四国アライアンス
- 【業務内容】
- 金融機関、コンサルティング
- 【利用用途】
- 地銀4行での商談管理、案件のマッチング
四国4県の金融機関同士による包括的な提携である四国アライアンスでは、四国地域の持続的な成長につながるさまざまな施策に取り組んでいる。その施策の1つとして顧客同士のニーズを結びつけるビジネスマッチングがある。そのビジネスマッチングの情報共有基盤、マッチングの仕組みとしてkintoneが利用されている。企業をつなげるビジネスマッチングの基盤としてkintoneを採用した経緯について、阿波銀行 営業推進部 地方創生推進室 経営役 福島 昌彦氏および伊予銀行 総合企画部 四国アライアンス推進室 室長 中川 豪氏にお話を伺った。
人口減少や少子・高齢化などの社会構造問題の先進圏として位置付けられている四国地域を営業エリアに持つ金融機関同士が、環境変化への柔軟な対応や新たな成長機会を創出するべく「四国アライアンス」と呼ばれる包括的な提携を2016年11月に発表した。四国各県のリーディングバンクとして地域経済の発展に貢献してきた、阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行の4行による四国創生に向けた包括的な提携であり、長年築き上げてきたノウハウと経験を生かした様々な施策を通じて、地方企業の持続的な成長を促し、地域経済の活性化を図ることを目的としている。
「四国アライアンス概要図」
そんな四国アライアンスでは、「興す」「活かす」「繋げる」「育む」「協働する」という5つのテーマに沿って施策を立案し、それぞれ分科会を通じて活動を行っている。分科会の数だけでも20を超える。分科会には各行から複数名が参加することになり、その参加人数は300を超える規模にまで大きなものとなっている。分科会における具体的な成果としては、四国アライアンスによる共同企画として独自に組成した投資信託「四国アライアンス 地域創生ファンド」の開発や、保険新商品「四国の絆」の企画など様々な形で表れている。「四国の絆」は累計販売額が販売開始から2カ月あまりで100億円を突破し、具体的なビジネスとして成果を生み出しているものも数多くある。
その具体的な成果の中でも、法人顧客向けに大きな成果を生み出しているのが、4行が担当する各顧客のニーズを拾い上げ、それらを結び付けることで新たな販路拡大を目指すビジネスマッチングの仕組みだ。
4行が持つさまざまなネットワークを活用し、ヒト・モノ・カネ・情報に関するあらゆる事業ニーズに対応することで、2018年5月時点では2000件を超える顧客ニーズを登録し、その成約件数はスタートしてから1年の間に300件を超えるまでに。「このビジネスマッチングを実現するためには、各行が持つ顧客情報やそれぞれの企業が抱える課題やニーズを登録するための仕組みが必要でした」と語るのは中川氏だ。
クラウド利用が各行とも初めてだったこともあり、行内の事務方のチェックや書類づくりも必要だった。しかし、IPアドレス制限やセキュアアクセスを利用することで、各行のセキュリティポリシーに合致させ、クラウドサービスを導入することができた。
また、2016年11月に四国アライアンスとして合意後、2017年1月には各分科会が発足し、2017年4月にはビジネスマッチングの仕組みを動かし始めることが計画されていた経緯もあり、短期間で必要な機能が実装できる基盤が求められていた。通常では、インテグレータが介在して要件定義や基本設計などが行われることで、結果として多くの時間とコストが必要になってしまう。しかしkintoneであれば、エンドユーザ側で仕様を決めながらスピーディーに制作できる点が大きな魅力の1つだったと中川氏。「自前で構築できるという柔軟性やコストの面も含めて、我々にはkintoneが最適だと判断したのです。」
本案件を担当した渡邉(サイボウズ営業本部)は「自身、愛媛県出身であり、以前より地元に貢献したいと思っていた。四国アライアンス様を担当させていただき、kintone というツールを提供することで地域の発展に少しでも寄与できたと思うと本当に嬉しい。クラウドサービスはもっと多方面でも活用できる可能性があり、セキュリティ面の印象から敬遠されがちなのが現状。サイボウズでは金融機関や行政機関でも安心して利用いただけるセキュリティ体制を備えている。今後も営業としてクラウド導入の障壁を取り除くことを支援し、地域のより一層の発展を目指して一緒に取り組んでいきたい。」と振り返っている。
