ダイブ 様の導入事例

ダイブ

【業務内容】
リゾート地への人材派遣事業
【利用用途】
スタッフ管理、求人管理、受注管理、契約書管理など
  • 手入力・多重登録など、統制が効いていなかった業務を劇的に改善し、月間1,300時間を削減
  • 全社にわたって業務を強力に支え、事業の推進に必要な業務基盤として拡張を続けるkintone

リゾートバイトに特化した派遣事業を手掛ける株式会社ダイブでは、登録している人材の管理や派遣先の施設情報、受注案件管理などを、複数の業務システムやExcelを中心に個別で管理していた。バラバラに管理していた情報を一元管理するための業務基盤として、サイボウズのkintoneを採用している。その経緯について、情報システム部 部長/CIO 鮎川 悟氏、開発チームマネージャー加藤 達也氏、同部 牧本 明久氏および同部 小林 柚里加氏にお話を伺った。

【課題】業務システムが乱立、運用の属人化や情報の分散化が大きな課題に

「一生モノの【あの日】を創り出す」をミッションに、リゾートバイトに特化した派遣事業を手掛ける株式会社ダイブ。日本国内の観光施設に特化したリゾート人材派遣サービス「Resort Baito Dive」をはじめ、東京でチャレンジしてみたい若者に働き方と住まいを同時に提供する「Tokyo Dive」、遊休地を活用したグランピング経営をワンスポットでサポートする「GLAMPICKS」、企業の情報システムの悩みをIT人材、IT技術、IT知識を提供して解決する「FieldEngineerDive」など、新たな経験を通じて若者や企業を支援する各種サービスを展開。札幌から沖縄まで7箇所にオフィスを展開し、現地訪問やLINEなどのコミュニケーションツールを駆使して派遣スタッフに対する手厚いサポートを行っている。

基幹事業として展開しているリゾート人材派遣サービスでは、リゾート施設への派遣スタッフの募集を行う求人サイトへ登録・応募があった方と面談を実施し意向にあった派遣先を決定している。派遣先での勤怠情報をまとめ、給与が支払われる形になる。こうした業務を管理する仕組みは個別に用意されており、情報が一元化できていないことが大きな課題となっていた、と鮎川氏は当時を振り返る。「Webサイトから応募があった段階で、採用担当者がそれぞれ登録者とやり取りを行っていきますが、Excelを駆使して面談情報を管理しているメンバーもいれば、別のシステムを使って案件ごとの進捗管理を行っているメンバーもいるなど、個人によってそれぞれバラバラで異なる運用でした」。

情報システム部 部長/CIO 鮎川 悟氏

また、派遣先が決まった段階で受注情報を作成するが、派遣スタッフの管理と受注情報の管理が別のシステムだったため、派遣スタッフの登録情報をCSVで抽出して別システムに取り込む場面もあれば、担当者が手作業で入力する場面もあるなど、メンバーによって運用が異なっていたという。さらに、同じシステムであっても事業部ごとに契約をしているケースもあった。結果として同じ情報を重複入力してしまったり、他システムへの情報更新がうまく行われなかったりなど、情報管理において複数の課題が顕在化していたと当時を振り返る。

また、派遣先施設への請求システムが社内サーバーに設置されており、営業先や自宅などからアクセスできず、請求業務が滞ってしまうこともあった。さらに、コロナウイルスの感染拡大により、出社することなく業務が推進できる新たな環境の構築が求められていたのだ。

【選定】変化の激しい業界に欠かせない“内製化”アプローチ

独特の運用に汎用的なCRMでは対応できない、汎用的なkintoneに注目

そこで顧客管理や施設情報の管理、派遣スタッフ情報などを一元管理できる環境として、CRMを中心に新たな基盤検討を進めることに。しかし、寮や食事提供の有無などリゾートバイトならではのきめ細かな情報を管理する必要がある。加えて、派遣したスタッフの勤怠情報もデータで送られてくるケースもあれば、電話やFAXなどでやり取りするケースも残るなど、汎用的なCRMでは十分に管理しきれないことを懸念。検討を進める過程では、自社での独自のシステム開発も視野に入れていた。

情報システム部 開発チームマネージャー  加藤 達也氏

そんな基盤選定の過程で注目したのが、サイボウズが提供するkintoneだった。「インターネットでの検索やセミナー参加など、さまざまな形で情報収集するなかでkintoneを知った。実際にkintoneを利用している企業にヒアリングしたところ、さまざまな業務に活用でき、自社にあった業務基盤になる柔軟性に魅力を感じた。一方、業務フローを構築する際には、注意を払わないと情報を集約し切ることはできないかもしれないとも感じた」と鮎川氏。仮に運用がうまくいかない場合に備えて、初期投資をできる限り抑制できる月額のサブスクリプションで利用できる点も魅力の1つだった。

