フラットエージェンシー 様の導入事例

賃貸物件・マンスリーマンションの管理を「スリム化」できるkintone 活用術

株式会社フラットエージェンシー様

マンスリー部 取締役部長 中川桂一 様
企画室システム担当 上田和代 様

業務内容:京都の不動産管理会社。賃貸7,000室・マンスリーマンション300室を管理

利用用途:マンスリーマンションの予約受付・物件のメンテナンス報告・各種不動産管理業務

株式会社フラットエージェンシー様(以下、フラットエージェンシー)は、京都を中心に賃貸7,000室・マンスリーマンション300室を管理する不動産管理会社。お部屋探しサイト『賃貸京都.jp』・『マンスリーKYOTO』などの不動産系サイトを多数運営し、学生からファミリーまで幅広い顧客に利用されている。中でも1週間の滞在から利用できるウィークリー・マンスリーマンションは、京町家など京都らしい風情を存分に感じることができる幅広いラインアップを展開し、国内のみならず海外からの申込みも多いという。
そんな同社が、マンスリーマンション管理の効率化のため、「kintone on cybozu.com」(以下、「kintone」)を採用。管理業務の大幅な業務効率化に成功したという。その経緯と活用効果について、マンスリー部 取締役部長 中川桂一氏と、企画室システム担当 上田和代氏にお話を伺った。

フラットエージェンシー社のお部屋探しサイト
『マンスリーKYOTO』

課題

物件の空室状況を正確に把握し、お客様に気持よくご案内したい

導入

kintoneとExcelを連動させた予約受付システムを導入。その後、必要な機能を追加

効果

受付がスマートになり、スタッフ2人分の業務を圧縮。部屋の稼働率アップにつながった

課題

最新の空室状況を正確に把握し、お客様に素早く情報を提示したい

フラットエージェンシーで管理しているマンスリーマンションは、ビジネス・観光ニーズの高まりに合わせ、年々増えており、ここ数年で150室から300室まで増加。このため、従来のやり方では管理が難しくなりつつあった。特に、マンスリー物件の問い合わせ対応をする際、最新の物件空き情報の把握に手間がかかる点がネックになっていたという。その原因は、複数名で行うマンスリー物件の予約を1つのExcelファイルで管理していたためだ。予約受付を行うたびに、他のスタッフに「更新はありますか?」と確認し合う必要があり、対応の際にもお客様を待たせてしまう状況に陥っていたという。このように予約業務の負担が大きくなる中、中川氏と上田氏は、既存の管理方法を見直し効率化に向けて動き出した。

Excelでの予約管理は限界

同社では「Excel予約表」を複数人で閲覧する予約受付方法に限界を感じていた。

導入

「kintoneとExcelを連動させた予約受付システム」を3ヶ月で開発

元々グループウェアもサイボウズ製品を活用し、身近に感じていたというフラットエージェンシーは、「kintone」の存在もサイボウズのホームページで知り詳細検討を進めた。注目したのは、既存のExcelと「kintone」を連携して活用できる点だという。リアルタイムに予約状況を確認できる仕組みに将来性を感じて採用を決めたと、中川氏は語る。

「現状のExcelガントチャートと『kintone』を連動させることで、リアルタイムで予約空き状況を確認することができる点が魅力でしたね。とはいえ、導入を決めた理由はこれだけではありません。例えば、『kintone』はクラウド基盤で月額課金のため気軽に入退会ができること、アカウントごとの課金のため部署単位で始められること、必要なアプリを社内で手軽に作れるので、予約業務の改善だけでなく他の業務に展開することも見込めることなど総合的に見た上での判断でした。」中川氏

導入を決めたフラットエージェンシーが次に取り掛かったのが設計と構築だ。担当した上田氏は柔軟性の高いシステムが素早く手軽に構築できる点を高く評価する。

マンスリー部 取締役部長
中川桂一氏

「『kintone』の導入にあたりまず行ったことは、物件の管理に必要な項目の洗い出しと、それに基づいたアプリの作成です。その後、Excelガントチャートと『kintone』をつなぐための開発を『kintone』の開発パートナーに依頼しました。すべての工程が想像していたよりもスピーディーに開発を進めることができ、導入からわずか3ヶ月弱で運用スタートできました。また『kintone』は、仕様変更や調整を自分できる点が大変便利だと感じています。通常、不動産管理会社は専用システムのカスタマイズに多額の投資が必要ですが、外注しなくても自分たちに合ったものに変えていけるのは大きな利点ですね。」上田氏

