明電舎
- 【業務内容】
- 社会システム事業、産業システム事業、エンジニアリング事業
- 【利用用途】
- グローバル利用、問合せ管理、コミュニケーション、人事システム
電力エネルギーや水処理といった社会インフラに関するものから、産業システム機器や自動車開発用試験装置といった産業システムに関するものまで、付加価値の高い幅広いソリューションを提供している株式会社明電舎では、サイボウズが提供するGaroon(ガルーン)やkintoneを活用し、グループ全体の情報基盤としてグローバル展開可能な社内ポータルを構築している。また、SNSのようなコミュニケーション機能を活用したコミュニティ形成を実現し、組織内の様々な領域の業務改善、効率化を推進している。その経緯について、情報システム部 IT企画部長 天野 純一氏、同部 業務サポート部 全社サポート課長 楠田 孝幸氏および同部 システム開発部 基幹システム課 小林 健彦氏にお話を伺った。
現在は、飛躍に向けた力強いステップとして位置付けられた「中期経営計画2020」を遂行しており、ASEAN新興国を中心とした海外事業の規模拡大をはじめ、IoT・AI技術の活用や新たなニーズへの対応によって新たな価値創出による収益力強化に取り組んでいる株式会社明電舎。
グループ全体のICT基盤整備を担っている情報システム部では、現在基幹システムの統合、刷新を推し進めながら、ビジネス活動のなかで得られたデジタル情報の活用を推進しており、データの活用やRPAによる業務効率化に向けた仕組みづくりにも取り組んでいるという。「情報活用とともに、グローバルITガバナンスの強化を図ることでグループ全体のセキュリティ強化に向けた基盤づくりも積極的に行っています」と天野氏は情報システム部の施策について説明する。
その一環として取り組んだのが、これまでスクラッチ開発していた情報基盤となるグループウェアの刷新だった。「これまで運用してきたのは、国内向けに作られたグループウェアだったため、グローバルに事業拡大を図っていくための基盤として十分なものではありませんでした。しかも、改修を重ねていたことで情報が散在していただけでなく、閲覧範囲も統制できていない部分もあるなど課題が顕在化していたのです」と小林氏は当時を振り返る。そこで、パッケージを使うことで手作業による開発から脱却し、海外も含めたグループ全体に展開できる新たな環境を整備することになったのだ。
実は、メールに関してはグローバル展開を見据えてOffice365の採用が事前に決定しており、親和性を考えるとSharePointが選択肢としては有力だが、それでは作り込みが発生することになってしまうと天野氏。「Share Pointであれば自分たちで思い通りに作ることができます。しかし、作り込むほどにメンテナンスが困難になっていくのが、以前のグループウェアをスクラッチで開発していたときの反省としてありました。また、作り込みせずに出来上がっているものを採用することで、迅速に結果を出していくことが求められたのです」。さらに、以前から日常業務に生かせる簡単な業務システムの整備について多くの部署から要望が寄せられていたこともあり、部門の要請に柔軟に対応できるよう、業務アプリが容易に作成できる基盤も同時に求められていた。
そこで同社の目に留まったのが、中堅・大規模組織向けのグループウェア「Garoon」や「kintone」などサイボウズが提供するソリューション群だった。「基幹システムの入り口としてのポータル機能はもちろん、スケジュールや掲示板、従来の仕組みで実装していた機能が網羅されており、関係会社も含めて海外展開できる基盤としてGaroonに注目しました」。同時に、部門の要望に応じて業務アプリが柔軟に作成できる仕組みとして目を付けたのがkintoneだった。
「以前は部門から“インフルエンザの届出システムが欲しい”“工場見学の受け入れシステムを用意してくれないか”など、アプリケーションに関するさまざまな要望が寄せられていました。その都度、サーバーを準備してシステムを作っていたのですが、結果として業務システムが乱立してしまうことに。kintoneであれば、システムの乱立を防ぐだけでなく、すぐに要望に応えてあげることができると考えたのです」と楠田氏。天野氏は「柔軟に業務アプリが作成できるkintoneがあったことで、全社の業務基盤としてのサイボウズの評価がさらに高まった」と評価する。 結果として、REST APIを備え、拡張性の高いグループウェアとしてのGaroonと、部門のあらゆる業務改善を推進していくためのノンプログラミングシステム開発基盤であるkintoneを組み合わせることで、同社が目指すグローバルな情報基盤を構築することが決定することになる。
現在は、従来のポータルで実現していた機能をGaroonによって刷新し、kintoneによって部門から求められる業務アプリを構築、必要に応じて連携を行っており、同社の国内拠点および関連会社あわせて6000ユーザーが利用する基盤となっている。最終的には中国やASEAN、ドイツやアメリカなど海外も含めて8000ユーザーの規模になる予定となっており、費用対効果を見極めながら関連会社への展開を進めていく計画だ。
