
GENDA
- 【業務内容】
- エンターテイメント事業
- 【利用用途】
- 落とし物管理、景品発注管理、グローバル活用など



「世界中の人々の人生をより楽しく」をAspiration(大志)として掲げるエンターテイメント企業である株式会社GENDAでは、グローバルに展開する現場と本部をつなぎ合わせる情報基盤の中核としてサイボウズのkintoneを活用している。その経緯について、執行役員 CTO 梶原 大輔氏およびIT戦略部 ITアプリケーションマネージャー 山崎 朝樹氏、同部 寺井 裕介氏にお話を伺った。
2018年に創業し、「2040年世界一のエンタメ企業に」をVision(野望)に掲げ、「Speed is King」「Grit and Grit」「Enjoy our Journey」という3つの「GENDAValue」を行動指針に、エンターテイメント企業として新たな挑戦を続けている株式会社GENDA。事業戦略としてM&Aを積極的に進めており、国内外でアミューズメント施設「GiGO」やカラオケチェーン店「カラオケBanBan」、フォトスタジオ「スタジオキャラット」等をあわせて1100店舗を展開、ミニロケ(主に30台以下のゲーム機を設置するゲームコーナー)を約1万4000箇所を運営するなど、世界中にビジネスを拡大させている。
また、GENDAが提供するさまざまなサービスで利用できるGENDA IDを中心にユーザー基盤を整備しており、各種サービスへの相互送客を行いながらGENDAエンタメ経済圏を構築している。この環境整備に向けて店舗事業におけるオペレーションの効率化を進めるべく、DX施策へも積極的に取り組んでいる状況だ。「以前からテクノロジー組織の内製化を推進しており、データ基盤を正しく構築してグループ全体のデータを集約分析し、AI活用も進めながら経営の意思決定に貢献できる環境整備に注力しています」と執行役員 CTO 梶原 大輔氏は説明する。

執行役員 CTO 梶原 大輔 氏
そんな同社でkintone活用が広がったきっかけとなったのが、アミューズメント施設「GiGO」における落とし物管理だった。その当時、社内では紙撲滅プロジェクトチームが結成され、紙による業務をシステム化する動きが加速し始めていたという。「従来は店舗で落とし物があると、それをメモ用紙に記入し、紙の台帳に記入するといったアナログな作業でした。毎月2000件ほど発生する落とし物の管理のみならず、現場では紙とExcelを使った多くの業務があり、効率的な業務プロセスへの見直しが求められていたのです」とIT戦略部 寺井 裕介氏は当時を振り返る。
そこで、当初は別のソリューションで検討を始めたものの、同社ならではの運用に適した形にカスタマイズすることが難しい状況だった。「SaaSのソリューションを検討しましたが、SaaSの仕様に現場の業務を合わせていく必要がありました。全国で毎月2000件を超える落とし物を管理する必要があり、全ての現場の運用を変えていくのは難しい。さらに現場ではスマートフォンでの入力が必要なため、現場にはフィットしないのではと考えたのです」と語るのは、IT戦略部 ITアプリケーションマネージャー 山崎 朝樹氏だ。

IT戦略部 ITアプリケーションマネージャー 山崎 朝樹 氏

IT戦略部 寺井 裕介 氏
そこで注目したのが、以前から導入されていたkintoneだった。当時はシステム連携の中間アプリケーションとして、そして簡単なマスターを置いて使うといったシンプルなもので、kintoneはあくまでシステム部門だけのツールだったという。話題性の高いkintoneを使って、M&Aに伴う屋号変更などをうまく吸収するといった特殊な使い方が中心で、現場に展開するような広がりは見せておらず、ある意味で停滞している状況だった。
そんな状況下で、kintoneであれば紙やExcelから脱却し、落とし物管理の基盤として現場に負担なく使ってもらえると考えたという。「kintoneならとりあえず使えるのでは、という阿吽の呼吸で使ってみようと考えたのです。おそらくkintoneであれば現場の運用を踏襲しながらシステム化できるのではという期待からでした」と山崎氏は説明する。
そこで、3つの部署でチームビルディングを行い、IT戦略部が伴走支援しながら、kintone標準のテンプレートを活用して現場担当者が拾得物管理のアプリを作成した。プラグインを活用することで、kintoneアカウントがないスタッフもスマートフォンで落とし物を登録・閲覧可能な環境も整備した。「手書きメモが不要になり、その場で情報が確認できるためフロアを往復する必要もなくなりました。問い合わせがあったお客さまにもすぐに回答できるなど、お客さまの満足度向上にもつながったのです」と寺井氏。