企画室システム担当
上田和代氏

効果

メンテナンス時間が半減、部屋の回転率向上など、不動産管理がスリム化

「kintone」は、導入当初の課題となっていたマンスリー物件管理のほか、物件のメンテナンスチェックやマンスリー物件の申込みリスト管理など、幅広い業務に活用されている。その導入効果はメンテナンスにかかる時間が半減するほどだという。

マンスリー物件の管理の活用で予約受付時の「お客様の待ち時間」がほぼゼロに

同社では、マンスリーマンションの予約をスムーズに受け付けるために、予約情報を「kintone」のアプリに入力する仕組みを採用。蓄積されたデータは既存のExcel予約表から閲覧できる運用に変更した。その結果、受付情報を素早く確認できるようになり、窓口や電話口での「お客様をお待たせする時間」はほとんどない状況にまで改善している。また、受付スタッフはこれまでと同じ見た目のExcelの予約表を使うため、現場への負担を最小限にしながらも利便性は大幅に向上する仕組みとなっている。このような、効率的な運用に変更したことで常駐3人スタッフのままで、これまでの2倍の300室を管理することができ、スタッフ2人分に相当する作業が圧縮されたという。

「物件の空き状況確認や受付が格段にスピーディーになりました。『kintone』導入後は、更新ボタンを押すと『新しい予約がある場合のみ』読み込んで最新の予約状況が表示されます。新しい予約がない場合は、全物件の読み込みは行われません。最新情報の表示速度が格段に早くなり、電話対応中に予約表を見ながら素早く、正確なお返事ができるようになり、顧客サービス向上にも大きく貢献できていると思います。」上田氏

「kintone」とExcelを連動した予約システム


  • kintoneには管理物件が登録されており、該当の物件のところに予約者のデータを入力する

  • kintoneに登録された最新の予約データがExcel予約表に表示される。
    新着情報がある場合のみデータがダウンロードされるので表示が早い。

タブレットを活用し、物件案内・メンテナンス業務に革命

「kintone」は社内業務のみならず、社外の業務にも活用されている。これまで紙で管理していた「部屋の注意点」・「ゴミ捨て場所」「メールボックスの解除番号」などの物件に付随する情報を「kintone」に集約。外出先からタブレットで物件情報にアクセスできるようになっただけでなく、清掃や家具付き物件の備品チェックなどメンテナンスの報告もタブレット入力で現場から直接行えるようになった。

「これまでは、お客様の物件案内中に不明な点があれば事務所に電話をしていましたが、今はタブレットで確認してすぐに答えられる仕組みです。また、物件のメンテナンスの報告もタブレットを使い、現場から『部屋の状況を写真付きで報告』してもらっています。写真があることで『追加補修をする・しない』といった判断もしやすくなりました。さらに、報告の登録と同時に会社にメールが飛ぶ設定にしてあるので、次の貸出のゴーサインをリアルタイムに出せるようになり、稼働率の向上にもつながっています。ホテルのように、退居して次の方に入ってもらうまでの間が短いほど稼働率が高くなるのでとてもありがたいですね。」中川氏

メンテナンス報告はタブレット経由で「kintone」にアクセスし、現場から行う

メンテナンス報告の担当は70代のスタッフ。部屋の状況や備品の状態は、タブレットで撮影した写真で報告する。
必須の項目はアプリにリストアップされており、チェックの抜け漏れが激減。帰社後に報告書を作成する業務もなくなった。

メンテナンス報告をするための kintoneモバイルアプリ

現場からメンテナンス状況が登録されると会社にメール通知される設定になっているので、
会社では「次の貸し出をしてよいか」を素早く判断できるようになった。結果、部屋の稼働率が上昇した

