
イースタン・カーライナー
- 【業務内容】
- 東南アジア、中国、北米、豪州及び中近東向けに車両・鋼材・建設機械・貨物等の海上輸送
- 【利用用途】
- 発注・請求の管理/協力会社との電子帳票等のやり取り
イースタン・カーライナー株式会社(以下、ECL)は、主に自動車や鋼材・建設機械、プラントなどの重量物の海上輸送を事業としている。
自動車の海上輸送に特化した「自動車専用船」と、さまざまな種類・重量の貨物が輸送可能である「在来船・多目的船」を約40隻保有し、アジア各国への強固なネットワークを活かした安心・安全な海上輸送を実現している。
今回は、ECLの貨物輸送業務において発生する協力会社とのやり取りにkintoneがどのように活用されているのか、その導入までの経緯と今後の展望について、ECL海技運航部 マルチライナー海技グループの担当者にお話を伺った。
海技運航部は、船に乗せる貨物のラッシング(※航海中の荷崩れを防ぐため、紐、ロープ、ワイヤ-、チェ-ン等を使って貨物を固定すること)を行うための資材の供給や、実際に貨物を積み込む作業を、それぞれの協力会社へ依頼している。
ECLがシステム化を検討したのは、積み込みに必要なラッシング資材の見積・発注業務や、実際の使用実績の報告をもとに行う請求処理業務が中心だった。
「これまで協力会社とのやり取りには、紙やExcel、電話などさまざまなやり方が混在していました。見積もり・発注・請求に関する情報が、あちこちに分散していたのです。」
ラッシング資材は、必ずしも最初の見積通りに使用されるとは限らない。例えば悪天候や積荷の変更などに伴い、発注時に想定したのとは違う種類の固縛材が使われたり、個数の増減が発生したりする。その場合は協力会社の使用実績報告を承認した上で請求処理を行う必要があるのだが、kintoneの導入以前はこれをExcelで管理していた。
「Excelは共有フォルダに入れて全員が同じものを使っていたので、誰かが数字を修正しているあいだは、他のメンバーの作業が進められなくなります。発注金額の修正も、船の隻数が40隻ほどあるとかなりデータ量は増えてきますし、入力の期日や正確性も守られていませんでした。集計する側は、そこにとても時間をかけてしまっていました。
我々の部署は技術者の部署ですから、我々でなくてはできない仕事と、そうでない仕事を明確に分けたいと思っていました。その上で、技術者でなくてもできるルーチンワークの負荷とコストを削減するために、システムの導入は必須だと考えたのです。」
システムの導入検討開始後、まず候補に上がったのはFile Makerだった。
「フルスクラッチでのシステム開発はコスト的に難しかったので、既存製品のカスタマイズの幅が広そうなFile Makerを検討していました。ただ、現場の人間が何かシステムに変更を加えたいなと思ったときに、直感的に操作をするのがなかなか難しそうだと考えました。
そんな中でkintoneを検討するに至ったきっかけは、別部署のECL社員の友人が、サイボウズ社員との面識があったことだった。
「その方とたまたまお話をする機会があって、我々の業務にシステムの導入を検討しているということを伝えると『kintoneというものがあるのですが、興味ありますか?』となったんです。」
実は、初めの頃のkintoneに対する期待度はさほど高くなかったと語る。しかし、実際にサイボウズの営業担当がその場でkintoneアプリを簡単に作ってしまうのを目にして、本格的な検討を開始したという。
「システム開発に関わるのは初めてだったので、初期仕様やその後の作り込みに関しても、その場で決めながら柔軟に作っていけるシステムだったのが魅力的でした。
また、自社の中だけで使うようなアプリは内製しつつ、協力会社との受発注のやりとりをするメインのアプリは、カスタマイズで作り込んでいただく必要があったため、開発パートナーのICTラボラトリーズ株式会社に作成を依頼しました。アプリ作成1つとっても、色々なやり方が取捨選択できるのは良かったです。」
ECLが取引を行っている資材会社・船積作業会社は15社ほどある。新しいシステムを導入することについて、懸念の声はなかったのだろうか。
「kintoneの運用を開始する半年ほど前から、各社へのアナウンスは念入りに行なっていました。特に抵抗感の強い協力会社さんについては、我々が作ったドラフトのアプリを持って、直接訪問しました。
