インターナショナルシステムリサーチ 様の導入事例

インターナショナルシステムリサーチ

【業務内容】
クラウドサービス事業
【利用用途】
顧客管理、受発注管理、帳票作成
  • 営業部単独で受注から発注のフローを自動化させる業務基盤構築に成功。目の前で要望を反映できる“対面開発”が大きな推進力に

クラウドサービスへのアクセスをセキュアかつシンプルに行うためのシングルサインオン(SSO)サービス「CloudGate」を提供している株式会社インターナショナルシステムリサーチ。2008年から提供開始されたCloudGateは、2023年3月末時点で1,600契約71万ユーザーを超える規模にまで成長を遂げており、日本においてはクラウドアクセスのリーディングカンパニーとして業界をけん引している。同社では、サービス受注後の開通手続きにおける業務フローをkintoneによって構築し、業務効率化を実現している。そんな業務改善にkintoneを採用した背景について、営業部に所属するマネージャー、営業担当者、事務担当者の3名にお話を伺った。

煩雑なExcelでの開通手続きに課題が顕在化

散在するExcelを使った業務フローに多くの時間と手間を費やす

 9年連続で平均稼働率99.99%以上を達成するなど、高度な技術力に裏付けられた「CloudGate」に関する社内業務プロセスには、大きく分けて受注から契約、開通、請求までが存在している。このうち開通フェーズに関して課題が顕在化していたという。実際には、顧客とやり取りされる情報がExcelによる申込書がベースとなっており、社内展開しているWebサイトを通じて営業側とエンジニア側でやり取りされる情報もExcelがベースとなっていた。

「開通通知書も手作業で作成されており、開通手続きそのものに多くの時間と手間がかかっていたのです」とマネージャーは当時を振り返る。本来営業活動に充てるべき時間が社内処理の業務に費やされてしまうだけでなく、Excelのフォーマットが散在してしまっており、なかには古いフォーマットを利用してしまう販売パートナーもいたという。

開通処理に時間がかかり、1日の対応件数に限界が

開通手続きを社内で行っている事務担当者も、処理の煩雑さに苦労していたと説明する。「受注してきた本契約のお客さまの手続きはもちろん、一時的にトライアルで導入いただくお客さまについても同様に社内処理が必要です。最近はWeb経由でトライアルをお申込みいただくお客さまが急増しており、従来のExcelベースの処理では1日に対応できる案件数を増やすことができない状況でした」と説明する。

メールにて個別にやり取りされる情報も多く、社内依頼を行うExcelフォーマットへのコピペミスが発生するといったリスクも想定されていた。機会損失を防ぐためにも、開通業務のフローを効率化するための手法が求められていたのだ。

情報を蓄積・検索・更新ができるデータベース機能が備わったkintoneが最適だった

膨大なコストを要するSalesforceでの開発は厳しい

マネージャーが念頭に置いていたのは、顧客からの情報をそのまま社内の手続きに活用できる仕組みだった。そこで当初検討したのは、同社の顧客管理基盤として活用しているSalesforceを基盤とした仕組み作りだったという。

「顧客マスターが管理されているSalesforceに対して、フォーム入力してもらった情報を直接フィードする方法を考えましたが、確かに構築することはできるものの、かなりのコストがかかることが分かったのです」とマネージャー。APIを活用するためにエディションをアップグレードしたうえでコンサルティングを委託して開発すると、1000万円近くのコストがかかることが試算によって明らかになったという。「何か変更があったときにもその都度コストがかかってしまう。何か別の方法を検討することにしたのです」。

「業務フローも柔軟に変更していくことを考えると、自分たちでカスタマイズしながら運用できるのはおそらく既製品では厳しい。そうなると、PaaSのようなものでないと運用できないと判断したのです」とマネージャー。「G Suiteのスプレッドシートを使った運用も考えましたが、データベース(以下DB)機能が備わり、日々の情報を蓄積・検索・更新ができる仕組みが必要だったのです」と営業担当者。そこで注目したのが、サイボウズが提供するkintoneだった。

目の前で要望を反映できるスピード感ある“対面開発”の存在が大きな推進力に

kintoneを採用すれば、営業部門だけでも開発できると考えていたものの、kintone自体ははじめての取り組みで多少時間がかかってしまう恐れもあった。そこで、やり方を教えてもらいながら一緒に学び、その後自分で構築できるスキルを習得するために、株式会社ジョイゾーが提供する定額制対面開発サービス「システム39」を活用することにした。

「初回は概要をこちらから説明しつつ、具体的なご提案をいただきました。また、目の前で要望を反映できるスピード感ある対面での開発は非常によかったです」と営業担当者は評価する。最初の打ち合わせのなかで、同社の業務要件がきちんと実装できることが分かったことで、定額制開発サービスの「システム39」を活用しながら、kintoneをPaaSのプラットフォームとして採用することを決断することになる。

