ベルーナ 様の導入事例

【導入事例】日々更新されるECサイト。止められない制作業務を支える企業の壁を超えたチームワーク(株式会社ベルーナ様)

事業概要

株式会社ベルーナは、「ベルーナ」「RyuRyu」など幅広い女性向けアパレル・雑貨などのカタログ通販をはじめ、食品・ワイン・化粧品・サプリメントといった事業を幅広く展開している通販総合商社。そんな同社は、ITへの投資も積極的で、以前から情報基盤として「サイボウズ ガルーン」(以下、「ガルーン」)や「サイボウズ デヂエ」(以下、「デヂエ」)を活用し、業務の効率化を図っている。さらに、最近ではEC事業本部にて「kintone on cybozu.com」(キントーン)(以下、「kintone」)の利用も開始。社内の情報基盤はすでに充実していたと思われる中で、あえて新しく「kintone」を導入した背景とその効果について、情報システム本部 参与の遠藤氏、eデザインセンター 課長の星氏(当時)・箭内氏にお話を伺いました。

外観
ECサイト

導入前の課題煩雑化したECサイト制作のやり取りを効率化したい

ベルーナでは兼ねてよりグループ全体約2,000名規模でグループウェア「ガルーン」を活用しており、社内のコミュニケーションはEメールを使わない業務が定着している。グループウェアの有用性を知っているからこそ、そのコミュニケーションのノウハウを外部委託先とのやり取りにも展開し、効率的に業務に取り組める方法を模索していたという。中でも、そのやり取りが頻繁に発生するECサイト運営時のコミュニケーションに課題を感じていたと遠藤氏は語る。

「ECサイトはカタログとともに販売ルートとして重要な役割を果たしており、販売訴求力のある商品紹介ページをタイムリーに掲載していく必要があります。このためページのデザイン・制作を行うEC事業本部においては、デザインの品質や内容の正確さにこだわり、効率的な作業フローを確立していかなくてはなりません。そうした時に、外部のWeb制作会社7社と連携してページ改修を進めるのですが、やり取りの煩雑さがひとつの課題になっていました。というのもExcelファイルで作った依頼書をEメールで送って、その後、電話のやり取りをしながら調整するなど連絡手段がバラバラになっていました。このままの運用を続けていると見落としや作業ミスなどのリスクがあるのではないかと感じていました。」(遠藤氏)

例えば、ベルーナ側で編集した依頼書のファイルを、外部の制作会社に渡したにも関わらず、制作会社側では古いバージョンの依頼書を参照したままで制作を進められると、最終的に意図とは異なるページになってしまい、再修正の手間が発生する。また、指示内容がどこで変更されたか等電話とメールの連絡手段が混在することで、「誰が、何時、どういう指示をしたか」の履歴が追えないなどリスクも考えられる。

「ECサイトでは、撮影された商品画像・キャッチコピー・サイズや色などの商品情報といった顧客が見えている以外にも、様々な情報を元に制作されているので、依頼書が常にWebの制作側に伝わることは大変重要なことです。このため"Eメール+Excel"を使ったコミュニケーションによって起こるリスクをなくしたいという思いがきっかけとなり、新たなシステムを検討することにしました。」(星氏)

▼必須入力や変更項目の入力への注意喚起をシート内に記載している。

導入の決め手外部委託先とも安心して使える機能性とセキュリティ

ECサイトの制作管理には、デジタル資産管理/コンテンツマネージメントシステム(CMS)などを使った、一貫した制作管理を実現する大規模なソリューションに組み合わされていることが多い。しかしながら、ベルーナではすでに制作体制が確立されており、Web制作会社を交えた制作進捗の管理に特化した仕組みを検討したという。そのような状況の中で「kintone」を選択した決め手は、機能性とクラウドの特性を生かした企業の壁を超えたコミュニケーション基盤としても適している点にあったという。

「もともとWebデータベースの"デヂエ"の活用が社内でかなり進んでいましたが、『kintone』は似たユーザーインターフェースでレコードの作成・共有が行えることに加えて、クラウドで利用できるので社外とのやり取りに使う場合に『デヂエ』より優れていると感じました。企業間の連携となると高い機密性が求められますので、セキュリティやデータの保全体制も重視し、安心して利用できる点を評価しました。」(遠藤氏)

導入効果企業の壁を越えたコミュニケーションをミスなく効率的に

ベルーナでは「kintone」導入後は早速、制作会社とやり取りする「Webページ制作依頼書」アプリケーションの作成に取り掛かった。Excel運用時に近い形を再現することで、新たなシステムとはいえユーザー側に負担なく運用をスタートすることができたという。

「これまでExcelで使っていた依頼書をそのまま再現することを目指してアプリケーションを作成しました。制作を依頼する webページのタイトル・URL・掲載してほしい商品の基本情報・デザインラフの添付など、一通りの項目を設置していき、最初のバージョンができるまでには 2 時間もかかりませんでした。ノンプログラミングで自由度も高く設計できるので項目を追加し、配置を調整するなど運用しながらフォーマット改善しています。」(星氏)

▼ページ制作依頼書アプリケーション

7社に上る外部制作会社との連携もスムーズになり、より確実で効率的なページ運営が可能となったという。

「トップページの最新情報に更新通知が表示されますが、必要な人に対して必要な情報が伝わるようにEメール通知も設定しています。参照する依頼書の内容はひとつのレコード情報なので、Excelファイルのようにどれが最新の依頼書か分からなくなることはありません。レコードにはコメントが書き込めるので、以前のように依頼書を見ながら電話やメールするよりも、ずっと効率的にやり取りができています。」(箭内氏)

▼業務のステータス管理

さらに、業務のステータス管理や分析も可能となり、「kintone」はExcel運用の負担やミスを解消するだけでなく、新たな活用方法にも展開されている。制作依頼書を作成するだけでなく、業務のステータスの管理や「ベルーナ」「RyuRyu」「インテリア」などブランドごとにどの程度のページ修正があったか業務量を定量的に集計できる仕組みだ。マネージメントする立場にある課長視点からも、業務量の傾向を知り全体調整するために役立てられているという。

「各ページ制作の進捗具合を管理する項目を追加しました。もともとは、別のExcelファイルで進捗管理表を用意して作業が進行するごとに日付を記入して管理していたのですが、現在は『webページ制作依頼書アプリ』のなかで『入稿・初稿出し・戻し・直し・完了』などのステータスを管理する項目を追加しました。一画面内で書き込めるので進捗管理表への記入漏れも無くなりますし、全体の進捗をまとめて確認する際にも一覧で表示してくれるので、全体を見ている立場としては状況把握に欠かせない仕組みとなっています。」(箭内氏)

▼横軸は日付(週次)、縦軸はブランドで、タスク量の推移を見ている

今後の展望グループ全体で幅広い業務への展開を模索

Excelファイルでの運用から、クラウド型の業務アプリケーションへ運用移行を経て、ECサイト制作における業務の効率を大幅に向上させたベルーナ。その活用はさらに広がっている。「kintone」は現在グループ企業のWebサイト制作やCRMシステムの仕組みなどにも展開されている。今後もさらにアプリケーションの改善を行っていく予定だ。