マスター運用での情報の一元化や拡張性の高さ、内製化できる環境づくりが好印象

あらゆる情報を一元管理できるだけでなく、情報管理の属人化が防げる点もkintoneを高く評価したポイントだ。多重入力の排除によって業務効率化にも大きく貢献すると考えたという。「Excelなど、個人のPCで情報管理する環境から脱却することで、担当者が不在の場合でも他のメンバーが情報にアクセスでき、業務を引き継ぐこともできる。誰でも同じ情報にアクセスできる環境づくりに、kintoneはもってこいだと考えた」と鮎川氏。

使いやすさの面でも、同社にとってkintoneは適したソリューションだった。従業員のITリテラシーは様々であり、視覚的に使いやすく操作も容易なものが現場へ浸透させていくためには必要だったのだ。「現場の要望に合わせて柔軟にシステムを追加変更する際にも、外部にお願いしていては時間がかかってしまう。開発パートナーの選定時には、最終的に自社で開発できるようにするためスキル移管してもらえることを望んでいた」と鮎川氏。不明な機能があればインターネットで検索すれば豊富なナレッジを得やすく、kintoneのアップデート内容が分かりやすい点も、内製化に向けた環境としてkintoneを評価したポイントだったという。

kintoneダイブ様図説20210630_2.png

さらに、市場の変化が激しいビジネス領域で事業を展開する同社だけに、LINEをはじめ新たなツールとの連携が求められるなど、システムの拡張性に関しても重視したポイントの1つだった。「登録いただく方のターゲット層はLINEなどを積極的に利用しており、環境の変化に応じて今後も新たなツールとの連携も求められる。APIなどが充実しているkintoneであれば、自社でもスピーディに変化への対応が可能だと判断した」と鮎川氏。

結果として、同社が目指す情報一元化および属人化を防ぐための業務基盤として、kintoneが選ばれることになったのだ。

内製化に向けてSIパートナーの存在も大きい

なお、今回はkintone導入の初期から開発や運用面で支援を続けているのが、サイボウズオフィシャルパートナーの株式会社ニックスだ。「この要件ならこの金額という形でスタートするのが通例ですが、自社の事業に照らし合わせて構築すべきものを内部で議論してもらわないと仕事ができない、と当初から明言いただけたことで、社内にてゴールの部分まで十分にすり合わせができたことは大きかった。サポートでは、口頭ではなくkintone上に履歴をきちんと残していただけましたし、スキルトランスファーもしっかり行っていただけて感謝している」と鮎川氏は評価する。現在は、開発・運用・保守を全て自社内で行っている。

【効果】全社員の業務基盤としてフル稼働するkintone

スタッフ・受注管理を中心にスタート、今では人事情報含めた基幹システムへと進化

現在は、派遣スタッフや取引先、施設情報などを共通マスターとして管理するアプリをはじめ、受注管理や派遣スタッフの勤怠管理、給与情報を含めた販売管理、月報など各種アプリがkintoneで展開されている。現状は80名ほどいる全社員が利用する業務基盤となっており、アプリの数も200を超える規模にまで広がった。「当初はパッケージ製品を使っていた業務を中心にアプリを構築していきましたが、Excelやスプレッドシートで管理していた業務を徐々にkintoneで構築していくことで、現場全員が意識してkintoneを使ってもらえるようにしました」と牧本氏は説明する。

情報システム部 開発チーム 牧本 明久氏



また、社内業務としての、IT資産管理アプリや社会保険加入状況の管理アプリなど、総務や経理部門も含めて新たな業務をkintoneに適宜追加しており、今やkintoneが基幹システムとして機能している。今では、自社で培った業務基盤のノウハウを他社に提供するビジネスを進めているほどで、kintoneの便利さを現場や経営層がともに実感しており、全社を挙げてkintoneの有効活用が進められている。

短期間派遣という独特な業務にも役立つアプリを開発、日常の業務に深く浸透

リゾート先への人材派遣を担う「Resort Baito Dive」における業務フローは、施設での求人募集が行われている求人Webサイトとkintoneが連携し、応募の段階でLINEを使ってコミュニケーションを図りながら、面談などの情報を対応履歴アプリに記録している。その面談内で求人管理アプリ上にある求人情報とマッチングさせることで派遣先を決定し、受注管理のアプリに登録する流れだ。

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登録済みの派遣スタッフに求人情報を紹介するマーケティングツールや派遣スタッフの給与計算システムなど周辺システムとkintoneが連携しており、Adobe Signプラグインによって派遣スタッフ及び取引先に対する契約管理を実施、グラフ生成プラグインによってkintone内のデータを可視化することも行っている。「外部システムとの連携も柔軟に行っているが、社員が操作するにはkintoneだけで済むようにしており、業務における共通システムとしてkintoneが認知されている」と牧本氏。求人サイトに掲載している求人情報もkintoneにて管理しており、kintoneと連携して求人サイトが自動更新されるなど、CMSとしての機能も実装されている。

