国際興業 様の導入事例

国際興業

【業務内容】
自動車運送業、油圧機器等の販売輸出入、不動産業、旅行業
【利用用途】
社内規定やインシデントの検索AI、バス遅延傾向の分析AI
  • 「kintone AIラボ」と500を超えるアプリの相乗効果で業務を高度化
  • 問い合わせ対応の効率化からバス運行分析まで活用を拡大

乗合バス事業を中心に、ホテル・レジャー、流通・商事、不動産開発など幅広い事業を展開する国際興業グループ。約2,100名の社員を擁する同社では、2022年よりkintoneを全社展開し、現在563のアプリを運用している。2025年からはkintone AIラボの活用も開始し、社内問い合わせ対応の効率化やバス運行データの分析に取り組んでいる。その経緯について、情報システム課の町田弘行氏、五味正直氏、杉山由梨香氏、赤津駿氏にお話を伺った。

情報はkintoneに集約するも「見つけられない」ために手間が発生

1946年に運輸・交通事業をスタートさせ、半世紀以上にわたり交通社会の発展に貢献してきた国際興業。現在では運輸・交通以外の多岐にわたる事業でもより良い生活への貢献を目指している。祖業のバス事業では、自動運転の実証実験や完全キャッシュレスバスの実証運行、国産EVバスの導入など、業界の最前線で新たな取り組みを進めている。国際興業のデジタル化が本格的に加速したのは2020年のコロナ禍がきっかけだった。

出社せずとも業務を継続できる環境を整えるため、それまでオンプレミス中心だったIT環境を大きく見直していった。「まずはメールやスケジュール、ファイル共有、チャット、会議などが社外からでもできるようにするために、Google Workspaceを導入しました。また、RPAで定型業務を自動化したり、紙の申請書類や回覧物を電子印鑑のクラウドサービスで対応したりしています」と情報システム課 課長の町田氏は振り返る。

2021年には経費精算システムや給与明細のデジタル化を実施。そして2022年、長年使用してきたNotesからkintoneへの移行を全社展開した。その後、数年間で順調に社内展開を行い、全社掲示板、社則管理、お客様の声管理、燃料発注など、業務に必要なアプリを次々とkintoneで構築。現在では563のアプリが稼働している。

しかし、kintoneの導入に大きな効果を得つつも、システムを整備してもなお残る課題があった。社内からの問い合わせ対応だ。 「社則や業務マニュアル、提出書類といった情報はすべてkintoneアプリに登録されています。しかし、それを見つけられない従業員が多く、労務課では問い合わせ対応に忙殺されていました」と情報システム課の杉山氏は語る。 

2,100名の社員を抱える同社において、社内規定や届出書類に関する問い合わせは膨大な数にのぼる。一方で、それに対応する労務課の人員はわずか9名。日々寄せられる問い合わせに対応しながら、本来の業務もこなさなければならない状況だった。

探している情報に対してアプリがあること自体を知らない方もいますし、知っていても『電話した方が早い』と思って電話してしまう方も多い。従業員と労務課、お互いにとって非効率な状況でした」(杉山氏) 

総務部 情報システム課 課長 町田 弘行氏

総務部 情報システム課 係長 五味 正直氏

また、情報システム課でもIT関連のインシデント管理において同様の課題を抱えていた。過去のトラブル対応履歴はkintoneに記録されているものの、同じ言葉でも言い回しや表記の揺れがあると検索してもうまく見つからず、ほぼ同じ事例なのに1から調べ直さなければならない非効率な場面もあった。

さらに、バス運行においても課題があった。道路状況の影響による遅延の実績データは「お客様の声アプリ」に蓄積されていたが、なぜ遅れているのかという分析までは手が回っていなかった。膨大なレコードを人間が1件ずつ見て分析するのは現実的ではなかったのだ。

総務部 情報システム課 杉山 由梨香氏

総務部 情報システム課 赤津 駿氏

【選定】業務データの大半が集約されているkintoneを活かすことで、新たなAIシステム構築は不要

こうした課題に対し、同社が着目したのが「kintone AIラボ」だったkintone AIラボとは、サイボウズが20254月から試供するkintoneAI機能である。経営層からも「個人の業務生産性向上」という方針が示されており、社内データを活用した生産性向上が求められていた中、2024年に同社が参加したサイボウズのイベントで知り、期待が高まっていたという。

同社では、もともと生成AI活用の取り組みを進めており、すでにGoogle Workspaceに付属しているGeminiを社内で使える状態にしていた。「使える人だけが使うのではなく、みんなに使ってもらいたい」「遊び心をもって、まずは使ってみよう」という基本方針のもと、全社的なAI活用を推進していたという。だが、その中でもkintoneAI機能に着目した理由について、杉山氏は次のように語る。「問い合わせ対応の負荷を大きく減らすためには、誰もが自然言語で聞いてほしい情報が得られる仕組みが不可欠だと思っていました。それを踏まえて、すでに別の生成AIツールを一度トライアルで社内に展開していたのですが、扱いが難しくてなかなか定着しませんでした。その中で、すでに当社の業務データの大半が集約されているkintoneと連携する仕組みであれば、新たに別のシステムを構築したり操作を覚えたりする必要がなく、自然に使ってもらえるだろうと考えました」 

さらに町田氏も「生成AIは便利ですが、社内データを扱えるようにならなければなかなか生産性も上がってきません。経営層からのメッセージもありましたし、私自身kintoneAI機能にはかなり期待していて、早く使いたいと思っていました」と当時を振り返る。