なおかつ、kintoneを導入することによる協力会社各社のメリットについてもきちんと伝えていく必要がありましたね。これまでバラバラのツールでやりとりしていたところをkintoneに入力していただくことで、データの編集も簡単にできるし、そのまま請求書への出力も簡単にできますよということを、地道に発信していきました。」
現在は、各協力会社との受発注管理や、船の積み込み作業の管理、運航管理や拠点での日報など、様々な用途でkintoneを利用している。今回は、主に資材会社との受発注管理で発生するワークフロー・コミュニケーション・分析の3つの業務から、その活用を見てみたい。
基本的な業務は、Excelや紙で業務を行っていたときと同様だ。まずはECL側の担当者が手配指示書のような形で、資材の種類や個数、金額を見積もって、資材会社に発注を出す。資材会社の方は実際のラッシングに使用した資材の情報をもとに、作業報告を行う。これがECL側で承認された時点で、入力した情報をそのまま請求書として出力することが可能になる。
帳票の出力には、連携サービスのOPROARTS Documentizerを活用しているそうだ。帳票のレイアウトは、開発パートナーにいくつかサンプルを提示してもらい決定したとのこと。
「以前は作業報告をもとにしたデータの修正だけでなく、帳票を別で作成してもらう手間もかかっていました。
受発注データの入力・修正から帳票出力までをkintoneでできるようになってからは、部署全体で120時間くらいの作業時間カットになっているのではと思います。」
また、ECL側の担当者と資材会社とのやり取りがkintone上でオープンに行われるようになったことによるメリットもあった。
「たとえば、同じ貨物を積むのに100万円(分の資材)を使って発注しようとしている担当者と、50万円で発注しようとしている担当者がいるとします。これまでのように資材会社とのコミュニケーションがばらばらの場所で行われていると、発注に関わるやり取りが追えず、お金を使ってしまった後に『もっと効率よくできたのでは?』というコミュニケーションしかできませんでした。
今はkintone上で担当者の業務の途中経過が見えるので、『これ、100万かけようとしているけど、もっと効率よくできるんじゃない?』と、事前に確認ができるようになった。作業時間の削減以外にも、思わぬ側面からのコストカットにもつながりました。」
資材会社とのやり取りには、各レコードの詳細画面右のコメント欄を活用している。承認フローを回した際の報告や、ちょっとした確認事項など、これまでの電話やメールでのやりとりではやや煩雑になってしまっていたコミュニケーションが、データに紐付いた形で行えるようになっている。
また、kintone上に入力されたデータをもとにした分析も進んでいるそうだ。
「日々登録されるレコードが増えていくと、たとえば船積みプランの担当者毎のパフォーマンスが見えてきたり、同じような業務内容であっても、どこの作業会社さんがよりコストを抑えてやってくれるかが分析できたりするようになってきました。
キーになるフィールドを設定すれば色んな切り口でのデータ集計が可能になるので、航海番号(※)ごとに資材の使用状況や、積み込みの作業実績などを見ることもできます。」
(※)航海番号:船舶に対して、1回の航海ごとに割り当てられる番号。
今後は、社内の若手メンバーへkintoneでのアプリ作成について学んでもらい、社内業務の効率化も図っていきたいと語る。
「kintoneの良いところって、プログラミング等のノウハウがなくても、触りながらシステムの作り方を覚えていけることだと思います。
今回の受発注管理システムとしての導入をゴールとせず、我々の業務をどんどん効率化していって、空いた時間を『海技運航部の人間だからできること』に、どんどん充てていきたいです。」
最後に、kintoneの存在がどのようなものかを伺うと、「我々にとって、本来やるべきことに集中できる時間を生み出す『可能性』だと考えています。」と語っていただいた。
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kintoneの多業種・多業務に渡る豊富な構築経験をベースに、
アプリケーションの新規構築や、既存システムとのAPI連携や帳票作成、
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