ダイワ
- 【業務内容】
- 仮設足場事業
- 【利用用途】
- 車両管理、入金管理、採用管理、訪問管理
株式会社ダイワは仮設足場事業を手がける会社で、ビケ足場を組み立て・解体込みでリースしている。ビケ足場とは、工事現場で使われる足場の商品名で、建造中の住宅の外側にくさびの原理で組み上げているのが特徴。ハウスメーカーや工務店などから発注を受け、工事現場に足場を設置している。現在、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本を中心に13拠点を展開。会社の従業員は220人で、ビケメン(美形男)と呼ばれるビケ足場を組む職人は330人が所属している。
kintone導入以前は、紙やFAXを使った非効率な方法で情報を共有・管理しており、現場の負担が大きかった。Googleのサービスを利用してなんとかクラウド化に着手したものの、いまいち使い勝手が悪く活用しきれない。そこで、導入したのがkintone。大幅な工数の削減とミスのない情報共有を実現し、コストカットにもつなげられた。今回は、同社がkintoneを導入するまでの経緯や、ITリテラシーが高くない人たちに使ってもらうためのエピソード、結果を出した活用方法などを総務部人財開発課 主任の髙田直哉氏に伺った。
髙田氏は11年前、営業から総務部に配属された。採用が主担当だったが、総務部として様々な業務を手掛けることになる。当時は紙とFAX、エクセルとメールを使って業務を行っており、効率的に業務をこなせている状態ではなかったという。
「ビケ足場を運搬するトラックが200台あるのですが、営業所間で移動させたトラックがどの営業所にあるのか行方不明になることがありました。定期的に、車両番号を書いたエクセルファイルを13拠点にメールで送り、13通の返信を受け取って確認していました。車両のコストを管理するファイルが別に存在し、毎月手作業で更新し、レポートを作っていました。車両の任意保険証は本社にファイリングしていたので、必要になったらコピーするという超アナログな業務を行っていました。
これはどうにかしなければいけないと思い、Google Apps(現:G Suite)を導入しました。情報はGoogleスプレッドシートに記載し、保険証はスキャンしてPDFファイルをGoogleドライブに保存したのです。ある程度クラウド化はできたのですが、使い勝手が悪く、運用の限界を感じました。」(髙田氏)
ほかにも入金管理を紙に印刷してからFAXで突き合せたり、採用の応募が来ても拠点にメールを転送するだけで何の管理もしていなかったり、問題は山積みだったようだ。
髙田氏は、現状のアナログ業務を改善するには、早急にデータベースソフトの導入が必要だと感じ、独学でITに関する勉強を始めた。いくつかのデータベースソフトを触ってみるが、IT初心者には敷居が高く断念。そんな折、誰でも簡単に業務システムを作れるkintoneのことを地場のITベンダーから紹介される。
「kintoneを試しに使ってみたら、『これなら自分でも使えそう』という手ごたえを感じましたね。特に、エクセルから作れるというのが自分には刺さりましたね。本来であれば導入前にkintoneで課題解決できるかどうか冷静に判断しなくてならないのですが、『取り敢えず使ってみたい!』という感じでした。」(髙田氏)
2013年に本格導入をスタート。最初は髙田氏がアプリを作成し、社内に使ってもらうように動いたが、社員のITリテラシーが高くないということもあり、なかなかkintoneを使ってくれなかった。そこで髙田氏は業務以外で使うアプリを作成した。
同社はJリーグ「サガン鳥栖」のスポンサーになっており、観戦チケットを福利厚生の一環として社員に配付していた。そのチケットの申請アプリをkintoneで作成したのだ。また、年に2回慰労会の補助金を出しているが、その申請もkintoneで受け付けることにした。こういった”社員が得するアプリ”を立て続けにリリースし、kintoneを触ってもらう機会を少しずつ増やしていった。そして、2014年に大きな動きがあった。
「2014年に我々が展示会を開いたときに、来客予定名簿をkintoneアプリで作成し、各社員が招待したお客様をアプリに登録するようにしました。集客状況のグラフをkintoneのトップページに表示し、弊社の代表に共有しました。集客が芳しくない営業所は一目瞭然に。リアルタイムですからね。そういった営業所に会長が激を飛ばすので、kintoneを使わざるを得ない状況になり、みんながkintoneを触るようになりました。営業部門からは恨みを買いましたけど(笑)」(髙田氏)
こういった髙田氏の努力のおかげで、kintoneの利用率が上がり、アプリをベースに業務が回るようになってきた。
リース車両の管理をkintoneアプリにしたことで、どの車両がどこにあるかは一目瞭然となった。車両の管理を厳密に行えるようになったため、コストのずれも出なくなり、毎月のレポート作成時間は半日から10分以下に短縮。保険証等のドキュメント管理もレコードにアップロードして誰でもいつでも利用できるようになり、ファイルを探す手間からも解放された。また、入金管理もこれまで印刷&FAXだったものが、銀行(ファームバンキング)からダウンロードしたCSVファイルをkintoneアプリに読み込ませて、各部署がチェックするだけで処理が完了。経理部門はもちろんFAXをチェックしていた各営業所の担当者の手間も大きく削減された。
「目に見えるコスト削減で効果が大きかったのは採用管理です。kintone導入前は、月に何件応募があったのかさえ分からない状態でした。導入後は、応募者情報を募集媒体とともアプリに登録し、応募後の面接、採否結果を各営業部が引き継いで入力するようにしました。データが蓄積されていくと、媒体ごとの優劣が見えるようになってきました。効果の少ない媒体への出稿を抑制することで、年間で約200万円ほどのコストダウンに繋がりました。」(髙田氏)
さらに、採用を目的とした高校への訪問管理もkintoneで行うようになった。採用担当者は、訪問履歴をアプリに入力し、活動履歴と高校の進路指導室とのやりとりを可視化した。そうすれば、同社の担当者が変わっても、話をスムーズに進められる。高校をリスト化したアプリには、訪問履歴とともに、名簿アプリと連携させてOB・OGの情報を確認できるようにすることで、新卒採用が捗っているという。
現在は総務部が中心にkintoneを使っているが、今後はビケ足場職人(ビケメン)にもkintoneの利用を促していきたいとのこと。作業指示書の確認や日報の提出などをスマートフォンで完結させ、業務時間の削減につなげるのが狙いだ。
「まだまだ業務の中にアナログな部分があるので、kintone化を推し進めていきたいです。kintoneなら社内メールで行われているやりとりを全て置き換えられるという可能性を感じています」(髙田氏)
髙田氏はkintoneを駆使し、今後も同社の業務効率化を強力に推進していく。
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