現場サポート 様の導入事例

現場サポート

【業務内容】
設業向けのパッケージソフトウェアやクラウドサービスの企画開発、販売
【利用用途】
勤怠管理
  • 「となりの席の年配社員を助けてあげたかった」
  • 小さなきっかけが、全社の大きな改善のきっかけに

2020年に創立15周年を迎えた株式会社現場サポートは、鹿児島市に本拠地を構える建設業向けパッケージソフトウェアやクラウドサービスの企画開発から販売、サポートまで行っているIT企業。同社は近年、働き方改革に非常に力を入れており、2016年には九州初ユースエール認定企業に認定。2020年に入ってからも、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」で賞を獲得するなど、社外からも高い評価を得ている。
そんな現場サポートの商品開発部でITサービスの開発を行っているのが永田亮介氏だ。もともと現場サポートに導入されていたkintoneが社内であまり活用されていなかった状況だったが、ある事をきっかけに、kintoneが全社の重要なインフラとして生まれ変わった。
今回はその経緯について、商品開発部の永田氏と、総務部の坂口氏にお話を伺った。

社内の情報の見える化を目指してkintoneを導入
しかし実情は紙やExcelを併用しチェック作業に何十時間も費やしていた

もともと、営業系メンバーが外出していると社内の情報が全く見えない、また逆に担当営業が外出していると社内のメンバーでは案件の詳細がわからない、といった情報の不透明性が問題となり、現場サポートにkintoneが導入されたという。案件管理などは比較的スムーズにkintoneへの移行が完了していたものの、勤怠管理や見積もりの管理などは、しばらく紙やExcelを使い続けていた。

「私が入社した当時、既にkintoneは導入されていましたが、ほんの一部の用途に使われているシステムという感じでした。特に社内にkintoneについて詳しいメンバーがいるわけでもなかったので、あまり便利に活用されているような印象はありませんでした」(永田氏)

現場サポート 永田 亮介氏

そんな中で、特に作業負担が大きかったのは社員の勤怠管理。以前の勤怠管理は全てExcelで管理していたのだが、柔軟な働き方を実現させるため管理側で行う作業がどんどん複雑化していったという。

「出退勤の情報はExcelのシートに記入していくのですが、もし有給休暇やフレックスタイム制度を利用する場合は、都度サイボウズOfficeの掲示板(※全社員が見られる掲示板アプリ)で報告する必要がありました。月末になると、自分のExcelのシートと掲示板の書き込みを見比べてチェックをする作業が発生します。しかし、コメント遡って探すのは非常に手間が掛かってしまい、大体1人あたりの勤怠管理チェックは15分ほどかかっている状況でした。また、勤怠管理は給与にも関わる重要な情報なので、上長や総務も同じようにチェックをする必要があります。総務のメンバーは、このチェック作業を毎月、全社員分しなければならなかったのです」(永田氏)

一時はkintoneへの移行も検討したが、社内にはkintoneに詳しいメンバーがおらず、柔軟な働き方にも対応できる複雑なアプリ設計を行える人が誰もいなかった。もちろん会社としても「何とかしなければいけない」という意識はあったものの、なかなかリソースを割く余裕ができずに先延ばしにされていたのだ。

62歳、最年長の総務メンバーの悲痛な叫びを目の当たりにした永田氏
自らkintoneアプリを構築し、作業時間を93%削減することに成功

毎月、非常に煩雑な勤怠管理のダブルチェックを行なっているのは、社内最年長、総務部門メンバーの坂口氏。当時、永田氏と坂口氏は隣同士の席で、毎月月末になると多忙を極めている坂口氏の様子を目の当たりにしていたそうだ。

「月末の忙しい時期、夕方になると坂口さんが“もう目が見えない!"と言っていました。Excelの細かい表をずっと見続けているので、夕方になる頃には目が霞んでしまうそうです。会社として表向きは働き方改革をうたっているのに、これでは業務の生産性は低下するばかり。実際にとても苦労している坂口さんの姿を見て痺れを切らし、誰もできないなら自分が変えてやろう!と思いました」(永田氏)

勤務時間を管理しているアプリ

入社当時は営業部に配属され、その後サポート部門に在籍していた永田氏。もちろん最初からkintoneについて特別詳しかったわけではなく、最初の頃はあくまでいちユーザーとしてkintoneのアプリを使うだけの立場だった。しかし営業部時代に顧客への提案のためにkintoneを勉強した際に「これは色々なことに使えそうだ」とkintoneの可能性を感じていたという。そこから約1年半、独学でkintoneを学ぴ続けていた永田氏。もともとプログラミングの知識は無かったが、kintoneのカスタマイズのためにJavaScriptの勉強も独学で行なっていたというから驚きだ。

永田氏と社内最年長の坂口氏

実際に永田氏が作り上げた勤怠管理アプリは、Excelのシートに記入していた情報をkintoneアプリに移行したシンプルなものだ。しかし、これまでと大きく異なる点は、今まで掲示板で報告していた休暇やフレックスタイムの報告もすべてkintoneアプリに移行した点。勤怠管理アプリと業務連絡アプリを作り、それぞれのアプリのデータを比較するプログラムを作って連携させることで、ボタンひとつで整合性をチェックできるような仕組みを作り上げたのだ。今までは人力で1人につき15分かけて行なっていたチェックが、なんと1秒もかからずにチェック完了できるようになった。

「永田さんには本当に心から感謝しています。あのままExcelでの勤怠管理が続いていたら、これから社員が増えていくうちにいずれ破綻していたでしょう。毎月全体で約35時間かかっていた作業がたった2.5時間に短縮され、非常に助かりました。永田さんは私にとっての救世主ですよ」(坂口氏)

kintoneを通じて気づいた「本当にやりたいこと」
kintoneを活用して、困っている人の力になりたい

さらに、勤怠管理をExcelからkintoneに移行したことで、会社全体に思わぬ副次的効果をもたらしたという。

「勤怠管理はすべての社員が関わるものなので、Excelからkintoneに移行したことで“kintoneってこんなこともできるんだ”というプラスの認識が社内に広がり始めました。今まであまり活用されていなかったkintoneが、どんどん新しい使い方を見つけて活用され始めたのです。また、今まで何の疑問も持たずに業務をこなしていたメンバーからも“kintoneでもっと効率よくする方法は無いか’'と私のところに相談が来るようになりました。小さなきっかけでしたが、このことによって社員一人ひとりがそれぞれ業務改善の意識を持つようになったのです」(永田氏)

業務連絡アプリ

今では社内でもっともkintoneに詳しくなった永田氏。入社当初は営業部への配属だったが、kintoneカスタマイズを通じてプログラミング知識を学ぶ上で、エンジニア職としての才能を開花させた。

「kintoneに出会っていなかったら、今の自分は無かったと思います。自分が作ったアプリを通じて業務改善を行い、仲間が喜んでくれることがとても嬉しいのです。kintoneのおかげで、ようやく自分の本当にやりたかったことを見つけられたと言っても過言ではありません」(永田氏)

最後に永田氏に今後の展望をお聞きした。

「まだまだ“社内の他のシステムとkintoneを連携させて使いたい”といった要望もありますので、引き続きkintoneを使って社内全体の業務効率を上げる活動を続けていきたいです。もちろん、私1人では限界がありますので、社内にもっとkintoneを使いこなせる後継者の存在も増やしていく活動も行っていきたいと考えています。これからも、人に寄り添う業務改善提案を進めていきたいですね」(永田氏)