KFカーバイドジャパン 様の導入事例

KFカーバイドジャパン

【業務内容】
超硬合金であるタングステンカーバイドの輸入・販売
【利用用途】
在庫管理,受発注
  • 大手システムを推す親会社の説得に貢献したコミュニケーション機能。受発注から在庫管理まで一連の業務プロセスをkintoneで実現

切削工具用超硬素材の輸入販売を手掛けるKFカーバイドジャパン株式会社では、創業以来Excelで行ってきた顧客管理や受発注、在庫管理の仕組みを刷新し、kintoneをベースに業務基盤を構築している。基盤刷新を行った経緯について、業務管理部 マネージャー 北本 悦子氏にお話を伺った。

事業規模の拡大のなかで限界を迎えたExcel

ドイツに親会社を持ち、切削工具用超硬素材の輸入販売を行うべく2011年11月に創業したKFカーバイドジャパン株式会社。わずか直径3mmのタングステン素材に、摩擦にて生じる熱を冷却する螺旋状の油穴を作るなど、高度な技術が施された商品を扱っている。現在は1000以上のアイテムをドイツから輸入し、用途に応じ多種多様な超硬素材を提供している。

そんな同社では、親会社への発注や顧客からの注文、商品の在庫管理など、輸入販売を行うために必要な業務の管理は、創業当時からすべてExcelを利用して行ってきたと北本氏は説明する。仕入れから出荷までの流れを全て横一列に並べていた。

「営業を始めてからしばらくは、小規模だったこともありExcelでの管理で十分事足りていました。しかし、お客様の要望に応じて在庫を多く抱えるようになり、親会社から何か仕組みを導入するべきではという指摘を受けるようになりました」。

取引先の拡大や在庫を確保するフロアの新設などにより、以前のようなExcelだけの管理では限界を迎えつつあったという。「異なるフロアで在庫を移動させてしまうと、どこに何があるのか把握できなくなるケースが出てきました。社員も増えつつあり、発注から入出荷、在庫の状況まで含めて、情報を可視化し、従業員同士で共有する仕組みが必要な状況になってきたのです」と北本氏。そんな折、同社が事務所移転を計画することになり、そのタイミングで新たな仕組みを導入する決断をすることになる。

業務の変化に追随できる基盤としての柔軟性を評価

新たな仕組みを検討する過程では、スクラッチでの開発はもちろん、財務会計に紐づいた在庫管理や販売管理パッケージ、そしてドイツの親会社が勧める大手システムについても合わせて検討した北本氏。そのなかで出会ったのが、“納品のない受託開発”をコンセプトに掲げる株式会社ソニックガーデンの開発手法だった。

「これまで使ってきたExcelの良さは、業務の変化に対応しやすい柔軟性です。これから成長を続けてゆくなかで当然業務も変わってゆくことを考えると、この段階で完成形のシステムを入れることに疑問を感じていました。そこで、常に改善していくことが前提である開発手法に興味を持ったのです」と北本氏はきっかけを語る。

KFカーバイドジャパン株式会社 業務管理部 マネージャー 北本 悦子氏

親会社説得に役立ったコミュニケーション機能

また、利用にあたっては、大手システムを勧めるドイツの親会社を説得する必要があった。

「在庫管理をする何らかの仕組みが必要なのは間違いありませんが、我々の規模では親会社が勧める大手のシステムはコストが高すぎました。柔軟に管理できることを伝えながら、なかでもkintoneが持つコミュニケーション機能が優れている点を積極的にアピールしました。最終的に親会社が勧めるシステムへ移行するとして、移行後も引き続きお客さまとのコミュニケーション基盤になり得ることを伝えたことで、何とか了承いただきました」と北本氏。単なる情報管理の基盤としてだけでなく、コミュニケーション機能が大きな決め手になったと分析する。

GS 親会社に提示した「なぜkintoneを導入するのか?」
(引用:http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/410/410869/

image-system39.png

サブスクリプションにて支払うコスト的なメリットも大きかったという。わからないことが多かったkintoneによる開発に比べ、最初から業務フローが確立されているパッケージ製品は安心ではあったが、ソニックガーデンの開発手法とその基盤となるkintoneで刷新することに新たな顧客サービスの可能性を感じ、最終的にはkintoneが同社の業務基盤として採用されることになったのだ。