“売りたい・買いたい”ニーズ情報の登録数が2100件を超え、1年が経過した今ではマッチングによる成約件数は310件を超え、今も順調に成約件数を積み重ねている。具体的には、高知県の食品加工会社と愛媛県の土産物販売会社の間で商談が成立するなど、県を越えての販路拡大が積極的に行われており、新たなビジネス機会の創出につながっている。
具体的な運用については、まずは営業店担当者がそれぞれの顧客からニーズをヒアリングする。その後、本部で顧客の基本情報とともに、kintone上のビジネスマッチングアプリに登録する。新たに登録された企業のニーズは、新着通知として各行のビジネスマッチング担当者に情報が共有される。そして4行のマッチング担当者総勢20名ほどがその情報を見たうえで、自行の顧客が提供できるサービスとマッチングできるかどうか検討し、また営業店へも情報を公開する。
引き合わせ可能な企業があればビジネスマッチングアプリ上から新規商談作成を選択。ここに引き合わせたい企業を登録することで、商談アプリに新たなレコードが登録される。この商談アプリ内で交渉履歴を含めたコミュニケーションを銀行間で行っていき、商談を重ねていきながら成約に結び付けることになる。
「情報登録はビジネスマッチングアプリで、商談履歴は商談アプリでという2本立てで管理することによって、効率的なマッチングが可能になっています」と福島氏は説明する。他にも、登録された情報の中から、マッチング候補先に提案する際に利用するニーズを要約した資料を印刷するアプリをはじめ、年間売上高や資本金などはコード入力で登録ができるよう各種コードテーブル管理のアプリも作成している。
「運用イメージ」
kintoneアプリの開発は、以前システム関連の部署に在籍していた経験を持つ福島氏が直接手掛けている。「わずか2か月という短期間での開発を余儀なくされましたが、必要な機能がドラッグ&ドロップで実装できるため、マニュアルを見ながら作りたいアプリのイメージがすぐに具現化できます。担当者が集まる分科会の中で要望が出れば、その場で作成するといったことも容易です」と福島氏は評価する。実際の開発については「まるでパズルを組むような感覚でアプリが作成でき、開発していてとても楽しかったですね。」と福島氏。
「ビジネスマッチングアプリ一覧」
「ビジネスマッチングアプリ登録画面」
「商談アプリ一覧」
kintone上に登録された顧客情報については、権限設定を柔軟に行っており、銀行ごとに個別管理したい項目もセキュアな形で情報登録することが可能になっている。「銀行によっては自行の担当店名等の個別情報も登録しています。アプリケーションや項目フィールドごとに権限設定ができるkintoneならでは」と福島氏。使い方についてもExcelで作成した利用ガイドを共有するだけで済み、誰にでも使いやすい仕組みになっているという。
困ったときにはヘルプデスクを頼っているというが、まさに解決できるヘルプデスクだと太鼓判を押す。「なかなか伝わらないヘルプデスクもありますが、サイボウズのヘルプデスクはすぐに話が通じて、迅速に解決方法を提示していただけます。こちらの要望を正確に理解していただけたおかげで、短い期間でもなんとか立ち上げることができました」とサポートについても高く評価している。現状はプラグインやカスタマイズは行っていないが、いずれ求められる要件に応じて対応していきたいという。
今後については、さらに各行の顧客が抱えるニーズを拾い上げ、ビジネスマッチングを加速していくことで、地域経済の発展に貢献していきたいという。また、他の分科会でシステムが必要になった際には、kintoneが大いに役立つものになると期待を寄せている。
「コストパフォーマンスが抜群によいクラウドだけに、行内でのクラウドにおける導入障壁を取り払った事例として順調に進んでいます。今回でクラウドに対する評価も変わってくれば、他のシステムも含めてクラウド化が進んでいくと思います。」と福島氏に語っていただいた。
本動画に関する著作権をはじめとする一切の知的財産権は、サイボウズ株式会社に帰属します。
kintoneを学習する際、個人や社内での勉強会のコンテンツとしてご利用ください。
データを変形 ・加工せず、そのままご使用ください。
禁止事項
ビジネス資料や広告・販促資料での利用など
商用での利用は許可しておりません。