クオリティーインスペクションサービス 様の導入事例

クオリティーインスペクションサービス

【業務内容】
海外へ輸出する中古自動車やその部品、産業機械などの輸出前検査
【利用用途】
輸出向け中古車の検査業務
  • RPA×kintoneで海外輸出の車両検査業務を効率化
  • 事務処理時間が半分以下になった月に、過去最高数の検査と残業ゼロを実現

日本から海外に輸出される中古自動車などの検査業務を担っている株式会社クオリティーインスペクションサービスでは、検査とそれに付随する一連の業務の基盤として、サイボウズのkintoneを採用。同時にRPAと連携させ、Webサイトとの情報のやり取りや消込処理といった経理業務などに活用することで、業務効率化を実現している。その経緯について、テクニカルマネージャー 伏木 正城氏、管理部 滝 郁歩氏および管理部 岩本 茉莉氏にお話を伺った。

【課題】属人化したExcelでの業務からの脱却を目指す

中古車両の輸出における検査を行う企業として、2009年より事業をスタートさせた株式会社クオリティーインスペクションサービス。日本で先駆けてISO17020の認定を受けた検査機関として、自動車本体をはじめ、自動車部品や建設機械、フォークリフトなどの荷役自動車、トラクターに代表される産業機械などの検査業務を各国政府機関から委託を受けて行っており、年間数万台の車両関連の検査を手掛けている。

クオリティーインスペクションサービス テクニカルマネージャー 伏木 正城氏

そんな同社では輸出業者から申し込みを受け、輸出国の基準に沿った検査を実施した上で、検査証明書を発行しており、独自構築した専用のWebシステム上で各種情報を管理。世界にある各支店はもちろん、検査を依頼した輸出業者や輸出先の政府機関でもそれらの情報が閲覧できるような環境を整備している。

そんな同社の業務には課題があった。独自に構築している専用Webシステムには、検査に必要な書類などの到着状況や送付履歴といった書類管理をはじめ、検査費用の入金・消込処理などの機能は備わっておらず、全てExcelで管理が行われていたのだ。伏木氏は当時を振り返る。「検査依頼のあった車両に関して、検査前に別途入手した詳細情報と照合する必要があるのですが、この詳細な情報もExcelにて管理していました」。

確かにExcel自体は便利ではあるものの、複数人が同時にアクセスするといった情報共有が難しく、ファイル破損などが実際に発生するケースも。そこでメンバー同士で円滑に情報共有でき、かつ業務効率化に役立つ仕組みづくりを検討することに。「属人的な管理になってしまうExcelでの業務から脱却できる仕組みを求めたのです」と伏木氏は説明する。

【選定】現場への浸透を考え、誰でも使いやすいkintoneとRPA連携を選択

ただし、単にExcelから別の仕組みに置き換えたとしても、入力するツールが変わるだけで、抜本的な業務効率化にはつながらないと考えた伏木氏。「当初は専用Webシステムを新たなものに作り替えることも検討しましたが、輸出先の国の事情や費用も考慮すると、改修自体が難しい。そこでExcelに代わるツールとともに、アナログで行なっている業務を自動化できる仕組みを検討することになったのです」。

そこで新たな業務基盤として注目したのが、業務を自動化できる「RPA」と、Excelにおける課題を解決する「kintone」の組み合わせだった。「実際に提案を受けたところ、kintoneは柔軟性が高く、Excelの業務を十分置き換えられると考えました。また、RPAを使うことで、転記作業の多い業務の効率化ができる判断しました」と伏木氏。他社製品と比較もしたが、kintoneほど直感的に操作できるものではなかったという。

結局”使いづらい“と思われてしまうと、現場にいる検査スタッフにストレスを与えてしまい、現場に使ってもらえず浸透しない恐れも。使い勝手はとても重要でした」と伏木氏。

また情報管理の基盤として、社内に環境を整備するよりも月額費用で利用可能なクラウドサービスであることも評価。最終的にサイボウズのkintoneとRPAの連携がExcelで実施してきた業務を置き換える仕組みとして採用されることになった。

【使い方】RPA×kintone が業務の自動化、効率化に大きく貢献

車両検査や経理業務、各種マスターとしてkintoneアプリを活用

現在は、事務スタッフ及び車両検査を行うスタッフがkintoneを活用しており、1日で多いときは600台ほどの車両検査を実施している。 検査内容を管理するアプリをはじめ、入金・注文などの管理対象に特化したアプリに加え、顧客・スタッフ・料金などのマスタアプリを合わせ計20ほどに登る。

また、紙を利用した検査から脱却し、現在はiPadから検査項目の確認や項目チェックを行うなど、現場のデジタル化を実現した。なお、気がかりなことがあれば、社外にいてもスマートフォンからkintoneにアクセスして確認できる。将来的にはテレワーク環境の整備にも役立つはずだと伏木氏は力説する。

