クラボウインターナショナル 様の導入事例

クラボウインターナショナル

【業務内容】
海外でのアパレル生産と輸入
【利用用途】
バングラデシュでのアパレル生産管理
  • 海外製造拠点バングラデシュでの製造状況をkintoneで可視化。納期安定化と物流効率化を同時に達成

クラボウインターナショナル様(以下、クラボウインターナショナル)は、各種繊維製品製造・輸入・販売を手がける会社。昨今、衣料品の価格下落により製造コストの安いバングラデシュに繊維業界の注目が集まっているが、同国は「アパレルの生産管理が極めて困難な地」であるため、多くの企業が進出しては撤退しているという。
そんな中、数年にわたりバングラデシュで生産を続けている同社が「kintone」でアパレル生産管理アプリを構築。100万着を超える大量オーダーを同国でスケジュール通りに生産できるようになっただけでなく、輸送コストの大幅削減も達成した。このkintoneアプリは社内で「Kurabo Inter Order Management System(以下KIOMS)」と呼ばれている。KIOMS着想のエピソードから導入効果までを、営業本部第1部第1課を率いる坂野氏・生産管理を最前線で行なう石井氏・ツール開発の立役者システム管理課の福嶋氏にうかがった。

バングラデシュでの大量のTシャツ生産管理が限界

バングラデシュでの衣類の生産は人件費の安さから大変魅力的な一方、生産管理の難しさは繊維業界では有名だ。「何一つ商品があがらない…」「スケジュール管理に失敗して空輸…」など、様々な理由で撤退する企業する企業があとをたたないという。そんな中クラボウインターナショナルはいち早く同地に進出し、2010年から生産を続けている。その軌跡を営業本部の坂野氏は「数え切れない痛い思いをしてここまで来た」と振り返る。

2016年、そんな同社に「240万枚のTシャツ生産」のオーダーが舞い込む。同案件はTシャツの販売予定価格が低いため原価の抑制が極めて重要だった。この「大量すぎる生産管理」を「一般的な量の注文」と同様の方法である「Excel・メール・手書きの書類・出張」で行ったところ問題は起こる。

営業本部第1部第1課を率いる坂野氏は「バングラデシュの魅力はコストの安さ。空輸を使うだけで利益が飛ぶ。どうしても改善が必要だった。」と語る。

というのも、本件は1つのTシャツに対し「デザイン10種類 ✕ 配色4種類」といった塊が山ほどあり、通常のケースとは比べ物にならないほどチェック項目がある。そのためExcelやメールを使う従来の方法では「どの品番がどんな状態にあるのか」把握が難しく、納期直前に生産できていないことが発覚するケースも発生した。こうしたトラブルが起こると急遽バングラデシュに飛ぶことになるが、出張の結末は「高額な費用がかかる空輸」で解決する他なかった。

さらに、出荷可能な商品を瞬時に把握しにくいので船便の場合もコンテナ積載効率がいまひとつ。日本側の貿易担当者も仕様書やインボイスなどの通関書類を膨大なメールの中から探し出すのに多くの時間を費やす必要があった。この「バングラデシュでの超大量生産」という過酷な案件の打開策を得るべく営業本部が立ち上がった。

二カ国同時に生産状況を把握できるkintoneアプリを導入

営業本部はExcelや書類による管理を「日本とバングラデシュが同じ情報を共有できるシステム」に置き換えてはどうかと考え、システム管理課の福嶋氏に相談する。

国外でのアパレルの生産には、オーダー情報を工場に伝える、材料を工場に送る、サンプルをチェックしてゴーサインを出す、量産(バルク)を指示する、問題のある商品に対処する、完成品をシップする、通関を通すなどの段階がある。この流れをKIOMSで行なう構想である。

これに対して福嶋氏はIT関連の情報誌で目をつけていた「kintone」を提案。坂野氏は「Tシャツの空輸が無くなったらkintone導入費用はあっという間に回収できる」と即決し、クラボウインターオーダーマネジメントシステム、KIOMS(通称:キオモス)の開発が始まった。

「1つの画面」を日本と海外で同時に閲覧でき、サーバーなど機材を買う必要がないことが決め手でkintoneを採用しました」と福嶋氏

KIOMS開発を引っ張ったのは生産管理を最前線で行なう営業本部の石井氏だ。日本語の通じないバングラデシュのスタッフに要件が伝わり、使い方が簡単なツールを作りたいと奔走。「視覚的に状況が分かること」「入力が選ぶだけで良いこと」などにこだわった。

KIOMSに求めた機能

1.2カ国同時に同じ情報を閲覧できること

2.契約No、品番から検索できること

3.視覚的に状況を確認できること

4.入力が簡単なこと(日付や状況を選ぶだけ)

5.入力データは全アプリに同期されること

6.商品写真を添付できること

7.品番ごとに指示をだせること

開発を依頼したサイボウズパートナーと相談した結果、KIOMSは6つのkintoneアプリで構成されることになる。この6つの中で要となるのは「200種類もの商品の進捗を1画面で確認できるマネジメント専用アプリ」である。kintoneの拡張機能を使いExcel風の見た目を実現したアプリで、大量の商品を俯瞰できるようになっている。

大量の商品状況を「色」で判断できるマネジメントアプリ

計画的な生産管理に成功。ポジティブ・マネジメントが可能に

日本とバングラデシュのスタッフ全員が同じ情報を見て話し合えるKIOMSの効果は絶大だった。「まるで暗闇の中を出口がどこかもわからず歩くようだった」状況が一転。数百品番の状況がマネジメント専用アプリで可視化され、次に何をすべきか一目瞭然となった。

問題のある商品への対策もシンプルになった。KIOMSには品番ごとに専用画面があり、その品番の写真を画面で見ながら「コメント機能」を用いてバングラデシュと話し合える。これまでと違い今何の話しをしているのか分かりやすく対策が早い。

結果、生産はスケジュール通りに進行するようになり、最大の目的だった空輸の必要が無くなった。高額な空輸が月に1〜2回も減った効果は大きい。しかも「出荷準備が整った商品」がどれだけあるのかも分かるので、今後は船便で送る際にコンテナが満杯になるように改善していけるという。

「今はマネジメント専用アプリを見て問題のある品番に対して指示を出せば計画通りに生産が進みます。」と石井さん

バングラデシュでの生産管理が軌道に乗ったことでマネジメントも変化した。これまでは火が燃えてから消すようなネガティブマネジメントばかりで苦労は多く、精神的にも体力的にも苦しいばかりだった。一転、今では「ポジティブ・マネジメント」ができるという。後ろ向きな出張ではなく将来に種をまくような出張ができる。危なそうなオーダーには先手を打てる。これでコストや条件の合う場所で生産するというクラボウインターナショナルの強み「最適地生産」がバングラデシュでの大量オーダーにおいても確かなものになった瞬間だった。

今回開発したKIOMSは大量生産に向いたツールだ。バングラデシュでの生産がさらに数字に結びついてくれば別案件で提案できるようになる。クラボウインターナショナルは、今後の展望を「KIOMSをより合理的なものに改良して他国で横展開したい」と語ってくれた。同社の営業本部はKIOMSを携えてアパレルの新境地を切り開いていく。

【この事例の販売パートナー】
アールスリーインスティテュート

大阪本社:06-6271-3663
東京支社:03-6869-6891

多くの業務システム開発をしてきており、基幹システムとkintoneを組み合わせたシンプルで使いやすいシステムをご提供しております。