三菱ふそうトラック・バス
- 【業務内容】
- トラック・バスの製造、販売
- 【利用用途】
- 営業支援システム
その名のとおりトラック、バスの製造販売を行う三菱ふそうトラック・バス株式会社では、営業のプロセス改善を一手に引き受けるCS推進部が中心となって、全国統一の営業システムとして「kintone」(キントーン)を導入した。
三菱ふそうセールスジャパンCS推進部の部長 川島 哲氏、営業支援プロセス マネージャーの近藤 和久 氏、同じく営業支援プロセスの櫻田 佳史 氏にお話を聞いた。
三菱ふそうトラック・バスでは、全国に200近くの営業拠点を構え、新車を売る営業と、車検などのサービスを売る営業の二つのグループに分かれて営業活動を行っている。顧客を訪問して、トラックやバスのニーズを確認するのが、一般的な営業の流れだ。電話も含めると、一人の営業社員が一日にコンタクトをとる顧客の数は20社以上になることもあるという。
「トラックの仕事は、お客さまにいかに合ったトラックを提供するかが重要です。営業社員がお客さまと接する時間を増やしてあげたい、というのが一番強い思いです。」(川島氏)
これまでにもCS推進部では、営業社員が顧客接点を持つための時間を創り出すため、様々な取り組みを進めてきたが、今回の取り組みでは全国統一の営業支援システムの導入を目指した。
三菱ふそうでは別会社だった販売会社が2006年に統合されたのだが、別組織だったころの名残りで、行動計画や活動報告、商談管理の方法は販売拠点ごとに異なる状況が続いていた。また、行動管理は個人の手帳やExcel、ホワイトボードなどが使われていたため、本社から営業現場の状況を知ることが難しかったのだ。
「行動管理を全国統一でシステム化することが、当社にとって大きな一歩です。営業社員一人ひとりの行動を可視化すれば、ターゲット数、訪問数、商談の数、受注の見込み、受注の数といった、経営に大きく携わる指標が見えてくると考えています。」(櫻田氏)
全国統一の営業支援システムを導入するにあたり、重視されたのは「使いやすさ」だった。これまでの手書きの行動計画や報告と比べて、手軽に扱えるシステムであることが、顧客訪問のための時間を創出すると考えられていたためだ。 また、使いやすいシステムであればあるほど、積極的に活用され、多くのデータを集めることができる。集まったデータを分析することによって、より良い顧客サービスを提供する狙いもあった。
このような条件にあったサービスの中でも、開発の手軽さが評価され、「kintone」が選ばれた。通常のシステム開発では、はじめにシステム要件を全て固めてから開発を始めるのが一般的だが、「kintone」の場合は、データ構造やテーブルを意識せずに開発できるため、システムを作りながら要件を固めることができる。そのため、作成中のシステムを使って、現場を巻き込んだ導入試験を行い、使いやすいシステムへと改良することも容易だ。
「初めにサンプルをつくり、それをいくつかの販売拠点で試しに使ってみました。これによって、ツールの使いやすや悪さが見えました。そして、そこからカスタマイズ開発を加えた改修をすることができました。営業スタッフが使いやすいものを導入したいという意思が強かったものですから、試してみて非常に良かったと思っています。」(近藤氏)
営業現場での試験導入後に取り組んだのが、「kintone API」を使ったカスタマイズ開発だった。試験導入で浮かび上がった課題を解決するため、「kintone」の標準機能だけでは満たせない要件をCS推進部でとりまとめ、外部に委託して開発を加えた。
主に開発を加えたのは、画面カスタマイズとアプリ間連携。 画面カスタマイズでは、よく使う操作が直感的に操作できるように専用のメニューボタンを作り、ターゲット顧客のリストを絞り込みやすくした。また、ターゲットリストの表示も、目的別に色分けされるカスタマイズも行った。さらに、訪問計画のカレンダー表示では、車両の納車日などを考慮する上で重視される六曜も一画面で確認できる。櫻田氏は、「紙の運用ではできなかったことまで実現することができた。」と画面カスタマイズを振り返る。
標準の機能では満たせないアプリ間連携についても、カスタマイズを行った。
