オイシックス・ラ・大地 様の導入事例

オイシックス・ラ・大地

【業務内容】
ウェブサイトやカタログによる一般消費者への安全性に配慮した食品・食材の販売
【利用用途】
レシピ開発、販売管理
  • Excelでスクラッチ開発された業務運用からの脱却に成功
  • レシピ開発における業務基盤としてkintoneを採用

Webサイトやカタログを利用して一般消費者に有機野菜や無添加加工食品などの安全性に配慮した食品・食材の販売を行っているオイシックス・ラ・大地株式会社では、必要な食材を必要な分だけパッケージ化することで、主菜と副菜をつくることができるミールキット「Kit Oisix」を展開。
このKit Oisixにおけるレシピづくりの基盤としてkintoneが採用されている。その経緯について、業務本部 オペレーション構築部 OisixEC事業サポートセクション マネージャー 堰本 峰代氏にお話を伺った。

【課題】属人化したExcelでは運用が破綻することが見えていた

「つくった人が自分の子供に食べさせることのできる食品のみをお届けする」をコンセプトに、全国の美味しくて安全な食品の発掘を行いながら、青果をはじめ4,000品目以上を取り扱っている有機野菜などの食材宅配ネットスーパーOisixを運営するオイシックス・ラ・大地株式会社。

オーガニック業界で長年の実績を持つオイシックス株式会社と株式会社大地を守る会、そしてらでぃっしゅぼーや株式会社が経営統合することで、日本のオーガニック業界を強力にけん引する存在となっている。全国約4,000人にもおよぶ生産者と提携し、青果や肉、魚、日配品、惣菜、スイーツ、酒類、献立キットなど幅広い食材を一般商品者や法人に向けて提供している。

業務本部 オペレーション構築部 OisixEC事業サポートセクション マネージャー 堰本 峰代氏

そんな同社では、主菜と副菜をつくるために必要な食材を必要な分だけお届けするミールキット「Kit Oisix」を2013年7月より展開。現在は8万人を超える規模の会員が同サービスを利用しており、その規模は拡大し続けている。

毎週20にもおよぶメニュー提案を行っています。主菜と副菜を組み合わせたレシピ開発業務は、基幹システムと連携しながらExcelを中心に行われてきたため、事業が拡大するにつれ、属人的な運用や情報の正確性、連結性など具体的な課題が顕在化してきました。このままでは、近い将来運用が破綻しかねない状況にあったのです」と堰本氏は語る。

実際には、メニューごとにExcelファイルが生成されるだけでなく、各部署に必要な情報を抽出したExcelファイルも個別に存在。毎週100を超えるExcelファイルが新たに生まれる状態だった。

必要な情報が各部署で違うため、それぞれの業務に最適な形で情報を抽出し、Excel帳票の形で渡すだけでも多くの手間がかかっていました。レシピの内容が変更になれば、ほかのExcelに展開した情報も含めて修正する必要があります。天候不順で特定の産地ではすべて調達できないといった事態も起こるため、どの状態が最新なのか判断するだけでも大変な時間がかかっていたのです。Excelでマクロを組んでいる人以外誰も修正できないなど、属人化した運用も大きな課題の1つでした」と堰本氏。

そこで、現状の業務が抱える課題を根底から打開できるものを探すことになったのだ。

【選定】自分たちの運用に合わせて、自ら構築できることに衝撃

相互に関連づけられた情報管理が可能なkintone。Excelに近い概念で設計できる

課題を解決するための第一歩は、帳票的に情報が格納されているExcelから脱却し、相互に関連づけられたデータが整理、格納された形で基盤を整備することだと考えた堰本氏。どんな情報の加工でも、まずは相互に関連づけられた形で情報が入っていれさえすればどうにでもなるはず。きちんとマスターから情報を抽出できるWeb型データベースの姿を目指したのです」

