月期から始まる第七次中期経営計画では、これまでの増収増益路線を堅持しながら、賃貸事業の充実を図るべく賃貸ビルへの積極的な投資を計画。また、注文住宅をはじめ、賃貸住宅やホテル、イベントホールなど新たな事業の柱に育て上げるための様々な施策に取り組む計画だ。
そんな同社では、注文住宅事業に携わる工事担当者の作業品質を高めるためにiPadを導入、業務の効率化への取り組みも加速させており、その業務基盤としてkintoneが採用されている。そのkintone導入の背景について、注文住宅事業本部 工事統括課 荒木 伸介氏 および同課 星野 慧氏にお話を伺った。
「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」を基本使命として、1949年の設立以来、ビルやマンション、戸建住宅など様々な不動産を提供している住友不動産株式会社。都市開発やビル・マンション建設、注文住宅など各事業分野で獲得したノウハウを相互に活用することで、高品質な不動産物件の開発を行う総合ディベロッパーだ。そんな同社のなかで注文住宅を手掛けている注文住宅事業本部では、150名を超える工事担当者が全国の各現場における施工管理を行っており、施主との緊密なコミュニケーションを図りながら理想の住まいを提供するために日々努力している。
そんな注文住宅事業の現場では、施工管理における品質向上のための仕組みづくりが急務となっていた。
「工事の施工管理における品質は、各工事担当者の経験やスキルに依存する部分もあり、多少ばらつきがでてくるものです。このばらつきを是正し、どの工事担当者であっても高い品質で工程管理できる環境を整備することが工事統括課として必要だと考えていました」と荒木氏は当時を振り返る。
また、業務効率化の観点でも何らかの仕組みが求められていた。
「現場では工事の各段階で写真を撮影し、それを記録として保管することになっています。従来はデジカメで撮影したものをオフィスに持ち帰り、共有のファイルサーバに施主や工程ごとにフォルダ分けをしたうえで管理を行ってきました。この記録管理の手順をもっとシンプルにできないものかと思案していたのです」と荒木氏。
ほかにも、工事担当者は自身が担当している物件の状況が詳細に記載された分厚い製本図を持ち歩かざるを得なかったこともあり、できれば負担なく容易に持ち運びできるような環境づくりについても同時に検討したという。
そこで検討したのがiPadを利用した仕組みづくりだった。「数年前に営業部門のiPad導入プロジェクトに関わったことがあります。そこで得た経験から、業務品質の向上や業務効率化にiPadが役立つと考えたのです。」
実は全社的に労務管理を徹底するように指導があり、工事部門も例外ではなかった。そこで、会社に戻らずとも現場で業務が遂行できる環境を整備し、残業を極力増やさないようにするための仕掛けが求められていたのだ。
そこで、工程ごとに必要な項目がiPad上でチェックでき、写真の撮影や情報保管、そして分厚い製本図や施工要領書などを現場でも容易に閲覧できる仕組みを検討した荒木氏。その過程で目に留まったのが、サイボウズのkintoneだった。
「最初はMicrosoft Azure上で仕組みを展開し、iPadアプリを組み合わせたシステムを検討しましたが、営業部門で運用していた時にiPadへのアプリ配布に苦労した経験があったのです。kintoneであればWebアプリケーションとしてPCでも利用できますし、何か変更や追加があってもローカルにアプリをダウンロードしなくて済みます」と荒木氏。
また、できる限り速やかに運用を開始したいと考えていた荒木氏は、最初から要件を固めるのではなく、現場で改善しながら使っていけるような仕組みを求めており、まさにkintoneは最適な選択だったという。
「一度導入して終わりではなく、現場からは様々な要望が必ず出てくると考えていました。kintoneは柔軟に変更できる仕組みが備わっており、我々にぴったりなサービスだと考えたのです。」
実際のプロジェクトにおいても、iPadなどの操作に慣れていない現場にも受け入れてもらえるよう、複数のフェーズに分けて要件を実装していったという。
「短期間の間に実装できたのも、kintoneの柔軟性があってこそ」と荒木氏は評価する。
実は、kintone採用を決断してからわずか2か月の間に第一フェーズの実装を行ったうえで、現場への説明会を開催するという驚異のスケジュールでプロジェクトが進められた。
具体的には、工程ごとの作業内容がチェックできる仕組みとマニュアル閲覧の仕組みを第一フェーズに、第二フェーズでは現場で撮影した写真を保管するファイルサーバと連携する仕組みや製本図などの図面を閲覧する仕組みが実装された。そして第三フェーズでは、図面の変更点や是正指示などをiPad上の図面に書き込める機能が実装されている。
実際の使い方としては、工事担当者それぞれのIDでkintoneにログインすると、自身が担当している物件の一覧が表示されるようになっており、アクセスできる先がきちんと管理されている。その一覧から物件を選択することで、現場写真の登録や閲覧をはじめ、施工要領書や図面の確認などが行えるようになっている。