すべての業務プロセスをExcelからkintoneに移行できたことで、結果的にリモートワークを実現

受発注や在庫管理のみならず、親会社への連絡網も実装

現在は、顧客管理から商品の受発注管理、在庫管理まで含めて、一連の業務プロセスすべてがkintone上で行われており、従業員全員がkintone上に情報を入力する形で運用されている。顧客や商品、顧客別単価などマスタ系のアプリはもちろん、注文管理や発注管理といった業務アプリも含めて、40ほどのアプリが構築されている状況だ。

「商品マスタアプリ」

kf0524-2.png

「顧客マスタアプリ」

KF04_05.png

また請求処理についてもkintone上で行っており、帳票作成サービスであるプリントクリエイターを活用することで、顧客や注文別に納品書や請求書がkintoneから発行できるようになっている。他にも、顧客以外の関係先の情報をkintone上で管理するなど、従来Excelで管理してきたものをkintoneに集約させている。具体的な業務フローについては、顧客から電話やメールで注文が来た時点で「注文管理アプリ」を使って営業担当者が商品およびロット数をkintoneに登録する。在庫があればそこから商品を出荷し、納品済みにチェックした時点で在庫引き当てが行われる。

また、親会社への発注業務は「オーダーシート管理アプリ」へ商品名と数量を入力して行っている。発注内容を入力すると自動的にオーダーシートが生成され、オーダーナンバーが付与される。このオーダーシートを親会社に送信することで親会社への発注が行われる。その後、入荷予定の情報が親会社から届き、入荷日やシッピングナンバーなどの情報をkintoneに入力。最終的に入荷処理した時点で在庫管理の数字に反映されることで、一連の処理が完了することになる。

実際にはアプリ間の連携も行われており、例えば「注文管理アプリ」と「オーダーシート管理アプリ」の連携によって、引き合いがある商品の入荷遅延が一覧上で色分けされて可視化できるようになっている。

「オーダーシート管理アプリ」

KF06-06.png

「親会社側にもkintoneを一部利用してもらっており、入荷が遅れているオーダーについてはコメント機能を使って『いつ届くのか』という問い合わせを行っています。その際、親会社に見せる情報と見せない情報は、アクセス権を使って細かく制御しています」と北本氏。

「オーダーシート管理アプリ」内でのやり取り

KF05-06.png

結果的に場所を選ばず仕事ができるようになり、業務効率も大幅に向上

kintoneに切り替えたことで、業務効率は大幅に向上していると北本氏は評価する。
「注文や入荷の状況が情報共有できるため、毎日の業務量も事前に把握可能です。以前は紙で届く情報をExcelに転記するなど、その場にいないと業務が進まないこともありましたが、今はkintone内に情報があるため、場所を選ばず作業ができます」。

実は事務所移転で自宅から遠くなることで通勤に不安を抱えていた北本氏だが、kintoneの導入により自宅からリモートワークができるようになって柔軟な働き方を実現している状況だ。このkintoneを使った情報共有は、国内の従業員同士だけでなく親会社とも可能となり、コミュニケーション基盤としても重宝しているという。
「納期予定日だけは親会社の担当者に直接入力してもらっています。UIが分かりやすいため、特にこちらから説明しなくてもすぐに使ってもらえました。自己紹介の項目に自身の写真をいつの間にかアップロードするほどで、かなり使いこなしてくれています」と北本氏は説明する。

また在庫状況をホームページ上で公開しているが、以前はExcelにて個別に作り込んでいたものを、今はkintoneからデータを抽出して負担なく公開できるようになっている。他にも、月次の売上諸表などの資料作りにかかる時間が大幅に削減しただけでなく、システム化したことで客先ごとに設定された仕切値を間違えてしまうといったミスの撲滅にもkintoneが一役買っている。「以前はExcelで管理していたことで、実際にミスが起こることも。信用問題にかかわる部分ですので、きちんと課題が解消できたのは大きい」と北本氏は評価する。

なお、実際の開発はソニックガーデンが担当しているが、開発経験のない北本氏自身でも情報のインポートや簡単な管理シートの作成などは行うことができるという。「ExcelのVBAなどの経験がありますが、kintoneのほうが圧倒的に分かりやすい。現場からシステムへの要望が挙がってくることも多く、それをすぐに実現できるのはkintoneのおかげだと思います」と北本氏。

さらなる活用に向けた学びを加速させたい

今後については、現場の業務にkintoneを活用していきながら、効率化できるものはさらに効率化し、自分たちでkintoneを深く利用できるよう、カスタマイズも含めて学びを深めていきたいと意欲的に語っていただいた。