ポーラ・オルビスホールディングス 様の導入事例

ポーラ・オルビスホールディングス

【業務内容】
ビューティーケア事業、ポーラ ミュージアム アネックスの運営など
【利用用途】
オークション・抽選販売、来場者管理など
  • kintoneとメールワイズの連携によってチャリティーサイト運営を実現
  • 作品登録から入札、落札通知までわずか1か月で環境整備を実現

化粧品を中心とした「美と健康」に関わる事業をグループで展開している株式会社ポーラ・オルビスホールディングスでは、多彩な企画展を通じて未来へつながるアートを提案するギャラリーとしてポーラ ミュージアム アネックスを運営。アーティスト支援の一環として企画したチャリティーオークションにおけるオークションサイトの運営基盤に、サイボウズのkintoneを採用している。その経緯について、コーポレートコミュニケーション室 ポーラ ミュージアム アネックス ディレクター 松本 美貴子氏および同室 濱田 阿礼氏にお話を伺った。

【課題】チャリティーオークション企画を実現する基盤づくりをゼロからスタート

「感受性のスイッチを全開にする」をミッションに、化粧品を中心とした美と健康に関わる事業を展開している株式会社ポーラ・オルビスホールディングス。POLAORBISの両基幹ブランドを中心に、THREEITRIMなどの育成ブランドや、海外ブランドのJurliqueなど個性豊かなブランドを、日本やアジアをはじめ世界各国に展開する販売チャネルを通じて提供している。現在は創業100周年にあたる2029年に向けた長期経営計画をグループ一丸となって推進しており、「ブランドひとつひとつの異なる個性を生かして世界中の人々の人生を彩る企業グループ」というVision実現を目指している。

そんな同社では、芸術を通して美意識・感性を磨いてもらえる環境づくりにも注力しており、公益財団法人ポーラ美術振興財団が運営しているポーラ美術館の別館の位置づけとして、ポーラ・コレクションから現代アートまで、多彩な企画展を通じて未来へつながるアートを提案するポーラ ミュージアム アネックスを銀座に構えている。「新たなアート・文化の情報発信基地として、2009年にポーラ銀座ビル3階にオープンしました。若手のアーティストを中心とした多くの作品に触れていただけるよう無料の展覧会を定期的に開催し、我々が掲げるミッションを美術の分野から具現化するための環境づくりを行っています」と松本氏は説明する。若手の作品だけでなく、ポーラ美術館所蔵の本格的な西洋絵画を展示する企画展も実施するなど、貴重なコレクションが展示できる設備を兼ね備えていることも特徴の1つだ。

定期的に企画展を開催してきたポーラ ミュージアム アネックスだが、新型コロナウイルス感染症の影響で数ヶ月間の休館を余儀なくされたことが契機となり、アーティストと共同でチャリティー企画を実施することに。「赤十字社への寄付を目的に、賛同いただいた20名のアーティストとチャリティーオークションを企画しました。コロナ禍ということもあり、オンラインでオークションを開催することを決断したのです」と松本氏は当時を振り返る。ただし、もともと入場無料で誰にでも足を運んでもらえるギャラリーだったこともあり、オークションを開催すること自体が初めての体験で、かつオンラインで開催するための環境も未整備の状態だった。そこで、オンラインでチャリティーオークションを実現するための環境づくりを進めることになったという。

コーポレートコミュニケーション室 ポーラ ミュージアム アネックス ディレクター 松本 美貴子氏

【選定】パッケージシステムでは対応できず内製化が必要、短期間での開発に最適だったkintone

同社が実施するチャリティーオークションは、多くのアーティストに参加してもらうこともあって、入札価格が公開されないサイレントオークション形式での仕組みで運営することを検討。そこで、社内の情報システム部門に仕組みづくりの相談を行ったものの、世の中に出回っているのは、価格を公開した状態で競り合い、落札するような一般的な仕組みが多く、金額を伏せて入札を行うパッケージが見当たらなかった。