そこで上司から紹介を受けたのが、サイボウズが提供するkintoneだった。

自分たちの運用に合わせた仕組みが、自ら構築できるということに衝撃を受けました。まずは、kintoneでできることを整理し、実現したい要件と照らし合わせて許容できるかどうかを考えていくことにしました」と堰本氏。実際にはその他の業務支援ツールなども検討したが、kintoneが持つ簡潔なインターフェースが現場に伝わりやすいのではと考えたという。

また、ドラッグ&ドロップでフォームが作れるだけでなく、データをジョインするにもルックアップの概念でつなぎ合わせることができる。Excelに近い概念で設計できるのは堰本氏にとって入りやすかったのも大きなポイントの1つだ。

懸念された現場からの反発、kintoneであればメリット含めて説得できるはず

だだし懸念材料だったのが、スクラッチ開発された業務システムに慣れている現場からの反発だった。

「自由度の高いExcelを使い慣れた他部門の現場からすれば、急にまったく別のシステムが突きつけられることになります。それでも、フォームを作成したりビューを絞ったりなど、ユーザーインターフェースが柔軟に変更できるkintoneであれば、何とかメリットを含めて説得できると考えたのです」

実際には、カラムベースでアクセス制限でき、検索性も高まったことによるメリットを実感していた堰本氏。「業務の流れもガラッと変わりますが、最新の情報が入手しやすく、情報を取り出して応用することも容易になる。条件を設定して必要な情報が検索できるなんて、100のExcel帳票を運用していてはとてもできないこと。そういったメリットをきちんと提示すれば、現場にも浸透していくはずだと考えたのです

そこで、アンケートとして寄せられたKit Oisix購入者の声をkintoneに取り込み、メニューに対するレビューを行う仕組みを無料お試し期間内で構築し、メニュー開発や販売部門のメンバーなどへ試験的に展開。

「kintoneのアプリは、インターネットで調べながら1日程度で制作でき、直感的に構築できることも改めて実感できました。現場で触ってもらい、運用できることを確認したうえで起案を行ったのです

その結果、kintoneがKit Oisixにおけるレシピ開発の基盤として採用されることになったのだ。

【効果】Excelからの脱却を成し遂げたレシピ開発基盤

レシピ開発における意思決定の履歴が残せるようになった

実際の運用では、商品が発売される数週間前から企画がスタートし、レシピ開発や試作制作、調達する原材料の決定などを経て、最終的に販売可能な形でWebサイト上に情報が公開される。kintoneでは、原材料情報やレシピ情報などのアプリが作成され、商品ごとに販売スケジュールにあたるバージョンが付加されたうえで1つのテーブル情報として管理されている。

当初は15アカウントでスタートしましたが、今では30を超えるアカウントで運用しています。レシピ決定やパーツ変更における意思決定の履歴がしっかり残せるようになりました」と堰本氏は評価する。

なお、今回はプロジェクトの緊急度が高かったこともあり、ディベロッパーに依頼することを選択、M-SOLUTIONS株式会社が構築を担当。検索プラグインをはじめ、ドロップダウンの絞り込み、ルックアップ更新など複数のプラグインを導入しているが、JavaScriptによるカスタマイズは、属人化を回避する意味でも実施しないポリシーで開発が行われている。

レシピ考案者用にkintoneのアカウントが発行されており、kintone上にレシピを直接登録。そのレシピをもとに社内で試作、試食を通じてレシピが決定する。また、同時並行でECサイト上での見せ方や売り方を詰めていき、コンテンツ生成のためのデータセットがレコードとしてkintone上に登録され、最終的に基幹DBにレコードが投入されることで販売がスタートする。

レシピ考案者がレシピを直接登録可能な『レシピDB』

最新情報の共有が可能に、データ管理における隔たりをkintoneが解消してくれる

レシピに必要な食材は、天候や時期によっては必要数を確保できない場合もあり、別のサプライヤーに打診するなど、柔軟な調整作業が行われている。

「1つのメニューに対して多くの人がそれぞれの意思を持ってコミットするため、どの情報が最新なのか判断がつきにくいケースもありました。今はkintone上に最新の情報が常に残っており、相互に関連づけられた情報管理のおかげで、内容に変更があってもスムーズに更新できます。販売直前までレシピや原材料の産地が変わるほど、ある意味“攻めた”商品であるがゆえに、最新の情報がきちんと共有できるようになったのは大きいと堰本氏は評価する。

