北陸電力 様の導入事例

北陸電力

【業務内容】
北陸3県(富山・石川・福井)を中心とした電力の供給
【利用用途】
各種申請ワークフロー、諸届業務のデジタル化、Excel管理簿の置き換え、役員スケジュール調整、部品調達履歴管理、文書管理 など
  • ワークフローを起点にkintoneを本社およびグループ18社7,000人へ迅速展開 年間3万時間の業務削減を実現した北陸電力のDX推進

北陸電力株式会社では、中期経営計画においてDXを”経営を支える重要な取り組み”と位置づけ、2024年1月にkintoneを全社導入した。わずか約2年で約750のアプリが現場主導で開発され、年間約3万時間の業務削減効果を生み出している。さらにグループ18社にも利用を展開し、紙とハンコが当たり前だったバックオフィス業務を一気にデジタル化。市民開発とワークフローを主軸とするDX基盤としてグループ全体の業務改革を加速させている。
この取り組みについて、経営企画部副部長 兼 業務改革・DX推進プロジェクト室 室長 坂 行章氏、同室 課長 浅井 圭介氏および同室 副課長 山村 裕輔氏に話を伺った。

【課題】変化に迅速対応できる企業体質への転換が求められる中、
現場ニーズに応える体制強化が急務に

北陸電力株式会社(以下、北陸電力)は富山市に本社を置く電力会社で、域内各地の水力・火力発電所等を通じて北陸3県を中心に電気を提供し続けてきた。同社が策定した中期経営計画では、DXが重要な強化ポイントとして位置づけられており、特に2026年度は「グループ経営」をキーワードにグループ全体でのDX推進が掲げられている。  

同社がDXを重視する背景には、デジタル技術による社会の変化の加速がある。坂氏は「こうした変化に柔軟かつ迅速に対応できる企業体質へ転換し、業務改革とDXを推進していくことが重要です」と語る。

経営企画部 副部長(経営企画担当)兼 経営企画部業務改革・DX推進プロジェクト室長 坂 行章氏

しかしDX推進を進める上で、浅井氏は「増加するデジタル活用ニーズへの対応や改善アイデアを迅速に実現していくための体制強化が求められていました」と振り返る。 

経営企画部 業務改革・DX推進プロジェクト室 課長 浅井 圭介氏

【選定】現場主導で改善を進められるkintoneを選定。
プログラミング知識不要で業務を理解した従業員が自律的にアプリ開発

そこで北陸電力が注目したのが、市民開発を可能にするkintoneだった。DXは一部の専任担当者だけで進めても社内に浸透しない。日々の業務を担う一人ひとりが主体的に関わることで、はじめて全社のDXは根付いていく。だからこそ、業務をよく知る従業員自身がデジタル活用を進められる基盤が必要だった。 kintoneの利点は、プログラミングの専門知識がなくても直感的な操作で業務アプリを作成できる点だ。情報システム部門を待たずに、従業員が自らkintoneでシステムを構築できれば、業務改善のスピードは向上する。 

導入検討段階では、パートナーであるJBCCの協力のもと勉強会を実施した。山村氏は「勉強会には100人以上が参加し、どんなアプリを作りたいかというアイデアを募ったら皆さん積極的に考えてくれました。そうして集まった50個のアイデアからkintoneの効率化効果を試算したら役員から『全社で導入しよう』という声が上がり、一気に導入が進みました」と当時を振り返る。 このように初期段階からkintoneの可能性に共感できる仲間、つまりキーマンが各部署・グループ会社にいて協力してくれたことが成功のポイントだったという。

経営企画部 業務改革・DX推進プロジェクト室 副課長 山村 裕輔氏

【効果】本社からグループ18社へ展開し、7,000ユーザーに拡大
現場主導の市民開発が定着し、業務改革の文化広がる

ワークフローを起点に全従業員が触れる環境を整備。
年間3万時間の業務削減を実現

kintoneの導入に際し、同社はまず「ワークフロー」を起点にするという戦略を立て、最初に、毎年1回、全員が提出する申請書類の提出システムを作成した。誰もが必ず一度はkintoneに触れる機会を創出し、そこから市民開発へと展開を広げていく狙いがあった。この取り組みについて、浅井氏は「部門によって統一されていない承認フローが、kintone導入により全社で統一化されるというメリットもありました。部署が変わっても誰もが同じ認識のもとで業務を進められるようになり、属人化した暗黙知に左右されないスピード感のある事業運営につながっています」と効果を語る。

その結果、北陸電力本社だけでも750のアプリが現場主導で作成され、年間約3万時間の業務削減効果を創出。社内アンケートでは、従業員の約5人に1人がアプリ作成を経験していると回答。さらに、「自分で簡単に作れる」「業務を効率化できた」といったポジティブな声も全体の約7割にのぼった。

