ロケットスタートホールディングス 様の導入事例

ロケットスタートホールディングス

【業務内容】
茨城県つくば市を中心とした県南エリアにて、リクルート求人広告代理店業、人材成長支援事業、採用成功支援事業を行うほか、新たにローカル中小企業を対象とした企業ブランディング事業を展開
【利用用途】
営業管理、入稿管理、実績管理、原稿進捗管理、売上管理など
  • 「人はマネジメントをする時代」-日々の作業をkintoneでシステム化し、年間約200時間の工数削減に成功

日々の「入力・保存・共有」のスピードを高めることは、
経営判断のスピードを高めることに繋がる

株式会社ロケットスタートホールディングス(以下、ロケットスタート)が事業を開始したのは2014年7月のこと。同社代表取締役社長の星栄一氏は、10年に及ぶ株式会社リクルートジョブズでのキャリアで、メディアの創刊やマネージャーとして腕を振るい、その実績を元にリクルートメディア契約代理店として独立した経緯の持ち主だ。

そのためロケットスタートの中心事業のひとつが「タウンワーク」などリクルートメディアを活用した求人広告事業となる。 星氏によると、リクルート時代には売上の見込を各営業メンバーが記入する“ヨミ表”、担当顧客の状況を記入し定期接触するための“営業対応リスト”などExcelで作成した各種の帳票を活用してメンバー状況の把握を行っていた。

しかし、Excelは個々の情報を管理するのには有用であったが、チームで情報共有する場合には他の営業メンバーの更新を待ってから自分が更新しなければならないといったケースが発生していた。また、リアルタイムでの共有が難しいため、営業対応リストが属人化してしまう課題を感じていたという。

これらの経験から、新たに起業するロケットスタートでは何か別の方法を考えていた。リアルタイムで状況が共有され、履歴が保存され、データベース化を容易に行いたい。そしてそれらを元に、迅速な経営判断を下す組織にしていきたい。そんな仕組みをロケットスタートにどうやって構築していくか。

その1つの答えとしていくつかのグループウェアを検討していたが、その1つがサイボウズ Officeであった。そして実際に星氏がサイボウズ社を訪問してサービスの詳細説明を受けた際に提案されたのがkintoneだった。もっともその時は「クラウド上のExcel」と言われても具体的なイメージがわかなかったという。

営業の数字把握から原稿進捗管理、
売上管理までを、 1つのシステムとして構築

kintoneはこれまで出会ったことのないジャンルのサービスだけに、「クラウド上のデータベースをどうアウトプットするのか」など、初期の理解は曖昧なものであった。しかし、「まずは使い倒してみて、自社にマッチするのかを判断する」というスタンスで無料トライアルを行ったという。

実際に活用して製品理解が進むにつれ、以前の「同時更新しづらい」「属人化しやすい」という課題が解決できる以上のメリットがあることがわかってきた。もともとは「営業管理」のタスクと「入稿管理」のタスクを異なるシステムで行う予定だったが、kintoneとサイボウズのグループウェアとの連携により、「売上見込みの共有」→「受注」→「原稿制作」→「受注登録」→「入稿」→「実績管理」まで、業務の流れすべてを一元的に把握できるイメージが湧いてきたのだ。

代表取締役社長 星 栄一氏

まず、kintoneで受注前の営業状況をリアルタイムで把握できるヨミ管理アプリを作成し、受注が確定したら、自動的に原稿作成業務や登録業務の進捗把握を担うアプリにデータが移行。当該週の受注登録と入稿登録を終えたデータは、その後「実績管理」としての機能を担う。

各アプリはグループウェアから起動することで、実際に活用する社員にとってはすべてが1つのシステムとして活用できるようになるわけだ。 継続的に事業拡大とスタッフ数の増員を行うためには、パートやアルバイトといった雇用形態、在宅勤務など多様なワークスタイルへの対応が求められることを、事業開始時から意識していたという。

その為、誰にでも使いやすいことがシステムの必須要件であった。実際にトライアルで“使い倒す”うちに、「これならば誰でも使える」という手応えをつかんだことが、グループウェアと連携させたkintone導入の大きな決め手になったという。 当初はグループウェアとしてサイボウズ Officeを検討していたが、自社内の基幹システムとしてkintoneアプリを運用していくイメージが固まるにつれ、よりkintoneとの互換性が高いサイボウズ ガルーンを選定することとなった。

