プライムアシスタンス
- 【業務内容】
- アシスタンス事業(相談対応または事業者への取次ぎを行う業務)
- 【利用用途】
- オペレーターに寄せられる顧客からの問い合わせ管理
事故・故障などによる車のトラブルが発生した際にお客様からの入電窓口となるコールセンターでの取次ぎを行う、いわゆるロードアシスタンスサービスを事業の中核に据えて事業展開を行っている株式会社プライムアシスタンス。2012年創業ながら急速に事業を拡大しており、さまざまな領域へアシスタンス事業を拡大させている。
そんな同社が行っている苦情管理の仕組みにkintoneが採用され、スーパーバイザーなどによる苦情管理業務の負荷軽減に大きく貢献している。
この苦情管理の基盤にkintoneを採用した経緯について、センター統括本部 ICT推進室長 重清 太郎氏および同室 担当課長 千葉 雅博氏、同本部 企画室 兼 営業部 担当課長 小泉 洋之氏、業務委託として同本部に常駐する株式会社アグレックス 嘉瀬 絵里香氏にお話を伺った。
SOMPOホールディングスグループのアシスタンス会社として2012年に誕生した株式会社プライムアシスタンス。秋田と中野坂上、そして鹿児島の3拠点にコールセンターを構え、オペレーター含めておよそ1000人のメンバーが在籍している。
車のトラブルが発生した際のロードアシスタンスを中心に、住まいのトラブル解消をサポートするホームアシスタンス、海外での病気やケガによるトラブル解消サポートを行う海外メディカルケアプログラム、オーダーメイドサービスを提供するビジネスプロセスアウトソーシングなどさまざまな領域へアシスタンス事業を拡大。「最上級のお客さまサービス」の提供を最も大切なテーマとして、安心・安全・健康という3つのキーワードに資する事業を展開しており、グループ外へのサービス展開も積極的に行っている状況だ。
創業当時は自前のシステムを持たず、グループ企業のシステム基盤やファシリティを借りて事業をスタートさせた同社だが、2016年7月に事業の基盤となるコールセンターシステムの自前化を実施。基幹システムを皮切りに現在も業務関連のシステムの自前化を行っているが、オペレーターをはじめとしたメンバー間のコミュニケーション基盤が未整備だったことで、情報通達や業務に生かせるナレッジが共有できる仕組みを整備していくことが早急に求められていた。
直近の課題として顕在化していたのが、Excelで行われていたお客様から寄せられる苦情の管理だった。オペレーターが受け付けた苦情に関する情報は、オペレーターから報告を受けた約200人のスーパーバイザーなどコールセンター管理者が、共有のファイルサーバーに格納されているExcelファイルに書き込む方法で管理されてきた。
しかし、データ競合などの問題でリアルタイムに情報が入力できないことも多く、残業時間の拡大や入力漏れのリスクなど課題が顕在化していたと小泉氏は当時を振り返る。
「ロードサービスは迅速な対応が重要であり、すぐに現場に駆け付けて解決すると感謝の声を多くいただきます。逆に、何か不備があれば苦情となるため、お客様から寄せられた声をきちんと管理し、共有していくことが重要になってきます。もちろん、我々のクライアントにお客様からの声を報告する必要もあり、管理の面からもきちんとした基盤を整備する必要がありました」と小泉氏。
そこで、将来的に展開を検討していた掲示板などの情報共有基盤に拡張することを前提に、苦情管理を効率的に行える仕組みを検討することになる。「苦情管理を通じて新たな仕組みに慣れてもらい、そこから情報共有できる仕組みに展開していこうと考えたのです」(千葉氏)。
Excel管理からの脱却を検討した小泉氏は、コミュニケーション基盤への拡張を想定し、AccessなどのDB製品やグループウェアなどの情報共有基盤を候補に挙げて検討していったという。その過程で目に留まったのが、サイボウズが提供するkintoneだった。
「ドラッグ&ドロップだけで簡単に構築できるという開発の簡易性を高く評価しました」と千葉氏。
また、サイボウズのグループウェア製品を使っているほかのグループ企業があり、社内にサイボウズを体験していたメンバーが少なからず存在していたことも選定におけるポイントの1つだった。Accessを用いて開発した場合と比べても、kintoneのほうがコストを抑えて利用できることがわかったという。
ただし、社外にデータを保管することになるクラウド活用については、実はハードルはかなり高かった。「もともとの損害保険事業を手掛けるSOMPOホールディングスのグループ企業ということもあり、グループ内のセキュリティポリシーに適応できるかどうかが重要なポイントでした」と語るのは重清氏だ。
実際にはポリシー適用に向けたチェック項目は数多くあるものの、サイボウズのクラウドを活用した実績がグループ企業内にあったことが結果としては大きな後押しにつながったという。
また、ICT推進室としては、ユーザー部門のほうで想定した通りに作れるかどうか、そして現場自ら手直しできるかどうかが大きなポイントの1つだった。
「何か手直しがあるたびに数百万規模で費用がかかるような仕組みは避けるべき。より使いやすい、操作性に優れたものが必要だと考えていたのです」と千葉氏。
さらに言えば、リスクについては考えるものの、情報システム部門で管理しすぎることなく現場へ権限移譲を行い、参加するメンバーが自分たちで考えられるような仕組みにしていきたいという思いもあったという。