この成功事例を契機に、多くのメンバーがkintoneに触れたことでグループ全体に話題が広がり、課題を持っていた現場担当者からもkintoneで改善できるのではという声がIT戦略部に寄せられるように。そこで、IT戦略部が伴走支援しながら現場の運用に沿ったアプリ開発を現場主導で行う環境づくりを進めていったのだ。結果として、現場の業務改善のツールとしてだけでなく、リソース不足のエンジニアにとっても重宝する、そしてDX推進による現場のIT人材化に向けたソリューションとして、kintoneが広く使われていくことになったのだ。
今や現場の業務改善のツールとしてkintoneがグループに定着しており、アカウントは国内外のグループ企業7社で300ほど、プラグイン経由で利用するユーザーは5000名を超える規模にまで拡大している。現場を支援するIT戦略部のメンバーは当初の1名から8名まで増員されており、現場部門で市民開発できるメンバーは30名にまで増えている。開発権限は全員に付与しており、アプリ数も700を超える規模にまで広がっている状況だ。当初は国内のみでの活用だったが、今ではGiGO台湾や米国のKiddleton、F&B事業の欧州拠点といった海外のグループ拠点にまで広がっている。「国内のメンバーが開発をサポートすることで、アプリのうち数%ほどではありますが海外でも活用が広がりつつあります」と山崎氏は説明する。
用途は多岐にわたっており、アカウント管理や外部とのシステム連携、売上管理、商談報告などはもちろん、店舗においては拾得物管理や店舗での事故報告アプリなど、その用途はさまざまだ。「元々多くの処理を巨大な基幹システムに依存していたため、それら処理を少しずつkintoneに移管していく際にも重宝しています。店舗マスターをkintoneに登録して、それをkintoneで承認フローを回して店舗コードを付与し、それを会計システムに戻すといったプロセスがその一例です」と梶原氏は紹介する。「システム連携に関しては、ビジネスロジックがEAIに依存してしまわないよう、kintone側で処理することでメンテナンスしやすくしています」と山崎氏。
kintoneの具体的な活用例の1つとしては、日本国内に展開するミニロケの売上管理だ。商業施設などの売り場に配置されているミニロケの売上は、従来は機器の中身を開けて利用状況を確認し、Excelに記載したうえでメールにて本部に報告していたが、今ではスマートフォンの画面からFormBridgeを経由してkintoneに売上情報を入力、日々の売上情報はkViewerから現場にて確認できるようにしている。「エンジニアとしては、スクリプトを駆使してカスタマイズした方が早いこともありますが、あえてプラグインを活用しています。うまくプラグインを使っていくことで、将来的には業務部門で自走できることを想定して選択しています」と山崎氏は語る。
また、店舗に設置されたクレーンゲームの景品発注の仕組みもkintoneでアプリ化されている。「以前はぬいぐるみをはじめとした景品の発注にExcelを用いていましたが、発注可能な景品の種類が膨大にあるため、店舗側ではお目当ての景品を探して発注するのが大変でした。今は商品画像付きのマスター情報を参照しながらFormBridge経由で発注できます。人気のある商品ランキングを見ながら売上拡大につながる人気商品の発注が容易になったことで、店舗からも好評です」と寺井氏は評価する。
kintoneでアプリを実装する基準としては、まだ標準化が進んでいないプロセスに適用するケースが多いという。「国内の場合、標準化されている業務プロセスであればSaaSを利用しますが、迅速な改善や柔軟な運用が求められる場面ではkintoneを選択しています。UIUXが重要な仕組みや複雑な計算が求められるような仕組みは、内製化されたエンジニアチームにて実装するなど、シーンによってアプローチを変えています」と梶原氏。ただし、エンジニアチームのリソースが限られていることもあり、kintoneをベースにアプリ化するケースが増えていることは間違いないという。海外のグループ会社では、特に技術的な縛りを設けていないため、現地の事情に合わせてツールの使い分けが行われており、自由度を高くして選択できるようにしている状況だ。
