大阪産業大学
- 【業務内容】
- 学校法人
- 【利用用途】
- 日報、センサー連携
大阪産業大学 デザイン工学部 情報システム学科は、人にやさしいシステムを開発できるエンジニアを育成している。そんな同大学のヒューマン・ロボット・インタラクション研究室にkintoneが導入された。目的は、卒業研究や就職指導の成果向上と、学生に企業目線を学んでもらうことである。今回は、准教授 髙橋徹氏・特任講師 山田耕嗣氏・kintoneを研究テーマにしている学生 大嶋智子さんに、ゼミでのkintone活用法とその成果をうかがった。
ヒューマン・ロボット・インタラクション研究室では卒業要件の1つに学会などの対外発表を行うことが含まれている。対外発表は学生にとってハードルが高く、大学内での研究にとどまらず、学外や自宅でも研究活動が求められる。企業でいうところのテレワークが必要な状況である。
しかし、2015年ごろ、同ゼミのテレワークにはコミュニケーション面で課題があった。教師と学生のやりとりに無料のメーリングリストを利用していたため自分に関係のないメールが山ほど届き、誰もが必要な情報を把握できなかったのだ。
そこで髙橋氏は、グループウエアの導入を検討。目をつけたのは、クラウドコンピューティングを教えるために教材として利用していたkintoneだった。メーリングリストは無料だったが、髙橋氏自身がサーバーを立てて運用していたため機械のメンテナンスやリプレース費用が必要だった。"kintoneならサーバーメンテナンスから開放され、ゼミの運営にもっと時間を使える。コミュニケーションも円滑になるなら有料でも価値がある” そう考え導入を決めた。
「私には学生に企業目線を身につけてほしいという想いがあります。この指導にkintoneは最適でした。ゼミの研究を推進する活動と企業活動は、限られたリソースの中で成果を上げるという点で同じです。kintoneで報告・連絡・相談を行い、研究を進める体験は、必ず学生の将来に良い影響を与えると確信しています。」(山田氏)
ゼミでのkintone活用は研究報告や就活状況を報告する日報アプリから始まった。その後、2名の学生が中心となり目的に応じたアプリを次々と開発。現在は、20個のアプリが稼働するまでとなった。その中で注目すべきは卒業研究を目的とした『卒研日報』、『就活報告』、照度センサーを利用した『IoTアプリ』だ。
『卒研日報アプリ』は、学生がその日の研究活動を入力すると教員が指導のコメントを書き込む日報アプリだ。以前使っていたメーリングリストは、白紙の画面に報告を書き込むスタイルだったため「何を書いていいかわからない」状況だった。これに対しkintoneは記入項目や適切な文量を表示させておけるため、学生は日報に着手しやすく、教員と学生のコミュニケーションが活発化した。この日報。授業数をもとに年間150件以上の提出が義務付けられている。日報の提出数はkintoneの集計機能を用いてグラフ化され、目標数を下回る学生には声かけを行なうなどのフォローもされる。
『就活報告アプリ』は、その名の通り就職状況の確認とその指導を行なうアプリ。就職に関する教員への相談やエントリーシートの添削、面接などの活動報告が行われている。学生は受ける企業を決めると企業マスタに会社情報を登録。会社説明会・一次面接など、活動段階ごとに面接の質問内容などを細かく記入する。いつ・誰が・どのタイミングで・どのような行動したのか。インターンシップなど、早い段階で始まるクローズドな情報も含んだリアルな就活データは同期生や後輩にとって貴重な資料となっている。
『IoTアプリ』は研究室の入室状況をkintone上で確認できるアプリ。通称 『もしもしぴよちゃん』と呼ばれている。照度センサーとIoT装置のラズベリーパイを連携させ、研究室に人が入室し、電気をつけると照度センサーが反応。kintoneのお知らせに”入室”と表示される仕組みだ。
「外部から入室状況が分かれば、別階の事務所に鍵をとりに行く手間が省けます。便利さを求めてkintoneにログインし、その勢いで研究に着手する流れをつくりたい。そんな狙いがこのアプリに込められています。」(大嶋さん)
同ゼミの研究で、学生のkintoneへのログイン数とコメント数は卒業研究の良し悪しや卒業の可否に大きく影響することが分かってきたという。
学生が同研究室の卒業要件である対外発表を達成するには、対外発表資料を作り指導を受けるなど、教員とのコミュニケーションが欠かせない。そのため、kintoneで教員と学生のやりとりの質やスピードが上がったインパクトは大きく、主に3つの導入成果があった。
1つめの成果は対外発表を達成する学生が増えたこと。kintone導入前の発表率は60%だったが2016年は85%を超え、2017年は100%を達成できる見込みという。2つめの成果は研究スピードの向上だ。2016年10月時点の発表数は1件だったが、2017年同時期には3件と3倍を記録。通年では3倍弱となる見込みだ。3つめの成果はテレワークが軌道に乗ったこと。家庭の事情で6ケ月間ほどんど通学できなかった学生は自宅からkintoneでまめに情報をキャッチアップし、卒業条件を見事に達成。通学に片道2時間かかる大嶋さんは移動中にタブレットで研究報告をすることで学内や家での自由時間が増加。学生生活をより楽しめるようになっている。
「発表件数や研究スピードを上げた1番の要因は、kintoneで一定時間に処理できるコミュニケーション量が増えたことです。パソコンでkintoneを立ち上げておけば必要資料を見ながらメッセージを返信できるため、研究スピードが格段に上がりました。仕様上、返信までの時間が長くなりがちなメールでこれはできません。研究室へのkintoneの導入効果はとても大きいです。」(髙橋氏)
大嶋さんは後輩に向けて「先生と学生のやりとりがもっと円滑になる機能をぜひ作ってほしい。」と今後の想いを語ってくれた。企業目線を研究室に取り入れ、有望な学生を育てる大阪産業大学のチャレンジに今後も注目したい。
本動画に関する著作権をはじめとする一切の知的財産権は、サイボウズ株式会社に帰属します。
kintoneを学習する際、個人や社内での勉強会のコンテンツとしてご利用ください。
データを変形 ・加工せず、そのままご使用ください。
禁止事項
ビジネス資料や広告・販促資料での利用など
商用での利用は許可しておりません。