グレイ建設 様の導入事例

顧客も工場建設のチームの一員に。情報共有を競争力に繋げる~グレイ建設

事業概要顧客も工場建設のチームの一員に。情報共有を競争力に繋げる

グレイ建設はアメリカのケンタッキー州で1960年に設立された、工場の建設を専門としている建設会社である。トヨタ自動車など数多くの大手日本企業の北米進出を1970年代から320件も手掛けており、アメリカの建設会社の中ではトップの実績を持つ。日系企業だけではなく、ミシュラン、シーメンス、ワールプール・コーポレーション、キャタピラーなど欧米の名だたる大企業のプロジェクトの実績も多い。

同社では、日本事務所とアメリカ中西部にある本社と西海岸の事務所の複数拠点をつなぐ、営業の案件管理のシステムとして「kintone(キントーン)」を採用した。導入のきっかけや活用状況について日本事務所の代表である増子滋氏にお話を聞いた。

グレイ建設の建築実績

グレイ建設:名だたる実績の数々

導入の背景日本とアメリカ、複数拠点にまたがるグローバルでの案件進捗管理

グレイ建設の従業員は480人ほどだが、売上は900億円規模にのぼる。売上に対する社員数が少ないこともあり、社員一人ひとりが規模も金額も大きなプロジェクトを担当している。
日本企業の北米進出のサポートを円滑に行うため、6名で構成される日本人チームが社内に存在する。そのうち4名がアメリカ中西部のケンタッキー州の本社、1人が西海岸のカリフォルニア事務所、そしてもう1人が日本事務所と国や地域をまたがって勤務している。

メンバーの国と地域が異なるため当然時差があり、さらに出張も多いため、「kintone」を導入する前の顧客情報の共有は、個人個人のスキルに依存し、時差をあまり気にせずにメンバーから問い合わせがあれば対応していたという。例えば、アメリカにいるメンバーがすぐに案件の進捗状況を把握したいときは、深夜であろうが日本のメンバーに電話で確認するか、過去の自分のメールボックスを遡って探すなど、睡眠時間を削って体力でカバーするような案件管理をしていた。

さらに、プロジェクトは数多く同時に進行しており、その数は常時20~30個ほどで、多いときにはその数は40にものぼるという。プロジェクトの最新の状況をひとつひとつ把握することがとても難しかった。

日本事務所 代表 増子 滋氏

日本事務所
代表 増子 滋氏

導入効果最新情報の共有で顧客との信頼関係を構築

Gray建設での案件進捗管理イメージ

「kintone」を導入したことにより、プロジェクトの状況がリアルタイムに把握でき、一覧ですぐに見ることができるようになった。直接は担当していない顧客から電話で問い合わせを受けても、その場ですぐに「kintone」にアクセスして状況を確認し、的確に回答することができる。すぐ正確に回答できるということが、顧客にとってグレイ建設の中で自社のプロジェクトが重要視されているという安心感につながり、信頼関係を築くのに役立っているという。

案件進捗管理画面
案件進捗管理画面

▲ Gray建設:案件進捗管理アプリ ▲

今後の展望顧客満足度向上のコミュニケーション基盤として「kintone」の活用

案件情報の共有によって、顧客の信頼をさらに得ることができるようになった。グレイ建設では、社内だけにとどまらず顧客とのコミュニケーションそのものにも「kintone」の利用範囲を広げてはどうかということになった。

グレイ建設は、日本では大手建設会社に比べると知名度が高くない。それゆえに商談のきっかけとして、既存顧客がさらに別の場所に工場を建設する際のリピートや、顧客からの紹介による引き合い、そしてインターネットでグレイの存在を知った新規顧客からの問い合せが大部分を占める。リピートや紹介につなげるためには、顧客との信頼関係・満足度の向上が大変重要になる。満足度が高く「グレイ建設にお願いしてよかった」と思ってもらわなければ、知り合いへの紹介までにはなかなか繋げることは難しい。そのためには、建設前からのタイムリーな情報提供が不可欠であるという。

工場の建設は、規模や投資する金額も大きく、提案から完成までの期間も非常に長いのが特徴である。また、アメリカへの工場建設は顧客の社内でも非常に注目されており、担当者にとっても絶対に成功させなければならないプロジェクトである。顧客のプロジェクト担当者は上層部から工事進捗や課題など、定期的な報告を求められる。その担当者への情報提供の手段として、情報が集約され双方向のやりとりが可能な「kintone」の活用を考えている。

建設現場の日々の進捗レポートをグレイ建設社内だけでなく、顧客にも「kintone」で共有する。これにより顧客はプロジェクト管理で重要な現地情報のタイムリーな把握が容易になる。

お客様との情報共有イメージ

日本から「kintone」にアクセスし、工事の進捗状況を写真などで実際に確認しグレイ建設と不明点や懸念点を双方向にやりとりができることで、リアルタイムに正確な情報収集ができ、上層部への報告をきちんと行うことができる。担当者の社内での評価が高まることが満足度に大きな影響を与えると増子氏は言う。

「日本のお客様の場合、アメリカに初めて工場を建設されるお客様は、工事が始まってもまだ日本にいらっしゃいます。『kintone』は、日本に居ながらアメリカの工事の状況をタイムリーに知ることができる非常に優れたツールだと思っています。それによって、担当者が上層部の方からもプロジェクトをしっかり管理されていると評価が上がり、結果的にグレイにしてよかった、と思ってもらえるのではないでしょうか。」(増子氏)

工事の進捗状況を社内だけではなく顧客にも共有することは、斬新で新しい取り組みである。顧客も同じ工場の完成という目標に向かうチームであると考え、タイムリーに情報提供を行う。その結果、グレイ建設の他社との差別化のポイントとなり、顧客から「グレイ建設にお願いしたい」と指名してもらえる競争力をうみ出す仕組みにつながっている。

「日本のお客様がアメリカに出てこられるからには、絶対に成功してもらいたいという気持ちをメンバーみんなが持っています。ですので、おのずと情報を共有してお客様をサポートしていきたいという気持ちが出てきます。それがお客様にとってもいい結果になっているのではないかなと思っています。」(増子氏)

今後も、顧客との信頼関係を構築する基盤として「kintone」が支えていく。