実際の運用では、独自のWebシステムに入れられた情報を発端に、RPAを使って車両の詳細や銀行入金などの情報を適宜肉付けしている。そして、「車両検査アプリ」「検査申込アプリ」「入金明細アプリ」など、管理対象ごとのアプリへ展開する。これで、検査前の準備が完了となり、検査当日、検査スタップがiPadを携えて検査を行い、結果を「車両検査アプリ」に入力する。

検査終了後は、RPAを使ってkintoneから専用Webシステムに対して情報を自動で書き込ませている このように、検査申込から検査終了までの業務がkintoneおよびRPAを柔軟に連携することで実現している。

業務フローイメージ図

RPAの活用により、これまでデータベースに手作業で入力していたデータが『kintone』に自動で取り込まれるようになった

以前は検査員が用紙に手書きしていた車両の検査結果は、iPadで『kintone』に入力されるようになり、検査入力作業の手間と時間が大幅に短縮した

実際のkintoneアプリ画面


事務処理時間が半分以下になった月に、過去最高数の検査と残業ゼロを実現

kintoneおよびRPAにて検査業務のデジタル化を進めたことで、事務処理の時間が大きく短縮できた。現場と事務所間での転記作業によるミスもなくなり、業務効率化に大きく貢献している。「ちょうど事務スタッフや検査スタッフが数名退職するタイミングを迎えたものの、以前同様の処理が少ない人数で対応できています。紙での処理に比べて半分以下の時間で事務処理が可能となっており、その分別の作業に時間に充てることが可能です。導入前年の平均は7,000台/月で、8,000台/月を越えると残業が必須でした。しかし、kintone×RPAを導入してから過去最高となる12000台の検査を行ったときでも、残業することなく業務を終えることができました」と伏木氏は評価する。

導入当初は紙の運用からiPadへ切り替えることに対し、検査スタッフからの反発は決して小さくなく、紙での運用に慣れている検査スタッフの負担は一時的に微増したことも。それでも事務スタッフの転記作業が減ることでトータルでの業務削減が可能となり、運用に慣れた今では、検査スタッフもiPadになって便利になったと評価の声が挙がっている。

車両1台ごとに1枚以上発生していた紙を大幅削減。情報共有とナレッジ活用にも貢献

kintoneを導入したことで、情報共有が容易になったと滝氏はその効果を実感している。「複数のメンバーが1つの情報を共有しながら作業できるようになったのは大きい。費用の管理も担当者が不在の際は問い合わせに回答できませんでしたが、今は誰でも回答できるようになり、お客さまをお待たせすることもなくなりました。忙しいときにはほかのメンバーにお願いできるなど、柔軟に動けるようになっています」。またExcelの場合、意図せずにセルが上書きされてしまうケースもあったが、今ではkintone上で変更履歴が確認でき、修正箇所もすぐに把握できるようになったという。ペーパーレス化も促進されており、過去の情報も探しやすくなっている状況だ。「車両1台ごとに1枚以上は紙が発生していましたが、今ではほとんどがkintone上で管理できています。数年ごとに発生する入札関連の業務でも、kintoneは過去の情報を参照しやすいので、今後の書類作成時の負担軽減にもつながる」と岩本氏は評価する。

クオリティーインスペクションサービス 管理部 滝 郁歩氏

クオリティーインスペクションサービス 管理部 岩本 茉莉氏

現場の声を柔軟に反映できる柔軟性を評価

導入時は、kintoneアプリやRPAのシナリオはエンジニアの方に助けてもらいながら作成していたが、現在は滝氏と岩本氏が必要に応じて作成・修正を行なっており、情報が入手しやすい点が使い勝手の良さにつながっていると評価する。「多くの人が利用しているツールだけに、ネット上で調べるだけで開発時に必要な情報も見つけやすい。困ったときにはとても助かっています」。検査項目の追加や変更があっても、わざわざ外部に依頼せずとも社内で変更できることもkintoneのメリットだと伏木氏は評価する。「ITが不得意な検査スタッフもおり、できるだけ使いやすいよう現場の声をうまく反映できるよう変更を加えています。」とkintoneの柔軟性を高く評価する。

【今後の展望】ほかの国に向けた輸出業務もkintone基盤で運用したい

kintone及びRPAにより、システム化・自動化されたのは主要な仕向け国(輸出国)の検査サービスで、アナログ的な手法で対処している仕向け国もあるのが実情だという。「現在でもいろんな国の検査業務の入札を行っており、今後は検査を実施する国も増えてくることが考えられます。主要な国以外についても同じ基盤で対応できるようにしていきたい」と伏木氏。また、検査業務以外でも、勤怠管理や残業申請など、社内の労務管理など各種申請手続きなどにもkintoneを応用していきたい考えだ。

さらに、検査後に車両に対して検査済みのステッカーを貼付しているが、QRコードがついたステッカーをkintoneから発行するといった仕組みも検討したいという。「現在は手書きでステッカーを作成して貼付していますが、最後までペンを持たずとも業務が完了できるような環境を整備したい」と最後に語っていただいた。(2020年1月取材)

【この事例の販売パートナー】
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