また、施主に対して定期的に電話連絡することが業務フローの1つとして決められているが、そのコンタクト履歴を管理する「顧客電話記録」といったアプリも用意されている。
「アプリとしては、本社用や工事長用、担当者用と属性によって分けられているだけでなく、マスター系のアプリやデータそのもののアプリなどがそれぞれ用意されています。写真だけでも安全管理に関連した「安全写真」、工事中の各工程ごとの「施工写真」、工事担当者の査定に使用する「査定写真」などが細かく管理されており、トータル20前後のアプリが展開されています」と星野氏は語る。
なお、図面登録は外部に委託しており、外部委託先からkintoneに図面を直接アップロードできるよう一部の機能を開放している。ほかにも、案件そのものは物件を管理する基幹システムからEAIを通じて情報を取得するだけでなく、施工スケジュールなどの日付情報をkintoneに入力すると、その情報が基幹システムに反映されるなど、EAIを介してkintoneと基幹システムが連携している状態だ。現場写真を管理するファイルサーバとの連携も、EAIを通じて行われている。
管理項目の追加変更などは星野氏自身の手で行うこともあるが、基幹システムと連携している部分も少なくないため、開発パートナーに確認を取りながら進めているという。
「簡単な項目追加は私自身で行うのはもちろんですが、アプリ権限の変更なども行います。使っていても違和感がなく、追加や変更も容易です」と星野氏は評価する。
ちなみに、今回の開発はkintone開発に豊富な実績を持つM-SOLUTIONS株式会社が手掛けているが、「サポートに入っていただいてからプロジェクトが大きく前進しました。工事担当者からの要望などで変更が必要な場合も迅速に対応していただいており、とても感謝しています」と星野氏。
開発パートナーとのやり取りについては、kintone上に用意されているゲストスペースにて行い、過去のやり取りを含めた履歴をしっかりと管理している。「コミュニケーション基盤としても活用できるのはkintoneの魅力の1つでもあります」と荒木氏は評価する。
kintoneの運用については、2016年3月にようやくフェーズ3までの実装が終わり、iPadを現場に配布してからはおよそ1年が経過しようとしている。もともとITに明るくない工事担当者もおり、ようやく現場での活用が本格化し始めているところだ。
「ちょっとしたボタンの配置など使い勝手を高めるべく日々改善を続けています。iPadの操作に慣れてきた担当者からは、図面を持ち歩かなくて済むととても好評です」と荒木氏は評価する。現場写真の登録も撮影後すぐに行えるようになるなど、全体的な業務の効率化につながっていると荒木氏。
また、施工した全国の物件図面が本社のPCですぐに確認できるようになっており、とても便利になったと本社側からも評価の声が上がっている。
「工事統括課では、不定期に全国の物件に出向いて施工状況のチェックを行う業務もあります。その際には、各現場に電話して事前に図面を入手していましたが、今ではいつでもPC上で図面が確認できるようになり、事前準備も容易です。また工事統括課としては各現場の査定を行う業務もありますが、kintoneのフォルダにすべて査定に関する資料を入れてもらうようにしています。契約番号で検索すれば、施工写真や安全写真などがその場で確認でき、査定も含めた物件管理がやりやすくなっています」と新たな仕組みの有用性を荒木氏は力説する。
今後については、製本図の巻末にあるチェックリストがiPadからチェックできたり施主と取り交わした書類に対する確認のサインをiPad上で行ったりなど、従来紙で行ってきた業務をシステムに取り込み、ペーパーレス化をさらに進めていくフェーズ4が具体的に計画されている。
「私の思いとしては、外部の工事業者にもアクセスできる環境を提供し、作業報告書や写真をkintone上で共有できるようにもしていきたい。報告書がそろった時点で支払処理が自動的に行われるなど、支払業務や発注業務にもkintoneが活用できるのではないかと考えています」と荒木氏は今後について語っている。
最後にkintoneとは何かについて尋ねたところ、荒木氏は「使いやすいようにカスタマイズできる共有サーバというイメージ」と、星野氏は「業務効率化の1つのツール」と表現してくれた。
ご連絡は、kintone 担当まで
TEL:03-6892-3166
FAX:03-6892-3926
E-mail:support_smart@m-sol.co.jp
SBテクノロジー株式会社の子会社で、Webアプリケーション・モバイル向けのサービス開発提供を中心に行っています。その実績を活かし、「kintone」を利用した大型案件を含めたシステム開発も多数実施しております。
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