ジュピターテレコム
- 【業務内容】
- ケーブルテレビ事業・メディア事業
- 【利用用途】
- 営業支援システム(アポイント調整、案件受け渡し、資料共有、情報共有)
株式会社ジュピターテレコム(以下J:COM)は、ケーブルテレビ、高速インターネット接続、固定電話サービスを一括提供する放送・通信業界のリーディングカンパニー。幅広い世代のニーズに答える豊富なチャンネル提供と地域密着型の営業体制を強みとし、同社サービスへの累計加入世帯は全国で500万世帯を超える。そんな同社が営業活動のさらなる強化のため、クラウドサービス「kintone on cybozu.com」「Garoon on cybozu.com」を6,000名規模で導入。全国から寄せられるカスタマーセンターへの問い合わせ情報を効率的に営業部門に展開し、顧客対応のスピード化に大きな成果を上げている。そのシステム導入の経緯と活用効果について情報システム本部長の岡田壮祐氏にお話を伺った。
J:COMのサービス加入に関する問い合わせはまず全国7箇所のカスタマーセンターで受け付けられる。その後、顧客が居住する各地域の営業局に情報が展開され、営業担当者がサポートしていく体制だ。この一連オペレーションで課題となっていたのは、問い合わせ情報のやり取りが紙ベースでの運用のため、現場の営業担当が顧客フォローするまでにかかる時間が長期化していたことだ。遅い時には問い合わせを受けて2営業日以上返答が出来ないこともあったという。
「通常は問い合わせが入った翌日に該当エリアの営業局に情報が展開されますが、タイミングによっては営業担当が出払っていることもあります。そこで紙で印刷している情報を営業担当が確認するのがさらに翌日になってしまうこともあり、スムーズに現場に情報展開できていない状況が課題となっていました。」(岡田氏)
顧客のリクエストにいち早く答えるためには、営業担当が外出先にいても、情報を把握できる仕組みが必要だ。ただ同社は、2006年にPDA端末を利用した営業支援システムを導入したが、当時のシステムは入力ステップが多く、通信速度も遅いこともあり現場から使いづらいという声が続出。現場で十分活用できない状況に陥ってしまったという。この失敗から“営業現場が使いやすいシステムであることが重要"という教訓を得たと岡田氏は語る。
「基幹系システムに関しては、多少の不便さがあっても慣れれば使ってもらえますが、営業支援のシステムは使い勝手こそ命。営業現場は非常に短いサイクルの中で動くため、操作感が悪いものは使われなくなってしまいます。このため、今回のシステム検討に関しては要件を満たすことはもちろん、営業現場がしっかり使いこなせるものを目指してシステムを検討しました。」(岡田氏)
新たな営業支援システムは、持ち運びが容易なタブレット端末での利用を前提とし、営業現場の要望を取り入れて開発可能なクラウドサービスに焦点を絞ったという。複数製品を評価する中で、要件を満たし最終検討に残ったのがサイボウズのクラウド製品「kintone」と「Garoon」だった。
「『kintone』に関しては、試用版を申込み、実際に取り扱っているデータを取り込んだアプリケーションを作成しながら評価しました。営業現場に見せたところ、反応も良く手ごたえを感じましたね。最終的には、カスタマーセンター経由の情報を現場に的確に受け渡せる点はもちろん、費用対効果や営業対応など総合的に勘案して採用しました。開発可能なクラウドサービス『kintone』『Garoon』を、軽量なデバイスで持ち歩くことで営業活動の効率化につながると確信しました。」(岡田氏)
製品選定後、J:COMが採用したのがスパイラル型での開発だ。この手法は、プロトタイプとなるモックを作成し、その画面をベースに、仕様改善を進めていくスタイルの開発手法。J:COMでは、先行利用する世田谷局の営業メンバーと週次で定例会議を開き、仕様改善を進めるサイクルのスピード化を図った。
要望に対応していくサイクルを繰り返すことで、現場に最適なシステムへと変貌を遂げた「kintone」「Garoon」。スピーディーな改善が功を奏し6,000名規模のシステムにも関わらず4ヶ月という短期間で本稼動を実現した。
現場と共に作り上げた新たな営業支援システム「kintone」「Garoon」はタブレット端末経由で操作可能なユーザーインターフェースで、現場目線に細部までこだわった作りとなっている。 TOP画面には、現場担当者が顧客とスケジュール調整するための「アポイント」機能。カスタマーセンター経由の問い合わせ情報を現場の担当者に展開する「依頼案件」機能。このほか、これまで紙媒体で案内してきたチラシが電子化され格納されている「資料」機能や、連絡事項やメンバー間での提案ノウハウ共有などに活用される「連絡」機能など、外出先からも素早くアクセスできる仕組みだ。
このように現場に支持されるシステム開発で成果を上げるJ:COM。 さらに新たな事業戦略にも「kintone」「Garoon」活用が期待されている。
「弊社の事業は他社と競合することも多く、差別化するためにはお客様の「もっと」に応え、感動を与えるような、サービス提供が必要です。その一つとして、お客様の生活に欠かせない電力があります。2012年から、実際にマンション(集合住宅)向けに電力一括受電サービスを始め、各世帯に割安価格で供給しています。当社は今後、生活支援サービスとしてお買い物サポートや教育、介護など地域のお客様の暮らしに役立つ新たな領域にもチャレンジしていきたいと考えています。そのためには、やはりスピードが重要。これからもお客様のニーズに素早く対応できる業務システムとして『kintone』『Garoon』に期待しています。」(岡田氏)
J:COMの新たな成長に向けたチャレンジはまだ始まったばかりだ。
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