
日経BP
- 【業務内容】
- 出版事業、Webメディア事業、展示会・セミナー事業、カスタム出版、調査・コンサルティングなど
- 【利用用途】
- 顧客管理、案件管理、活動履歴、データ分析、AI活用(検索・分析)



日本経済新聞グループの一員として、メディアを中心に多角的な事業を展開する株式会社日経BP。同社では部署ごとに異なる営業管理システムを利用していたため、顧客情報が分散し、効率的な営業活動を行いにくい状況にあった。
そこで2024年、一部の部署で使われていたSFAを刷新し、kintoneへ集約するプロジェクトを始動。営業・顧客情報を一元化するとともに、全社規模でデータを活用できる基盤を構築した。現在は、kintone AIを活用しながら、営業活動のさらなる高度化を進めている。本プロジェクトを推進した同社メディア・事業システム開発ユニット長の島津 義貴氏と同じく同ユニットに所属する高槻 長尚氏、多々良 卓弥氏に話を伺った。
ビジネスやテクノロジー、ライフスタイルなど、幅広い分野で専門メディアを展開する日経BP。蓄積した知見を生かし、企業向けのイベント企画やコンサルティング事業も手がけるなど、多くの企業との接点を持っている。近年は、業務システムを自ら設計・改善できる体制を目指し、CMS(コンテンツ管理システム)をはじめとするシステムの開発・運用の内製化を推進してきた。
その中で浮き彫りになったのが、SFAの運用に関する課題だ。各部署で異なるツールが併存し、業務の足かせとなっていたのだ。その状況を、メディア・事業システム開発ユニット長の島津 義貴氏は次のように説明する。
「社内では、特定のSFAが最も多く利用されていましたが、部署ごとに登録情報の粒度や運用方法が異なり、しかも部署間で独立した環境になっていたため、それらをまたいだ情報連携ができないケースもありました。また、同SFAの利用コストがネックになって全社活用が進まず、営業管理に別の情報管理ツールや表計算ソフトを使っていた部署もありました」(島津氏)
こうした状況が生まれた背景を、メディア・事業システム開発ユニット企画委員の高槻 長尚氏はこう説明する。「全社規模でITガバナンスや共通システムを整備するより前に、部署ごとに必要なシステムを導入してきました。それを継ぎ足すかたちで個別最適化が進んでいったのです」(高槻氏)
その結果、営業情報が部署間で分断され、別の部署がすでに接点を持っている顧客に重複してアプローチすることもあった。同ユニットの多々良 卓弥氏は「顧客に迷惑をかけることになりますし、自社としても、それまでの接点履歴を生かした提案活動ができないのは非効率だと考えていました」と振り返る。

株式会社日経BP メディア・事業システム開発ユニット長 島津 義貴 氏

株式会社日経BP メディア・事業システム開発ユニット 企画委員 高槻 長尚 氏
こうした課題意識のもと、2024年後半にスタートしたのが、全社でSFAを統一するプロジェクトだった。部署を超えて情報を共有できる体制を整え、営業活動を効率化することを目指した。
その際、社内で最も利用率の高かったSFAに統一するというアプローチは、ほぼ検討しなかったと島津氏は語る。営業活動で管理すべき項目は部署ごとに異なるため、SFAのカスタマイズは必須だったが、同SFAでは個別開発に専門的な知見と時間を要することが大きな課題だったからだ。
とはいえ、他の情報管理ツールや表計算ソフトに統一すれば、ステータス変更などを手作業で行う必要があるなど運用負荷が大きいうえ、検索性にも課題が残る。
こうした要件を満たせる製品として選んだのが、kintoneだった。島津氏は「コストを抑えながら柔軟にカスタマイズでき、プログラミング知識を持たない社員でもノーコードで改修できます。最初からkintoneを第一候補に検討を進めていました」と明かす。

