
伊藤忠丸紅鉄鋼
- 【業務内容】
- 国内外の鉄鋼関連事業投資、鉄鋼流通
- 【利用用途】
- 顧客案件管理、アンケート、ワークフローなど
鉄鋼製品などの輸出入および販売、加工などを手掛けている伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社では、海外含めた多くの事業会社との情報共有を加速させるための業務基盤づくりに取り組んでおり、kintoneを含めたさまざまなツール・サービスを駆使して、業務フローや組織構造を抜本的に再構築するBPR(Business Process Re-engineering))をはじめとしたグループ全体の業務効率化やITリテラシー向上に努めている。業務基盤の中核的なソリューションとしてkintoneを採用した経緯について、IT推進部 ITソリューションチーム長代行 宮﨑 良太氏およびデジタル戦略室 菅谷 賢吾氏にお話を伺った。
2001年に2つの総合商社の鉄鋼部門が分社・統合して設立された伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社。鉄鋼製品の輸出入や三国間取引をはじめとしたトレーディング、国内外の鉄鋼関連事業投資など、鉄鋼流通のフロントランナーとしてグローバルに事業を展開している。現在は「MISI as Resilient towards 2023」というスローガンを掲げる第七次中期経営計画を推進しており、収益基盤再強化や競争優位性構築、人的資源底上げなどを重点施策として取り組んでいる。
鉄鋼業界全体の課題としてデジタル化の遅れが顕在化しているなか、同社では経営戦略人総本部の傘下にデジタル戦略室を設置し、CDOを中心に業務改善につながるBPR推進やデジタルリテラシー向上、ペーパーレス化の促進など、さまざまな施策に取り組んでいる。なかでも、デジタル戦略室が設置される以前から、事業会社との緊密な情報共有が大きなテーマとなっていた。「以前からイントラネットを中心とした情報基盤は存在していましたが、双方向での円滑なコミュニケーションが実現できておらず、現場からの情報共有を密にしたいという要望が寄せられていました。経営層からもBPRやペーパーレスなどの取り組みについての言及があり、新たな環境づくりが求められていたのです」と宮﨑氏は語る。
新たな環境づくりにおいては、いち部署から草の根的に小さく始めていき、徐々に広げていくことを意識した。しっかりと要件を固めていくウォータフォール的なアプローチよりもアジャイル的なアプローチができる環境づくりをイメージしたという。「各本部それそれで使い方が異なってくることから、汎用的に整備できる環境を望んでいました。どの方向にも進んでいける余地を残しながら、小さく始めていくことにしたのです」と宮﨑氏は当時を振り返る。そこで、最終的に現場でも内製開発できる環境を目指し、ノーコード・ローコードツールを中心に選定を行うことになったのだ。
当初は、アジャイル環境のトライアルとして海外のソリューションを導入して活用したものの、使い勝手の面で現場に展開していくことが難しかったという。「SIer に依頼したうえでしっかり体制を組んでスタートしたのですが、導入する要件が絞りきれず、現場からも意見が出しづらい状況でした。触ってみて初めて、画面がイメージしたものと違うという意見が寄せられるなど、現場にうまく適用できなかったのです」と宮﨑氏。
そこで打開策として新たに注目したのがサイボウズのkintoneだった。「実は数年前からサイボウズ デヂエを活用しており、データとしても数十万件以上溜まるなど社内でも使われているツールに育っていました。このデヂエがサポート終了になることもあり、別途何か新たなものが必要だと考えていたのです」。その流れでkintoneの存在を知り、IT推進部として試してみたところ、とても使いやすい印象を持ったという。 そこで、当初は外部のSIerにkintoneアプリを開発してもらうことを前提にスタートしたが、kintoneの画面の確認や要件確認などのやりとりに時間がかかり、結果としてプロジェクトが思うように進まない状況が生まれてしまったという。「 せっかくのノーコード・ローコードツールなのだから、我々が求めるスピードでプロジェクトが進んでいくことを求めていました」と宮﨑氏は当時の課題を吐露する。