同社の業態ならではの利用用途としては、派遣先が複数にまたがるスタッフの給与合算アプリが特徴的だ。1週間といった短期間での派遣が存在しており、1か月の間に複数の施設で働くスタッフもいるため、スタッフごとに給与を合算する必要がある。「以前は複数の派遣先に所属するスタッフの状況を把握するのが難しく、経理部門には大きな負担となっていた。給与合算アプリを用意することで、派遣スタッフごとに1月分の金額が自動計算できるようになり、経理部門の負担が軽減できている」と加藤氏。また、派遣先で就業を終えた後に社会保険に加入したままの状態で、少し期間が空いてから次の派遣が決まったスタッフを管理する社保移動アプリによって、保険料の回収漏れを防ぐことも可能になっているという。

全社展開に必要な“オフライン”の重要性

現場へうまく展開していくための工夫については、当初から情報の一元管理や業務の効率化といった目指すべき目標を文書化し、経営層やメンバー含めて共通認識を醸成したことが挙げられるという。「kintoneを使ってくださいというアプローチではなく、共通認識を持ってもらったうえで展開していくというオフラインの部分に注力した。全国7つの拠点にシステム部のメンバーが直接訪問して伝えていった。システムが変わるとネガティブに感じる人もいるが、地道な活動を通じて様々な意見も出てくるようになり、今では全社員に積極的に利用してもらえている。遠慮なくいろんな意見を出してもらえるようになったことで、気になる部分をすぐに修正してあげる。その過程で自然と交流が生まれたことで、非常にいい形でkintoneを業務基盤として根付かせることができた」と鮎川氏は振り返る。

各業務の工数削減や基盤の運用コストも削減、標準的なスキル醸成が可能に

これまでメールや電話で登録者とやり取りして得た情報を手作業で記録する業務があったが、kintoneを求人サイトのマイページやLINEと連携することにより、登録者自身で情報登録が可能になり、月間300時間ほどの削減につながっているという。また、kintoneをベースにAdobe Signによる電子契約を実現したことで紙による運用が排除でき、月間最大1,000時間の作業時間や送料削減などにも役立っている。「kintoneによって情報が一元管理できたことで、以前は求人サイトや請求システム、スプレッドシートそれぞれに個別入力せざるを得ない多重登録が不要になり、業務の効率化や情報の不整合がなくなった。今はkintoneの情報をメンテナンスするだけで他のシステムに反映できるようになり、情報の質も高まっている」と鮎川氏は評価する。

システム面でも、以前は社内サーバー環境やクラウド上に業務基盤を整備しているなど、システムが分散化していたことで管理が煩雑になっていたが、今ではkintoneに多くの業務を集約したことで、基盤の運用コストや標準的なスキルの醸成が可能になるなどさまざまなメリットが得られているという。「社員の所属情報をkintoneで管理し、他のシステムに連携することで入社や部署異動時の負担を軽減している。また貸与しているデジタル機器やライセンス情報の管理も上記情報に紐付けて適正に管理することができている」と加藤氏は評価する。

kintoneそのものの操作性にも評価の声が寄せられている。「触ってみると非常に分かりやすく、操作しやすいのは間違いありません。初見でアプリを触った場合でも、アプリ内に説明がきちんと記されており、どんなことができるのかが把握しやすい」と小林氏。開発者目線でも「設定しやすいプラグインなどが豊富に用意されており、必要な機能がすぐに手に入る部分はとても助かっている。仮にプラグインがなくとも、SIパートナーにカスタマイズした機能を開発していただき、それを社内の開発チームで巻き取りながら参考にすることで、他のアプリにも展開しやすくなった」と牧本氏も評価している。

情報システム部 開発チーム 小林 柚里加氏

勤怠情報のデジタル化に向けた取り組みと人事評価などの実装も検討

派遣スタッフへの給与支払いに必要な勤怠情報は、メールやFAXなども含めたさまざまな方法での収集が余儀なくされているが、今後はスマホアプリや打刻端末を派遣先の施設に設置してkintone内に自動的に取り込まれるような仕組みを構築していくという。「給与明細もメールで配信しているが、派遣スタッフ用のマイページを通じてkintone内で作成された明細情報を閲覧可能にする対応を進めている」と加藤氏。

実際には現場からも続々と要望が挙がってきているため、kintoneによる業務改善の取り組みをさらに推進していく予定となっている。「これまで200件以上の要望が寄せられ、7割ぐらいは対応できている。残りも含めて、潜在的なニーズにもさらに応えていくことで、業務の自動化を通じて入力の手間などをどんどん減らしていきたい」と牧本氏は意気込みを語る。小林氏も「現場にはkintone以外で管理している数字がまだ残っており、いろいろなツールで数字を確認しているケースも見受けられる。これらも全てkintoneに集約し、簡単にデータ共有できるような環境を整備していきたい」と語る。

さらに、情報システムにお困りの企業に向けIT業務支援サービスを行うなど、新たな企業支援の取り組みも進めている。「自社のみならず取引先の成長を促していけるような支援も引き続き行っていきたい」と今後について鮎川氏に語っていただいた。(2021年4月取材)

【この事例の開発パートナー】
株式会社ニックス

E-mail:sales@nics.co.jp

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