グループ18社へ水平展開し、7,000ユーザーに

グループ会社への展開も迅速に進んでいる。山村氏は「kintoneを自分たちで1年間使ってみた結果、これは使えるという確信を持ちました。そこでグループ展開へと舵を切りました」と説明する。グループ会社の中には、専任のシステム担当者がいない会社もある。そこで、グループ共通の業務をデジタル化するためのアプリを本社から20個ほど横展開することにした。また、支店ではそれぞれよく似た業務を行っているため、ある支店で効果のあった改善策をそのまま別の支店へ展開するといった動きも広がっている。kintoneが共通基盤となることで、組織や会社の壁を越えた”横のつながり”を生み、水平展開を後押ししている。その結果、現在では、本社およびグループ18社で、約7,000ユーザーがkintoneを利用するまでに拡大し、新たにkintoneを使いたいと手を挙げる会社も出てきている。
なお、ガバナンスとセキュリティについては、共有スペースで作成したアプリはDX部門に申請し、社内ルールをクリアしたものだけが本番環境へ移行する、というフローでしっかりと担保している。
こうした成果について坂氏は「経営としては、業務の見える化や生産性向上に加え、社員一人ひとりが改善を考え、実行する文化が育ちつつあることを大きな成果と捉えている」と語る。 

本社DX部門とIT関連のグループ会社による二段構えの支援体制

この迅速な展開を後押ししたのが、北陸電力本社のDX部門による教育の実施と、システム開発を担うグループ会社である北電情報システムサービス株式会社による支援体制だ。
本社DX部門では 「まずは使ってもらわなければ良さが伝わらない」と考え、2025年度にはグループ全体で100回を超える教育を実施し、延べ1,200名が参加。従業員のスキルを段階的に高める環境を整えていった。さらに2025年12月には、富山市の本社で「北陸電力グループDXオープンデイ2025」を開催。グループ各社から来場とオンラインを合わせて約350名が参加し、各職場のアプリ活用事例を紹介し合うことで、グループ全体でDX推進に向けた機運をさらに高めている。

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「北陸電力グループDXオープンデイ2025」の様子


一方、北電情報システムサービス株式会社は、問合せフォームやFAQの共有、研修の申込フォームや過去教育動画のアーカイブ公開などを実施。さらに、各社が利用する共通アプリを展開するポータルサイトの構築・運用も行っている。こうして、問い合わせ対応や教育等の窓口を一本化したことで、グループ会社の利用者がkintoneを使いやすい環境が整っている。

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問い合わせ対応や教育業務を本社DX部門&IT関連のグループ会社にて集約実施

紙とExcelの煩雑なやり取りを解消

グループ展開の成果が顕著に表れているのが、通勤・住居・出張申請といった諸届のアプリである。

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諸届アプリの一例(住居届アプリ)のイメージ

以前は、WordやExcelで作成した書類を紙に印刷し、社内郵便でグループ共通の管理間接業務を行う北電パートナーサービスに送付。同社で承認後、基幹システムに手入力して処理するというフローを踏んでいた。それがkintoneの「ゲストスペース」機能により、申請から承認までがオンライン上で完結し、会社を跨いだ効率化を実現している。現場からも「双方で同じ画面を見ながら確認できる」「申請者本人が過去の申請を自分で確認できて助かる」といった声が上がっている。

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紙・郵送・手入力をなくし、申請業務をオンラインで完結

バックオフィス業務だけでなく、電力会社特有の業務の効率化にも活用されている。火力発電所の特定設備における部品周期を管理するアプリでは、過去の調達経緯がシステム化されたことで、必要な情報を誰でもすぐに把握できるようになった。

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※インタビューを参考に作成した「部品調達履歴アプリ」のイメージ画像です

グループ全体の市民開発をさらに加速。AI活用も視野に

今後の展望について、同社は5年間の中期経営計画においてDXを引き続き強化ポイントに据え、DX教育によるリテラシー向上やkintoneによる市民開発をさらに加速させる方針だ。 具体的には、水平展開可能な共通アプリの整備、教育支援、成功事例の横展開や発表の場づくりといった取り組みを引き続き行うことで、デジタルに苦手意識のある社員も含め、全社的なスキル底上げに注力していく。また、今後の取組みとして、利用者のコミュニティを構築し、質問や事例を容易に連携できるような仕組み等を検討している。

さらに、坂氏は、「今後は、kintoneのデータベースを活用したAI活用なども検討し、更なる生産性向上につなげていきたい」と語る。kintoneは単なる承認ツールではなく、日々の業務を通じて自然とデータが蓄積されていくプラットフォームでもある。グループ各社の業務データが一元的に集まる基盤として、AI活用との親和性も期待される。

(2026年4月取材)

【この事例の販売パートナー】
JBCC株式会社

E-mail:mktg@jbcc.co.jp

JBCC株式会社は、全国のエンタープライズ企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するITサービス企業です。

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