そこで、同社が主体となってkintone活用を加速させていける環境や体制を整備すべくサイボウズに相談したところ、オフィシャルパートナーで、伴走型の支援も可能なコムチュア株式会社を紹介されたのだ。「開発を依頼するよりも、社内展開も含めて何かあれば相談に乗ってくれる“kintone先生”として支援いただけないかと相談し、快諾いただけました。実は基幹システムにSAPを導入していたため、SAP連携の開発実績のあるパートナーとしても、コムチュアは我々に適していると感じたのです」と宮﨑氏。その結果、業務基盤として採用したkintoneをグループ全体に拡張していけるよう、コムチュアと一緒に、新たな環境を整備することになったのだ。
現在は、同社の社員数およそ900名を超える kintoneアカウントで運用されておりグループ会社への展開も実施している。取引先や外部パートナーなどとのやり取りで利用されているゲストスペースも含めて利用者数は1500名を超える規模となっている。日本はもちろん、アメリカや中東、アフリカ、ヨーロッパなどグローバルでkintoneを活用しており、 グループ全体でのkintone利用者はさらに広がっている状況にある。
アプリの種類については、ワークフロー系を中心に、基幹システムであるSAPとの連携アプリ、案件情報や顧客情報などの情報共有系のアプリが多くを占めており、200ほどのアプリが運用されている状況だ。 なお、アプリ作成はIT推進部に対してアプリの作成申請をkintoneにて実施し、現在はIT推進部と開発パートナーが協力しながら開発を進めている。プラグインも豊富に利用しており、帳票系のRepotoneUやkintoneで Excelのような一覧を簡単につくったり、集計や関数を使えるようにするkrewシリーズなど、多くのプラグインをうまく活用している。「現場で作ってもらうことを考えると、JavaScriptでの開発せず、できる限りプラグインを活用する方針です」と宮﨑氏。
プラグイン「krewSheet」を活用し、Excelライクな一覧を実現したアプリの様子
具体的なkintoneアプリの一例が、グループ全体に行うアンケートアプリだ。「100社ほどあるグループ会社に対して、ITの使用状況やCO2使用量、財務会計に関連した情報など、いろいろな情報をアンケートにて収集しています。以前はExcelをメールで送って回答をもらい、それを手作業で集計していましたが、今はkintoneに情報を入力してもらうだけで集計も簡単です。作業時間の大幅な削減に役立っています」と宮﨑氏は評価する。kintoneにてマスタ設定することで、例えば社名などの表記揺れもなくなり、必要な情報が精度高く入手できるようになった点も効果として見逃せない部分だ。しかも、複数言語に対応して、昨年回答したアンケート内容が簡単に閲覧でき、毎年大きく変わらないものは情報をコピーし、少し手を加えるだけで簡単に回答できるなど、現場にとってもメリットが大きいという。
複数言語のアンケートアプリ
またワークフロー系のアプリでは、人事異動の多い同社だけに各種申請承認業務をkintoneのアプリで実現している。さらに、基幹システムとの連携では、SAP上にある情報を定期的にkintoneに展開しており、通関など貿易関連業務の書類作成時に役立てるといった使い方となっている。他にも、顧客管理や商談管理に活用し、見積作成も含めた販売管理業務をkintoneにて実現している社内事例もある。
同社の取り組みにおいて特徴的なのが、各部署で業務改善を発表する場を設けてそれぞれ競い合う「BPR Cup」というキャンペーンを開催していることだろう。自分たちの業務課題に対して、kintoneやMicrosoft Power BIやPower Automateなどさまざまなツールを駆使して業務改善を実施していく施策で、優秀な改善事例については表彰が行われている。「担当者だけでなく、必ず上司にもメンバーに入ってもらい、一緒になってBPRの推進を進めてもらっています。コムチュアもkintone先生としてサポートに入ってもらっています」と菅谷氏。
伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 デジタル戦略室 菅谷 賢吾氏
特にkintoneに限定してBPRを推進しているわけではないが、必ず誰かと使うことになるkintoneであれば周りを巻き込むことになるため、業務効率化の効果は大きなものになりやすいと評価する。BPR Cupについては経営層からの評判も良く、継続してほしいと評価の声が寄せられている。
BPR Cup 表彰式の様子
kintoneによるデジタル化を推進したことで、情報の一元化や業務の可視化、ミス撲滅による作業品質の向上、ペーパーレスなど現場からはさまざまな効果の声が寄せられている。BPRCupで表彰されたkintoneを使った事例では、顧客管理や商談管理にkintoneを活用したことで、年間800時間ほどの工数削減が実現しているという。「自分たちが何年も使い込んだExcelの中にしか情報がなかったものが、kintoneによって手軽に情報共有できるようになったことが大きい。異動も多く発生するため、引き継ぎ業務なども簡素化するなど、大きな効果が得られています」と宮﨑氏は評価する。
またkintoneについては、ノーコード・ローコードツールとして使い勝手がいい面はもちろん、権限管理がしっかりしている点を高く評価している。「例えばアンケートに回答する際、会社や個人ごとなど詳細な権限管理ができるため、とても便利だと感じています」と菅谷氏。
kintone先生として同社を支援しているコムチュアに対しては、その都度タイムリーに支援が得られており、引き続き同社のkintone展開を支援してほしいと語る。「定期的にミーティングを開催いただき、アプリ申請などの状況も伝えることで、次にどんな対応をしていくのか提案いただくなど、手厚く支援に感謝しています。現場の声をうまく汲み取っていただき、最適なアドバイスがいただけています」と菅谷氏は高く評価する。
サイボウズについては、kinotneの啓蒙活動に役立つ漫画コンテンツが提供されたりなど、グループ全体にkintoneを展開しやすくするための環境づくりに尽力していると高く評価する。「テレビでCMが流れることで、我々が言わずともkintoneを外から広めてくれています。現場にも展開しやすい環境を作っていただけていることに感謝しています」と宮﨑氏。
今後については、引き続き現場からの申請ベースでkintoneアプリを増やしていきながら、kintoneをフロントのシステムとして活用しつつ、周辺システムとの連携も進めていきたいという。「利用者を増やすことはもちろんですが、Microsoft Teamsやメール、Power Automateなどとうまくkintoneを連携させていくことで、活用のシーンをさらに広げていきたい」と菅谷氏は期待を寄せている。特に使いやすいワークフローアプリをうまく活用し、基幹システムSAPに渡したり、Microsoft Power Appsとkintoneをつなげたりなど、新たな連携の形を模索していきたいと意欲的だ。また、グループ会社へのさらなる展開を進めていきたいという。「アンケート回答を実施しているという観点で見れば、全ての事業会社がすでにkintoneを利用しています。ただ自分たちでアプリを作っていくのはこれからの段階。kintoneをきっかけにして、事業会社のデジタル化を強力に推し進めていきたいですね」と宮﨑氏に今後について語っていただいた。
コムチュアではサイボウズ製品の導入から開発・運用まで一貫してサポートさせていただきます。
開発体制も揃えておりますので、大規模案件の対応も可能です!
kintone・garoon単体でのご提案ではなく、業務課題を解決するトータルソリューションを提供致します。
また、グループウェア実績20年以上の当社ならではのノウハウを生かしたアセスメントサービスにより、Notesからサイボウズ製品への移行も実現致します。
その他にも、ポータルカスタマイズやコールセンターシステム、チャットボット連携、CRM(マーケティングオートメーションプラットフォーム、各種移行、SAP連携等、kintone・Garoon...どんなご相談でもお待ちしております。
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