ミヨシテック 様の導入事例

ミヨシテック

【業務内容】
設備工事事業
【利用用途】
業務の進捗管理、経営指標の見える化
  • 社内からのクレームの嵐を乗り越え 基幹情報のkintone集約を成し遂げた
  • 社長とkintone担当 二人三脚の軌跡

株式会社ミヨシテックは大阪府寝屋川市の本社を中心に寝屋川市・枚方市南部エリアに5つの拠点を持つ設備工事事業者だ。大阪ガスの特約店として、空調工事・住宅設備機器工事・ガス工事を行うほか、水道工事・電気工事・リフォーム工事も手がけている。顧客管理システムのクラウド化のためにkintoneを導入した同社の取り組みを社長の永谷氏と藤原氏に話を伺った。

社長の直感で決まったkintone導入。アプリはすぐに構築できたが社内浸透が進まなかった

ミヨシテックは売上30億で社員数は111名、2022年に創業50周年を迎えた。三代目社長の永谷氏はITに関心が高く、これまでも積極的に新しいシステムを導入してきた。そんな同社で2019年、利用してきたオンプレミスの顧客管理システムがサーバー更新時期を迎える。従来からクラウド化したいと考えていた永谷氏は販売店の紹介でkintoneを知った。

それまでの顧客管理システムは、社内の限られた端末からしかアクセスできないなど制限が多かったが、kintoneはタブレットやスマートフォンなどデバイスを選ばず、社外からでも使える。永谷氏の第一印象は「めっちゃええ感じ!」だった。kintoneの導入はすぐに決定し、システム課の藤原氏が担当することとなった。そして藤原氏は販売店のサポートのもと、9つのアプリで顧客管理システムを構築する。スピーディーに構築できたことに藤原氏は満足していた。

しかし顧客管理システムの活用は進まなかった。入力画面などの見た目がこれまでのシステムと違うことに社員からの抵抗が強く、また同じ項目を異なるアプリに何度も入力しなければならない設計だったからだ。説明が判りにくい、専用のマニュアルがほしい、どうせまた数か月で消えるシステムなんだから使いたくない、など藤原氏はクレームの嵐に見舞われた。

 「私自身、kintoneはスイスイ構築できて分かりやすいと思っていたので、社員との温度感の違いにショックを受けましたし、辛かったです。大きくてかっこいいシステムを作って成果を出さなければ!と気負っていたところもあったと思います。そのせいで入力項目が多く、複雑なアプリが出来上がってしまい、使ってもらえないという本末転倒な結果に。一人では抱えきれなくなり、社長に相談したら、『小さいもんでええやん、簡単なことから始めようよ』と言われたんです」(藤原氏)

 「まずは事例を見るだけでいいよ」という永谷氏のアドバイスもあり、藤原氏は積極的にkintoneのセミナーに参加して他社事例を研究するようになった。そしてあるセミナーで、スマイルアップの熊谷氏と出会う。

 「IT化というとみんな最初から効率化したがるけれど、成果を上げるためにはまず情報収集と集約。その先に効率化がある

 熊谷氏のこの言葉に強く共感し、kintoneの導入コンサルティングを依頼。そして永谷氏と藤原氏は「何がなんでもkintoneに情報を集める」ことを決心した。

いきなり効率化を目指さない。まずは収集と集約に徹した

kintoneに情報を集約すると決めた永谷氏と藤原氏は、さまざまな改革に着手する。まず、度重なるシステム変更で疲れている社員の抵抗感を和らげるため、コミュニケーションは既に馴染んでいた「Chatwork」を継続利用することにした。その上でkintoneの操作に慣れてもらうため、毎日使える簡単なアプリを作成しようと考えた。

