
ISID-AO
- 【業務内容】
- デジタルインフラ事業、システムサポート事業、ユーザーサポート事業
- 【利用用途】
- パートナー会社情報管理、人材マッチング
SID-AOは、電通・電通国際情報サービス(ISID)グループ内外で デジタル・インフラ、システム・サポート、ユーザー・サポートを事業領域とした、IT関連サービスを提供するトータルサービスプロバイダーだ。顧客に対してコンサルティングからシステムの設計、開発・導入、運用保守、バージョンアップまで幅広いサービスを提供している。
そんな同社のBPO推進部で働く根崎 由以子氏は、4年前に定年を迎え、再雇用という形で出向先から自社に帰還。現場の最前線で働いていた頃に比べて仕事に対する意欲も低下し、いよいよ潮時を感じた時にkintoneと出会い、まさに人生が変わるような体験をした。これは「kintoneおばちゃん」こと根崎氏が、13年後の目標を掲げるまでのストーリーである。
元々はISID-AOのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)部門に所属し、グループ内外の顧客から委託された業務に従事していた根崎氏。取引先の企業へ常駐し、委託された業務をこなすだけでなく、業務の中の問題を課題化したり、非効率なフローを見直したりと、業務改善のコンサルティング的な役割も担っていた。
40年以上現場の最前線で活躍し続けた根崎氏。今から4年前に定年を迎えて退職した後は、再雇用という形で引き続き同社に在籍することになった。しかし差し当たって大きな仕事もなく、現役時代に比べると給与も下がり、再雇用後のモチベーションは決して高くなかった。しかしある時、社内で試験的に利用していたkintoneの管理業務を任されることになり、根崎氏の心境は一変した。
「最初にkintoneの管理を引き継ぐように言われた時は『この歳で今さら新しいシステムを覚えるなんて…』と憂鬱な気分でした。しかし前任者からkintoneについて教わっていくうちに、そんな気持ちはどこかへ吹き飛んでしまいました。kintoneの話を聞けば聞くほどワクワクして、これならおばちゃんでも触れるかも!と俄然やる気が湧いてきました」(根崎氏)
根崎氏がkintoneに惹かれた理由の一つに『自分の現役時代にkintoneがあれば』という思いがあった。当時は顧客の業務改善のため、主にExcelやメール、FAXといったツールを使って改善方法を提案していた。しかし既存のツールでは到底太刀打ちできない状況もあり、新たなシステムの導入を提案するも高額なものばかりで承認が下りず、最適な提案をできず悔しい思いをした事も多かったという。長年現場で感じていたモヤモヤを、kintoneなら解決できるのではないかという期待で胸が膨らんでいった。
「再雇用後は週4勤務で時間もあったので、日本橋にあるサイボウズオフィスに通い、無料のセミナーをたくさん受講しました。そこで出会ったサイボウズ社員の方とお話ししたことをきっかけに、他のkintoneユーザーさんとも交流が生まれ、徐々に世界が広がって人生が変わり始めました」
kintoneの面白さにのめり込んだ根崎氏は、さっそくkintoneでアプリを作り自社内に展開していった。しかしやる気とは裏腹に、最初は手痛い失敗もいくつか経験したと振り返る。
「部署の新人さんが『社内図書貸し出しシステムを作成せよ』という課題を与えられ、私はお手伝いでスマホとバーコードスキャナだけで貸し出しを管理する『オフィス文庫無人貸出システム』をkintoneで構築しました。しかしリリース直前にちょっとしたトラブルが起こり、失望感からスペースのアクセス権のチェックを外してしまいました。翌日、新人さんたちは『アプリが消えた!』と大騒ぎに。アクセス権の変更はとくに慎重かつ冷静に設定しなければいけないと、今でもとても反省しています」
その他にも、よりクオリティの高いアプリを提供しようと張り切って素人なりにkintoneのカスタマイズにも手を出したが、イレギュラーな事が起きた際にすぐにリカバリーができず、結果的にユーザーに迷惑を掛けてしまった事もあった。
こうした反省を踏まえ、根崎氏はkintoneと業務改善について基礎から学び直すことを決意。1年がかりで kintone認定 アプリデザインスペシャリストの資格を取得したことでkintoneが身についてきた実感が湧いたという。
根崎氏が作ったkintoneアプリの中でも特に高い効果が出たのが「パートナー会社情報管理システム」だ。kintone導入前は、会社概要調査票をExcelで作成し、メールで送り、返送されたデータを収集、精査…という人力の作業が発生していたが、kintone導入後は「フォームブリッジ」(※トヨクモ株式会社が提供するkintone連携サービス)で作成した登録フォームに会社情報を入力してもらうだけで登録完了。会社の情報に変更があった場合にはMyページから自分で修正してもらえるようになった。このシステムのおかげで、パートナー会社情報管理を担当していた女性の作業工数は約9割削減。非常に助かっていると、現場から嬉しい声が届いたそうだ。
さらに社内からの依頼で「パートナー会社情報管理システム」をベースに「人材マッチングアプリ」の制作にも着手した根崎氏。これは現場からの人材調達依頼とパートナー企業からの人材情報の仲介をする作業なのだが、kintone導入以前はほとんどの工程をメールやExcelを使った手作業で、しかもほぼ一人の担当者が属人的に実施していた。こちらのアプリも「フォームブリッジ」や「kViewer」(※トヨクモ株式会社が提供するkintone連携サービス)を使って、1案件あたりの工数を7割ほど削減することに成功。さらに今まで属人化していた作業もチームで分業できるようになり、外部の人材調達のスピードアップが実現した。
根崎氏が構築したkintoneアプリのおかげで現場部門の業務負担が軽減され、ISID-AO社内でもkintoneの有用性が注目され始めた。中でも大きな変化は、業務でkintoneに触れたメンバーが興味を持ってアソシエイト資格試験に挑戦し始めたという点だ。現在社内には10名のkintoneアソシエイト資格保有者がいる。しかもそのほとんどは開発部門ではないメンバーだという。この状況に根崎氏は「kintoneのたすきを繋げたことで、会社員生活は良いもので終われそうです」と目を細める。
「来春には再雇用契約も終わり、43年間続いた会社員生活はいよいよ幕を下ろします。再雇用直後はモチベーションも低く、会社を辞めたら孫たちとのんびり暮らすことを考えていましたが、今は違います。kintoneに出会って、kintoneおばちゃんに新たな目標ができたのです」
退職後もkintoneに関わっていきたいと意気込む根崎氏。今後はいち企業内にとどまらず「いま頑張っている、大変な思いをしている現役世代の役に立ちたい」と構想を語った。具体的には小学校や保育園の連絡帳、介護現場のアナログな情報共有、ワーケーション誘致による地方創生などの社会課題に関心を抱いているという。
「定年退職を迎え、43年間働き続けた『会社』という居場所を失くすことに漠然とした不安を感じていました。けれど居場所のひとつやふたつ、無くなったって自分は自分。わりと捨てたものじゃないかも、と思えたのもkintoneに出会えたおかげです。次の目標は13年後、77歳の喜寿で再びkintone hiveにエントリーします!」
社会人として働く人間ならいずれ誰しも定年退職の時期を迎える。「kintoneおばちゃん」の決意は、間違いなく後輩たちの背中を押すだろう。
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