株式会社日経BP メディア・事業システム開発ユニット 多々良 卓弥 氏
こうしてkintoneの採用を決めた日経BPは、全社一斉ではなく、部署や機能ごとに段階的な導入を進めていった。
まず第1フェーズでは、主に情報管理ツールや表計算ソフトを使っていた部署を対象に、案件管理やアタックリストの作成・共有といった基本的なSFA機能を構築した。続く第2フェーズの対象となったのは、前述のSFAを利用していた部署だ。同部署は広告商品の運用管理もSFA上で行っていたため、基本的なSFA機能とは別に、広告商品の運用に対応したシステムを新たに開発。さらに第3フェーズでは、イベント企画を担う部署に対象を広げた。同部署では申し込みや問い合わせで得たリードをMAツールで管理しており、kintoneとMAツールを連携させる仕組みを新たに構築した。
一見すると戦略的な進め方に見えるが、当初は何が正解なのか分からなかったと島津氏は明かす。そんな中で支えとなったのが、kintoneの導入を支援するパートナー企業であるコムチュアの存在だった。高槻氏は「コムチュアさんはプロジェクト全体を俯瞰し、『今何を決めるべきか』を整理しながら伴走してくれました。だからこそ、手探りだった私たちでも着実に導入を進めることができました」と振り返る。
その支援は、SFAの移行作業で課題に直面した際にも力を発揮した。その一例が、既存システムの仕様書と実際の運用内容の不一致だ。
「既存のSFAは現場でたびたび改修が行われていて、仕様書への反映が追いついていませんでした。そのため、仕様書通りにkintoneを構築すると、一部で数字や計算結果に差異が生じてしまったのです。そこで、実際の運用を一つひとつ確認しながら差異を洗い出し、従来のデータを正確に引き継げるよう調整を重ねました 」(高槻氏)
一方で、導入を成功させるためには、自社で取り組むべき課題もあった。移行にあたっては、どのデータをkintone上でどう管理するかというマッピングに加え、個人情報や機密情報の取り扱いが論点となった。そこで、取引先情報などをどこまで扱ってよいかを定めた社内規約を改訂し、kintone上で適切にデータを扱える体制を整えた。
kintone導入の結果、「当初の期待通り、社内で分散していた情報を統合し、共有できるようになりました」と島津氏は評価する。
その中核となったのが「案件管理アプリ」だ。「企業マスタアプリ」と「活動記録アプリ」との併用で、企業顧客の属性情報に加え、過去の営業活動における接点履歴まで、部署を超えて参照できるようになった。さらに、API連携によって社内の情報共有・ファイル管理基盤をkintoneと接続し、大容量の提案資料も案件ごとに紐付けて管理できるようになっている。
また、販売管理システムのデータをもとに企業ごとの販売履歴や営業担当者を確認できる「購買履歴アプリ」、代理店を介さない取引を申請する「直取申請アプリ」などをはじめとする、数十もの業務アプリを構築。案件管理の枠を超え、営業活動に必要な情報を一元的に参照できる環境を整えた。
従来のSFAのように、コスト面の制約からアクセスできるアカウントを絞る必要がなくなったことで利用者が大幅に増えたこともあり、多々良氏は「社内で情報の『横連携』が行いやすくなりました」と語る。
(案件管理アプリの画面)
もう1つの大きな成果が、データ分析基盤の整備だ。
以前使用していたSFAでは、分析したい切り口ごとにレポートを作成した結果、レポート総数が1,000以上になり、管理が追いつかない状態に陥っていた。そこで、kintone上のデータをBIツールへ自動で同期し、分析結果をリアルタイムで参照できる仕組みを構築。「いつでもすばやく、希望通りのデータ分析を行えるようになりました」と高槻氏は語る。
さらにMAツールや名刺管理ツールなどとも連携を進めたことで参照できるデータが増え、営業活動をより広範囲かつ多角的に分析できる環境が整った。
こうした情報共有やデータ活用を支えているのが、kintoneの拡張性と柔軟性だ。
「一般的なパッケージ製品は、他ツールとの連携が難しかったり、自社の業務フローに合わせたカスタマイズに時間がかかったりすることがあります。私自身、前職でエンジニアとしてシステム導入に携わった際、『こんなことなら最初からスクラッチで開発した方がよかったのでは』と思うこともしばしばありました。一方、kintoneは他ツールとの連携もしやすく、エンジニアでない社員でもスピーディーに改修できます。この拡張性と柔軟性のおかげで、やりたいことはすべて実現できました 」(島津氏)
高槻氏は、まさにそういったkintoneの良さを象徴する存在だ。もともとはメディアの編集者だったが、現在では自らkintoneを開発・改修している。
「kintoneは、自分で気軽に追加開発できるのが楽しいです。社員からも項目追加や配置変更などの要望が一気に増えて大変ですが、社内ですぐに対応できるのは大きなメリットですね」(高槻氏)
こうした情報共有・データ活用の動きを、さらに後押ししているのがkintone AIだ。高槻氏は、「各種アプリを横断した一括検索により、必要な情報へすぐにたどり着ける状態をつくるべく、参照するアプリの設定見直しやデータの整備を進めている段階です。営業担当者が『訪問先企業の商談・取引履歴を横断的に調べる』といった実務で効果を実感できるよう、検証を重ねています」と語る。
(kintone AIの検索AI画面)
現場の営業担当社員だけではない。マネジメント層も「レコード一覧分析AI」機能を用いて社員の営業実績を分析するなど、データ活用の幅が広がっているという。
高槻氏は「レコード一覧分析AI機能の対象レコードが広がれば、社員ごとの営業活動を比較しやすくなります。そこから営業スキルの評価や課題分析、改善策の提示まで行ってくれるようになれば、kintoneは単なる業務効率化ツールではなく、社員の成長を支えるツールにもなるはずです」と期待を寄せる。
島津氏は「今後は開発の第4フェーズ、第5フェーズを通して、営業活動で連携することの多いグループ会社にもkintoneを導入する予定です」と語る。グループ全体でSFAを統一することで、さらなるコスト削減と営業効率化を目指す。
また、kintoneとデータウェアハウス(DWH)を連携させ、データ活用をさらに高度化する構想も描いている。「DWHには、顧客の属性情報やWebアクセスデータ、課金データなど、膨大なBtoCデータが蓄積されています。kintoneに集約したBtoBデータと掛け合わせることで、見込み顧客の推定などもできるのではないかと考えています」と島津氏は語る。
「入れて終わりではなく、常に進化し続けるのがkintoneの良いところです」と島津氏。いずれはSFA以外の領域でもkintoneを活用し、さらなる業務改善と効率化を図っていく考えだ。
■お話を伺った方
メディア・事業システム開発ユニット長 島津 義貴氏
メディア・事業システム開発ユニット 企画委員 高槻 長尚氏
メディア・事業システム開発ユニット 多々良 卓弥氏
(2026年7月取材)
コムチュアは、kintoneやGaroonの導入支援だけではなく、営業BPR(業務改革)、営業DX、生成AIを活用した営業AXまで一貫して支援するパートナーです。
営業プロセスの可視化・標準化から、データ活用基盤の整備、AIを活用した業務高度化まで、お客様の継続的な業務改善や生産性向上、コスト削減をサポートします。
20年以上にわたるグループウェア導入・活用支援実績を活かし、業務課題に最適なコンサルティング&ソリューションをご提供します。
その一例として、営業改革・営業DXを支援するサービスメニューをご紹介いたします。
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