イー住まい 様の導入事例

イー住まい

【業務内容】
注文住宅の施工
【利用用途】
業者間のコミュニケーション・邸宅の施工管理・出金管理
  • 協力会社70社との業務連絡が驚くほど早くなり、スマートフォンで工事報告が完了する。注文住宅の現場を変えたkintone活用術

株式会社イー住まい様(以下、イー住まい)は、注文住宅とリフォームを手がける工務店。同社の強みは自然素材を用いた注文住宅を適正価格で提供していること。これが評判で、完成見学会には同社で家を建てたお客様からの紹介者が多く、手がける住宅数と企業規模ともに右肩上がりが続いている。そんな同社が、注文住宅の建築にあたり「協業する約70社とのコミュニケーション」を効率化するため、「kintone」を採用。業務の効率化のみならず、施工管理や出金管理も「kintone」上で可能にしたという。その経緯と活用効果についてお話をうかがった。

協力会社70社との情報共有を効率化したい

同社と協業関係にある会社は約70社ほど。その中から、約20社が編成され1つの注文住宅を作り上げていく。建築現場では、現場監督から協力会社の職人たちに設計図や必要な情報が共有され、それを頼りに職人は自分の持ち場を仕上げていく流れだ。

ところが、彼らとの連絡および施工図面の共有は、電話・FAX・メール・一部LINEなど連絡手段がバラバラで「連絡そのもの」にかかる時間や手間が増大しつつあった。現状の仕組みでは1人あたりの業務量が注文に応じて増えていくばかりで、イー住まいの現場監督や事務スタッフの負担にもなっていた。また、施工件数が増えれば、当然協力会社への請求や支払い額も増える。入出金の日時や取引額を網羅的、且つ正確に管理する重要性も増しており、これらの課題を解決するために新たなシステム検討が急務となっていた。

「『kintone』の決め手はブラウザで使えること」と話す社長の松岡氏

「まず実現したかったことは協力会社の職人さんとの連絡手段を統一することです。このため、建設現場でも使いこなせるようなスマートフォン・タブレット端末対応のシステムも探しました。しかし、当初検討した建築業界向けの専用システムは高額なうえにモバイル端末が変わるたびに端末にもサポートが必要で、現場の職人さんにとって不便ですし、我々にとっても負担が大きく断念せざるを得ない状況でした。そんな折に出会ったのが『kintone』です。ブラウザ上で利用できるので、職人さんが持っているモバイル端末をそのまま活用できます。また、『kintone』自体も自由度が高く、必要な機能を開発して盛り込むことができ、我々がやりたいことも実現できる点に魅力を感じました。」(松岡氏)

現場ごとの情報共有グループ、工事写真台帳、納品書システムを「kintone」で構築

「kintone」の利点を評価し導入を決めたイー住まい。大きくは以下3点の用途で構築を進め工事現場の業務効率化を図っている

ゲストスペースを活用し、協力会社とのプロジェクト運営やコミュニケーション強化

企業間で情報共有を円滑に進めることができる「kintone」のゲストスペース機能を用いて、「協力会社20数社間と、注文住宅1邸が完成するまでの進捗を管理する仕組み」と「全協力会社70社と、一斉かつ双方向に連絡できる業者会グループの仕組み」を構築した。

これにより関係者全員が、施工図面・工事の変更点・現場周辺地図・クレームなどの情報をスマートフォン上からリアルタイムで共有できるようになり、プロジェクト全体の進捗も全員で把握できる仕組みが整った。また協力会社70社のスタッフ全員を「業者会」というゲストスペースで管理し、イー住まいからの定期的なお知らせや着工式など全協力会社向けに告知すべき連絡も1か所に集約し、従来の個別連絡の手間を省き効率的に情報共有できるようになった。

1現場あたり20社が参加する「情報共有スペース」のTOP画面

同情報共有スペースの基本情報共有フォルダ

現場スタッフが使いこなせる「工事写真帳アプリ」で、工事報告と品質チェックが同時にできるように

次に、建築現場から工事の報告と品質チェックを行なうための仕組みとして「工事写真帳」のアプリを開発。このことで、工事写真が素早く、且つ正確に管理できるようになったと現場監督を務める馬田氏は語る。