数字の管理や集計をシステム化し、
毎週約4時間の工数削減に

実際に営業部隊を統括する経営統括部 統括部長の薄井悠佑氏は、このシステムのメリットとして、リアルタイム性を強調する。 営業の売上に責任を持つ身として、週次といった短期の数字から未来予測を行い、週が終わり数字を締めればすぐに実績が把握できるという点は、次の打ち手を迅速に繰り出せるというメリットにつながるという。

定量的なデータをいつでも見られるので、即座に分析をして次のアクションに繋げられます。たとえば、この地域は電話でのアプローチが有効だとか、どの業種は獲得率が高いとか、営業判断に必要な情報はすべてkintoneを見ればわかるようになっています」(薄井氏)

これにより、適切な判断で次の指示を出せるようになるだけでなく、メンバーが営業としてお客様に向き合う時間を創出できる効果もあると薄井氏はいう。

「社内全体で週4時間業務時間を削減できれば、年間では約200時間の削減になります。年間で200時間多くお客様のもとに向かうことが出来ます。長い目で見れば、大きな改善です」と薄井氏は強調する。

さらに、kintoneとサイボウズ ガルーンの連携がもたらした効果は、自社内にとどまらなかった。というのは「誰でも使えるシステム」であるがゆえに、ロケットスタートと同じように地元に密着した企業へkintoneを活用したシステム提案を新事業としてスタートさせたのだ。星氏は、次のように分析する。

経営統括部 統括部長 薄井 悠佑氏

クライアントサポート室 前田 有紀氏

「中小企業が抱える課題として、次の3つが挙げられます。1つは『見えないものには投資しない』という点。電話がかかってくるから事務員は置くけれども、システムの導入により電話がかかってこないようにする…という発想を持っていないことです。2つ目は、半年後や1年後に回収できる投資ではスパンが長すぎるという点です。そして、3つ目は紙やExcelなど、既存のやり方からの急な変化は好まないという保守的な姿勢です」(星氏)

実は、この3つの課題を解決する手段として、kintoneやサイボウズ ガルーンによるシステムを提案することが非常にマッチするのだという。 例えば、在庫管理のために月に2~3回、倉庫の箱を数えている…という企業であれば、kintoneで出入庫を把握する簡易的なアプリを作成することで「箱を数える」というタスクをなくし、リアルタイムで在庫数がわかる世界観を伝える。

店舗数が多く場所も離れている飲食チェーン店では、週に一度開催される店長会議の質を高める為に、数字の共有はグループウェアで事前に済ませ、実際の会議では「出店計画」など戦略的な話題に時間を割ける仕組みを提案する。こうした「見える効果」が、1ヵ月で回収できる程度のコストで得られるならば、お客様も新しいものへ安心してチャレンジできるというわけだ。

もともとは求人広告事業のクライアントであった企業に、こうした提案を行い、実際に導入にいたった案件は短期間にも関わらず複数社に上るという。

星氏は「1人辞めたから新たに1人を採用する」というスタンスの採用が一般的である中で、現在はその1人が採用出来ないほどに人材採用のハードルが高くなっている点を指摘した。その上で、人が採れないならば作業をシステムに任せ、「1人辞めたままでも円滑に機能する組織作り」というスタンスの重要性を説明する。

「採用の提案という従来の事業に加え、人手が足りない部分をシステム導入で補っていく新たな事業の2つを同時に扱えることが、弊社にとっての強みになりました

最後に星氏は今後のkintone活用について、次のように述べた。

「日本の人口減少、それに伴う労働人口の減少。私たちはこれまでの常識よりも少ない人員数で仕事をすることになります。だからこそ人は人にしかできないこと、つまりマネジメントに注力していくべきです。その為には機械にできる作業は積極的にシステム化していく必要があります。kintoneは形がないシステムだからこそ、お客様ごとの細やかなニーズに応え、こうした時代の変化にも柔軟にマッチさせていくことができると考えています。」(星氏)