朝日新聞社 様の導入事例

朝日新聞社

【業務内容】
新聞を中心としたメディア事業
【利用用途】
電子書籍の売上金額の管理
  • 経理処理にかかる工数を9割以上削減。電子書籍事業の成長を加速させるクラウド活用法

日本を牽引するメディアのひとつである朝日新聞社。新聞事業を中心に「朝日新聞デジタル」などデジタルメディア事業にも力を入れ、順調に成長を続けている。そんな同社が、電子書籍の売上管理に「kintone on cybozu.com」(以下、「kintone」)を採用した。従来の「Excel」運用から「kintone」に移行することにより、売上集計にかかる時間を9割以上削減することに成功。拡大する電子書籍のビジネス環境においても、フレキシブルに対応できる仕組みを確立した。その活用状況について、ビジネス企画開発部の林智彦氏、羽木原久美子氏、加藤恵氏にお話を伺った。

増え続ける流通チャネルに増税対応
店舗が増える度にかかる事務コストが大きな負担に

電子書籍は、書籍をデジタルデータにし、スマートフォンやタブレット端末経由でも手軽に利用することができる。最近ではAmazonが提供する「Kindle」や、楽天が提供する「kobo」などの電子書籍サービスも普及しつつある。朝日新聞社においても、2010年よりマルチデバイスでブラウザー上から購読できる短編電子書籍事業を自社店舗「WEB新書」で開始。その後、上記「Kindle」や「kobo」など、他社書店へも販路を拡大し、現在では、10の書店でコンテンツを販売している。 朝日新聞社デジタル本部では、販売する電子書籍の企画や、売り上げた書籍の販売金額や書店に対して支払う販売手数料などの集計を行っており、これらの数字は月次で本社の経理部門や版元に報告している。課題となったのは、電子書籍の販路拡大とともに売上集計にかかる時間と手間が増え続け、大きな負担になっていたことだという。

「月次で上がって来る書店ごとの売上レポートをひとつの『Excel』にまとめているのですが、各社の報告用のフォーマットが『csv』や『Excel』など形式がバラバラで、手間がどんどん増えてしまいました。数値以外の情報も一律ではなく、各社の情報をピボットテーブルで整理して手作業で統一のフォーマットにまとめていました。商品マスタ情報をルックアップして取り込む際にも、数字の桁ずれ、半角・全角差の問題により手作業が増えることがしょっちゅうです。また、電子書籍は、紙書籍と比べて集計ルールも煩雑です。電子書籍には定価がなく、期間限定のセールが頻繁に実施されることもあり、同じ商品が店舗により時期により異なる価格で販売されることがめずらしくありません。このため、集計作業にかかる時間は増えていく一方という状況でした。」(林氏)

ビジネス企画開発部 林智彦氏

書籍・コンテンツ流通のイメージ

これらの作業を毎月こなすだけでも大きな負担で、月次で増え続けるファイルの容量にも困っていたという。ここに新たに取り扱い書店が増えることが決まり、消費税の増税対応も迫るなど課題は山積。深刻な事態に、現状の運用を見直す必要性を感じたという。

「取り扱い書店が増えることは売上向上にもつながり、喜ばしいのですが、作業が増えることは大きな負担でした。増税対応については、一律に5から8%への変更と言っても、書店ごとに端数を四捨五入したり、切り捨てたりとルールが異なります。また、海外に本拠を置くプラットフォームの書店は、そもそも消費税自体がかかりません。業務プロセス自体の改善をしなければ、本当に行き詰ってしまう状況だと感じました。」(羽木原氏)

最も軽くて速くてシンプルな
運用ができるデータベースが「kintone」

その後、事務コストが増え続けていく状況を改善するため、複数のITベンダーに問い合わせ、「Excel」や「Access」を活用したソリューション提案を受けたという。テクニックを駆使することで集計にかかる負担は減らせることが見込まれた。

しかし、月次報告のたびに増えていく報告書や、取り扱い書店が増えるたびに増える商品マスタなど大量のファイルを管理・メンテナンスする手間が解消されない点がネックになった。これらの経緯から、自社で情報収集していたクラウドサービス「kintone」に白羽の矢が立った。