「これまでは工事の区切りがつくたびに現場監督が工事現場に赴き、品質の要となる施工箇所を撮影し写真帳をまとめていたため、現場監督の仕事量は膨大でした。今は、工事担当した職人自身が施工状況を撮影し『kintone』からアップするだけで工事写真帳が完成します。マニュアルも画面上から確認できるため不備のある報告は上がりません。工程管理、品質管理ともに格段に効率的に運用できるようになりました。」(馬田氏)

③工事現場に納品の概念を取り入れ、支払額を明確化

資金管理の面でも工夫した。建築現場は顧客の都合や天候などに左右されることも多く、突発的なスケジュール変更も頻繁だという。これに伴う、毎月の協力会社各社へ支払時期・金額への影響も大きく、正確なキャッシュ・フローの把握は重要性を増していた。そこで「kintone」導入をきっかけとして「納品書専用アプリ」を開発し、「工事の区切り」ごとに協力会社から納品書を提出してもらう運用を取り入れた。もちろん、金額や支払いに関する情報はアクセス制御されており、納品側の協力会社と支払い側のイー住まいとのみが閲覧・編集できる仕様だ。これにより、変更の多い工事現場でも正確な工程管理ができるようになり、先々の支払い額を経理担当でも正確に把握できる仕組みが整った。

現場監督をつとめる馬田氏

納品書のスマートフォン画面

さらに、イー住まいは協力会社70社の大工や職人向けに、利用の目的や設定方法についての説明会を実施し、「kintone」の定着を促す工夫もした。その成果もあり、今では60代の大工・職人も積極的に「kintone」を使いこなし、現場から改善案なども出るほどだと言う。

納品書の合計額が一目瞭然で確認できる

当初の目的達成に加え、経営が安定化。安心して規模を拡大できる体制に

「kintone」の導入により、「協力会社70社との情報共有の円滑化」・「品質管理の仕組み化」・「正確な工事の工程管理」・「支払い時期・金額の正確化」といった数々の業務効率化を実現したイー住まい。現場監督をはじめ、各スタッフの業務効率化によりひとりあたりが手掛けられる案件の数が増え、資金運営、経営面でも基盤が整ってきたことを実感していると言う。原価管理を担当する本山氏はこう語る。

「経理は現場に出ないので、支払い額の把握は工事台帳頼みです。ただこれまではリアルタイムでの反映が難しく、どうしても差分が出ていました。今回、納品書アプリのおかげで正確な支払額を把握できるようになり、安定的な資金計画を立てることができるようになりましたね。」(本山氏)

また社長の松岡氏は、経営そのものの安定感も増したと強調する。

「会社規模が小さいうちは、属人的な仕事が多く、少々アバウトな部分があっても会社は回ります。しかしながら、規模が拡大した時に同じやり方をしていると品質や資金面で問題が起こるリスクが増します。多くの注文をいただいているこのタイミング『kintone』と出会い、仕組みを整えることができたことで事業成長を考える経営者としても、安心感を得ることができました。」(松岡氏)

原価管理の責任者本山氏

事業を支えるシステムとして「kintone」を活用するイー住まい。今後はお客様とのコミュニケーションツールとしても「kintone」を検討していく予定だ。

「ゲストスペース機能を活用すれば、マイホームの建築工程や進行状況を『kintone』経由で確認いただくことができます。施主様の満足度もより高められますし、将来リフォームを検討される際には家歴情報として提供もできますので、長い目でお付き合いするための手段としても活用できます。『kintone』は発想を形にしやすいので、将来に向けてチャレンジのアイディアも湧いてきますね。」(松岡氏)

現場で効率的な運営ができるように。お客様にとって素晴らしい家を建てるために。同社の「kintone」活用熱は高まるばかりである。

【この事例の販売パートナー】
NCSサポート&サービス株式会社