イートアンド 様の導入事例

企業間のプロジェクトを支える「kintone」活用術
~コミュニケーションに費やすコストを3分の1まで削減~

イートアンド株式会社様

業務内容:メーカー機能と外食機能を併せ持つ総合フードビジネス企業

利用用途:「スペース」機能によるプロジェクトの情報共有

「大阪王将」や「太陽のトマト麺」ブランドを中心とした外食事業で知られるイートアンド株式会社(以下イートアンド)。同社では、実店舗の運営のみならず、羽根付き餃子や水餃子など店舗の看板商品を家庭でも気軽に楽しめる冷凍食品事業にも力を入れており、両事業を基軸にした独自のオムニチャネル戦略で「大阪王将」の認知・ブランド価値を高めながら事業拡大を続けている。

そんなイートアンドのビジネスを支えるIT基盤強化のため、基幹システムリプレースのプロジェクトがスタート。社内外の複数メンバー間が関わる中でのスムーズなプロジェクト運営のために「kintone on cybozu.com」(以下、kintone)が導入された。その活用法と効果について、管理本部情報システム部ゼネラルマネージャーの山内久利氏にお話しを伺った。

課題

全国に散らばるメンバー間のプロジェクト管理が必要に

導入

ゲストスペースの活用で、社外でも遠方でも距離を感じないプロジェクト運営が可能に

今後の展望

BIツールとの組み合わせで情報連携の"ハブ"として活用

課題

全国に散らばるメンバー間のプロジェクト管理が必要に

イートアンドの基幹システムリプレースは、社内の情報システム部門はもちろん、外部ベンダーとの協力体制のもと進められた。しかし、このプロジェクトに関わる複数の協力会社は大阪・東京・岡山など全国各地に分散しており、各メンバーが一同に集まることが難しい状況にあったと山内氏は語る。

「協力会社は全国に5社ほどあるのですが遠方のメンバーとは頻繁に集まることができず、積極的にディスカッションができないことに課題を感じていました。もちろん、電話やEメールなどの連絡手段もありますが、基本は1対1のコミュニケーションなので後から情報を整理して他のメンバーに情報共有する手間がかかり、非効率で勿体無いと感じていました。」(情報システム部 ゼネラルマネージャー 山内氏)

そこで、遠方かつ、社外の複数メンバーとも快適にプロジェクトを進めるために選ばれたコミュニケーション基盤が「kintone」だ。

管理本部 情報システム部 ゼネラルマネージャー
山内久利氏

導入

ゲストスペースの活用で、社外でも遠方でも距離を感じないプロジェクト運営が可能に

関係者が一同に集まることが難しい状況でも快適にプロジェクト運営にするためには、情報を一か所に集約する必要がある。そこで社内外メンバーを意識することなくコミュニケーションできる基盤として「kintone」の「ゲストスペース」(図1参照)を採用。協力会社メンバーはゲストユーザーとして招待され、関連するプロジェクトのみにアクセスできる仕組みだ。

図1 ゲストスペース利用イメージ

招待された社外メンバーが閲覧できる「ゲストスペース」は社内の環境と分離することにより、社外秘の情報が漏れることなく安全に情報共有することができる仕組みだ。

山内氏はスムーズなプロジェクト運営のためいくつかルールも設けたという。(図2)

「『ゲストスペース』運用を一過性のものではなくこれからも継続的に管理できるものにしたいと考え、情報を整理しやすい運用ルールを作りました。アプリとスレッドの利用目的を明確にする、電話やEメールを使った個別の問い合わせはやめる、堅苦しいあいさつはなしで単刀直入に本題の要件から書き込む、必要以上にスレッドを乱立させないなどです。関係者全員が気持ちよく運用できるよう心掛けました。」

図2 実際に関係者に共有した運用ルールの画面

このように運用を工夫することで関係者全員が情報を適切に蓄積・管理できることに加え、過去の経緯を確認したり引用したりする際も情報を見つけやすく、議論が素早く確実に進められるようになったという。例えば、仕様の確認など「設計書のこの項目は○○で大丈夫でしょうか?」「OKです」といった簡易なやり取りが各スレッドでどんどん進行し、メンバー間にも即座に共有されていく。また、その推移を時系列で網羅することができるため、「この議論はもっと詰めたほうがよいのでは?」「前に話したこの件と今回の件は関係があるのでは?」という新たな気づきを得ることにもつながっているという。

社内外メンバーとのプロジェクトにkintoneを活用し情報を集約

トップページ画面。社外とのやり取りが多く、「ゲストスペース」の利用頻度が高い状況だ。

ゲストスペースTOP画面。運用ルール・スレッド・関連アプリで情報を整理。

スレッドのやりとりは、関係者全員が見える形で進行する。

また、プロジェクト運営の中で発生する細かな懸案事項や議事録は各アプリ上で管理することで誰が、何時、どういった経緯で対応したかも一覧でリアルタイムに確認できるようになった。この運用により関係者全員で対応ステータスを管理できるようになり、快適且つ実用的なプロジェクト体制を確立することができたという。

懸案事項に対する質問と回答を管理する「懸案管理表」アプリ

業務フロー、機能、設定などを協議により決定した内容を記録する「決定事項要覧」アプリ

会議の経緯や結果を記録し伝える「議事録」アプリ

「『kintone』活用により、同じ時間で対応する業務量が増えたと感じます。従来と比べて、一日あたり20~30件くらいのEメールのやり取りは減らせていますね。それに過去の発言を確かめるために、Eメールを検索する手間や、前回の話から始まる会議の縮小、不必要な出張の回避など合わせるとコミュニケーションに費やすコストも3分の1ほどに削減されたと感じます。」

今後の展望

BIツールとの組み合わせで情報連携の"ハブ"として活用

こうした社外プロジェクトでの「kintone」活用の成果を踏まえ、イートアンドでは社内での活用も本格化し、さらなる業務改善を図る計画だという。

「システム導入検討時は、まずは情報システム部門で積極的に検証し、その効果が実感できるものを全社的にも展開しています。今回のような社外メンバーとのプロジェクトもそのうちのひとつです。今後は利用範囲を拡大し、カスタマーセンターに寄せられるお客様の声、品質管理部門や協力工場における調査など社内外にまたがる情報を『kintone』上に集約し、BIツールとも連携し活用していきたいと考えています。活用はまだまだこれからです。」

新たな活用によりお客様の声や傾向の「見える化」が進み、より素早く経営層の意思決定につながるという。顧客へのより良いサービス提供につながるイートアンドの新たなチャレンジは始まったばかりだ。