「例えば同じお客さまの名前を複数のアプリに何度も打ち込むことは非常に手間だったという試験導入のフィードバックがありました。それを改良し、極力手で入力することをなくし、継続的に使われるシステムをつくりました。」(近藤氏)
こうしたカスタマイズ開発を追加したことで、トラック販売の現場に合った、営業支援システムが完成した。カスタマイズの開発期間も短く、要件定義とサンプルカスタマイズ約1ヶ月、カスタマイズの実開発期間は8日間、テスト・検証に1ヶ月程度だった。
現在、「kintone」で構築した営業支援システムは、全国1,300名の営業社員への導入が進んでいる。
「kintone」の営業支援システムでは、まず顧客情報や、車両の保有状況、これまでの訪問履歴をもとに、ターゲットを抽出し、毎月の営業計画を立てる。日々の活動は、営業計画どおりに顧客を訪問し、訪問結果を記録に残すことだ。商談が発生した場合は、商談の記録を付けるところまでを『kintone』が担う。営業社員は、この一連の流れを、配布されているタブレットから行うことができる。忙しい営業活動の合間に、外出先から次の訪問先の確認や予定の変更、訪問結果の登録が手軽にできることもメリットの一つだ。
「一番狙っているのは、効率的なお客さま訪問です。今までも、営業日報の記録や、上長と行動計画の打ち合わせは当然やってきました。ただ、記録をきっちり付けることによって、管理やアドバイスがしやすくなるのではないかと考えています。」(近藤氏)
見込み顧客へのアプローチ方法も、「kintone」の活用で大きく変わった。これまで、過去に取り引きのある顧客の購買履歴や保有車両の情報は、基幹システムに登録されていたが、基幹システムに登録されるそれらの情報と営業活動に必要な情報には、ギャップがある場合もある。例えば、契約上は本社の住所が登録されていたとしても、実際に訪問して営業活動を行っているのは、別の住所の営業拠点や車庫というケースがある。また、契約情報の管理や経理処理が主目的の基幹システムには、確定した情報のみ登録される仕組み。そのため、商談中の見込み顧客の情報が登録されることはないのだが、新規顧客を開拓する営業活動には欠かせない情報だ。
「kintone」を導入したことで、こうした流動的な顧客情報を管理できるようになった。また、リサーチ会社の持つ企業情報データベースも組み合わせて活用することで、網羅的にターゲット企業を絞り込むこともできるようになった。
「効率的にお客さまと接点をもつためには、既存のお客さまの周辺にいる見込みのお客さまも新たに訪問して営業活動をする必要があります。これまでもそうした活動はしていましたが、顧客情報と訪問計画が共有できていなかったため、活動が重複してしまうこともありました。また、どうしても抜け、漏れを防ぐことが難しい状況でした。これからは、見込み顧客への営業についても、『kintone』で支援したいと思っています。」(近藤氏)
紙やExcel、ホワイトボードから、クラウドサービスとタブレットによる営業活動へと変革を遂げつつある三菱ふそう。今後は、「kintone」上に集まるデータを営業活動に生かしていく。
「『kintone』で構築した営業支援システムに、全国の営業社員の情報が集まります。これを分析することで、お客さまにフィットした営業活動をつくっていけるのではないかと考えています。昭和から平成の仕事へチェンジをかけていきたいと思っています。」(川島氏)
同社の目指す「お客様に近い」営業スタイルは、これからも進化を続けていく。(2014年11月取材)
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APIを使ったカスタマイズやkintoneのアプリ構築などシステム開発、構築後のサポートを含め幅広くサイボウズ事業を展開しております。「今回のカスタマイズは、これまでの『kintone』のユーザーインタフェースにはないカスタムビューがポイントです。また、iPadに最適化したカスタマイズを意識して構築しました。」
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