中島工業
- 【業務内容】
- 工場設備、産業用空調、給排水、井戸、水処理の設備工事など
- 【利用用途】
- 工事情報、顧客履歴管理、進捗管理など
大阪市淀川区に本社を構える中島工業株式会社様(以下、中島工業)は、工場向けに「水と空気にチカラを与える会社」として、水と空気に関連したサービスを90年以上にわたって提供している老舗企業。古くは井戸の掘削や付帯設備施工から始まり、給排水設備、水処理、産業用空調、クリーンルームなど分野を拡大し、近年では施工だけに留まらず工場の丸ごとリニューアルや工場建築のアドバイザリー業務まで広がった。そんな同社では「さらにより良いサービスを顧客に提供するにはどういった改善が必要か」「お客様に喜んでいただくために何をすべきか」ということを常に考え、日々研鑚を重ねているという。その上で欠かせない情報基盤となっているのが「kintone」だ。今回は中島工業株式会社 代表取締役社長 山脇秀敬氏、BIリーダー 普天間大介氏にお話を伺った。
中島工業は大阪の本社を中心に、関東圏から九州まで全国各地に拠点を構えている。
「当社は新築案件はもちろんのこと、既存設備のメンテナンス等も重視しています。そのため、お客様のそばで支援ができるように全国14か所に拠点を置いているのです。お客様の要望に現場で素早く対応できるだけでなく、お客様の工場の隅々まで把握しているので、お客様のニーズにあわせて一歩進んだ提案もできるので、より質の高いサービス提供に繋がっています」(山脇氏)
そう語る一方で、拠点間の情報共有にも課題を抱えていた。
「当社は創業から90年以上の歴史があり、そこには長年培ってきた施工技術やノウハウがたくさんあります。しかし分散型の組織ではそういったノウハウが各拠点間に埋もれてしまい、共有といってもせいぜい個人間で電話をするくらいでした。例えば「省エネ」や「フードディフェンス」など、場所は違えども全国に同じテーマで動いている仲間たちがいるのに、各自の持つ様々なノウハウが共有できていなかったのです」(普天間氏)
そういった課題解決のために以前は「salesforce」を導入したこともあったが、なかなか社内に浸透せず、結果は大失敗に終わったと山脇氏は振り返る。
「先にも述べた通り、当社が90年以上続いてきた背景には現場に眠る多種多様なノウハウがあります。それは技術だけでなく仕事のやり方も同じです。それらを市販のツールに合わせて標準化してしまうことは、当社の強みを殺してしまうことになってしまいます。しかし自社に合わせて1からシステムを構築するにはコストがかかりすぎるし、専任のシステム担当者も必要になります。コスト削減のために利用アカウント数を絞るなどもしましたが、それでは当然全社的に浸透するはずもなく、3か月程度で断念してしまった経緯がありました」(山脇氏)
kintone導入以前、中島工業では先述した「salesforce」以外にも業務プロセスの一部に「Lotus 1-2-3」を利用していた。
「集計作業などには「Lotus 1-2-3」を使っていたのですが、システムの仕組みを分かっていたのはごく一部の社員だけでした。つまりその社員が異動や退職してしまったら、誰もそのシステムを触れなくなってしまうような状況だったのです」(普天間氏)
その他、社内で利用されていたツールは主に「Excel」と「紙」。それぞれ異なるフォーマットのExcelデータをコピー&ペーストして、紙に出力して…という作業が毎日多発していた。
「以前はとにかく手間と時間をかけて情報を管理していました。紙も多かったですし、何とか工数や紙を削減できる手段は無いかとさまざまなツールを探しました。中小企業は投資負担の観点からすると、システムの完成までに何か月も何年も待っていられない。要件が決まったらすぐに実行できるようなスピード感のあるツールを求めていました」(普天間氏)
こうした背景から、自社のノウハウやスタイルにあわせて柔軟にカスタマイズできるツールを色々と模索し始めたところ、普天間氏がSNSで「kintone」の存在を知ったことが導入のきっかけになったという。
「たまたま知人がSNS上で「kintone」についての話題を上げていたのを見かけて、すぐにサイボウズに問い合わせをしました。営業の女性の方に何度も問い合わせをして、導入前に「kintone」で実現できること、できないことをしっかり峻別しました。最終的に「kintone」は当社のビジネスモデルや企業文化に合うシステムだと判断し、導入を決めました」(普天間氏)