重清氏は「基幹システムは我々が見ていきますが、いわゆる情報連携やノウハウ共有のような仕組みは我々の号令がなくても横展開していければいいと考えています。それが実現できるツールがkintoneだったのです」と評価する。
それらを考慮した結果、kintoneを用いて苦情管理の仕組みを構築することになる。
現在は、月10万件を超える入電の中からオペレーターに寄せられた苦情を担当のスーパーバイザーにその場で報告し、その情報をkintone上の苦情管理アプリにスーパーバイザーが入力する運用だ。
「Excel時代に比べて負担なく自分のペースで入力できるようになるなど、ストレス軽減によって本業に注力できるようになっています」と小泉氏は評価する。
実際に作成されているアプリは、寄せられた苦情の登録やマスタ、名称設定など苦情管理用のアプリ、すべての社員およびオペレーターに対して行われる通達アプリなどがあり、個別に試したい人向けのポータルも用意して自由に業務に役立ててもらえるような環境を整備している状況だ。
「現場からも使ってみたいという声が上がるなど、自分が主役になって参加できるようになった点は大きなポイント」と重清氏は評価する。
また、今回は登録された情報の出力部分がカスタマイズされている。報告された苦情は月次でクライアントに報告を行っているが、数十あるクライアントごとに自動集計できるようになっており、報告のための情報収集、レポート作成業務が軽減できている。
「以前は管理している拠点ごとにExcel入力していたこともあり、項目の間違いなどによって集計に時間がかることもありました。今はボタン1つで集計できるなど業務効率化につながっています」と評価する嘉瀬氏。
また、登録された苦情データは、関係者に対して自動的に通知されるようになっており、Excelをコピーしてメールに張り付けたうえで関係者に送付するといった、従来行ってきた作業の手間が大きく軽減されている状況だ。
業務効率化にkintoneが大きく貢献したことで、コールセンターの現場および管理側の工数削減を合算し、結果として月に約5.2人月の業務削減効果が見込まれている。現場からの声としても業務的な負担が減ったという評価が寄せられており、管理側としても「Excelを複数開いて確認したり報告シートを作ったりする手間も削減され、負担は大きく軽減しています」と小泉氏の評価も高い。
他にも、kintone上に設定された共通フォーマットを使うことで入力ミスが軽減できただけでなく、新人のスーパーバイザーが苦情対応する際にも慣れた人と同じように情報が入力できるなど、業務の均質化=業務品質の向上にも寄与していると重清氏。
なお実際の開発については、現場が混乱しないよう自前の基幹システムが稼働する前に運用をスタートしたいと考えていたことで、結果として3か月の短期間での開発が求められた。そこでkintoneディベロッパーである株式会社システムズナカシマが同社のシステム開発をサポートしている。
開発プロセスはプロトタイプを作成したうえで画面を見ながらカスタマイズしていくという、走りながらの開発スタイルを採用した。
「プロトタイプをベースに開発できるのはとても効率的です。プロジェクターに画面を映しながら意識合わせができるのはkintoneならでは」と千葉氏は評価する。システムズナカシマについては「どれだけ簡単に作れるといっても、サポートがあるということはとても心強い。いろいろ相談に乗っていただき感謝しています」と嘉瀬氏。
今後については、苦情管理以外にもすでに全メンバーに情報を届ける通達アプリが動き出している状態で、他にもさまざまな業務にkintoneを活用していきたいという。
「具体的には、過去の対応履歴をはじめとした貴重な情報は、いまだにメール内の履歴やExcel内で管理されており、属人化した状態のまま全体に共有できていません。これをQ&Aの形で全社のポータルで管理していけるようにしたい」と千葉氏。
また、IT部門としてはインシデント管理などの基盤として、そして応答率など業務におけるさまざまなKPIも現状はExcelでの管理が基本となっていることから、これら各種指標もkintone上で管理していきたい考えだ。
「やれるかどうかわかりませんが、現状はeラーニングの仕組みがありません。電話の少ない時間を有効活用することで、コンプライアンス教育や模範的なオペレーター実例の音声ヒアリング、車に関する基礎知識など、学びの基盤としてkintoneを活用したい」と重清氏に語っていただいた。
最後にkintoneについて千葉氏は「業務効率化につながる可能性を秘めたツール」、重清氏は「シームレスな業務支援ツール」、小泉氏は「業務効率化ができる、みんなが集まる場所」、嘉瀬氏は「困ったときに助けてくれる便利ツールのようなもの」とそれぞれ表現していただいた。
システム営業第2グループ
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TEL:03-5821-9761
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弊社は自社パッケージ「NICE営業物語on kintone」と、kintoneによる業務システム開発に多くの実績がございます。
今回の開発では、入力・集計業務の効率化が要件となっており、入力・通知部分をkintoneにて開発、集計部分を外部アプリで作成し、月1回のCSVデータ連携で、今まで同様に集計資料をEXCEL出力するシステムの構築を行いました。
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