ミヨシテックでは毎日たくさんの工事を行い、その都度ゴミが出る。同社のような工事事業者にとってゴミを適切に処理することは重要な業務だ。そこでゴミの量を記録する「ゴミ回収記入アプリ」を作成。入力項目が少ないシンプルなアプリだったが、当初はなかなか入力してもらえなかった。そこで実際のゴミの量とアプリに入力された量の差を可視化したのが「ゴミ回収管理アプリ」だ。工事で出るゴミは、バッカンと呼ばれる鉄製の大型容器に一時的に保管される。バッカンごとに管理番号が付与されているので「ゴミ回収管理アプリ」ではその管理番号をキーにして「ゴミ回収記入アプリ」のレコードを関連レコードとして表示。さらに「ATTAZoo+(アッタゾー)」(※JBアドバンスト・テクノロジー株式会社が提供するkintone連携サービス)を使って関連レコードのゴミの量を集計できるようにし、実際のゴミの量との差異を算出した。それを社員みんなが見る「Chatwork」で周知した。すると「あの工事のゴミは処理できてる?」「もうアプリに入力しましたか?」と社員同士で声をかけたり、フォローできるようになった。以前から「Chatwork」上でゴミ処理についてやりとりしていたが、kintoneに入力・集計することで常に最新のデータが確認できるようになり、コミュニケーションのムダもなくなった。そしてkintoneにデータを集めることのメリットを自然と社員が感じられるようになった。

次にデータを二重・三重に入力する手間を省くために他システムと連携したり、業務フローの見直しを進めた。特に効果が出たのが「電話伝言アプリ」だ。電話受付業務は元々「Chatwork」で内容を伝言したり、折り返しの電話番号を連絡したりしていた。手入力だったため、入力間違いや入力忘れ、担当者の宛先ミスなどが発生したり、対応状況がわからないなどの課題があった。そこで電話入電システム「カイクラ」を導入し、かかってきた電話の宛名や電話番号を「カイクラ」からkintoneの「電話伝言アプリ」へボタン一つで登録できるように連携。入力の手間を削減しながら間違いも防止できるようになった。さらに「電話伝言アプリ」で担当者を入力すると、その担当者宛に「Chatwork」で通知が飛ぶ。その通知に「電話伝言アプリ」の該当レコードURLも入れたので、対応状況の更新もスムーズになった。

社内からのクレームに対しては、パターン別の対応方法を熊谷氏から教わった。「なぜやらなければならないのかわからない」といったクレームには目的をしっかり説明する。「やるメリットがない」という声には、短期的メリットはないことを伝えた上で、繰り返し依頼する。「めんどくさい。余計なことはしたくない」といった声には、何度も伝えた上でやってくれたことに対してしっかり評価する。「やる気はあるが今は難しい」という声にはやり方を見直すか、できる範囲で始める、といった具合だ。

社内の仕組みも変えた。ミヨシテックでは、業務の環境について評価する「環境整備点検」という制度があり、上位の部署を表彰している。永谷氏は、この項目として、kintoneアプリに活動履歴を登録することを提案した。これによって管理職からも社員からも活動履歴を登録しようという働きかけが生まれ、kintoneへの情報集約は進んだ。

ミヨシテックのハブシステムになったkintone。取引先からも見学希望が

今ではシステム課以外の各部署でもアプリを作れるようになった。作りたいけれど作れない、という社員にはシステム課のメンバーがサポートすることもあるという。部署ごとの業務に合わせたスペースができ、個人スペースを作る社員も出てきた。最近ではシステム課と現場が一緒にシステムを構築するプロジェクトを立ち上げるケースもある。

ミヨシテック システム課のメンバー

「かつてはクレームの嵐でしたが、みんなkintoneを使うのが楽しくなってきているんだな、と感じています。考え方を共有できるメンバーが増えてきたのがとても嬉しいです」(藤原氏)

二人三脚で取り組んできた永谷氏に今後の展望を聞いた。「kintoneでの情報集約に徹底的に取り組んできた結果、経営上必要な情報を可視化できるようになりました。私たちが作った仕組みが他社でもお役に立つかもしれないと考えています。

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実際、取引先や知り合いから問い合わせや見学したいといった要望もいただいているので、ゆくゆくはこの仕組みを提供していければと考えています」(永谷氏)kintoneをハブとして活用する企業が今後増えていくかもしれない。