そんな折、普段から同社とお付き合いのあった企業から提案を受け、サイボウズのkintoneが紹介されたという。「運用したいものがパッケージでは実現できないため、自分たちで開発するしかないという結論に至りました。ただし、ホームページ制作からオークション基盤の開発までオリジナルで構築すると、莫大な金額がかかることが分かったのです。何か別の方法がないか検討していたところ、提案いただいたのがkintoneでした」と松本氏。

そこで、自社の希望するオークション運営について相談したところ、プラグインを上手に組み合わせることで、同社がイメージしたオークション環境が整備できることが明らかに。ただし、アプリを切り貼りしたうえでオークションの仕組みを作り上げていく必要があり、パッケージ化されていないことに不安を感じた部分もあったという。「ITに詳しくないこともあって不安な面はあるものの、逆に言えば切り貼りするだけで我々がイメージした通りのことができるという驚きも大きかった」と濱田氏。

コーポレートコミュニケーション室 ポーラ ミュージアム アネックス 濱田 阿礼氏

実際の開発については、開発経験がないことに加えて、オークション開催もわずか数か月後に迫っていたこともあり、kintone開発に長けたパートナー企業である株式会社ミューチュアル・グロースに相談し、開発を依頼。「当初からパートナー企業にお願いするつもりでいました。ただし、ギリギリになってアーティストから画像が届いた時には自分たちで入稿しなければなりませんし、ちょっとした項目追加や変更なども都度発生する可能性も十分考えられました。自分たちで運用していけることも考慮するなかで、自分たちで触っていけそうなkintoneが最適だと判断したのです」と松本氏は力説する。

【効果】オークション運営という新たな挑戦を仕組みの面から支援するkintone

複数のプラグイン活用とメールワイズ連携、わずか1ヶ月でオークション環境を整備

kintone導入後は、チャリティーオークション用のアプリや、作品の抽選販売のためのオークションアプリを開発。チャリティーオークション開催を決定した段階で残り4ヶ月でサイトをオープンさせるという短期間プロジェクトで、実質的な開発期間は1か月もないほどだった。それでも、開発パートナーの全面的な協力のもと、kViewerやフォームブリッジなど各種プラグインを活用し、メール管理ツールのメールワイズとの連携も含めて、短期間でのアプリ開発に成功した。

オークションに関連した入札管理アプリは、サイレントオークション及び抽選販売それぞれのアプリに分かれているが、基本的には同様の動きだ。作品を制作しているアーティストから受領した出品データをkintoneに入力し、kViewerを使ってその情報を外部に公開。落札希望者はフォームブリッジを使って落札希望金額を入力すると、kintoneにレコードが生成される。入札締め切り日の段階で、重複者のチェックなどを実施したうえで、最も高額だった入札者に対して、kintoneと連携したメールワイズを使って落札した旨のメール連絡を行っている。

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▼アーティストの作品データを管理する作品情報マスタアプリ

▼落札希望者はkViewerにて作品情報を確認し、フォームブリッジで希望入札額を入力

▼締切日に最も高額だった希望者に、落札のお知らせをメールワイズで送信

現状は、年に一度実施するチャリティーオークション関連のアプリのほか、日々のギャラリーでの来場人数管理アプリや、担当者の健康状態を把握するための健康管理アプリも運営している。来場者数の管理アプリは、性別など来場者の簡単な属性を含めて手作業にて数字を入力しており、SNSで情報発信するときの方向性などを決定するときの参考情報として参照するなど、マーケティング活動に生かされているという。

チャリティー活動に対して社内外から高く評価、ITに対するハードルを下げた功績も

今回のプロジェクトでは、アーティストと一緒になって企画したチャリティーオークションの仕組みがkintoneにて短期間のうちに整備でき、結果として赤十字に対する寄付活動につなげることができたことが何よりの成果だと強調する。「オークション活動によって赤十字に寄付できたこの一連の活動が評価され、社内表彰をいただくことができました。また、昨年も継続して寄付活動につなげることができ、厚生労働大臣から感謝状をいただくこともできたのです。社会的な評価につながったことは何よりです」と松本氏は高く評価する。

kintoneに対しては、短期間のうちにオークション開催に漕ぎ着けることができただけでなく、実際の運営もスムーズに実施できたことが大きいという。「他のオークションサイトを参考に、規約の同意といった各種ステップを順次追加していけるなど、kintoneだからこそ柔軟なカスタマイズが可能でした」とプラットフォームとしての柔軟性について評価しているという。