株式会社ジョイゾーが提供する定額制来店型のシステム開発サービス「システム39

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開通業務の要としてのkintoneが生産性2倍増を実現

コスト削減しながら付加価値の高いタスクへとシフトできた

現在は、サイボウズスタートアップス株式会社(以下、cstap)が提供するフォーム作成サービス「フォームブリッジ」で作成された「CloudGate」のWeb申し込みフォームに必要事項を明記したうえで申込を行うと、kintone上に申込情報が自動登録され、その情報を開通作業を行うエンジニアが確認したうえで作業を進めていく。開通手続きが完了するとkintoneを通じて通知がなされ、DB上の情報を使ってcstap提供の帳票出力サービス「プリントクリエイター」にて開通通知書を作成、顧客に送付する流れとなっている。

「新たな業務システムによって、Excelが介在しなくなり、転記などの処理も不要。以前は1日5件程度の処理で手一杯でしたが、今は10件程度まで負担なく処理可能です」と生産性が倍増している状況にあると事務担当者は評価する。

実は、導入前に年間470万円ほどのコスト削減効果が見込めると試算していたが、実感値として削減できているとマネージャー。「コスト削減はもちろん、自動化することで、営業アプローチや分析など付加価値の高いタスクに時間をさけるようになった。受注件数を増やして売上増を達成しても、社内工数を抑えることができるようになったのは大きい」と評価する。

「フォームブリッジ」で作成された「CloudGate」のWeb申し込みフォーム

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Web申し込み フォームから 登録された情報がkintoneの「顧客マスタ」に自動保存

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ボタン1つで 「開通通知書」 を出力

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kintoneから「プリントクリエイター」によってPDF出力された開通通知書

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なお、Webフォームの提供からkintoneへの自動登録までの仕組みを提供するフォームブリッジへの費用はスタンダード版で年間10万円ほどかかるが「ステップごとのフォーム作成や条件分岐まで含めた機能をSalesforceで実装すると、とても10万円では作れません。便利な機能がプラグインで手軽に利用できるのもkintoneならでは」とマネージャーは驚きを隠せない。

生産性向上もさることながら、契約状況がDB上で容易に可視化できるようになった点も大きいとマネージャーは評価する。「プラン変更があればDB上で更新するだけですし、お客さまの最新状況が一目で把握できます。特に、我々が直接販売するパートナーはもちろんですが、直接手の届いていないパートナーの販売実績などもグラフで一目瞭然となるため、新たなマーケティング施策などを検討する際にも有効です」

わずか2か月で開発を実現させたシステム39

今回のプロジェクトでは、わずか2か月あまりでkintoneのアプリ開発に成功しているが、システム39が短期間での開発実現に大きく貢献しているという。「打ち合わせ時にkintoneでできないことも含めて確認できたのは大きい。機能実装するうえで参考になるtipsも数多く入手できました」と営業担当者は高く評価する。

「当初から我々自身でメンテナンスするつもりでしたので、一緒に並走開発しながら作り方を教えてもらう形で支援していただきました。ジョイゾーの環境で作ったアプリをテンプレートとして利用できただけでなく、アプリが本番にそのまま移行できたのはとても助かった」と営業担当者。実際には2度の打ち合わせでアプリ自体は作成できてしまい、残りの1回は今後の展開を見据えた相談をするといった時間に充てるなど、システム39を有効に活用することができたという。

kintone活用を促進するサポート環境を評価

今回初めてkintoneにて開発を行ったマネージャーは、使い勝手の面とエコシステムという視点で評価する。「イベントを拝見しても多くのディベロッパーが連携可能なプラグインを作っており、利用できる幅が広がるため助かります」。事務担当者も「操作が直感的に分かるのはとっても使いやすいです。私のほうでカスタマイズする機会もありますが、ネット上にも数多く情報が載っており、画像付きで分かりやすく紹介されています。公式サイトでも欲しい情報にたどり着きにくいサービスも少なくないため、kintoneはとても重宝しています」と高く評価する。

また、「今後は、有給申請といった社内申請業務や交通費精算、サポート部隊に必要なタスク管理など、各部署にkintoneアプリを作成できる人材を増やし、さらに積極的に活用していきたいです」と語っていただいた。

(※Google社ビジネス向けグループウェアサービスは現在『Google Workspace』という名称に変更されていますが、事例につきましては導入当時の状況を鑑み当時利用されていた名称『G Suite』で表記させて頂いております。)

【この事例のアライアンスパートナー】
インターナショナルシステムリサーチ

1993年、東京に設立されたインターナショナルシステムリサーチ(ISR)はインターネット黎明期の頃からWebシステム開発に着手し、常に時代の要請に即した製品開発、システムインテグレーション、各種コンサルティング業務など様々なソリューションを提供してまいりました。現在は主力事業をCloudGate UNOに一本化し、サービス提供開始時から「Security First」の考え方に基づいたサービスの開発・提供を行っています。