使いやすさの面でも評価の声が挙がっている。「データの扱いに慣れた我々のような業務を作る側と、情報を使って現場で業務を行う側には、データ管理において大きな隔たりがあるため、バランスよく双方が歩み寄ることが必要です。その違いをkintoneによってうまく吸収することができました」と堰本氏は力説する。

現場が持つ違和感を解消してもらうべく、参加型のプロジェクトに

今回は、同社の文化として根付いていたスクラッチの仕組みからの脱却という新たな挑戦だったこともあり、現場には業務構築の場面から一緒に参加してもらうことを意識して進めていったという。

「どんなものを提示したとしても、慣れないうちは違和感があるもの。今回は弊社の財産となるレシピ情報をWeb型のデータベースで管理できる基盤整備を最優先に、現場に対してはそこから派生する業務を一緒に作り上げていこうと働きかけました。一緒に参加して業務を作っていくことができるのは、柔軟な仕組みであるkintoneだからこそ」と堰本氏。

今回kintone採用の大きな理由の1つに、情報管理に関する気づきを現場に与えるという目的もあった。従来のExcelであれば、メモ代わりに自由にカラムが追加できるため、際限なく情報が入力できてしまう。今回はあえてWeb型データベースの構造を採用したことで、必要な情報だけを残すことができ、使っていないカラムに対する気づきにもつながると考えたという。

「いたるところにメモ書きされた情報があったため、そのメモが本当に必要なのか判断がつかない場面も。今回は情報整理という意味で、必要な情報を必要な形で残せるようにしています。蓄積された情報の流用も応用も、簡単にできる未来を作っていきたいと語る。

ただし、データ移行については、とても苦労することになったと堰本氏。

「従来Excel内に入っていた情報がフリーフォーマットだったこともあり、当初は何とかCSVで抽出してkintone上に格納しようと試みました。結果としてうまくいかず、最終的には入力インターフェースから手入力し、何とかデータ移行を成し遂げたのです」と移行の苦労を振り返る。

商品企画から販売にまでおよぶ業務プラットフォームづくりという大きな野望

現状レシピエへの情報提供は、kintone上にExcelファイルを添付したうえでやり取りされているが、今後は項目そのものをkintoneに用意し、Excelからの移行をさらに進めていく計画だ。また、CSVなどの手作業で行われている基幹システムとの情報の受け渡しも、EAIツールなどを介在させることで自動連携していきたいと堰本氏。「数多の属人化したExcelを作ってきた当事者だからこそ、周辺に残っている“些末な業務たち”をkintoneという器にはめることで、業務の効率化を図っていきたい」。

現状はレシピ制作から情報公開までのプロセスがkintoneによってシステム化されたが、最終的には製造管理工程まで含めた一気通貫のプラットフォームを構築するという壮大な野望も堰本氏は描いている。

「現状は、現場のAs-Isを整理したうえで、業務をどうつないでいけばいいのかを整理している段階です。販売管理という側面で今回はkintoneを利用しましたが、ほかの部門ではそれぞれの仕組みが使われており、どんなプラットフォームで整備すべきかの議論もまだこれから。レシピ製造におけるkintoneを生かしながらも、商品企画から開発、調達、製造、販売にまでおよぶ業務プラットフォームづくりに、これから取り組んでいきたい」と今後について堰本氏は語る。

【この事例の開発パートナー】
M-SOLUTIONS株式会社

ご連絡は、kintone 担当まで
TEL:03-6892-3166
FAX:03-6892-3926
E-mail:support_smart@m-sol.co.jp

SBテクノロジー株式会社の子会社で、Webアプリケーション・モバイル向けのサービス開発提供を中心に行っています。その実績を活かし、「kintone」を利用した大型案件を含めたシステム開発も多数実施しております。
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