本部は報告が来た瞬間に「kintone」で確認し、再貸出を行えるようになった

kintone利用イメージ

本部ではパソコンで「kintoneメンテナンスチェック」アプリを閲覧し、再貸出しできる状態かどうかを判断する。

Web申込書フォームを新たに運用し、海外やFAXがない顧客の受付もスムーズに

さらにフラットエージェンシーではマンションの申込みをWebフォームで受付ける新たな運用もスタートさせている。マンスリーマンションは入居申込書と身分証の確認が必須。これまでの入居申込書は、印刷してFAX送付するか、Excelファイルをメールで送る方法だった。そのため、相手がFAXを持っていない場合やExcelを開けない場合、海外からの申込の場合に手間がかかっていた。京都という土地柄、観光客も多く、外国人からの申込をスムーズにすることは以前から大きな課題だった。  この問題を解消したのは、フォーム作成サービス「フォームクリエイター(現:フォームブリッジ)」と「kintone」の合わせ技だった。

「『フォームクリエイターで作成した入居申込書』はブラウザ経由で利用できるので、FAXが無い方や、外国からの申し込みも手軽に受付できるようになりました。また身分証明書の提示も、コピーして送ってもらうなど手間がかかっていましたが、現在では申込書内に『身分証をスマートフォンで撮影して添付』できるので利用者にとっても管理者にとっても利便性は向上していますね。さらに、届いたデータは『kintone』に自動的に取り込まれるので紙の入居申込書をパソコンで入力する作業が激減し、入居申し込み業務自体が効率化されました。」(上田氏)

kintoneと「フォームクリエイター」を連動させた入居申込書。ウェブブラウザで世界中から申込みができる。

フォーム上に身分証明書を添付する部分がある。 スマートフォンからは写真を簡単に添付できる

不動産管理の全行程が短縮され「部屋の稼働率」がアップ

kintone利用イメージ

今後の展望
kintoneを賃貸物件にも応用し、数十人分の業務を効率化したい

不動産管理の様々なシーンで「kintone」活用を進めるフラットエージェンシー。今後はマンスリー物件管理の実績を賃貸物件にも展開し、清掃やメンテナンス会社との連携も視野に入れて、不動産管理業務全体を改善する構想を立てているところだ。

「今後は、マンション全体の清掃状況や、退去後の原状回復作業にも応用したいと考えています。賃貸物件では『退居後の立会い報告』も紙の運用に留まっているのが現状です。社員が物件を訪問し、修繕部分を決め、その内容を帰社後に『紙の報告書』に記述し、外部委託の会社に『メンテナンス依頼書』をFAXします。これらの業務を、退去後に『kintone』に置き換え、外部委託の会社に発注から支払いまでできるものを作ろうと思案中です。物件の原状回復の報告用に、iPadを配布しても有り余る効率化につながるでしょう。また、『kintone』のゲストスペースをマンションオーナーに利用して頂くことで、資料の郵送やメール送信といった一方的なものではなく、双方向のコミニケーションをとることもできるようになります。弊社の不動産管理に『kintone』は欠かせないツールですね。」(中川氏)

京都の部屋探しをするすべての顧客により良いサービスを提供するための業務改善は続いていく。(2015年公開)

会社情報 株式会社フラットエージェンシー様

本社所在地:京都市北区紫野西御所田町9-1
創業:1974年(昭和49年) 8月
資本金:5,000万円
社員数:74名
URL:http://flat-a.co.jp/

業務内容:京都の不動産管理会社。賃貸7,000室・ウィークリーマンスリー300室を管理している。「京町家」のマンスリー貸出しや、地域交流サロン「TAMARIBA」の運営など、京都に密着した取り組みが好評。創業から40周年。チャレンジ精神とともに、京都の暮らしの向上を目指し、活動している

この事例のサイボウズパートナー:
NCSサポート&サービス株式会社

URL:http://www.nsas.co.jp/index.html

弊社はkintoneのアプリ開発、特に既存のExcelの操作性をそのままにクラウド上のデータと連携させるシステムの開発で多くの実績があります。 今回の開発では、複数の予約情報をガントチャート形式のカレンダー上で一覧表示したいとのご要望でしたので、弊社のExcel-kintone連携機能を用い、Excelのガントチャートへ常に最新データを取り込み、従来の操作性でそのまま使えるシステムを構築しました。