
兵庫分析センター
- 【業務内容】
- 環境分析・水質調査
- 【利用用途】
- 問い合わせ管理、部署間のコミュニケーション 他
環境分析や水質調査などを中心に、主に関西で事業を展開する株式会社兵庫分析センター。1975年に誕生し、今年で創立50年を迎える同社は、「環境計量証明事業所 計証第濃1号」の登録を受けた企業として自然を守り、豊かな生活環境の実現を目指して活動している。
同社は、kintoneとメール共有オプションの導入で部署間のスムーズな連携を実現し、業務効率の大幅な向上に成功した。今回は、管理部門でSEを担当している秦氏にお話を伺った。
近年、環境問題へのニーズは多様化・高度化している。兵庫分析センターでも、時代の変化に合わせて専門分野を細分化し、水・土壌・大気・アスベストなど幅広い分野で、環境のエキスパートとして事業を展開している。こうした中、1つの案件に複数部署が関わることが増え、情報共有や進捗管理に課題を抱えていた。
「当社ではお客様とのやり取りの多くがメールから始まりますが、その処理に課題がありました。たとえば、官公庁からの入札案内メールには業務仕様書が添付されており、内容の確認・検討・入札価格の決定までを営業部門や分析・測定部門で連携して進める必要があります。」と秦氏は話す。
総務部 秦氏
従来、入札に関する社内のやりとりは、メールを紙に印刷し、案内書を添えて回覧していた。この業務は、多い月で100件以上行っているが、印刷や受け渡しに手間がかかるばかりか、担当者のデスクに置いた紙が行方不明になることがあった。その結果、進捗を正しく把握できず、完了までに時間を要していた。
さらに、分析や測定の業務では過去の案件を参考にする機会が多いものの、契約書や申込書などはすべて紙で管理。必要な書類を倉庫から探し出すのにも多くの時間がかかっていた。
また、業務管理についてはExcelを使っていたが、特定の社員が作成したマクロにエラーが発生すると、修正できる人がおらず業務が止まってしまうことがあった。
これらの課題が顕在化したきっかけは、コロナ禍だった。出社して紙の書類を確認しなければ情報共有できないことや、特定の社員が不在であることによって進まない業務が浮き彫りになったのだ。当時の状況について、秦氏は「属人化から脱却する必要があった」と話す。そこで、課題の解決に向けて中小機構のコンサルを受け始めた際に、業務改善のために導入するシステムとして提案されたのがkintoneだった。
コンサルでは、すでに完成した状態で提供されるパッケージシステムを中心に提案してもらったものの、自分たちの組織体制には合わないと感じたという。例えば、セールスフォースは案件内容から見積りまで一括管理できるので営業部門には適している一方で、複数のチームに分かれている分析部門では、分野の異なる業務内容を同じフローに落とし込むことが難しい。部署間の連携としての用途には向いていないと判断したそう。
kintoneなら、部署ごとにそれぞれの業務に合ったフローを構築できるだけでなく、部署間で連携させることも容易だ。加えて、分析部門では専用のソフトを使用しているため、CSVでデータを取り込んで自社のシステムと連携させることができるカスタマイズ性の高さにも魅力を感じたと秦氏は話す。これらが決め手となり、まずは社内の一部でkintoneを導入する流れとなった。
kintoneとメール共有オプションを導入してからは、1週間以上かかっていたという見積り作成の業務が最長でも3日で終わるように。印刷や、紙をデスクに置いて回る作業も不要となり、課題だった部署間の情報共有や進捗管理はkintone上で完結するようになった。
秦氏は、最初から全部門で連携の取れた一つの大きな業務システムを目指すのではなく「小さくても安定して稼働するアプリを作る」ことを意識したと話す。その活用方法は、官公庁との取引を管理する「入札案件管理アプリ」、見積り書や注文書などを作成する「書類作成アプリ」、部署を跨いだ契約書の処理に使う「業務依頼アプリ」など多岐にわたる。メール上の添付ファイル以外の書類も、データとしてkintone上に保存できるため、文字列検索の機能を使うことで、過去の紙の契約書や申請書を探して印刷する作業が不要になった。現場からは「書類を作成して準備する時間が格段に減った」「紙の印刷量が全然違う」など、効果を実感する声が多く上がっている。
日常的に利用頻度の高い「入札案件管理アプリ」は、メール共有オプションを利用することで、特に業務の効率における効果を感じているという。簡単な見積り依頼であれば、担当者・確認者の割り当てからメールの送受信まで、全てメール共有オプション上で完結する。部署を跨いだ案件についても、転記機能を活用することで進捗状況の明確な可視化を実現した。
メールをそのまま「入札案件管理アプリ」に転記することで、問い合わせ内容を確認しながら複数の担当者とやり取りできるようになり、アプリ内のプロセス管理を活用して進捗状況を正しく把握できるようになったため、必要に応じてリマインド通知を設定するなど、効率よく業務を進めている。秦氏は転記機能について、「非常によく使わせてもらっています。最近、添付ファイルが転記できるようになったのがもう最高に嬉しくて。めちゃくちゃ便利ですね」と話す。
また、それぞれの問い合わせメールに紐づいたコメント欄で他部署の担当者とやりとりでいるようになったことで、出社しなければ進まない「属人化」の環境から脱却し、場所を問わず業務できる体制が整ったことも大きな利点の一つだという。
DXが進みつつある同社だが、最終的には、必要な情報や業務状況がすべてkintone上で一元管理され、処理が完結できる体制を構築したいと秦氏は語る。
その実現には、すべての部署で業務担当者が自らアプリを作成・運用できるようになり、部署間でアプリを適切に連携させることが重要だ。すでに営業部門や管理部門では、担当者が必要なアプリを自ら作成・運用し、kintone上で業務を完結できる環境が整いつつある。こうした取り組みは単なるシステム構築にとどまらず、業務フローの見直しとも深く結びついている。だからこそ、他の部門でも同じように自律的にアプリを作り、改善を重ねられるようになることは大きなメリットとなる。
加えて、新機能の活用も欠かせない。これまでメール共有オプションは請求関連など、全員に公開できないやりとりには使いづらかった。しかし、アップデートによってメールアプリケーション内のメールにアクセス権を設定できるようになり、閲覧権限の管理が必要な業務にも活用を進められるようになった。
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