また、これまでIT化が進んでいなかった日々の業務における活用シーンが広がったことも見逃せない。「今でもホームページの更新などIT系の運用は外部にお願いしている部分は少なくありませんが、kintoneを使うことで自ら運用していく自信が持てるなど、ITに対するハードルが下がったことは大きい」と松本氏。さらに、kintoneのおかげで蓄積された情報が視覚的に把握しやすくなったことも大きなポイントの1つ。「メンバーの健康管理などの日報を記録する際にも、Excelでは単なる数字を見るだけ。kintoneであればすぐにグラフ化でき、視覚的に見やすくなると実感しています」と濱田氏。

オークションサイト構築に尽力したパートナーである株式会社ミューチュアル・グロースについては、ゼロベースから仕組みづくりをスタートさせる上でアジャイル的な開発手法を駆使し、同社の要望に応えてくれたと高く評価する。「実際にアプリを作ってもらいながら、その都度必要な項目を議論して柔軟に追加いただくなど、我々に適したアプローチで進めていただけました」と松本氏。「我々のイメージを漠然と伝えるだけで、きちんとタスクに落として課題を見える化していただき、とても進めやすかったです。オークション当日も朝から立ち会っていただいたり、うまくいかない場面ではすぐにサポートしていただくなど、スムーズなオークション運営にも尽力いただけて感謝しています」と濱田氏の評価も高い。開発支援だけでなく、業務改善や新規事業開発支援など、あらゆる側面で支援を行うサービスを持つミューチュアル・グロースだからこそ、短期間のうちにオークションを運用に乗せることができたと評価する。

アーティストとのコミュニケーション基盤や新たな業務への展開にも期待

これまでサイレント形式や抽選販売形式のオークションを開催してきたアネックスチームだが、実は海外からの入札参加もあったことから、日英併記でのオークションサイトを運用していく計画だ。「海外からの需要にも対応できる形で進めていく計画です。寄付先は変わるかもしれませんが、社内的な評価もいただいているため、引き続き継続してチャリティーオークションを続けていきたいと考えています」と松本氏。また、オークション開催時には、事前にアーティストとの間でプロフィールや作品情報のやり取りなどが頻繁に発生するため、情報をやり取りするためのコミュニケーション基盤としてもkintone活用を進めていきたいという。

新たな使い方については「現時点ではまだ検討中ですが、グッズ販売など新たな事業展開も考えており、kintoneをうまく活用していければと考えています」と濱田氏は期待を寄せている。他にも、kintone内の情報を外部に公開する仕組みを用いることで、現在は外注しているホームページの更新作業を内製化することについても検討していきたいという。「制作会社に更新作業をお願いしているため、若干ながらタイムラグが発生します。当然お金もかかっていますので、それがうまくkintoneで吸収できるのであれば素晴らしい」と松本氏。今後については、さらに他業務へkintoneを広げていくような検討を進めていきたいと語っていただいた。(2022年10月取材)

【記事内で登場したプラグイン・連携サービス】

フォームブリッジ(トヨクモ株式会社)

kViewer(トヨクモ株式会社)


※プラグイン・連携サービスはkintoneスタンダードコース以上でご利用いただけます

【この事例の販売パートナー】
株式会社ミューチュアル・グロース

お問い合わせ窓口:
セールスプロモーション部
Tel:03-5577-3037
E-mail:
info@mutual-growth.com

当社はkintoneを駆使し、コンサルティングから開発・運用までを安価な月額定額制サービスで提供しております。
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