こうして、いくつかあるkintone AIラボの機能のうち、まず国際興業が利用を試みたのが、kintoneの検索機能と検索拡張生成(RAG)技術を組み合わせ、アプリに登録されたデータから適切な回答を検索して表示する「検索AI」の機能である。

この導入にあたり、同社はいきなり全社展開するのではなく、段階的なアプローチを取った。最初はシステム課内でテスト的に使い始め、続いて総務部内に展開。ポイントは「問い合わせを行うユーザーに最初から展開するのではなく、まずは問い合わせを受ける側の担当者に使ってもらったこと」と杉山氏は説明する。

【効果】問い合わせ対応の迅速化からバス遅延傾向の分析などにAIの効果が期待

6種類の検索AIを全社公開

まずシステム課向けには、IT関連のインシデント管理に関する検索AIを設定した。「過去にどんなトラブルがあって、どう解決したかを記録するアプリをkintoneで作っていたので、すでに当社内に情報は蓄積されています。しかし、記録されているとはいえ、同じ内容でも言い回しや表記の揺れがあると検索でうまく見つかりません。ほぼ同じ事例なのに見つけられなくて、1から調べ直さなければならない非効率な場面もありました」と杉山氏は振り返る。しかし、検索AI機能では、自然言語で質問するだけで関連する過去事例を横断的に探し出してくれるため、検索キーワードを工夫する必要がなくなり対応が迅速化した。

総務部向けには、社内規定や提出書類を参照する検索AIを設定した。従業員から電話で問い合わせを受けた際、担当者がAIに質問すると、過去の事例や規則に基づいた回答が返ってくる。頭の中に入っている情報はすぐ答えられるが、思い出せない場合に、AIに関連情報を聞くことで問い合わせ対応の負荷軽減につながるという仕組みだ。

こうした特定部門内での検証を経て、現在では全社で検索AIを利用できるようにしている。特に問い合わせが多い、全社共通、人事情報、労務、総務、広報、システム系の6つのカテゴリで検索AIを設定しており、それぞれにデータソースとして56個のkintoneアプリを紐づけている。「公開後、AIの利用に関する問い合わせも多く寄せられています。まだ試行錯誤の段階ですが、質問が上がってくることは従業員からのAIに対する期待の表れとして受け止め、これからの可能性を感じています」と情報システム課 係長の五味氏は語る。

検索AI全画面.png

(検索AIの活用イメージ)

レコード一覧分析AIでバスの遅延傾向を把握、運行計画の見直しに活用

kintone AIラボが提供する機能として、同社では一覧表示されたレコードの内容をAIが分析・要約する「レコード一覧分析AI」機能も活用している。

先述のように、バス利用者からの声は「お客様の声アプリ」に記録されていたものの、膨大な情報のため、人間がその内容を素早く把握するのは困難だ。そこに同機能を活用したのだ。「実際に、例えば『10分以上遅れているものをピックアップしてください』と質問すると、いつ、どの停留所で、どのくらい遅れていて、なぜ遅れていたかという情報を抽出できます。AIがその傾向を文章で出力してくれるため、これを次年度の運行計画の見直しに役立てられるのではないかと期待しています」(五味氏)

今後は事故報告書の分析にも応用し、半年間でどのような傾向があったのかをAIに抽出させ、その正しさも含めて人間が精査していく使い方を検討している。

レコード一覧分析AI.jpg

(レコード一覧分析AIの活用イメージ)

kintoneアカウントを持たない乗務員にもデジタルの恩恵を届ける

 AIによる高度な分析や検索をより価値あるものにするためには、社内情報の網羅的なデジタル化が欠かせない。同社ではここまで触れたAI活用はもちろんのこと、引き続き、kintoneを中核に据えた「全社員へのデジタル技術による恩恵の波及」を推進している。

「当社社員の大半を占めるバスの乗務員などは、自身の社給PC・モバイル端末がなく、kintoneアカウントも持っていません。しかし、そうした社員にもペーパーレスの恩恵を届けたいのです」と赤津氏は語る。 その思いを形にした一例が、制服申請や燃料発注業務のデジタル化だ。kintoneのプラグインサービス「FormBridge」を活用してWebフォームを作成し、kintoneのアカウントがなくてもkintoneアプリとシームレスに連携できる入力・申請の仕組みを構築した。以前は紙やFAXで行っていたこれらの業務をWebフォームへ移行したことで、kintoneアカウントを持たない社員や遠隔地の事業所からも、個人のスマートフォンなどを通じて直接入力が可能になった。

ペーパーレス化によって現場の利便性が向上しただけでなく、管理側でも情報が一元化され、制服の申請状況や燃料の使用量と仕入れを一気通貫で管理・分析できる環境が整った。

 

社内のあらゆるデータをkintoneへ集約し、AI活用の土台を強化

 今後は、kintoneアカウントを持たない社員も含めたペーパーレス化をさらに推進し、社内のあらゆるデータをkintoneへ集約していく意向だ。現在別のワークフローシステムを用いて行っている申請の仕組みや、一部レガシー環境で構築されているシステムも、kintoneアプリへと統合・一本化していくことで、コスト適正化と業務の安定性を両立させていくという。

全社員から集まる現場のデータも、kintoneAIによって価値ある知見へと変わっていく。同社の取り組みは、AI活用の土台となる「現場のデジタル化」の重要性を示している。

 202512月取材)

【記事内で登場したプラグイン・連携サービス】


※プラグイン・連携サービスはkintoneスタンダードコース以上でご利用いただけます

【この事例の販売パートナー】
JBCC株式会社

E-mail:mktg@jbcc.co.jp

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