中島工業では「完璧よりも早期リリース」をモットーに「kintone」アプリの作成を進め、結果的に3か月で80を超える基幹業務アプリを制作することに成功した。早期リリースすることで現場が炎上することもあったが、「現場からのクレームは宝の山」とクレームから素早くシステム化することで、「一緒に作り上げていく」「言ったことが形になる」という利益実感をもたらす努力を続けていったと普天間氏は語る。
「当社は率直にモノを言う風土なので『使いにくいから何とかしてくれ』という声も多く上がりました。そのうちに『こんな情報をうまく管理できないか?』という相談や提案も上がるようになり、今では社員たちと共にシステムを育てているような感じです」(普天間氏)
「kintone」導入以前、社内の情報のほとんどをExcelや紙で情報を管理していたため、地道な作業が多く、手間と時間をかけて情報を管理していた同社。社内の情報を「kintone」で管理するようになって各社員の工数が削減されたが、中でも「データの検索性」については特に効果を発揮しているという。
「たとえば『あの工法どこかでやっていなかったっけ?』『資格保有者は何人?』『どこまで支払指図が完了している?』というような探し物も「kintone」で検索すればすぐに探し出すことができるようになりました。また、ちょっとした数字の確認なども以前は人に聞いたりファイルを探し出したりしていましたが、今は工事番号などで検索すればすぐに必要な情報を確認することができます。日常行動の簡素化とともに、確認漏れなども未然に防げるようになりました」(普天間氏)
また、工数削減というメリット以外にも社内のコミュニケーションの円滑化や、経営者視点での情報共有にも意外な効果も発揮したそうだ。
「受注・工事情報はもちろん、顧客履歴管理、進捗管理などさまざまなアプリの情報をダッシュボード(スペース)にまとめて逐一確認しています。特に顧客履歴管理には「いいね!」ボタンを付けてもらったので、社員の活動に「いいね!」を押したり、コメントで直接賞賛したりしていますよ」(山脇氏)
「やはり『社長が自分の活動を見てくれている』というのは社員にとっても大きなモチベーションになります。ひとつひとつの行動は地道なものでも、積み重ねていくことで色々な情報が繋がったり、大きな成果に紐づいていったりすることが目に見えて分かるのがいいですね」(普天間氏)
社内の情報の入り口となる「ポータル」
顧客履歴管理アプリの画面。多数のコメントがやり取りされている
「今はkintoneさえ見れば社内外の状況がリアルタイムに見えるので、暇さえあればkintoneを見ています。もっと現場に行かないといけないんですけどね(笑)。74歳になる会長も、iPadでkintoneを見ていますよ」(山脇氏)
その他にも、2016年4月に発生した熊本地震の際には「kintone」を使ったスピーディーな情報共有により、質の良い提案を生み出したという。
「熊本地震が発生した時に、熊本に工場を持っていらっしゃるお客様が全社内に向けて設備の転倒防止など、耐震対策を始めるよう指示を出したそうです。その情報を当社内でも「kintone」を使っていち早く共有し、各地の拠点で耐震補強のご提案をしました。当社の素早い対応にお客様も大変喜ばれたのが印象的です。これこそ、まさに超分散型組織でのノウハウ共有を活かした取り組みだと思います」(普天間氏)
熊本地震が発生した時の、実際のやり取り
さらに山脇氏は「kintoneを活用して、短い時間でもっと利益を上げられる工夫をしていきたい」と、今後の展望について語ってくれた。
「社員たちは仕事に対してとても前向きな人たちばかりです。逆に頑張りすぎてしまうケースもあったのですが、以前はそのあたりがあまり管理できていませんでした。今は「kintone」で各社員の動きもリアルタイムに把握できるので、あまり休めていない社員には休むように指示をしたりします。社員たちには元気に、できるだけ長く働いてほしいので、ある程度は経営者がブレーキをかけていかなくてはいけないと思います。だからこそ、労働時間が短くなってもしっかり利益を増やしていけるような仕組みづくりが必要です。まさに働き方の改革ですね。ITの第一段階は進みましたが、さらに一歩進んだ『スマートガテン化』を進めていきたいですね。」(山脇氏)
現場の声を常に吸い上げながら進化し続ける中島工業の「kintone」。まさに“生きたツール”の成長は、まだこれからも続いていくだろう。
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