kintoneで運用しているのは、役員のスケジュールを管理する秘書システムや役員の在席システム、人事システムと連動して日々更新しながらグローバル全体で活用できる電子電話帳、そして部門から寄せられる要望やシステムの不具合などを集約する要望アプリなど。「シンプルな連携では、kintone上に “定時に帰りましょう”など表示したい情報を設定しておき、必要なタイミングにGaroonでポップアップを表示させるといったことも行っています」とちょっとした連携にも使い勝手がいいと楠田氏は評価する。
人事システムと連動し、画面もカスタマイズしたkintoneの電子電話帳アプリ
部門から寄せられる要望やシステムの不具合などを集約する要望アプリ
kintoneで設定した情報をGaroonのポータルにポップアップで表示
※カスタマイズを実装する際は、APIコール数上限やコール数の想定、ピーク時負荷などを考慮した設計をし、サービスの利用に支障が出ないようにする必要があります。
すでにさまざまな業務アプリがkintone上で作成されているが、その一例として紹介できるのが秘書システムだ。このアプリは、秘書が管理する担当役員のスケジュールの登録や公開非公開の設定が可能なだけでなく、役員が利用する車の配車情報を管理することも可能な仕組み。秘書システム上でスケジュール公開を選択すれば、Garoonのスケジュールに反映される形になっている。同時に、kintone上で在籍状況の通知が可能となっており、役員が自身の状況を選択して公開することで、Garoon上にある在籍システムに今の状況が反映できるようになる。「Garoonとkintoneで二重入力せずに済むよう、豊富なAPIを活用して柔軟に連携しています」と天野氏。
Garoonと連携した秘書システムによって、スケジュールの二重入力の手間を削減
また、kintoneのスペース機能を利用して、新入社員と入社3~4年目の先輩社員同士で気軽にやり取りできるSNSのような環境を用意しており、地区ごとに設置された事務局を通じてローカルなコミュニティが形成できるようになっている。「上司には相談できないことでも、メンターとしての先輩には相談しやすいもの。そんな環境づくりを支援するべく、スペース機能をフル活用しています。仕事やプライベートの相談だけでなく、レクリエーションの募集やちょっとしたアンケートなども行えるようになっており、コミュニティが醸成されることで貴重な人材を流出から防ぐことにも貢献してくれるはず」と小林氏。なお、基本的な環境は小林氏が用意しているが、その後は事務局ごとに自由に環境を作り替えて自主的に利用できるようになっている。「こういったSNS的な環境をアプリですぐに用意できたのはkintoneがあったからこそ。しかも、専門家でない担当者でも負担なく改善できるのが大きな魅力」と楠田氏は評価する。
仕事の相談だけでなく、レクリエーションの募集やちょっとしたアンケートも行える交流スペース
今回新たな情報基盤をサイボウズのソリューションで実現したことで、コミュニケーションの活性化に貢献しているだけでなく、メールやExcelを駆使して行ってきた業務にkintoneを使うことで、情報集約できるようになったという。また、以前は要望ごとに情報システム部がサーバーの手配からアプリの開発まで含めて環境整備を行ってきたが、今ではkintoneのアプリストアにあるサンプルアプリを参照しながら、使えそうなものがあるかどうかその場で議論していくことも。「基幹システムのような大掛かりなものでなければ、部門担当者と相談しながらでもすぐに用意してあげることが可能です。環境の準備や開発含めて、我々の負担軽減に役立っています」と天野氏。こういった相談は、以前よりも頻繁に寄せられるようになっている状況にあり、部門との距離が大きく近づいたと楠田氏は言う。「これまで情報システム部に直接相談できなかったことが多かったと思われますが、今ではたくさんの要望をいただいています。気軽に相談してもらえる環境が整備できたのは大きい」と評価も高い。
アプリストアにあるサンプルアプリを参照しながら、要望に合ったアプリを作成
もちろん、クラウドサービスとしてのkintoneだけに、これまで安定稼働させるために必要だったサーバーの維持管理が不要になるなど、これまでの心配が払しょくできた点も見逃せない。「いろいろな会社で導入されているため参考になる事例や使い方も学びやすい。クラウドだけに機能改修も続けてくれるため、今まで以上に便利になっていくはずです。新たな機能も積極的に使っていきたいですね」と天野氏。他にも、kintoneであればExcelでやっていた業務はITの知識がさほどなくても部門でアプリが作成できるため、しっかりとしたルールを定めていくことで、部門でも重宝する仕組みになるはずだと評価する。
実は、以前のグループウェアで作り込まれたサブシステムが今でも数多く残っていることから、今後はそれらをGaroonやkintoneで実装していきつつ、グループ全体としてさらに活用できる基盤へと成長させていきたい考えだ。海外市場への積極的な展開を図っている同社だけに、海外でのコミュニケーション基盤として、これまでにない使い方ができると期待を寄せている。「例えば中国の駐在員同士のコミュニティをkintoneで整備するといったことにも活用できればと思います」と小林氏。「海外も含めてグループ全体で情報活用や業務効率化が進めばと考えています。」と天野氏に語っていただいた。(2018年12月取材)
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