中野製薬 様の導入事例

【kintone 導入事例】ワークフローアプリと基幹システムの連携でNotes時代と変わらぬ利便性を実現。(中野製薬株式会社)

事業概要

中野製薬株式会社は、美容室向けの頭髪化粧品及び医薬部外品の製造・販売を行っている。特にスタイリング ワックスを代表とするスタイリング料には定評がある。美容室のプロデュースにも力を入れており、サロン経営のセミナーや、スタイリング技術を競う美容師向けのイベントの主催なども行っている。

そんな同社の情報共有に十数年利用されてきたNotesを、サイボウズのクラウドサービス「Garoon on cybozu.com」と「kintone on cybozu.com」に移行した。十数年ぶりの移行の決断は、どのように下されたのだろうか。「システムによる『働きやすさの提供』と『時間の創造』がSIチームのミッション」と語る、営業支援統括本部 管理本部 SI 松山一顕氏にお話しをうかがった。

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導入前の課題モバイルから活用できる、時代にあったグループウェアを

中野製薬では、14年間社内の情報共有にNotesを利用してきた。離れた拠点の社員との情報共有や電子決裁など、日々の業務に密着したシステムとして活用されてきたが、ビジネス環境の変化や社員からの要望により柔軟に対応できるシステムを求めて、グループウェアを見直すことになった。

「十数年前にNotesを導入したのですが、その頃とはグループウェアの市場も変わっています。外出の多い営業マンなどから、パソコン以外の端末からも社内の情報にアクセスしたいという声が上がったことや、社長よりNotesが今のビジネスシーンにとって最適なのかという問題提起をいただいたことが、新たなグループウェアを検討するきっかけになりました。」

同社の社員の中で、営業マンの比率は高い。全国の美容サロンがお客様とあって、営業拠点のある関西と関東以外のエリアには、1?2週間出張が続くということもある。このような背景もあり、新たなグループウェア選定は急速に普及の進む「スマートフォンからアクセスできること」が第一条件となった。

導入の経緯「kintone」のワークフローアプリと基幹システムの連携が選定のポイント

「検討の段階では、他社のグループウェアもいくつか見ました。国産のソフトウェアはそれぞれ個性がありますが、サイボウズが決め手になったのは、『kintone』の存在が大きかったです。スケジュール、掲示板、メールなど社内の情報共有に必要な機能は、『Garoon』の標準機能だけで十分満足できるものでした。ただ、決められた機能だけではどうしても社員の要望に応えきれません。『kintone』なら、標準で搭載されているアプリケーションを補って、社員の利便性を向上させることができると思いました。」

中でも、業務に合わせたシステムが求められていたのが、ワークフローだった。例えば、経費精算では、営業マンが登録し、上長の承認が下りた申請に対して、経理が勘定項目を入力。その内容が、基幹システムに自動的に登録されるという仕組みをNotesで構築していた。システム連携によって営業マンがNotesに登録し、そのNotesデータを元に経理が基幹システムへというように二重登録を削減することで、作業の軽減はもちろん、誤入力も防げていた。そのため、新しいグループウェアを選定するときにも、基幹システムとの連携は外せない要件となっていた。 そこで、ワークフローは業務に合わせて柔軟なアプリケーションを作成できる「kintone」で構築した。二重登録の削減の仕組みは、株式会社アプレッソが提供するデータ連携ソフトウェア「DataSpider」を利用した。「DataSpider」を使うことで、開発コストを抑えながら「kintone」で作ったプロセス管理のアプリケーションと、AS400とを連携することができた。

Notesをリプレイスするソリューションとしては、「Garoon」と「kintone」が最適だという結論が出てから、最終的にはNotesの運用とのコスト比較を行った。 オンプレミス型のNotesとクラウドサービスの「Garoon」と「kintone」では、単純なライセンスコストの比較だと「Garoon」/「kintone」が高くなる。しかしながら、アプリ作成の内製化や、クラウド活用により削減できるハードウェアやバージョンアップにかかるコスト、これまで導入できていなかったモバイルからのアクセスを想定した場合の試算などでは、Notesを使い続けるよりも、「Garoon」と「kintone」にコストメリットがあることがわかった。

導入効果Notesのリプレイスに成功し、利便性が向上

「DataSpider」による基幹システムとの連携ソリューションの開発、松山氏による「kintone」アプリの作成や、各事業所で開催した社員向けの説明会を経て、「Garoon」と「kintone」の運用が始まった。稼働後1ヶ月間は、移行期間としてNotesと「Garoon」/「kintone」を併用したが、それ以降Notesの利用は停止した。Notesのデータは必要なときだけ、特定の端末から閲覧できるようになっている。

「『Garoon』は1画面に情報が集約されているので、わかりやすくなったと思います。スムーズな乗り換えにもわかりやすさは有効でした。また、Notesのスケジュールは使いづらい部分があってあまり使われていなかったのですが、『Garoon』のスケジュール管理はよく利用されています。」

