グリーンバレー 様の導入事例

グリーンバレー

【利用用途】
神山町視察団体の申込管理
  • kintoneによる情報化が評価され総務省における地方創生に資する地域情報化大賞を受賞

特定非営利活動法人グリーンバレーは、徳島県にある神山町内全域に敷設されている「高速ブロードバンド環境」を活用して、来訪する視察受入を最大化し、「人」に焦点を当てた魅力的な人材誘致や、集落内の古民家や遊休施設を首都圏のICT企業等に貸し出す「サテライトオフィス」の誘致を推進。
その結果、11社のICT企業等の誘致、29名の地元雇用の創出、32名の移住に成功して人口転入超過を達成する等、新たな働き方や地域の活性化を実現した。
この活動が評価され、総務省における地方創生に資する地域情報化大賞 地域活性化部門賞を受賞。
受賞の背景には、kintoneとフォームクリエイターの活用が重要な鍵を握っている。

過疎の町、奇跡の人口増加…その裏に隠された深刻な人手不足

2040年、地方では800以上の市町村がほぼ消滅するという日本創成会議の報告をご存知だろうか。地方から20~30代の若い世代が都市部へと流出し、過疎化が進む現象が全国各地で起きているのだ。

そんな中、都市部から若者を呼んで人口を増やすことに成功した町がある。それが徳島県北東部に位置する神山町だ。開放的な地域性やIT系インフラの整備を強みとして、都市部で働くクリエイターやカメラマン、システムエンジニアなど、手に職を持った人材を受け入れることに成功した。またその流れからIT系企業のサテライトオフィスとして神山町が選ばれるケースも増え、2011年度の人口動態調査では転入者が転出者を上回った。

このような神山町の移住支援を行ったのが、特定非営利活動法人グリーンバレー(以下、グリーンバレー)。神山町人口増加のニュースは全国的にも話題となり、今では毎日のように数多くの視察団体が神山町を訪れる。

しかし視察者の増加と同時に、対応するグリーンバレーの人手不足が深刻な問題となっていった。 「今までは電話やメール、SNSといった様々なツールで問い合わせを受けてから、行政や一般企業、グリーンバレーの予定を調整してスケジュールを立てていました。ひとつひとつ手作業だったので、時間も掛かっていました」(グリーンバレー 木内氏) 問い合わせや視察に訪れた視察団の情報は分散し、適切に情報が共有できていない状況だったという。

グリーンバレー 木内 氏

kintoneで問い合わせ窓口を一本化。視察者の情報も三位一体で共有

毎月平均約100名、20団体が視察に来る神山町。そういった視察者リストの作成や管理コストは、グリーンバレーの重い負担となっていた。 一方で、神山町にサテライトオフィスを開設した、業務システムなどのコンサルティングを行っている株式会社ダンクソフト(以下、ダンクソフト)はグリーンバレーの状況を見て「kintone」を提案したという。

具体的には「kintone」と、その連携サービスである「フォームクリエイター」を利用し、視察の申込みとリストの管理を一元化した。神山町のWebサイトである「イン神山」から、視察の申込み情報を送信する。ここに「フォームクリエイター」の仕組みが採用されており、申込まれた情報は自動的に「kintone」のデータベースに蓄積される仕組みだ。 以前は、電話やメールなど様々な手段で申し込みが行われていたものをWebフォームに一本化し、申込み情報はすべて「kintone」で管理。

そうすることで、グリーンバレーのスタッフだけでなく、町役場のメンバー、視察される地元の民間企業のメンバーや県庁のメンバーまでも、神山町の視察に関わる全ての人が同じように情報を得られるようになった。

神山町の視察受け入れは、グリーンバレーに委託をしています。今までは『何月何日は空いていますか、この時間は別の視察が入っていますか』という細かい状況を1から聞いて調整していました。申込みと名簿管理をkintoneにしたおかげで調整のスピードが格段に上がり、大変助かっています」(神山町産業観光課 北山氏)

バラバラだった行政と民間が一体化し、
より町の魅力を伝えやすくなった

「kintone」を導入した効果は、単に作業効率が上がった点だけでは無い。一番の効果は「行政と民間の一体化だ」とグリーンバレー理事長 大南氏は語る。

「kintoneの情報は、視察に関わる徳島県庁や一般企業のメンバーも見られるようになっています。今まではこういった情報共有は一切ありませんでした。けどkintoneを通じて、行政と民間とNPOとが垣根を越えて一体感が生まれて。視察に来てくださる方に、より神山町の魅力を伝えていけるようになったと感じています」(グリーンバレー理事長 大南氏)

また、「kintone」には登録されている情報をクリックひとつでグラフ化する集計機能も備わっている。そのため、今まではなかなか見えなかった視察者の属性なども簡単に分析できるようになった。

「今まではどんな人が神山町の視察に訪れているのか、感覚値でしか把握していませんでした。しかしkintoneでデータを見ると、一般企業や学生さんの割合がまだまだ少ないことが分かりました。これを踏まえて、現在は法人や学生さんにもっと足を運んでもらえるような企画やイベント、施設の建設などを行っています」(徳島県庁地域創造化集落再生室 上田氏)

過疎化から一転、人口増加を遂げた奇跡の町―神山町。 日本の地方活性化のために、今日も現場では「kintone」が活用されている。

グリーンバレー理事長 大南 氏