kintoneを導入したことで、当初開発した拾得物管理アプリでは、紙の管理から脱却できたことで年間1400時間の削減に成功、景品発注のアプリでは年間4800時間の削減につながるなど、着実に定量的な成果を達成している。そのほかのアプリも合わせると年間8000時間の削減となっており、業務改善の基盤として実績を残している状況だ。「景品発注の業務については、時間短縮の効果はもちろん、画像付きのカタログから商品を選ぶ感覚で楽しく仕事ができているのではないかと感じています。現場におけるユーザー体験を高めることに役立っているのではないでしょうか」と寺井氏は評価する。景品の発注数量を集計する本部側でも、システムによって自動計算されることでミスするリスクが軽減でき、心理的な負担解消にもつながっているという。
また、DX推進という役割においてもkintoneが重要な位置付けにあるという。「全社的にはIT人材化を進めることが大きな目標として掲げており、伴走支援を通じてITのリスキリングを推進し、ITリテラシー向上を目論んでいます。従業員がIT的な考え方を身につけて現場の改善を進めるほうが絶対的に幸せなはずです。まさに目指す姿を実現するためのソリューションとしてkintoneは欠かせないものと言えるでしょう」と山崎氏。
梶原氏としてもkintoneに対する評価は高い。「データ基盤の整備や業務改善など社内で取り組むべきことに対して、エンジニアだけではどうしてもスケールしないため、kintoneを使って欲しいと以前から考えていましたが、IT戦略部による伴走支援もあって、ようやくハマった印象です。今や業務改善には必須のツールですし、景品発注などはランキングを見ながら適切な景品が発注できるようなることで、確実に売上にも貢献している。ビジネス面でも成果は十分出ています」と高く評価する。
kintoneについては、「知識のないメンバーでもアプリ作成ができ、拡張機能も豊富なため、無限の可能性を感じます。最近はkintoneでできないかと現場から相談を受ける機会も増えています」と山崎氏は力説する。
サイボウズが構築するkintoneのエコシステムをはじめ、パートナー含めたコミュニティづくり、サポート体制含めたカスタマーサクセス領域など、様々な取り組みを評価するのは梶原氏だ。「さまざまなディベロッパーを巻き込みながらビジネス展開するkintoneそのものがとても面白いですし、何よりも寺井含めてメンバーが輝いていることが何よりも大きい。エンジニアであれば作ることが面白いはずで、ベンダーとの調整ごとで年中多忙なのはつまらないはず。エンジニアのエンゲージメントを高める効果も見逃せません」と評価する。
今後については、現状M&A先のグループ企業でも別ドメインでkintoneが使われているため、短期的にはこれらをうまく統合していきながら支援を続けていきたいという。「単に移行するのではなく、業務の見直しも含めて進めていきながら、うまく統合した形に持っていきたいと考えています。グループ全体でのナレッジ共有や定期的な勉強会による教育体制の整備、社内イベントの開催なども視野に、さらなる普及に努めていきたい」と寺井氏は期待を寄せている。
また、社内での普及を加速させていきながら、プラグインの内製化にも取り組んでいきたいという。「グローバルへのさらなる展開を考えると、当然ライセンスも増えてコストが右肩上りに増えていくことに。それを抑える意味でも、自分たちで開発していけるプラグインを増やし、その体制づくりをしっかり進めていきたい。プラグインの内製化部隊も整備しながら、解決できない領域を支援するエンジニア部隊の体制づくりもしっかり進めていくつもりです」と山崎氏は力説する。
引き続きkintoneを導入していないグループ企業へ展開していくという横の動きとともに、基幹システムに関連した縦の展開も進めていきたいと梶原氏は意欲的だ。「現場にヒアリングしていきながらkintoneで解決できそうな課題に対応していく横の展開はもちろんですが、より深掘りしていくという意味では、大規模な基幹システムの機能をさらにkintone側に移管していくという縦への展開も進めたい。特に基幹システムの刷新には工数も費用もかかるため、少しずつkintone側でその機能を代替していくことで、現状の基幹システムも安定稼働を維持しながら、持続的に価値を高めていけるはず。色々な場面でkintone活用をさらに加速していきたい」と今後について梶原氏に語っていただいた。
(2025年8月取材)
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