操作性の向上だけではなく、社員からは、パソコンと個人の携帯電話、スマートフォンと、様々な端末からグループウェアにアクセスできるようになったことが非常に便利だという声が上がっているという。今までスマートフォンを含むケータイからは、社内メールしか見られなかった。「Garoon」に移行してからは、掲示板やスケジュールなど、必要な情報を網羅できるようになったため、すき間時間を有効に活用できている。

「Garoon」のポータル画面。スケジュールの確認や、自分宛ての通知を一画面で確認することができる。

「kintone」のトップページ。この画面で、利用するアプリを選択する。


外出中は、スマートフォン専用アプリケーション「KUNAI」を使ってグループウェアにアクセスしている。

また、管理者の立場でも、クラウド環境になったことによるメリットは大きい。「Garoon」と「kintone」の場合は、Webブラウザー経由でアクセスするため、専用のクライアントソフトのインストールが不要。これまで、クライアントソフトの設定にかかっていた時間も大幅に削減できた。また、サーバーマシンの稼働状況やバックアップの確認、障害対応も不要になった。

システム連携の仕組みには、データ連携ソフトウェア「DataSpider」の「kintoneアダプタ」を利用して、コストや構築期間を低減している。

以前の運用では、アプリケーションの開発をアウトソースしており、一回数十万円~数百万円にも及ぶ外注費がかかっていた。コストがネックとなり、新しいデータベースの開発や改修が思うように行えないということもあった。

オンプレミスで運用していたときは、社内にサーバーマシンを置くオンプレミス型の運用を行っていたため、アラートやバックアップの確認は毎日行わなければならい。さらに、クライアント・サーバー型のシステムだったため、クライアントマシンの入れ替えやバージョンアップ時には、1台30分程の作業時間を掛けて、専用クライアントをセットアップする必要があった。

利用方法

①給与明細配信アプリ

毎月の給与明細を各社員にお知らせする、給与明細配信用のアプリ。もちろん、自分の給与明細以外にはアクセスできないよう、レコードごとにアクセス権がかかっている。


②経費精算

「kintone」のプロセス管理の仕組みを利用して、担当者が登録した申請を上長が決裁する運用を行っている。イレギュラーが発生する可能性があるため、勘定項目の仕分けは経理が手動で行っている。仕分けが必要な申請は絞り込みで定期的に確認する。仕分けが済んだ申請は、自動的に基幹システムに取り込まれる。


③返品/クレーム

「kintone」に登録した返品/クレームに承認が下りると、自動的に基幹システムにも登録される仕組みを構築している。返品を受けた担当者は、「kintone」の返品/クレーム管理のアプリに登録。プロセス管理機能を使って、販売や生産管理、品質管理の責任者の承認が下りると、「DataSpider」を経由して基幹システムに、返品があった商品や販売先、金額などが登録される。

また、返品/クレーム管理のアプリでは、変更履歴の機能を重宝している。変更履歴を見れば、「だれがどう変更したのか」がわかるので、ミスがあったときも対策が立てやすくなった。


④勤怠管理

「kintone」のプロセス管理の仕組みを利用して、勤怠管理の申請フォームを作っている。上長の承認が下りた申請は、自動的に基幹システムに取り込まれる。


今後の展望内製化のメリットを活かし、さらなる業務効率の向上に取り組みたい

これまで、Notesで行っていた業務を滞りなく移行することを優先してきた中野製薬だが、これからは新しい機能も積極的に活用することを検討している。

「『Garoon』の機能ではスペースをもっと有効に使いたいですね。導入前から便利なことは分かっていたので、複数部署のメンバーが関わるプロジェクトで有効に活用していきたいと考えています。」

「kintone」についても、現状はNotesで使っていたワークフローからkintoneのアプリへの移行が完了した段階。次のフェーズとして、Notes時代には外注費がネックとなり、諦めざるを得なかった紙の申請書の更なる電子化に取り組みたいという。電子化が実現できれば社員の利便性は確実に向上すると知りつつも、これまでは費用対効果が見合わないと判断されていた紙の申請書が多く残っている。

「『kintone』のアプリなら、外注コストがかかりませんし、アプリ作成にかかる時間もそれほど多くないのでコストメリットが十分に見込めます。ワークフロー以外にも、部署ごとや個人ごとに管理しているExcelのデータを、『kintone』でうまく活用できれば便利だろうと思います。各部署にヒアリングをしながら、取り組みを進めたいと考えています。」

十数年来Notesで行っていた情報共有のプラットフォームを、サイボウズのクラウドサービスに移行することに成功した中野製薬。これからは、さらなる業務効率向上の取り組みに、「Garoon」と「kintone」を活用していく。

(2013年12月取材)