ビジネス企画開発部 羽木原久美子氏

「どのソリューションも集計作業の負担はある程度解消できるのですが、『Excel』運用の場合、将来的に増え続けていくデータのバックアップに手間がかかること、検索性が低く欲しい情報にすぐたどり着けないことなど、構造的な課題が解決できない点がネックでした。『Access』運用についても、利用端末が制限されるなど窮屈さがあり難しいと感じました。そこでWebブラウザー上から利用できるデータベースであれば、これらの課題を解決できると考え、Webサイトから『kintone』のお試し版を申し込みました。検証を進める中で必要な機能性を備えていることはもちろん、クラウド環境で利用できるので、複数人で業務を割り振りしやすいこと、社内外の関係者への報告もスムーズになるなど、使い勝手も向上すると感じ採用を決めました。」(林氏)

売上集計の負担が解消できる機能性はもちろん、ストレスを感じない快適な使い勝手が評価されての導入となった。

集計や報告にかかる時間を9割以上削減

増税対応に合わせて始まった「kintone」運用は、経理処理にかかる時間を9割以上減らすことに成功し、大きな成果を上げている。売上集計の仕組みとしては、書店から上がってくる売上データを「kintone」のアプリケーションに取り込みやすいよう、雛形となるcsvファイルを作成。これは「kintone」クラウドパートナーのコンサルティングのもと、消費税や支払い手数料、自動計算フィールドなどを整理したものだ。

「『kintone』運用に向けて、クラウドパートナーさんには丁寧にコンサルティングしていただき、大変助かりました。まず、バラバラだったフォーマット解析やプロセス整理をお願いしたのですが、その結果、データ成形用のcsvファイルを用意することで、これまでの作業工程を省力化できることがわかりました。kintoneアプリ納品の過程でも、画面を触りながら細かい調整してもらうなど柔軟に対応してくださり、短時間で安心して運用できる仕組みを確立することができました。このデータ成形用のcsvファイルとkintoneアプリのおかげで、誰でも集計作業ができるようになりました。」(羽木原氏)

作成したフォーマットを「kintone」に読み込むだけで売上集計が完了するようになり、これまで8時間以上はかかっていた集計業務が30分程度で完了するようになったという。

Before 業務プロセスの流れ

After 業務プロセスの流れ

「以前とは比べ物にならないくらい短時間で確実な売上集計が可能になりました。『kintone』運用は、取り扱い書店が増え、手数料や税率変更、担当者異動など様々な変化があっても、柔軟に対応できる仕組みで安心です。特定の担当者に依存しない仕組みであることも大きなメリットだと思います」(加藤氏)

また、関連会社への報告業務についても「Excel」ファイルをEメールで送り報告する形式から、アカウントを配布して「kintone」にアクセスして数字確認することが可能となった。Webブラウザーの特性を生かして報告業務にかかる時間を削減することも期待されているという。 売上集計の数字を、次の企画業務に生かすことにも取り組んでいる朝日新聞社。「kintone」レポート機能で、取り込んだ売上データを視覚的なグラフ形式で確認できるようにしている。書店別売上や月別売上など様々な角度での分析も可能で、増えていく情報を今後有効活用していく予定だ。

取り込んだデータは条件ごとにグラフ表示も可能だ。

ビジネス企画開発部 加藤恵氏

データ項目は、書籍情報に加え、入金や支払い金額など数十に及ぶ。

今後の展望:売上集計だけではなく、 プロジェクト管理にも活用していきたい

「kintone」運用が軌道に乗りつつある中、今後は企画のアイディア出しや企画から発売までのプロセス管理業務など他の業務にも展開していく予定だという。

「最近、『kintone』のスペース上に関係者を集め、新企画のブレストを始めています。手軽に意見交換できる場を有効に活用していきたいですね。『kintone』はこれらから活用範囲を広げていく楽しみもあり、部門のプラットフォームとしてさまざまな業務に役立てて行く予定です」(林氏)

電子書籍事業を支える「kintone」の本格運用は始まったばかりだ。

【この事例の販売パートナー】
株式会社アイティーフィット

お問い合わせフォーム:http://www.itfit.co.jp/contactus/

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